【調理師検証】ホームベーカリーで買って後悔する7つの理由|10年使って分かったこと

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ホームベーカリーは、買った人の一定数が使わなくなる家電です。大きすぎて置き場所に困る、洗い物が面倒、音が気になる。買う前には見えにくい壁がいくつもあります

私は調理師として25年以上厨房に立ち、自宅ではパナソニックのSD-BH104を10年使っています。60回以上焼いて記録してきました。今も記録はしていませんが週2回のペースで焼き続けています。

ただ、10年続いたのは私が根気強いからではありません。壁の越え方を失敗しながら覚えただけです。
この記事ではその壁の正体と、越え方を書きます。売り場や広告では語られない話も含めて、正直に書くつもりです。

あなたは今、どちらの状況でしょうか。
状況に合わせて、読む場所を選んでください。

この記事で分かること
「これから買おうと思っているが、後悔しそうで怖い」という方へ
買う前に知っておくべき7つの現実と、数万円を無駄にしないための判断基準。

「すでに買ったが、使わなくなってしまった」という方へ
10年使い続けている調理師の、飽きずに続けるための活用法。

  1. ホームベーカリーで後悔する人は「性格」のせいではありません
    1. 後悔する理由は「思っていた手軽さと違う」こと
  2. 調理師が分析する「買って後悔する人」の7つの共通点
    1. 本体が大きすぎる
    2. 買い出しがめんどくさい
    3. 使う材料が多い
    4. 原価が高い
    5. 稼働音がうるさい
    6. 焼きたてパンが切れない
    7. 洗い物が細かい
  3. あなたはホームベーカリーを買うべきか
    1. ホームベーカリーが活きる人
    2. 今すぐ買うと後悔する人
  4. 後悔の正体は「相性」です
    1. 機種を変えても、6つは残ります
    2. 問題は、機械ではなく「生活との相性」です
    3. だから、この記事の後半では2つのことを書きます
  5. 機種では防げない6つの後悔を、10年の運用で解決する
    1. 「買い出し」「原価」→ 材料はネットでまとめ買い
    2. 「焼きたてが切れない」→ 切るのを、あきらめる
    3. 「稼働音」→ タイマーと置き場所で処理する
    4. 「材料が多い」「洗い物が細かい」→ 週2回に固定する
    5. まとめると、こうなります
  6. それでも「続けられるか不安」なら
    1. これは「お試し」ではありません
    2. では、何のためのサービスなのか
    3. ただし、これは「挫折を防ぐ仕組み」でもあります
    4. 向いている人・向いていない人
  7. 買うなら、どれを選ぶか|機種選びの基準
    1. ① サイズ|置き場所から逆算する
    2. ② 容量|家族構成と、食べる量から決める
    3. ③ タイマー|「時刻」を指定できるか
    4. ④ イースト自動投入|予約焼きをするなら必須
    5. 静音性は、判断材料になりません
    6. タイプ別・3機種
      1. 長く使うつもりなら|パナソニック SD-MDX4
      2. 置き場所が狭いなら|象印 BB-HE10
      3. 安く始めたいなら|アイリスオーヤマ IBM-020-B
  8. すでに買って後悔している人へ
    1. 「こね機」として使う
    2. レシピを変えてみる
    3. それでも使わないなら、手放してください
  9. よくある質問
  10. まとめ|買う前に、知っておいてほしいこと
    1. この記事で書いたこと
    2. それでも、私は10年続けています
    3. 最後に、選択肢を整理します

ホームベーカリーで後悔する人は「性格」のせいではありません

ホームベーカリー内で十分に膨らまず沈んだ食パン
膨らまない原因の多くは、イーストの鮮度か水温にあります。

「高いお金を出して買ったのに、数回使っただけで戸棚の奥にしまってしまった」

そうなったとき、多くの方が「自分が飽きっぽいからだ」「面倒くさがりだからだ」と自分を責めます。

ただ、25年間いろいろな道具を扱ってきた調理師の立場から言えば、これは性格の問題ではありません。道具の側に使い続けにくい構造があります。

後悔する理由は「思っていた手軽さと違う」こと

ホームベーカリーが使われなくなる最大の原因は買う前に想像していた手軽さと、実際の作業との落差です。

広告では材料を入れてボタンを押すだけで、翌朝には焼きたてのパンができている。そういう見せ方をします。実際、機械はそのとおりに動きます。

問題はその前後です。

粉を買いに行く。1g単位で計量する。台所に飛び散った粉を拭く。深夜に響く稼働音を聞く。焼き上がったパンを切ろうとして潰す。細かい部品を洗う。

これらは機械が代わってくれない部分です。そして「手軽さ」という言葉からはずいぶん遠い。

調理師として毎日料理をしている私でも、何の工夫もなくこれを続けるのは負担です。忙しい日々のなかで面倒になり使わなくなる。ごく自然なことだと思います。

つまり・・・
必要なのは気合いでも、性格を直すことでもありません。どんな負担が待っているのかを、買う前に正確に把握しておくことです。

次から、実際に多くの人がつまずく7つの壁を、ひとつずつ書いていきます。


調理師が分析する「買って後悔する人」の7つの共通点

先ほど書いた「手軽さとの落差」の正体が、この7つです。売り場でも広告でも説明されない、台所で実際に起きることを、ひとつずつ書いていきます。

本体が大きすぎる

家電量販店で見ると小さく見えますが、台所に置くと炊飯器より大きく感じます。しかも上蓋を開閉するので、上方向にも空間が必要です。

結果「使うときだけ棚から出す」という運用になりがちです。しかし本体は重い。数回出し入れするうちに億劫になり、出番が減っていきます。

買う前に収納場所と使用場所の両方を決めておいてください。これは、7つの後悔のうち、機種選びで唯一はっきり解決できるものです。

調理師
調理師

据え置くのではなく、焼くたびに出してくる。私はこの運用に落ち着きました。

買い出しがめんどくさい

食パン1斤に使う強力粉は約250gです。スーパーで売られているのは500gか1kg。1kgを買っても、4回焼けばなくなります。

週2回焼けば月に2kg。牛乳や野菜と一緒に、重い粉を毎回持ち帰ることになります。

そして、粉が切れると焼けません。「明日焼こうと思っていたのに、粉がない」。この小さなつまずきが、ホームベーカリーから足を遠ざけます。

材料をネットでまとめ買いすると、この問題はほぼ解消します。

調理師
調理師

スーパーは強力粉の種類が限られます。通販なら粉を選べるので、そこから楽しみが増えました。

使う材料が多い

ふんわりした食パンを焼くには強力粉、バター、砂糖、塩、スキムミルク、ドライイースト。これだけの材料が要ります。

しかも、パン作りは科学です。塩やイーストが数グラム違うだけで、膨らみも食感も変わる。疲れた夜に、目分量で放り込むと、翌朝カチカチのパンが出てきます。

ちなみに、フランスパンなら強力粉・イースト・塩・水の4つで作れます。材料の多さは、食パン特有の負担です。

1回分の材料がまとまった「食パンミックス」を使うという手もあります。

調理師
調理師

材料が多いので、最初は混乱しました。慣れるまでは時間がかかります。デジタルスケールは必須です。

原価が高い

「自宅で焼けば節約になる」と考えて買うと、確実に後悔します。

国産小麦や良質なバターを使えば、1斤あたりの原価はスーパーの食パンより高くなります。安売りの食パンが100円台で買えることを考えれば、当然です。

ホームベーカリーの価値は節約ではありません
材料を自分で選べる(味を変えれる)こと、そして焼きたてが食べられること。この2つです。

原価を1円単位で計算した記事はこちらです▶【2026年最新版】ホームベーカリーの原価と消耗品|調理師が1円単位で算出した「続けるための現実」

調理師
調理師

私の計算では市販の食パンの1.5〜3倍の原価がかかります。家族のために国産小麦と良質なバターで焼いたら、高級パン屋並みの原価になって驚いたことがあります。節約目的なら、やめておいたほうがいい。

稼働音がうるさい

朝に焼き上がるよう深夜にタイマー予約すると、稼働音で目が覚めることがあります。生地を練る工程では、想像以上の振動と音が出ます。

集合住宅や寝室と台所が近い間取りでは、これが原因で夜間に使えなくなる家庭が少なくありません

正直に書きますが、稼働音は機種ではあまり変わりません。騒音値を公開していないメーカーも多く、「この機種なら静か」と断言できるだけの根拠がありません。

調理師
調理師

ただし、ずっとうるさいわけではありません。激しい音が出るのは、最初にこねる30分ほどです。私のSD-BH104も、夜中にガタガタと音を立てて驚きましたが、発酵に入れば静かになります。置き場所さえ考えれば、対処できます。


焼きたてパンが切れない

25年包丁を握ってきた立場から言いますが、焼きたてのパンをきれいに切るのは、ほぼ不可能です。

理由は、パンの構造にあります。焼き上がった直後のパンは、内部の水蒸気がまだ抜けきっていません。組織が柔らかく、不安定な状態です。ここに刃を入れると切れるのではなく潰れます。

パン切り包丁を買えば解決すると思われがちですが、道具の問題ではありません。私も何度も試しましたが、焼きたては切れません。

解決法は後半に書きます。結論だけ先に言えば、待つしかありません。

調理師
調理師

「焼きたてが食べられる」というのがホームベーカリーの魅力ですが、切り分けるとなると話は別です。ここは、多くの人がつまずきます。

洗い物が細かい

焼き上がって、食べて、最後に待っているのが後片付けです。

パンケースは1斤用でも意外と大きく、シンクの中で場所を取ります。そして厄介なのが、生地を練る羽根です。羽根には穴があり、ケースには羽根を差し込む突起がある。この2箇所に生地が入り込むと、スポンジでは届きません。

この構造は、どのメーカーでもほぼ同じです。
機種を選んでも、洗い物は減りません。

調理師
調理師

私は100円ショップの細いブラシを使っています。これ1本で、羽根の穴も突起も洗えます。10年やってきて、これがいちばん確実でした。


あなたはホームベーカリーを買うべきか

ホームベーカリーで焼いた食パンのある朝食
材料を選んで焼いた食パンのある朝食。市販品とは、原材料の中身が違います。

7つの壁を読んで「思っていたより大変だ」と感じた方もいると思います。それは正しい反応です。

ただ、この道具が生活にはまる人もいます。生活との相性の問題です。以下を読んで、自分がどちらに近いかを考えてみてください。

ホームベーカリーが活きる人

原材料を自分で選びたい人
市販の食パンの原材料表示を見ると、乳化剤やイーストフードなど、名前だけでは何か分からないものが並んでいます。自宅で焼けば、粉・水・塩・砂糖・バター・イーストだけで作れます。何が入っているかを自分で決められる。ここに価値を感じる人には、続きます。

週末にまとめて焼いて冷凍する人
毎日焼く必要はありません。週末に焼いて、粗熱を取り、スライスして冷凍する。平日の朝はトースターで焼くだけ。この使い方なら、洗い物も計量も週1〜2回で済みます。私が10年続けられているのも、この頻度だからです。

パン以外にも使う気がある人
ホームベーカリーは「全自動のこね機」でもあります。餅、ピザ生地、うどん、パスタ。こねる工程だけを機械に任せることができる。食パン専用機だと思っていると、活用の幅を見落とします。

今すぐ買うと後悔する人

「毎日焼かなきゃ」と義務感にしてしまう人
完璧を求める人ほど、続きません。疲れた日に一度リズムが崩れると、そのまま戻れなくなる。ホームベーカリーは毎日使う道具ではありません

節約したいと思っている人
すでに書いたとおり、自宅で焼くほうが原価は高くなります。安い食パンは、規模の力で安く作られています。家庭ではその価格には勝てません

材料のストック管理や細かい洗い物が苦手な人
「粉が切れたから焼けない」という小さなストレスが、道具から心を遠ざけます。羽根の細かい部分を毎回洗うのも、地味に効いてきます。ここが我慢できないと、10年は続きません。

置き場所が決まっていない人
「買ってから考えよう」は危険です。買う前に、置く場所と収納場所の両方を決めてください。決まらないなら、買わないほうがいい。


後悔の正体は「相性」です

ここで、多くの比較サイトが書かないことを、正直に書きます。7つの後悔のうち、機種選びで解決できるのは「本体が大きすぎる」だけです。

機種を変えても、6つは残ります

7つの後悔機種選びで解決できるか
本体が大きすぎる○ 解決できる(コンパクトな機種を選ぶ)
買い出しがめんどくさい どの機種でも粉は要る
使う材料が多い レシピの問題。機種は関係ない
原価が高い 材料費の問題
稼働音がうるさい 騒音値を公開しないメーカーも多い
焼きたてパンが切れない パンの構造の問題
洗い物が細かい パンケースと羽根の構造は各社ほぼ共通

スペック表を何時間見比べてもこの6つは解決しません。「自動メニュー40種類」も「イースト自動投入」も粉の買い出しを代わってはくれない。羽根の穴も洗ってくれない。

問題は、機械ではなく「生活との相性」です

ホームベーカリーが使われなくなるのは、機械が悪いからではありません。生活の中に置き場所がなかった、というだけです。

粉を切らさずに買い続けられるか。
週に1〜2回、30分の手間をかけられるか。
深夜の音を許容できる間取りか。
細かい洗い物を、10年続けられるか。

これらはカタログには書いていません。自分の台所に置いて、実際に何回か焼いてみないと分からないことです。

ここがホームベーカリーの難しいところです。4万円以上を払った後でないと、自分に合うかどうかが分からない。そして合わなかったときその4万円は戻ってきません。

だから、この記事の後半では2つのことを書きます

一つは、6つの後悔を、10年かけて私がどう解決してきたか
機種では防げないものを、運用で防ぐ方法です。

もう一つは、それでも「続けられるか不安」な人のための選択肢
ただし、そこには落とし穴もあります。都合の悪いことも含めて、正直に書きます。


機種では防げない6つの後悔を、10年の運用で解決する

ホームベーカリーで焼き上がった食パン

ここからが本題です。機種選びで解決できない6つの後悔を、私が10年でどう処理してきたかを書きます。特別なことは何もしていません。仕組みで解決しているだけです。

「買い出し」「原価」→ 材料はネットでまとめ買い

強力粉が切れるたびにスーパーへ走る。これが、いちばんの挫折要因です。

私は10年、粉はネットでまとめ買いしています。玄関まで届くので、重い袋を持ち歩く必要がない。業務用サイズを選べば、1斤あたりの原価も下がります。

もう一つ利点があります。スーパーに置いてある強力粉はせいぜい数種類です。通販なら産地やブランドも選べる。同じレシピでも、粉を変えれば別のパンになります。ここに気づいてから、パン作りが面白くなりました。

ドライイーストは、開封後の劣化に注意が必要です。判別法はこちらに書きました▶古いドライイーストの見分け方|調理師が教える「予備発酵」生存確認テスト

「焼きたてが切れない」→ 切るのを、あきらめる

結論から言えば、焼きたては切れません。道具の問題ではないので、パン切り包丁を買っても解決しません。

焼き上がった直後のパンは、内部にまだ水蒸気が残っています。組織が柔らかく、刃を入れれば潰れる。これはパンの構造上、避けられません。

解決法は待つことです。

網の上に置いて、粗熱を完全に取る。最低でも1時間程度。中心まで冷めれば、水蒸気が抜けて組織が安定します。そこで初めて、きれいに切れます。

「焼きたてを食べたい」という気持ちは分かります。ただ、焼きたてを食べるなら、切らずにちぎってください。切るなら、冷ますしかない。この二択です。

「稼働音」→ タイマーと置き場所で処理する

音が出るのは生地をこねる最初の30分ほどです。
発酵に入れば静かになり、焼成中もほとんど音はしません。

つまり、こねる時間帯を、起きている時間に持ってくればいいということです。

私の運用はこうです。寝る前にセットし、こねる工程が終わってから就寝する。あるいは、朝の焼き上がり時刻を逆算して、こねる時間が深夜になりすぎないよう調整する。加えて、置き場所を寝室から離す。これだけで、10年間、音を気にしたことはありません。

ただし、集合住宅で階下に響くことを心配している場合は、話が別です。防振マットを敷くなどの対策はありますが、完全には消えません。ここは正直に書いておきます。

「材料が多い」「洗い物が細かい」→ 週2回に固定する

毎日焼こうとするから、負担になります。

私は週2回と決めています。この頻度なら、計量も片付けも億劫になりません。10年飽きずに続いているのは、この距離感のおかげです。

焼いたパンは、冷めてからスライスして冷凍します。食べるときにトースターで焼けば、おいしく食べれます。毎日焼く必要はどこにもありません。

洗い物については、100円ショップの細いブラシを1本用意してください。羽根の穴も、パンケースの突起も、これで届きます。10年やってきてこれがいちばん確実でした。

それでも、洗い物がゼロになるわけではありません。焼いたら洗う。これは、どうやっても付いてきます。

まとめると、こうなります

後悔10年の解決法
買い出しがめんどくさいネットでまとめ買い
原価が高い業務用サイズを選ぶ。ただし節約目的なら向かない
焼きたてが切れない1〜2時間、完全に冷ます
稼働音がうるさいこねる時間を起きている時間帯に。置き場所を寝室から離す
使う材料が多い週2回に固定。デジタルスケールを常備
洗い物が細かい100円ショップの細いブラシ1本

どれも、道具を買い足せば解決するものではありません。運用を決めるだけです。

逆に言えば、この運用を続けられるかどうかが、ホームベーカリーが生活に馴染むかどうかの分かれ目だということです。


それでも「続けられるか不安」なら

パナソニックのホームベーカリーで焼き上がった食パン

ここまで、7つの後悔とその解決法を書いてきました。

それでも、一括で4万円以上を払うのは怖い。合わなかったらどうしよう。そう思う方はいると思います。その感覚は間違っていません。

パナソニックにはホームベーカリーを月額で使えるサービスがあります。ただ、これを紹介する前に、書いておかなければならないことがあります。

これは「お試し」ではありません

「合わなかったら返せばいい」と考えているなら、このサービスは向きません。

ネット上では「リスクゼロで試せる」といった説明を見かけますが、事実ではありません。利用条件を確認してください。

対象機種パナソニック SD-MDX4(新品)
月額2,980円(税込・送料込)
最低利用期間12ヶ月
中途解約手数料7,960円(税込)
返送料自己負担
申込後のキャンセル不可
12ヶ月後の選択肢継続 / 返却 / 買取(22,000円)
毎月届くものパンミックス・小麦粉(1斤×2〜4回分)

仮に3ヶ月でやめた場合、こうなります。

  • 月額 2,980円 × 3ヶ月 = 8,940円
  • 中途解約手数料 = 7,960円
  • 返送料 = 自己負担
  • 合計 17,000円以上。しかも機械は手元に残りません。

「気軽に試す」金額ではありません。ここを誤解したまま申し込むと、確実に後悔します。

では、何のためのサービスなのか

整理すると、こういうことです。

SD-MDX4は、一括で買えば約4万6千円。これを、月2,980円×12ヶ月=35,760円に分けて払う。そして毎月、パンミックスと小麦粉が届く。

分割払いと、材料の定期便がセットになったサービスです。

12ヶ月経てば、そこから先は1ヶ月単位で自動更新されます。返却する場合、解約手数料はかかりません(返送料は自己負担)。買い取る場合は22,000円です。

選択総額手元に残るもの
本体を一括で買う約46,000円本体
12ヶ月使って、買い取る約57,760円本体+12ヶ月分の材料
12ヶ月使って、返却する約35,760円+返送料12ヶ月分の材料のみ
3ヶ月でやめる約17,000円+返送料3ヶ月分の材料のみ

買い取る場合、一括購入より1万円ほど高くなります。ただし、その差額には12ヶ月分の材料が含まれている。損得は、材料代をどう見るかで変わります。

ただし、これは「挫折を防ぐ仕組み」でもあります

7つの後悔のうち、2つを思い出してください。

  • 買い出しがめんどくさい
  • 使う材料が多い

ホームベーカリーが使われなくなる典型的な流れは、「粉が切れる → 買いに行くのが面倒 → そのまま触らなくなる」です。私も10年のうちに、何度もこの入口に立ちました。

毎月、材料が自動的に届く。
これは、その入口を塞ぐ仕組みです。届いてしまえば、焼くしかない。

そして、12ヶ月という縛りも、見方を変えれば「1年は続ける」という強制力になります。ホームベーカリーが生活に馴染むかどうかは、数回焼いただけでは分かりません。1年やってみて、初めて分かることです。

ただし、これは「1年続ける覚悟がある人にとっては」という条件付きです。

向いている人・向いていない人

向いている人

  • 一括で4〜5万円は厳しいが、月3千円なら出せる
  • 材料の買い出しとストック管理が、いちばんの不安
  • 1年は続けると決められる
  • 最終的には買い取るつもりでいる

向いていない人

  • 合わなければやめたいと考えている(中途解約で1万7千円以上かかります)
  • 自分で粉やイーストを選びたい
  • 一括で買える。かつ、材料の買い出しは苦にならない
  • とにかく安く済ませたい

調理師として正直に言えば、続けられる自信があるなら、本体を一括で買うほうが安く済みます。私自身、10年前に本体を買いました。粉も自分で選んでいます。

それでも、「一括は無理」「材料が届く仕組みがないと続かない」という方にとっては、合理的な選択肢だと思います。要は、自分がどちらのタイプかを見極めることです。

※最低利用期間・解約条件は変更される場合があります。申し込み前に、必ず公式サイトの利用条件をご確認ください。


買うなら、どれを選ぶか|機種選びの基準

ホームベーカリーで焼いた食パンの断面
パン作りは繊細です。機種選びで見るべき点は、実はそう多くありません。

すでに書いたとおり、7つの後悔のうち機種選びで解決できるのは「大きさ」だけです。それでも、選ぶ以上は基準が要ります。スペック表の自動メニュー数は、ほぼ見なくていい。

私が見るのは次の4つだけです。

① サイズ|置き場所から逆算する

最優先はこれです。機種で解決できる唯一の後悔だからです。

買う前に置く場所を決めてください。そして、その場所の幅と奥行きを測る。さらに、上蓋を開けるので、上方向の空間も要ります。
使うたびに棚から出す運用にするなら、重さも見てください。5kgを超えると、出し入れが億劫になります。

② 容量|家族構成と、食べる量から決める

大きければいい、というものではありません。食べきれなければ、余ります。

  • 1〜2人:0.6斤〜1斤。1斤でも余ることがあります
  • 3〜4人:1斤が標準
  • 冷凍ストック前提、または大家族:1.5斤〜2斤

ただし、容量が大きい機種は本体も大きくなります。①と矛盾しないか、確認してください。

③ タイマー|「時刻」を指定できるか

地味ですが、毎回効いてきます。

「今から9時間20分後」と逆算してセットする方式と、「朝7時」と完了時刻を直接入力できる方式があります。疲れた夜に、頭の中で逆算するのは思っている以上に面倒です。時刻指定できるものを選んでください。

④ イースト自動投入|予約焼きをするなら必須

これは、失敗を防ぐための機能です。

ドライイーストは、水や塩に長時間触れていると発酵力が落ちます。予約タイマーを使うと、材料を入れてから実際にこね始めるまで、数時間の待機時間が生まれる。この間にイーストが水や塩と接していると、朝には目の詰まったパンが焼き上がります。

自動投入機能があれば、こね始める直前にイーストが落とされます。予約焼きをするつもりなら、この機能があるものを選んでください。逆に、予約を使わずその場で焼くだけなら、なくても構いません

静音性は、判断材料になりません

「静音設計」と書かれていても、騒音値を公開していないメーカーが多い。数値がなければ比較できません。

私の経験では、こねる工程の音は、どの機種でもそれなりに出ます。ここは機種選びではなく、置き場所とタイマーで対処してください。


タイプ別・3機種

上の4基準で、タイプ別に3機種を挙げます。

断っておくと、私が実際に使っているのは、この3つのどれでもありません。10年前に買ったパナソニックのSD-BH104という、すでに生産終了した機種です。以下は、スペックと構造から判断したものです。

長く使うつもりなら|パナソニック SD-MDX4

価格は約4万6千円。安くはありません。

私がパナソニックを挙げるのは、10年壊れていないという一点です。ほぼ毎週動かして、一度も故障していない。ホームベーカリーは当たれば10年使える道具です。

ただし、SD-MDX4の売りである「ねり・発酵・焼きを自分で設定できるマニュアル機能」は、初心者には持て余します。食パンを焼くだけならこの機能は使いません。

サイズは幅26.3×奥行35.6cm。一升炊きの炊飯器と同じくらいです。置き場所に余裕がないなら、勧めません。

置き場所が狭いなら|象印 BB-HE10

幅21.5cm。炊飯器並みのサイズです。

7つの後悔の1番目「本体が大きすぎる」は、機種選びで唯一解決できる後悔でした。この機種は、そこに答えを出しています。

重さは5.5kgとやや重いですが、置きっぱなしにするなら問題になりません。多機能ではありませんが、「まず置けること」を優先するなら、堅実な選択です。

安く始めたいなら|アイリスオーヤマ IBM-020-B

価格を抑えつつ、基本機能は揃っています。

いきなり4万円の機種を買うのが怖いなら、まずこれで「自分は続けられるか」を確かめる。この考え方は合理的です。

ただし、注意点があります。低価格帯の機種は、温度センサーの精度が高くありません。夏場に生地がだれたり、冬場に膨らみが悪くなったりすることがあります。「失敗した」と感じたとき、それが自分のせいなのか機械のせいなのか、判別しにくい。

安さを取るか、失敗の少なさを取るか。ここは、はっきり分かれます。


すでに買って後悔している人へ

ホームベーカリーで食パンを焼く様子
使わなくなる理由は、性能ではなく生活との相性にあることがほとんどです。

「買ったのに、もう何ヶ月も触っていない」

そういう方に向けて書きます。まず、責める必要はありません。すでに書いたとおり、これは性格の問題ではないからです。ただ、一つ提案があります。「食パンを焼く機械」だと思うのを、やめてみてください。

「こね機」として使う

ホームベーカリーは、全自動のこね機でもあります。

最後まで焼かずに、「生地作り」コースで止める。こねる工程だけを機械に任せて、あとは自分でやる。この使い方を知ると、道具の位置づけが変わります。


正月以外でも、つきたての餅が食べられます。こねる・つくという力仕事だけを機械に任せる。

ピザ生地
生地だけ作って、あとはオーブンやフライパンで焼く。週末に家族で作るなら、これが楽です。

うどん・パスタ
手でこねるとかなりの力仕事になります。ここを機械に任せられるのは大きい。

調理師の目から見て、ホームベーカリーのいちばんの価値は「こねる」工程を自動化していることです。焼くのはオーブンでもフライパンでもできる。しかし、生地を安定した力と時間でこね続けるのは、手ではなかなかできません。

レシピを変えてみる

「普通の食パンに飽きた」という場合は、材料を変えてください。

生クリーム、アーモンドミルク、ココナッツミルクを使ったリッチな食パン。トマトジュース、ワイン、味噌を入れた変わり種。チョコやカルピスを入れたもの。

私が実際に焼いた記録をまとめています。失敗したものも、意外においしかったものも、そのまま書いてあります。参考にしてみてください。

調理師
調理師

私の定番は、生クリームを入れたリッチ食パンです。10年焼いてきて、結局ここに落ち着きました。


それでも使わないなら、手放してください

工夫をしても、どうしても使う気になれない。それは、今の生活に道具が合っていないというだけです。あなたの問題ではありません。

その場合は、手放してください。

フリマアプリや買取サービスに出せば、ホームベーカリーは中古でも需要があります。特にパナソニック製は、探している人がいる。次に使ってくれる誰かに渡ったほうが、機械にとっても幸せです。

「いつか使うかも」と場所を取り続け、目にするたびに罪悪感を覚える。これがいちばん、生活を削ります。道具は、使われてこそ道具です。使わないと決めるのも、道具との立派な付き合い方です。

調理師
調理師

厨房でも、使わない道具は処分します。置いておくだけで場所と気持ちを取られるからです。無理に使い続ける必要はありません。


よくある質問

ホームベーカリーで使うデジタルスケール
パン作りは計量が9割です。1g単位で量れるデジタルスケールは必須と考えてください。
Q
1万円以下の安い機種ではダメですか?
A

焼けないことはありません。ただし、失敗する確率は上がります。

低価格帯の機種は、温度センサーの精度が高くありません。パン作りは、生地の温度で発酵の進み方が変わります。夏場に生地がだれる、冬場に膨らみが足りない、といったことが起きやすくなる。

問題は、失敗したときに原因が分からないことです。自分の計量ミスなのか、機械の温度管理なのか、判別できない。これが続くと、続ける気力が削がれます。とはいえ、「まず続けられるか確かめたい」という目的なら、安い機種で試すのも合理的です。安さを取るか、失敗の少なさを取るか。ここは考え方次第です。

Q
月額サービスは、途中でやめられますか?
A

やめられますが、費用がかかります。

最低利用期間は12ヶ月です。それ未満で解約する場合、中途解約手数料として7,960円(税込)が発生します。加えて、機器の返送料は自己負担です。

また、申し込み後のキャンセルはできません。「合わなかったら返せばいい」という感覚で申し込むと、確実に後悔します。1年は続ける前提で検討してください。

Q
月額サービスの粉以外は使えないのですか?
A

使えます。機械は通常のホームベーカリーなので、市販の粉でも、好きなレシピでも焼けます。

最初は届いたパンミックスで機械の扱いに慣れ、慣れてきたら自分で粉を選ぶ。そういう使い方はできます。ただし、月額料金は粉を使わなくても発生します。自分で粉を選びたい人にとっては、届く粉が余る可能性があります。

Q
中古を買うのはナシですか?
A

選択肢としてはアリです。私自身、10年前の機種を使い続けています。

ただし、中古には注意点があります。保証がないこと、前の持ち主がどう使っていたか分からないこと、そしてパンケースや羽根の摩耗が見えにくいこと。羽根は消耗品で、摩耗するとこねる力が落ちます。

ホームベーカリーは、使わなくなって手放される機械です。つまり、中古市場に出ているものの多くは「あまり使われていない」可能性が高い。この点では、他の家電より中古のリスクは低いかもしれません。衛生面が気になるなら、パンケースと羽根だけを新品で買い直すという手もあります。

Q
毎日焼かないと、もったいないですか?
A

逆です。毎日焼こうとする人ほど、続きません。

私は週2回です。10年続いているのは、この頻度だからです。毎日焼けば、計量も洗い物も毎日発生する。どこかで必ず折れます。

週末にまとめて焼いて、スライスして冷凍する。平日はトースターで焼くだけ。この運用なら、負担は週1〜2回で済みます。


まとめ|買う前に、知っておいてほしいこと

ホームベーカリーで焼いた食パン

ホームベーカリーは生活を自動的に良くしてくれる機械ではありません。粉を買い、計量し、音を許し、洗い物をする。その手間を受け入れられる人にとってだけ、続く道具です。

この記事で書いたこと

  • 後悔するのは、性格のせいではありません
    買う前に想像していた手軽さと、実際の作業には落差があります。7つの壁は、誰にでも訪れます。
  • 機種選びで解決できるのは、7つのうち1つだけ
    「本体が大きすぎる」以外は、どの機種を買っても起きます。スペック表を見比べても、そこは変わりません。
  • 残り6つは、運用で処理する
    粉はネットでまとめ買い。焼きたては切らずに冷ます。こねる時間は起きている時間帯に。週2回に固定する。細いブラシを1本用意する。特別なことは何もありません。
  • 月額サービスは「お試し」ではありません
    12ヶ月契約で、途中解約には7,960円かかります。「合わなければ返せばいい」という商品ではない。分割払いと材料の定期便がセットになったもの、と理解してください。
  • 節約目的なら、買わないほうがいい
    自宅で焼くほうが、原価は高くなります。ここは変えられません。

それでも、私は10年続けています

ここまで、後悔の理由ばかり書いてきました。売る側から見れば、書かないほうがいいことばかりです。それでも、私は10年、同じ機械を使い続けています。週2回、今も焼いています

理由は単純です。蓋を開けた瞬間の匂いが「良い」。それだけです。

調理師として25年、厨房でパンも扱ってきました。それでも、自宅で焼いたパンの匂いは別のものです。手間をかけた分だけ、そこに何かが残る。

その手間を、面倒と取るか、価値と取るか。分かれ目は、たぶんそこだけです。

最後に、選択肢を整理します

あなたの状況選ぶべきもの
一括で買える。材料の買い出しも苦にならない本体を買う
(いちばん安く済みます)
一括は厳しい。材料が届く仕組みがないと続かない。1年は続ける月額サービス
続けられるか分からない。合わなければやめたいまだ買わない
(月額サービスも向きません)
節約したい買わない
(食パンを買うほうが安いです)

3行目と4行目に当てはまる方は、この記事を閉じて構いません。今は買うタイミングではない、というだけです。2行目に当てはまる方は、利用条件を確認したうえで検討してください。

※最低利用期間12ヶ月・中途解約手数料7,960円。申し込み前に、必ず公式サイトの利用条件をご確認ください。


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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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