「スープにとろみをつけたらダマになってしまった…」
「片栗粉を入れすぎて、べったり固まった…」
料理をしていると、こんな経験はありませんか?
実は、とろみづけはちょっとしたコツさえ知っていれば失敗知らず。水溶き片栗粉の割合や入れるタイミングを覚えるだけで、料理の仕上がりがぐっと変わります。
このコラムでは、とろみの基本から失敗しないコツ、さらにおすすめ料理まで、調理師目線でやさしくご紹介します。
とろみとは?料理に使う理由

料理でいう「とろみ」とは、汁やあんにほどよい粘りをつけて、食材に味をからめやすくする工夫のことです。
水溶き片栗粉を加えるのが代表的な方法で、スープや煮物に加えると料理がぐっと食べやすく、見た目も美味しそうに仕上がります。
とろみがあると あんかけ豆腐や麻婆豆腐、天津飯 なども口当たりがよくなり、冷めにくいのも嬉しいポイント。
つまり「とろみ」とは、料理を美味しく見せ、最後まで美味しく食べられるための“魔法のひと手間”なんです。
水溶き片栗粉のちょっとしたコツ
とろみづけに欠かせないのが 水溶き片栗粉。でも「固まってダマになる」「思ったより硬くなる」など、ちょっとした失敗はよくあるものです。
実はコツはとてもシンプル。
- 水と片栗粉は同量(1:1)が基本
→ 片栗粉大さじ1に対して水大さじ1。使う直前によく混ぜるのがポイントです。 - 入れるタイミングは“煮立ったあと”
→ 煮汁がしっかり沸騰している状態で少しずつ加えると、均一にとろみがつきます。 - 混ぜながら加える
→ 菜箸やヘラで全体をぐるぐる動かしながら加えるとダマになりにくいです。 - 仕上げにもう一度火を入れる
→ 水溶き片栗粉を加えた後にひと煮立ちさせることで、透明感が出てきれいに仕上がります。
ちょっとした工夫ですが、これを知っているだけで「ダマにならない、とろみ上手」に近づけますよ。
小さじ1は何グラム?調味料別の重さ一覧【砂糖・塩・醤油など】。こちらのページで大さじ、小さじの重さ一覧をまとめています。
とろみをつける基本の流れ

とろみづけは難しそうに見えますが、実はたった3ステップ。ちょっとした順番の違いで仕上がりが変わります。
① 出汁やスープをしっかり沸騰させる
煮立っていないところに入れると、片栗粉が沈んでダマの原因になります。まずはしっかりグツグツと沸騰させましょう。
② 水溶き片栗粉を少しずつ加える
火にかけたまま、鍋を混ぜながら細く回し入れるのがコツ。ドバッと入れると均一になりません。
③ 仕上げにもう一度火を通す
加えた直後は白っぽく濁っていますが、ひと煮立ちさせると透明感のあるきれいなとろみに変わります。ここで火を止めれば完成です。

現役和食調理師のヒント
火にかけたままだと手が熱くなる時は火を切って、水溶き片栗粉を回し入れ、再度火をつけると手が熱くならずに済みますよ。
ありがちな失敗とその対処法
| 失敗例 | 原因 | 解決法 |
|---|---|---|
| ダマになる | 一度に入れすぎ | 沸騰中に少しずつ加え、混ぜながら入れる |
| 固すぎる | 片栗粉の量が多い | 出汁や水を加えて調整 |
| とろみが弱い | 片栗粉不足 | 片栗粉を追加し、再度沸騰させる |
| 白っぽい | 加熱不足 | 仕上げにひと煮立ちさせる |

おかみさんの一言
とろみの失敗は、慌てて片栗粉を入れることが一番の原因。料理は慌てず、少しずつ…これが結局いちばんのコツ
とろみが美味しい料理あれこれ

麻婆豆腐
天津飯
八宝菜
かに玉
あんかけ豆腐
鶏の唐揚げのあんかけ
野菜炒めのあんかけ
調理師のひとことコラム

とろみは「ちょっとした工夫」ですが、料理の印象を大きく変える力があります。
スープに透明感が出たり、具材とあんがしっかり絡んだり──。それだけで「お店みたいに仕上がった!」と感じられるはずです。
慌てず、少しずつ片栗粉を加えること。これだけで失敗はぐっと減ります。
とろみづけは難しい技ではなく、むしろ家庭料理をワンランク上げてくれる“魔法のひと手間”。ぜひ気軽に試してみてくださいね。
