【12月の献立】和食12パターンと年末年始プラン|調理師が旬の選び方まで解説
年末が近づくと、和食の献立を考える余裕なんてなくなりますよね。私は調理師として25年、この時期の食卓と向き合ってきましたが、12月は「12献立を軸に、あとは使い回しと市販品でいい」と割り切ることこそが最大の時短だと感じています。
この記事では、ぶりや牡蠣など旬の食材を使った一汁三菜を12パターン、大晦日の年越しそばまでそのまま使える形でご紹介します。
12月の献立を和食で組む3つの軸

「年末年始の献立、今年もバタバタで決められないまま12月に突入しそう」
——そんな悩みを抱えていませんか?大掃除に年賀状、仕事の追い込みまで重なるこの時期は、1年でいちばん家事に時間をかけられない月だと私は感じています。
この記事を読むと、次の3つが分かります。
12月をラクに乗り切るための「週3日で回す」献立の考え方
平日と年末年始、それぞれに向いた和食の組み方
大晦日までを見据えた買い出しと仕込みのタイミング
先に献立表だけ確認したい方は、下記から該当の週にジャンプしてください。
12献立を週3日の軸にして残りは使い回しと市販品でいい
12月は31日ありますが、これからご紹介する献立は12パターンだけです。「日数が足りないのでは」と思われるかもしれませんが、これで十分だというのが私の結論です。
年末は誰しも余力が削られる時期なので、1か月分をフルで作り込もうとする発想自体が挫折のもとなんですよね。週3日を「軸」としてきちんと作り、残りの4日は同じ食材の使い回しや冷凍うどん、市販の惣菜で埋める前提で組んであります。
たとえば1週目でぶりを塩焼きにした残りの切り身は、翌日は照り焼きに変えるだけで別の一品になります。全部を一から作らなくていい、というのがこの献立表の最初の約束です。
平日は旬の魚と根菜、ごちそうは週末に寄せる
献立を組むとき、私は平日と週末で「主役の格」を変えるようにしています。
平日はぶりの塩焼きや鶏の竜田揚げのように、焼く・揚げるで完結する一品を中心に据え、根菜の副菜で栄養を補う形が現実的です。一方、鍋や牡蠣フライのようにひと手間かかる料理は、時間に余裕のある週末や、冬至・大晦日といった行事のタイミングに寄せています。

こうして役割を分けておくと、平日は「悩まず作る」、週末は「ちゃんと作る」とメリハリがつき、結果的に1週間を乗り切りやすくなりますよ。
年末の買い出しは12月中旬までに前倒しする
根菜や乾物といった日持ちする食材は、12月中旬までに買っておくのがプロの段取りです。
12月28日を過ぎると魚介・野菜ともに一気に価格が上がりやすく、なかでもカニは年末にかけて最も値上がり幅が大きい食材の代表格です。大根やれんこん、こんにゃくのように保存が利くものは早めに確保し、活け牡蠣やぶりの切り身のように目利きが必要な生鮮品だけ、価格が上がる直前を見極めて買う——この使い分けが、年末の慌ただしい買い出しを減らすコツだと思いませんか?▶生ずわい蟹脚肉むき身(超特大10L〜7L)を見てみる

「カニは特に、年末に近づくほど『とりあえず確保しておいた方がいい』食材です。冷凍で構わないので、中旬までに1度買い物を済ませておくと気持ちがだいぶ楽になりますよ」
次の章から、実際の献立表を1週目から順にご紹介していきます。
12月の献立表【1週目】旬のぶりと揚げ物で立ち上げる3献立
12月に入ってすぐのこの週は、脂の乗り始めた寒ぶりと、ボリュームのある揚げ物で食卓を立ち上げていきます。まだ年末の忙しさが本格化する前だからこそ、しっかり作れる週でもあるんですよね。
献立1|ぶりの塩焼きの一汁三菜

主菜:ぶりの塩焼き
副菜:れんこんのきんぴら
副菜:ほうれん草の胡麻和え
汁物:豆腐とわかめの味噌汁
12月のぶりは、脂の乗りが増してくる時期なので、まずは塩焼きでシンプルに味わうのがおすすめです。
スーパーで売られているのはほとんどが切り身なので、1匹まるごとの目利きではなく、パックの状態で見極めるのが現実的です。皮の色つやが良く、身がピンク色で透明感のあるもの、血合いが鮮やかな赤色をしているもの(茶色くくすんでいたら鮮度が落ちているサイン)を選び、パックの底にドリップ(赤い水分)が溜まっていないかも合わせて確認してみてください。
下処理は「立て塩(軽く振り塩をしてしばらく置き、臭みのもとになる余分な水分を抜く下処理)」がおすすめです。10分ほど置いて出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ってから焼くと、生臭さがかなり和らぎます。同じぶりでも塩焼き・照り焼きと味付けを変えられるので、他の月と組み合わせてレパートリーを増やしていくといいですね。
献立2|鶏もも肉の竜田揚げの一汁三菜

主菜:鶏もも肉の竜田揚げ
副菜:さつまいもの甘煮、小松菜のおかか和え
汁物:しめじと三つ葉のすまし汁
竜田揚げは、片栗粉だけで揚げるのが本来の姿です。
小麦粉を混ぜると衣が唐揚げに近づいてしまい、和食の献立としてはどこか浮いた印象になるんですよね。醤油・酒・生姜に漬け込んだ鶏肉の汁気を軽く切ってから片栗粉をまとわせると、衣が剥がれにくく、揚げたときの見た目もきれいに仕上がります。
甘めのさつまいもの甘煮を合わせることで、揚げ物中心の献立でも重くなりすぎないバランスになります。
献立3|けんちんうどんと副菜2品

主菜兼主食:けんちんうどん
(大根・ごぼう・里芋・こんにゃく・豆腐)
副菜:かぼちゃの含め煮
副菜:白菜の浅漬け
大根は1本まるごと買って、部位ごとに使い分けるのが無駄のない使い方です。
大根は上部(葉に近い甘みの強い部分)ほど生食向き、下部(辛みが強い部分)ほど加熱・薬味向きという性質があります。上部はサラダやなますに、真ん中はけんちんうどんのような煮込み料理に、下部はおろしや味噌汁の具に回すと、1本を余すことなく使い切れます。
けんちんうどんは大根・ごぼう・里芋・こんにゃく・豆腐を煮込んだ汁ごと食べる一品なので、汁物は別に用意しません。麺の日は副菜2品だけで十分満足感が出ますよ。

けんちんうどんは根菜くずを持ち寄って作れる、いわば年末の“在庫整理”にも向く一品です。半端に残った野菜があれば遠慮なく足してください
週末の下ごしらえ|大根とれんこんを切り分けておく
週末に大根とれんこんを切り分けて保存しておくと、平日の調理時間をぐっと短縮できます。特に大根は部位ごとに切り分けて冷蔵しておけば、献立3以外の場面でもそのまま使えて便利です。
12月の献立表【2週目】たらと白菜を使い切る3献立
2週目は、脂も白子も乗ってくる真鱈と、鍋のたびに余りがちな白菜を主役に据えた週です。鍋料理が続くとワンパターンに見えますが、素材の下処理と副菜の方向を変えるだけで印象はしっかり変わりますよ。
献立4|たらちり鍋と紅白なます

主菜:たらちり鍋
(たら・豆腐・春菊・長ねぎ・しいたけ)
締め:雑炊
副菜:金時人参と大根の紅白なます(拍子木切り・酢を効かせた配合)
鍋に使う鱈は、身の厚い真鱈を選んでください。
鱈には身が厚くて鍋向きの真鱈と、練り物などの加工品原料になることが多い介宗鱈(すけとうだら)があり、鍋に向くのは前者です。ただし身が柔らかく煮崩れしやすいので、他の具材より遅めに鍋へ加えるのがコツです。この時期は白子も旬を迎えるので、手に入るようなら鍋にひと切れ加えると贅沢さが増します。
下処理は「塩を振って水気取り(臭み取りと煮崩れ防止)霜降り(沸騰したお湯にさっとくぐらせ、表面だけ火を通す下処理)」がポイントです。ぬめりと臭みをここで落としておくと出汁が濁らず、最後の雑炊まで澄んだまま美味しく食べられます。
献立5|イカと里芋の煮物の一汁三菜

主菜:イカと里芋の煮物
副菜:長ねぎの焼きびたし
副菜:ブロッコリーのおかか和え
汁物:白菜と油揚げの味噌汁
イカと里芋の組み合わせは、和食の煮物では定番中の定番ですよね。里芋のとろみがイカの旨味を抱き込んでくれるので、だしがしっかり食材に絡む一品に仕上がります。
副菜の長ねぎは焼きびたしにするのがおすすめです。長ねぎは生だと辛みが立ちますが、焼くと甘みが引き出されるので、煮物の副菜として合わせても味がぶつかりません。
献立6|鶏つくねの照り焼きの一汁三菜

主菜:鶏つくねの照り焼き
副菜:水菜と揚げの煮浸し
副菜:柚子大根
汁物:かき玉汁
つくねは手間がかかると思われがちですが、鶏ひき肉に調味料を混ぜて成形して焼くだけなので、実際は竜田揚げよりも作業がシンプルです。柚子大根を添えることで、照り焼きの甘辛さに香りの変化をつけられます。

つくねのタネは多めに作って半分冷凍しておくと、後半の忙しい週に“焼くだけ”の1品として使い回せます
白菜1玉の部位別使い分け
白菜は1玉で買うと使い切れずに余らせがちですが、部位ごとに向く料理を決めておけば無駄が出ません。外側の葉は鍋の敷き葉や煮込みに、中間の葉は鍋のメイン、芯に近い内側の柔らかい葉は浅漬けやサラダに——という順番で外から使っていくのが基本です。
12月の献立表【3週目】冬至とごちそう週の3献立
3週目は冬至を挟む、1年の中でも和食の行事色が濃い週です。ごちそう感のある料理が続きますが、どれも段取りさえ分かれば平日でも十分に作れる範囲に収めています。
献立7|牡蠣フライと冬至のいとこ煮(牡蠣の目利きと塩水洗い)

主菜:牡蠣フライ
副菜:かぼちゃと小豆のいとこ煮(冬至の行事食)
副菜:キャベツと大葉の千切り
汁物:あおさの味噌汁
12月の牡蠣は1年でもっとも身が大きく濃厚な「盛り」の時期です。
目利きは、殻付きなら持ったときの重みと殻の閉じ具合、剥き身なら身にしっかり張りがあるかどうかで見分けます。下処理では真水ではなく塩水を使うのが私のこだわりです。真水で洗うと身が水分を吸って風味が薄まるうえ、揚げたときに水分が水蒸気となって破裂しやすくなります。塩水、または大根おろしで振り洗いすると、余分な汚れやぬめりを吸着してくれますよ。
献立8|牛肉の八幡巻きの一汁三菜(おせちに通じる12月の一品)

主菜:牛肉の八幡巻き
副菜:春菊の白和え
副菜:海老ときのこのバター醤油
汁物:蜆の味噌汁
八幡巻きは、牛肉でごぼうを巻いて甘辛く煮る料理で、実はおせち料理の定番の一つでもあります。ごぼうのように地にしっかり根を張るという縁起と、具材を「巻く」ことで家族の結びつきを願う意味が込められているとされているんですよね。
12月のうちにこの一品に慣れておくと、年末のおせち仕込みで同じ料理が出てきたときに手が止まらずに済みます。海老ときのこのバター醤油は、和食の献立に洋の香りを少しだけ差し込む箸休めです。
献立9|豚ロースの生姜焼きの一汁三菜

主菜:豚ロースの生姜焼き
副菜:ひじきの煮物
副菜:白菜の柚子浅漬け
汁物:大根の味噌汁
ごちそうが続いた後は、あえて肩の力を抜いた一品を挟むのも献立のコツです。生姜焼きは調味料を先に合わせておけば、焼くだけで完成する平日向きの主菜になります。
12月の行事食|冬至にかぼちゃと小豆を食べる意味
冬至に「ん」のつく食べ物を食べると運気が上がるとされ、南京(なんきん=かぼちゃ)はその代表格です。かぼちゃと小豆を一緒に煮る「いとこ煮」は、小豆の赤色に邪気を払う意味があるとされ、栄養を蓄えて冬を乗り切る昔ながらの知恵でもあります。

いとこ煮は、かぼちゃが煮崩れる手前で小豆を合わせるのがコツです。先に煮えにくいものから“追い追い”煮ていく様子が名前の由来だという説もありますよ
値上がり前にカニを確保しておく
年末が近づくにつれて、活け牡蠣やぶりの切り身のように目利きが必要な生鮮品から値上がりが始まりやすくなります。今週のうちに来週分のカニを冷凍で確保しておくと、4週目の買い出しがぐっと楽になりますよ。
殻を剥く手間を考えると、最初からむき身になっているタイプを選ぶのも賢い選択です。たとえば匠本舗の生ずわい蟹脚肉むき身(超特大10L〜7Lサイズ・約1kg・18〜28本入り)は、脚肉だけを贅沢に使っているので身がぎっしり詰まっており、タラバ蟹に匹敵するボリューム感があります。12,600円(税込)・送料無料・代引き手数料無料で、殻剥きが不要な分、鍋にそのまま入れるだけで済むので、年末の忙しい時期には特に重宝しますよ。
12月の献立表【4週目】年末と大晦日をまとめる3献立
いよいよ年末、大晦日を含む最終週です。ここまでの3週間で買い出しと仕込みの流れが掴めていれば、この週は「仕上げる」だけの感覚で乗り切れます。
献立10|カニ鍋と菊花かぶ

主菜:カニ鍋
締め:うどん
副菜:菊花かぶの甘酢漬け
カニは、12月28日を過ぎてから買おうとすると割高になりやすい食材です。
3週目のうちに冷凍で確保しておいたカニがあれば、この献立はぐっとハードルが下がります。菊花かぶ(かぶを菊の花に見立てて飾り切りする甘酢漬け)は、切り込みを入れて甘酢に漬けるだけで華やかな一品になり、年末らしい食卓を演出してくれます。
献立11|寒さばの味噌煮の一汁三菜(脂が乗った時季の味噌の配合)

主菜:寒さばの味噌煮
副菜:卯の花(おからを使った炒り煮)
副菜:ほうれん草のお浸し
汁物:さつまいもの味噌汁
12月のさばは、味噌をやや控えめにするのがプロの配合です。
この時期のさばは脂が十分に乗っているため、味噌を効かせすぎると脂の甘みを味噌が覆ってしまいます。霜降りはせず、酒と生姜をしっかり効かせて臭みを抑えながら煮るのが私のやり方です。副菜のほうれん草は、献立1の胡麻和えとは変えて、出汁と醤油だけで仕上げるあっさりしたお浸しにしています。
献立12|大晦日の年越しそばと副菜2品(おせちの仕込みを兼ねる)

主菜兼主食:海老天そば
副菜:紅白なます(細切り・やや甘めの配合)
副菜:だし巻き卵
年越しそばは「そばのように細く長く生きられるように」という願いを込めて食べる、大晦日ならではの一品です。天ぷらは揚げたてでなくても十分美味しいので、夕方までに仕込みを済ませておけば、除夜の鐘を聞きながら慌てず食べられます。
副菜の紅白なますは、献立4のものより細めの千切りにして甘みをやや強めに仕上げます。多めに作っておけば、そのままお正月のおせちにも回せる分量です。だし巻き卵も、卵液を漉して丁寧に巻けば、お正月の重箱に詰める一品として十分通用します。

年越しそばの副菜をおせちと兼用にしておくと、大晦日の夜に“もう1品作る”という負担がなくなります。これが年末の献立を組むときの一番のコツですね
年末の買い出しタイミング
この週に買い足すものは、できるだけ12月26日頃までに済ませておくのが理想です。生鮮のさばや天ぷら用の海老は直前で構いませんが、乾物や調味料は早めに揃えておくと、大晦日のスーパーの混雑に巻き込まれずに済みます。
12月の和食献立で使える常備菜と作り置き
12献立をそのまま作るだけでも十分ですが、少し手を加えて常備菜にしておくと、年末の忙しさに余裕が生まれます。ここでは「ついでに増やして作る」発想で、作り置きの活用法をお伝えします。
12献立から取り分けて作れる常備菜3品
すべての副菜を作り置きに向けようとすると逆に手間が増えるので、日持ちしやすいものだけに絞るのがコツです。
- れんこんのきんぴら(献立1):酢を使わない分、味が落ち着くまで冷蔵で4〜5日ほど持ちます
- ひじきの煮物(献立9):まとめて作って小分け冷凍しておける常備菜の代表です
- 紅白なます(献立4・12):酢の保存性を活かせるので、多めに仕込んでおくと重宝します
これらは調理する日にいつもの倍量を仕込むだけで、翌日以降の副菜に困らなくなりますよ。
鍋を2日分にする締めと翌日の使い回し
たらちり鍋やカニ鍋は、出汁と具材を少し多めに用意しておくと2日分に伸ばせます。1日目は鍋として、2日目は残った出汁に溶き卵を加えて雑炊にしたり、うどんを煮込んで違う一品に仕立てたりすると、同じ鍋でも飽きずに食べられるんですよね。
「昨日の残り」ではなく「もう1つの献立」として出すのがポイントで、これなら家族にも手を抜いた印象を与えずに済みます。
日持ちの目安と冷蔵・冷凍の使い分け
家庭用の冷凍庫は業務用に比べて凍るスピードが遅く、食材の中で氷の結晶が大きく育ってしまいます。これが解凍したときに水分と一緒に旨味が流れ出る「ドリップ」の原因になるんです。
だからこそ、こんにゃくやじゃがいものように食感が変わりやすい食材は冷凍を避け、大根やれんこんのように比較的冷凍に強い食材だけを選んで冷凍するのが賢い使い分けです。どうしても冷凍したい生鮮品は、下味をつけてから冷凍する「下味冷凍」にすると、旨味の流出をある程度抑えられますよ。
年末の献立|12月28日から大晦日までの段取り

ここからは献立そのものより、年末特有の「段取り」に焦点を当てます。同じ料理でも、仕込む順番を間違えると大晦日にしわ寄せが来てしまうので、プロが実際に守っている順番をお伝えしますね。
12月28日〜30日は冷蔵庫の使い切りと仕込みに充てる
12月28日から30日の3日間は、冷蔵庫の中身を空にするつもりで仕込みに充てるのが理想です。
年末は買い足しのたびに冷蔵庫がパンパンになりがちなので、この3日間で中途半端に残っている食材から先に使い切ってしまいます。そのうえで、おせちや大晦日の献立に必要なものを計画的に仕込んでいくと、大晦日当日に慌てずに済みますよ。
仕込みの順番|出汁・根菜・煮物・酢の物・生ものの5段階
年末の仕込みは、日持ちしやすく劣化しにくいものから先に手をつけ、生ものに近いものほど直前に回すのが基本の考え方です。私は現場でも家庭でも、次の5段階で組み立てています。
- 出汁を引く・乾物を戻す(出汁は冷凍も可能なので、いちばん早く仕込めます)
- 根菜の下茹で・面取り
- 日持ちのする煮物(黒豆やきんとんなど)
- 酢の物・なます(酢の保存性を活かして中間に)
- 牡蠣や刺身など生ものに近いもの(大晦日の直前に)
冷凍と冷蔵の向き不向きは先ほど触れた通りなので、根菜を仕込むときはその使い分けを思い出しながら進めてみてください。

順番を守らずに生もの系を先に仕込んでしまうと、他の作業をしている間に鮮度が落ちてしまいます。“後回しにできるものから先にやる”のが鉄則ですよ
自宅で迎える人と実家に帰省する人で変わる準備
年末年始をどこで迎えるかによって、仕込みの終着点は変わります。自宅で大晦日を迎える場合は、献立10〜12をこの記事の通りに進めれば十分です。
一方、実家に帰省する予定がある場合は、日持ちする紅白なますや八幡巻きだけを持参用に多めに仕込んでおき、生ものに近い牡蠣鍋やカニ鍋は無理に用意しない選択も現実的です。手土産を兼ねた1品があるだけで、帰省先での食卓にも自然に馴染みますよ。
おせちは市販と手作りの分業でいい|調理師が勧める落としどころ

「おせちを一から手作りする気力はないけれど、全部市販品に頼るのも何だか気が引ける」——これ、実は私のところにも毎年相談が来るくらい、多くの人が抱えている悩みなんですよね。結論から言うと、市販と手作りを役割分担するのがプロの発想です。
市販に任せるもの|黒豆や数の子は手間と見極めが難しい
黒豆を艶よくふっくら炊き上げるには、時間だけでなく火加減の経験が必要で、家庭で毎年安定した仕上がりにするのは簡単ではありません。数の子も、塩抜きの塩梅ひとつで味が大きく変わってしまい、下処理の見極めが難しい食材の代表です。
こうした「経験がものを言う」品目は、無理に手作りにこだわらず市販品に任せてしまって構いません。これは手抜きではなく、プロも実践している役割分担の発想です。
手作りに向くもの|なますやだし巻き卵は家庭の味が出る
一方で、紅白なますやだし巻き卵は下処理がシンプルで失敗しにくく、甘さや味付けを家族の好みに合わせやすい品目です。今回の献立12で仕込んだ紅白なますや八幡巻きも、そのままおせちの1品として重箱に詰められます。
- 紅白なます:切って甘酢に漬けるだけで、失敗するリスクがほぼありません
- だし巻き卵:卵液の甘さを自由に調整できるので、家庭の味が出やすい一品です
- 八幡巻き:献立8で作ったものを応用すれば、新たに仕込む手間がかかりません
全部を頑張らず、この2〜3品だけ手作りに絞る——これくらいの力の入れ方がちょうどいいと思いませんか?
お正月の献立はおせちを組み替えて考える
おせちを重箱に詰めて終わり、ではもったいないと私は思っています。2日目以降は、余った黒豆を茶巾に絞ったり、なますを酢の物として汁物に浮かせたりと、普段の一汁三菜に組み替えて使い切るのが賢いやり方です。
市販のおせちを選ぶときは、地元食材や作り手の顔が見えるものを選ぶと、既製品でも満足感が変わってきます。たとえば岐阜県中津川市の「ちこり村」が手がける田舎の手づくりおせちは、楽天のおせちセットランキングで14年連続1位を獲得している実績のある商品です。地元産の栗や恵那どり、飛騨牛などを使い、薄味に仕立てているのが特徴で、二段重の中には黒豆煮や数の子2段漬けもきちんと入っています。今回お伝えした「市販に任せていい2品」をまとめて解決できる選択肢の一つだと思いますよ。
年末の買い出しと保存|価格急騰と冷凍のプロの注意点

ここまでの各週でも触れてきた通り、年末は価格と在庫の変動がいちばん激しい時期です。最後に、買い出しと保存についてまとめて整理しておきます。
12月28日以降に値上がりしやすい食材と買うタイミング
これまでの週でも触れてきましたが、カニや活け牡蠣、ぶりの刺身用など、目利きが必要な生鮮食材は12月28日を境に値上がりしやすくなります。理由は需要の集中だけでなく、市場や卸業者が年末休業に入ることで物の流通量そのものが減ることも関係しています。
日持ちする根菜・乾物は中旬までに、目利きが必要な生鮮品は価格が上がる直前を見極めて——という2段構えの買い方を、この記事の献立表と照らし合わせながら実践してみてください。
冷凍に向く食材と向かない食材の見分け方
先ほど常備菜の章でこんにゃくやじゃがいもの例を挙げましたが、もう少し一般化すると、水分が多く繊維がデリケートな食材(葉物野菜・こんにゃく・豆腐など)は冷凍に不向きで、繊維がしっかりした根菜や、肉・魚の切り身は比較的冷凍に強いという傾向があります。
迷ったときは「解凍後にそのまま食べる料理か、煮込むなど手を加える料理か」で判断するのも一つの手です。煮込む前提の料理なら、多少食感が変わっても味には影響しにくいですよ。
下味冷凍でドリップを抑える理由と手順
下味冷凍は、家庭用冷凍庫特有のドリップ(解凍時に旨味と水分が流れ出る現象)を抑えるための工夫です。手順はそれほど難しくありません。
- 醤油・酒・生姜など、いつもの調味料に食材を漬け込む
- 1回分ずつ小分けにして、空気を抜きながらラップで包む
- 金属製のバットに乗せて冷凍庫に入れ、なるべく早く芯まで凍らせる
- 平らな状態で凍らせることで、解凍時間も短縮できる
竜田揚げの下味に使う鶏肉や、さばの味噌煮に使う切り身はこの方法との相性が良く、忙しい日に「漬け込む→焼く・煮る」の工程を1つ省略できます。
献立表通りにいかない時は「あるもので組み替える」
この献立表通りに進まなくなっても、それは失敗ではありません。
年末は買い出しの渋滞や予定の急な変更、店頭での品切れなど、計画が崩れる要因がいくつも重なる時期です。正直なところ、プロの現場でも「今日はこれが入らなかったから献立を変える」ということは日常茶飯事なんですよね。
私たち調理師は、献立を先に決めてから食材を買うのではなく、その日手に入った食材から献立を逆算して組み立てることの方が実は多いです。年末はまさに、この「あるもので組み替える力」が家庭でも試される時期だと思っています。
この発想に立つと、内容を指定できない「おまかせ」形式で野菜が届く定期宅配サービスは、年末とはむしろ相性がいい仕組みだと言えます。私が実際に利用している「坂ノ途中」もその一つで、届いた食材から一汁三菜を組み立てる練習にはちょうどいいサービスです。
和食の献立が12月に向いている理由|出汁と煮物の合理性

ここまで具体的な献立を見てきましたが、最後に少しだけ視点を引いて、「なぜ12月は和食が向いているのか」を調理師の目線でお話しさせてください。
出汁の旨味成分で塩分を抑えても満足感が出る
昆布やかつお節の出汁には、グルタミン酸やイノシン酸といった旨味成分が含まれているとされ、これらが少ない塩分でも満足感のある味わいを作り出す助けになると言われています。塩分を控えめにしながらも「物足りない」と感じさせない——これが出汁文化の合理的なところなんですよね。
もちろん体調や体質には個人差があるので、塩分量が気になる方は成分表示や専門家の情報も参考にしながら、ご自身に合った加減を見つけてもらえればと思います。
温める力と軽さを両立できるのが和食の強み
洋食の温かい料理は、クリームソースやバターのように油脂を中心に体を温める設計になっていることが多いのに対して、和食の出汁文化は「汁物で温める」ことと「塩分・脂質を軽く抑える」ことを両立しやすい点が強みだと私は感じています。
年末年始でごちそうが続く時期だからこそ、和食のこの軽やかさが食卓のバランスを取ってくれるのではないでしょうか。
12月の和食献立によくある質問
- Q12月の献立で子どもも食べられる和食はどれですか
- A
鶏もも肉の竜田揚げ(献立2)や鶏つくねの照り焼き(献立6)、豚ロースの生姜焼き(献立9)のように、揚げる・照り焼きにするといった調理法の主菜は子どもも箸を伸ばしやすい傾向があります。牡蠣やカニなど大人向けの食材が主役の日は、副菜だけ子ども用に取り分けるという工夫もおすすめですよ。
- Q12献立だけで1か月まわせますか
- A
はい、この記事の献立は週3日を軸にする前提で組んであります。残りの日は使い回しや常備菜、市販の惣菜を組み合わせれば、12献立だけでも12月をひと通りカバーできます。
- Q年越しそばはいつ食べるのが正しいですか
- A
明確な決まりがあるわけではありませんが、「年を越す前に食べ終える」のが縁起が良いとされ、大晦日の夕食から除夜の鐘が鳴る前までに済ませるご家庭が多いようです。地域や家庭によって時間帯には幅があるので、ご家族の慣習に合わせてもらって構いません。
- Qおせちの手作りは何日前から始めればいいですか
- A
出汁を引く・乾物を戻すといった下ごしらえは12月中旬から少しずつ始められます。本格的な仕込みは、この記事でも触れた12月28日〜30日の3日間に集中させるのが現実的なペースです。
- Q12月の和食献立で節約するコツはありますか
- A
日持ちする根菜や乾物は値上がり前の中旬までにまとめて買い、生鮮品だけ直前に絞って買うのが基本です。加えて、副菜を多めに仕込んで常備菜化しておくと、追加で食材を買い足す機会そのものが減り、結果的に節約につながりますよ。
まとめ|12月の献立は和食12パターンで年末まで乗り切れる
12月の和食献立は「週3日を軸に、残りは使い回しと市販品でいい」という考え方さえ持てば、31日間を無理なく乗り切れます。ポイントは、平日と週末で主役の格を分けること、そして年末の買い出しは中旬までに前倒しすることの2つです。
各週の献立表は見出しからいつでも見返せます。年末は計画通りにいかないこともありますが、そんなときは「あるもので組み替える」発想を思い出してください。坂ノ途中のレビュー記事も、その組み替え力を鍛える参考にしてもらえればと思います。
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11月の献立を和食で|調理師が教える旬の食材と一汁三菜12選
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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