食肉・野菜に潜む寄生虫の症状と予防

食肉類

 
  1. 旋毛虫せんもうちゅう
    【寄生元】クマ、ブタ、ウマ
    【寄生先】小腸の粘膜に幼虫を生み、血液を介して全身
    【症状】下痢、腹痛、発熱、筋肉痛、貧血、呼吸困難
    【予防法】
    ①加熱(55度以上)に弱い
    ②冷却(-38度~-18度)に弱い
    *寒冷地由来のモノは冷凍に強いモノもある
 
  1. 無鉤条虫むこうじょうちゅう
    【寄生元】ウシ
    【寄生先】小腸上部の粘膜
    【症状】腹痛、下痢、食欲衰退
    【予防法】
    ①牛肉の生食を避け、十分に加熱する
    *日本でのうしの保虫率は1%以下で感染が少ない
 
  1. 有鉤条虫ゆうこうじょうちゅう
    【寄生元】イノシシ、ブタ
    【寄生先】小腸上部の粘膜、幼虫が脳、心筋、肝臓などに移行
    【症状】消化器障害(下痢、悪心など)、貧血
    【予防法】
    ①イノシシ、ブタの生食、生焼け肉などを避ける
    ②十分に加熱する
 
  1. トキソプラズマ 【寄生元】ネズミ、ブタ、イヌ、ネコ、ヒツジなど
    【寄生先】
    【症状】発熱、リンパ節の炎症(胎児は先天性トキソプラズマ症)
    【予防法】
    ①豚肉の取り扱いに注意する
    ②二次感染を防ぐために調理器具の洗浄をする
    *猫の排泄などから経口感染する
    *妊婦は特に注意が必要(胎児への影響が大きい)



野菜類

 
  1. 回虫かいちゅう
    【寄生元】野菜類に虫卵(手指を介して経口感染)犬、猫の糞便
    【寄生先】小腸で孵化し、肝臓、肺、喉などを通り再び小腸に定着する
    【症状】自覚症状は少ない(まれに腹痛、発熱、下痢)
    【予防法】
    ①熱に弱く70度数秒で死滅
    ②生野菜を食べるときにはよく洗浄する
    *体内を動き回る際に臓器に侵入し、危険な症状を起こすこともある
 
  1. ズビニ鉤虫こうちゅう
    【寄生元】野菜を介して経口感染(海外では経皮感染する)
    【寄生先】体内を移動して小腸に寄生する
    【症状】貧血、食欲不振、全身倦怠など
    【予防法】
    ①熱に弱いので加熱調理する
    ②生野菜を食べるときは良く洗浄する
    *子供では栄養障害や神経症状が現れる
 
  1. 鞭虫べんちゅう
    【寄生元】野菜類に虫卵
    【寄生先】盲腸部に寄生する
    【症状】寄生数が多いと下痢、腹痛、食欲不振(虫垂炎の原因にもなる)
    【予防法】
    ①加熱調理&生野菜は良く洗浄する
 
  1. 肝蛭かんてつ
    【寄生元】ウシ、ヒツジ、セリ、ミョウガ、クレソンなど
    【寄生先】人の肝臓に寄生する
    【症状】激しい腹痛、発熱、肝機能障害など
    【予防法】
    ①水洗いや洗剤などでは完全除去できない
    ②肝蛭の流行地では野菜の生食を避け、加熱調理する
    ③牛の肝臓は十分に加熱する
 
  1. 赤痢せきりアメーバー
    【寄生元】ハエ、ゴキブリ、サル、ネズミ、イヌ、ブタなどの糞便
    【寄生先】一般的に大腸に寄生する
    【症状】症状が現れない患者が多い
    大腸で潰瘍を起こし、粘血便が見られる
    肝臓へ転移して肝膿瘍を起こすこともある
    【予防法】
    ①水や野菜の加熱や煮沸
    ②ハエ、ゴキブリなどの駆除