受験勉強、部活動、バイトなど、忙しく不規則になりがちな高校生の食生活。15~17歳は、心と体の両方が完成に近づいていく時期。エネルギーや栄養素の「質と量」の両方が大切になります。
このページでは、2025年版の食事摂取基準をもとに、高校生に必要な食事量や栄養の目安をまとめました。
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15歳~17歳の食事摂取基準表
食事摂取基準を作るうえで、性別や年齢ごとに平均的な日本人の体型(身長と体重)を想定しています。この基準となる体型を「参照体位(さんしょうたいい)」と呼び、日々の健康維持や成長・発育、生活活動に必要な栄養量を考えるときの目安の体型として使われています。
【15歳~17歳の参照体位】
男児:身長 170.1cm 体重 59.7kg
女児:身長 157.7cm 体重 51.9kg
| 栄養素 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| エネルギー (身体活動レベル低) | 2500 kcal | 2050 kcal |
| エネルギー (身体活動レベル普) | 2850 kcal | 2300 kcal |
| エネルギー (身体活動レベル高) | 3150 kcal | 2550 kcal |
| たんぱく質★ | 65 g | 55 g |
| 脂質 | 20-30 % | 20-30 % |
| 飽和脂肪酸△ | 9 %以下 | 9 %以下 |
| n-6系脂肪酸△ | 13 g | 11 g |
| n-3系脂肪酸△ | 2.2 g | 1.7 g |
| 炭水化物△ | 50-65 % | 50-65 % |
| 食物繊維 | 19 g以上 | 18 g以上 |
| ビタミンA★ | 900 μg | 650 μg |
| ビタミンD△ | 9.0 μg | 9.0 μg |
| ビタミンE△ | 7.0 mg | 6.0 mg |
| ビタミンK△ | 150 μg | 150 μg |
| ビタミンB1★ | 1.2 mg | 1.0 mg |
| ビタミンB2★ | 1.7 mg | 1.4 mg |
| ビタミンB6★ | 1.5 mg | 1.2 mg |
| ビタミンB12△ | 4.0 μg | 4.0 μg |
| ビタミンC★ | 100 mg | 100 mg |
| ナイアシン★ | 16 mg | 13 mg |
| 葉酸★ | 240 μg | 240 μg |
| パントテン酸△ | 7 mg | 6 mg |
| ビオチン△ | 50 μg | 50 μg |
| ナトリウム 食塩相当量 | 7.5 g未満 | 6.5 g未満 |
| カリウム△ | 2800 mg | 2000 mg |
| カルシウム★ | 800 mg | 650 mg |
| マグネシウム★ | 360 mg | 310 mg |
| リン△ | 1200 mg | 1000 mg |
| 鉄★ | 9.0 mg | 6.5 mg |
| 亜鉛★ | 10.0 mg | 8.0 mg |
| 銅★ | 0.9 mg | 0.7 mg |
| マンガン△ | 3.5 mg | 3.0 mg |
| ヨウ素★ | 140 μg | 140 μg |
| セレン★ | 35 μg | 25 μg |
| クロム△ | – | – |
| モリブデン★ | 30 μg | 25 μg |
食事摂取基準表の見方
表に示されている数値は、年齢や性別に応じた1日あたりの目安です。各栄養素ごとに、次の基準に基づいて設定されています。
★:推奨量:ほとんどの人が不足しないと考えられる量
△:目安量:科学的根拠が不十分な栄養素における参考量
印なし:目標量:生活習慣病予防などを目的とした望ましい範囲
※ナトリウム量は食塩相当量として表示しています。
【2020年版 → 2025年版】主な変更点まとめ(15〜17歳)
2025年版では、思春期後半の骨・造血・神経機能をより重視した調整が行われています。特に脂肪酸・ビタミンB群・鉄・マンガンなどで見直しがありました。
● 増加・強化された主な栄養素
- ビタミンB12(男女)
2.5 → 4.0 µg
→ 成長期後半の神経機能・造血への配慮が強化 - ビタミンD(女)
8.5 → 9.0 µg
→ 日照不足を踏まえた骨形成重視 - ビタミンE(女)
5.5 → 6.0 mg
→ 抗酸化作用への配慮 - カリウム(男)
2700 → 2800 mg
→ 血圧・ミネラルバランスを意識した調整
● 減少・調整された主な栄養素
- n-3系脂肪酸(男女)
男:2.4 → 2.2 g
女:1.8 → 1.7 g
→ 脂肪酸バランス見直し - ビタミンB1(男女)
男:1.5 → 1.2 mg
女:1.2 → 1.0 mg - ビタミンB6(女)
1.3 → 1.2 mg - ナイアシン(男)
17 → 16 mg - 鉄(男女)
男:10.0 → 9.0 mg
女:7.0 → 6.5 mg
→ 過剰摂取リスクを考慮した調整 - マンガン(男女)
男:4.5 → 3.5 mg
女:3.5 → 3.0 mg
15歳~17歳に必要な栄養素とは?

たんぱく質・炭水化物:活動量と成長の両方に対応
カルシウム・ビタミンD:骨密度のピークに向けて必要量増
鉄分:貧血予防・持久力向上に(特に女子)
ビタミンB群・C:疲労回復とエネルギー代謝をサポート
脂質の質(オメガ3):学習能力や集中力にも関与
身体活動レベルについて

食事摂取基準では、エネルギー必要量を求めるときに「身体活動レベル(PAL)」を考慮します。
身体活動レベルとは、日常生活における運動量や活動量のことを指し、次の3段階に分けられています。
- 身体活動レベル I(低い):通学と学習中心、運動量が少ない
- 身体活動レベル II(普通):平均的な通学+部活レベル
- 身体活動レベル III(高い):運動部や高強度トレーニングが日常的
※体格差や生活スタイルの個人差がさらに広がるため、柔軟な対応が重要。
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現在は2025年版が最新ですが、以前の基準を参考にしたい方はこちらをご覧ください
厚生労働省の食事摂取基準報告書

現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
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