日本には、松阪牛・神戸牛・近江牛といった有名ブランドだけでなく、各地で育まれた“ご当地ブランド牛”が数多く存在します。その土地の気候や飼料、生産者のこだわりによって、味わいや香り、脂の質までもが変わるのがブランド牛の魅力。
本ページでは、全国47都道府県のブランド牛を地域別にまとめ、特徴や産地情報をわかりやすく紹介します。
調理師の視点から「肉質の違い」「おすすめの食べ方」なども交え、ふるさと納税・通販・BBQなど、気になるブランド牛を自宅で楽しむ方法もご案内します。
全国のブランド牛を知れば、“日本の味覚地図”が見えてくる。
あなたの地域の自慢の牛肉も、きっと新しい発見があります。
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地域別|全国47都道府県のブランド牛一覧
北海道のブランド牛
| ブランド牛 | 所在地 / 地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| 白老牛 | 北海道・白老町 | 「生まれも育ちも北海道白老町」だけで認定。温暖な気候・水・飼育環境を強調。 |
| ふらの和牛 | 北海道・富良野地域 | 谷口ファームだけが生産。脂の質・口溶けにこだわり。 |
| 十勝和牛 | 北海道・十勝地方 | 道内黒毛和牛のブランドとして位置づけられている。 |
| 宗谷岬和牛 | 北海道・稚内・宗谷圏 | 道北圏で展開されている銘柄として紹介されている。 |
| しほろ牛 | 北海道・士幌町 | 地元JA・町の産品紹介として出てくる銘柄。 |
| びらとり和牛 | 北海道・平取町 | ホクレンリストに掲載。地域ブランドとしての可能性。 |
東北地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 / 地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| 米沢牛 | 山形県 | 東北ブランドの代表格。盆地の寒暖差を活かした育成。 |
| 仙台牛 | 宮城県 | 高格付5等級のみ認められる、脂と赤身のバランスがよい銘柄 |
| 前沢牛 | 岩手県 | 肥育条件厳格。甘み・脂のバランスが評価 |
| 東北ビーフ | 東北地方広域 | 東北6県を対象に登録されたブランド。商標登録あり。 |
関東地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 | 特徴 |
|---|---|---|
| 常陸牛 | 茨城県 | 黒毛和種。指定生産者・30ヶ月以上育成。きめ細かな肉質と霜降りが特徴。 |
| 花園牛 | 茨城県 | 茨城県北東部「花園渓谷」付近で生産。「幻の和牛」として紹介されることも。 |
| とちぎ和牛 | 栃木県 | 栃木で広く知られる銘柄。サシと赤身のバランス訴求。 |
| 上州牛 | 群馬県 | 群馬県を代表するブランド。黒毛和種だけでなく交雑種・専用飼料導入などの工夫も。 |
| 赤城和牛 | 群馬県 | 「和牛本来のうまみ」にこだわる銘柄。比較的新しめのブランド訴求。 |
| かずさ和牛 | 千葉県 | 関東ブランド牛一覧に掲載。千葉ブランドの位置づけ。 |
中部地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 | 特徴 |
|---|---|---|
| 飛騨牛 | 岐阜県 | 岐阜県内で14ヵ月以上肥育、肉質等級3以上。きめ細かさと霜降りが強く、全国和牛能力共進会でも高評価。 |
| しずおか和牛 | 静岡県 | 静岡県の統一ブランド牛。黒毛和種で育成、基準を満たすものを「しずおか和牛」として出荷。 |
| あしたか牛 | 静岡県 | 東海「全国うしマップ」でも紹介されており、黒毛和種・交雑種での出荷等がある。 |
| みかわ牛 | 愛知県 | 「みかわ牛生産農場」認定制度あり。脂の甘みとバランス訴求。 |
近畿地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 | 特徴 |
|---|---|---|
| 近江牛 | 滋賀県 | 日本最古級のブランド。歴史も長く、脂と赤身のバランスが良い。 |
| 神戸ビーフ 神戸牛 | 兵庫県 | 但馬牛を素牛とし、厳しい基準(血統・飼育地・格付け等)を満たしたもののみ「神戸ビーフ」となる。 |
| 但馬牛 | 兵庫県 | 多くのブランド牛のルーツ。血統保持・飼育環境にこだわりが強い。 |
| 伊賀牛 | 三重県 | 近畿地方との重複扱いされることあり。松阪牛以外の三重県銘柄。 |
| 松阪牛 | 三重県 | 近畿(関西圏)扱いされることが多い。全国的知名度が極めて高い。 |
中国・四国地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 | 特徴 |
|---|---|---|
| 千屋牛 | 岡山県 | 新見市で繁殖・肥育一貫生産。高品質ブランド牛。 |
| 備中牛 | 岡山県 | 岡山・高梁地域の地域ブランド。歴史あり。 |
| 榊山牛 | 広島県 | 「広島牛」中での最高級ブランドの一つとして展開中 |
| オリーブ牛 | 香川県 | 「讃岐牛 オリーブ牛」として有名。オリーブ飼料使用で甘みや脂の質に特色。 |
九州・沖縄地方のブランド牛
| ブランド牛 | 都道府県 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鹿児島黒牛 | 鹿児島県 | 九州屈指の黒毛和牛。脂・香り・ボリュームともに評価高。 |
| 宮崎牛 | 宮崎県 | 九州を代表する高級ブランド。 |
| 石垣牛 | 沖縄県 | 沖縄・八重山地域の黒毛和牛。南国育ち。 |
\もっと知りたい方/
ブランド牛を選ぶうえで欠かせないのが“部位の特性”です。
焼肉・ステーキ・すき焼きなど、料理に合わせた選び方を知りたい方はこちら👇▶ 牛肉の部位図と特徴一覧|おすすめ料理・使い分けを調理師が解説
ブランド牛とは?定義と基準
ブランド牛とは・・・。
一定の地域・生産者グループが定めた基準で肥育され、特定の名称で出荷される和牛のことを指します。一般的に「黒毛和種」が多く、血統・飼育方法・飼料・出荷月齢など、細かな条件をクリアした牛肉だけが“ブランド”を名乗ることができます。
例えば──
- 松阪牛(三重県)
未経産のメス牛のみを厳選し、きめ細かな霜降りと上品な甘みが特徴。 - 神戸牛(兵庫県)
但馬牛を素牛とし、厳しい審査基準を満たしたA4・A5ランクのみが認定。 - 近江牛(滋賀県)
日本最古のブランド牛として知られ、脂の口溶けと香りの良さが魅力。
ブランド牛の定義には法律上の統一基準はなく「地域ブランド」として各自治体やJA(農協)が独自に商標登録・認定を行っています。そのため、同じ黒毛和種でも地域や飼育方針によって味わい・脂質・香りが異なるのです。
農林水産省→和牛の魅力を紹介

現役和食調理師のヒント
霜降りが多いブランド牛は焼き・すき焼き向き、赤身中心のブランド牛はしゃぶしゃぶやステーキに最適。調理法によって同じ牛肉でも旨味の出方がまったく変わります。
ブランド牛を選ぶポイント
ブランド牛は「知名度」だけで選ぶと失敗しやすい食材です。同じ和牛でも、地域の気候や飼育環境、肉質ランク、飼料の違いによって味わいは大きく変わります。ここでは、調理師の目線から“間違いのないブランド牛の選び方”をわかりやすく解説します。
産地の特徴で選ぶ(地域の気候と飼育環境)

ブランド牛の味や脂の質は、その土地の気候・水・飼料・育つ環境によって大きく変わります。
- 寒冷地(北海道・東北・内陸の山間部)
寒さの中でゆっくり育つため赤身が締まり、旨味が強く出やすいのが特徴。
山形牛や飛騨牛のように、寒暖差の大きい地域は霜降りが細かい傾向があります。 - 温暖地(九州・四国・近畿南部)
気候が温暖で飼料をよく食べるため、脂がのりやすく、
柔らかく甘みのあるサシが魅力。宮崎牛や鹿児島黒牛が代表例です。 - 水質の良い地域(近江・但馬など)
水の良さは脂のキレや香りに影響し、仕上がりが軽く上品になります。
地域による“味の傾向”を知ることで、脂の甘みを楽しみたいのか、赤身の旨味を味わいたいのか、自分の好みに合ったブランド牛を選びやすくなります。
肉質ランク(等級)と味の傾向で選ぶ
牛肉の格付けは「歩留等級(A・B・C)」と「肉質等級(1〜5)」の組み合わせで評価され、一般的に A5=見た目の美しさと霜降りの量が最高ランク とされています。ただし、等級はあくまで“霜降りの多さ”を中心に評価したもの。
そのため、
- 脂の甘み・とろける食感を楽しみたい人 → A5・A4
- 赤身の旨味をしっかり味わいたい人 → A3〜A4でも十分満足
というように、好みによって“適した等級”は変わります。
また、神戸ビーフや松阪牛のように、ブランドごとに独自の厳しい基準を設けている産地もあり、
単純にA5だから良い・A4だから劣るというわけではありません。
霜降りの量だけにとらわれず、自分の好み(脂のコク・赤身の旨味・食感)に合う等級 を選ぶのが失敗しないポイントです。

現役和食調理師のヒント
料理のプロから見ると、A5は“とろける脂”を味わいたい方向け。一方で、焼肉やステーキではA3〜A4の赤身バランス肉のほうが旨味が強く料理に向くことも多いです。
飼料や育て方の違い
ブランド牛の中には、飼料に工夫を加えることで風味や脂の質を高めているものがあります。
たとえば山梨県の 甲州ワインビーフ は、ワイン造りで出る“ブドウの搾りかす”を飼料に活用し、香川県の オリーブ牛 は“オリーブ果実の搾りかす”を乾燥させた特別な飼料で育てられています。
このように、飼料の違いは脂の融点や香り、口どけに影響し、各ブランド独自の味わいを生み出します。また、生産者のこだわりやストーリーがはっきりしたブランド牛は、ギフトや贈答用としての人気が高い のも特徴です。
ブランドの紹介だけでなく、
「どんな飼料で育てられた牛なのか」
「どんな環境で飼育されているのか」
といった背景を知ると、好みの味を選びやすくなります。
価格と入手方法(通販・ふるさと納税・直売所)で選ぶ
■ 通販サイト
全国のブランド牛を自宅に取り寄せられる便利な方法です。ただし、人気の希少部位(ヒレ・シャトーブリアン・三角バラなど)は在庫が少なく、販売のタイミングによっては入手しづらい こともあります。
■ ふるさと納税
各地域のブランド牛を“実質2,000円の負担”で楽しめる制度で、高級ブランド牛の返礼品は非常に人気があります。寄付金は自治体の応援につながるため、贈り物として選ばれることも増えています。
■ 直売所・現地販売
生産地にある直売所では、鮮度の高い肉や、地元でしか扱われない部位・切り落としなどが購入できます。品質を見ながら選びたい方や、地元ブランドを味わいたい方に最適です。
■ 賢く選ぶポイント
目的に合わせて、「通販で普段使い」「ふるさと納税でブランド牛をお得に」といった組み合わせができると、コスパと満足度のバランスが取りやすくなります。
ブランド牛を初めて購入する方は、評判の良い通販サイトを選ぶと失敗がありません。
調理師として実際に使って良かった通販サイトをまとめているので、参考にどうぞ。
調理目的で選ぶ(焼肉・ステーキ・すき焼きなど)

ブランド牛は、部位によって適した料理が異なります。
調理法に合わせて部位を選ぶと、味わいや食感を最大限に引き出せます。
🔥 焼肉・BBQ向きの部位
焼肉は “短時間で加熱する料理” なので、赤身と脂のバランスが良く、やわらかい部位 が適しています。
- カルビ(バラ):脂が多くジューシー
- ロース(肩ロース・リブロース):適度なサシでやわらかい
- ランプ・イチボ:赤身の旨味が強く、焼肉でも固くなりにくい
👉 モモでも内モモやシンタマ系なら焼肉向き。外モモ・スネは焼きすぎると固くなりやすい。
🍲 すき焼き・しゃぶしゃぶに合う部位
すき焼き・しゃぶしゃぶは 繊維が細かく、脂が上品な部位 が向いています。
- リブロース:霜降りが入りやすく、とろける食感
- サーロイン:脂と赤身のバランスが良い
- 肩ロース:旨味が濃く、火を通してもしっとり
- モモ(ウデ・内モモ):脂控えめでヘルシー、しゃぶしゃぶ向き
👉 脂の甘みを楽しみたいならリブロース、
👉 さっぱり食べたいならモモやウデが最適です。
🥩 ステーキに向く部位
ステーキは 厚切りで焼いてもやわらかく、旨味が濃い部位 がベスト。
- サーロイン:濃厚な旨味と脂の甘み
- ヒレ(テンダーロイン):最もやわらかく上品な味
- リブロース(リブアイ):脂の香りが強くジューシー
- ランプ・イチボ:赤身の旨味が強く、噛むほどに味が出る
厚切りステーキなら、霜降りが入りすぎない部位のほうが食べやすい傾向があります。
✔ 調理目的に合った部位を選ぶのが満足度の近道
同じブランド牛でも、部位と調理法が合っていないと美味しさを引き出せません。
「どんな料理を作りたいか」から逆算することで、ブランド牛の魅力を最大限楽しめます。
部位ごとの特徴を知りたい方はこちら → 牛肉の部位一覧

現役和食調理師のヒント
「ブランド牛は“ランク”より“鮮度と扱い方”が大切です。たとえA5でも、温度管理が悪ければ旨味は落ちます。逆に、A4クラスでも丁寧に解凍し、筋目に逆らってカットすれば最高の状態に。家でも“扱い方ひとつ”でレストランの味に近づきますよ。
まとめ|全国ブランド牛の魅力を味わう

日本各地には、気候や風土、飼育方法の違いから生まれる個性豊かなブランド牛が数多く存在します。
「霜降りの美しさ」
「赤身の旨味」
「脂の甘み」
──どれを取っても、その土地ならではの“味の物語”があります。
今回紹介したブランド牛は、いずれも生産者が手間と愛情をかけて育て上げた逸品です。
どのブランドを選んでも、きっと一口目から“違い”を感じられるはずです。まずは気になる地域やブランドから、お取り寄せやBBQで味わってみてください。きっと「食の旅」のような楽しさを感じられると思います。
全国のブランド牛を知ることで、きっとあなたの“お肉選び”がもっと楽しくなるはずです。
もし、実際に食べ比べてみたくなったら、下記のページも参考にしてください。
全国のブランド牛を通して、“日本の食の奥深さ”を感じていただければ幸いです。

