「最近、ごはんをあまり食べてくれなくて心配…」
「何をどれくらい食べさせたらいいんだろう?」
75歳を過ぎると、食欲が落ちたり、噛む・飲み込む力が弱くなったりと、毎日の食事に悩むことが増えてきますよね。
このページでは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに、75歳以上の方に必要な栄養やエネルギーの目安を、やさしくわかりやすくまとめています。
ご家族の介護をされている方や、施設で食事を用意している方にも、無理なく取り入れられる食事づくりのヒントとしてご活用ください。
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75歳以上の食事摂取基準表
食事摂取基準を作るうえで、性別や年齢ごとに平均的な日本人の体型(身長と体重)を想定しています。この基準となる体型を「参照体位」と呼び、日々の健康維持や成長・発育、生活活動に必要な栄養量を考えるときの目安の体型として使われています。
【75歳以上の参照体位】
男児:身長 162.0cm 体重 61.0kg
女児:身長 148.3cm 体重 49.3kg
| 栄養素 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| エネルギー (身体活動レベル低) | 1850 kcal | 1450 kcal |
| エネルギー (身体活動レベル普) | 2250 kcal | 1750 kcal |
| たんぱく質★ | 60 g | 50 g |
| 脂質△ | 20-30 % | 20-30 % |
| 飽和脂肪酸 | 7 %以下 | 7 %以下 |
| n-6系脂肪酸 | 9 g | 8 g |
| n-3系脂肪酸 | 2.3 g | 2.0 g |
| 炭水化物 | 50-65 % | 50-65 % |
| 食物繊維△ | 20 g以上 | 17 g以上 |
| ビタミンA★ | 800 μg | 650 μg |
| ビタミンD | 9.0 μg | 9.0 μg |
| ビタミンE | 7.0 mg | 6.0 mg |
| ビタミンK | 150 μg | 150 μg |
| ビタミンB1★ | 1.0 mg | 0.7 mg |
| ビタミンB2★ | 1.4 mg | 1.1 mg |
| ビタミンB6★ | 1.4 mg | 1.2 mg |
| ビタミンB12 | 4.0 μg | 4.0 μg |
| ビタミンC★ | 100 mg | 100 mg |
| ナイアシン★ | 13 mg | 10 mg |
| 葉酸★ | 240 μg | 240 μg |
| パントテン酸 | 6 mg | 5 mg |
| ビオチン | 50 μg | 50 μg |
| ナトリウム△ 食塩相当量 | 7.5 g未満 | 6.5 g未満 |
| カリウム | 2500 mg | 2000 mg |
| カルシウム★ | 750 mg | 600 mg |
| マグネシウム★ | 330 mg | 270 mg |
| リン | 1000 mg | 800 mg |
| 鉄★ | 6.5 mg | 5.5 mg |
| 亜鉛★ | 9.0 mg | 7.0 mg |
| 銅★ | 0.8 mg | 0.7 mg |
| マンガン | 3.5 mg | 3.0 mg |
| ヨウ素★ | 140 μg | 140 μg |
| セレン★ | 30 μg | 25 μg |
| クロム | 10 μg | 10 μg |
| モリブデン★ | 25 μg | 25 μg |
食事摂取基準表の見方
表に示されている数値は、年齢や性別に応じた1日あたりの目安です。
各栄養素ごとに、次の基準に基づいて設定されています。
★:推奨量:ほとんどの人が不足しないと考えられる量
△:目安量:科学的根拠が不十分な栄養素における参考量
印なし:目標量:生活習慣病予防などを目的とした望ましい範囲
※本表では分類が分かりやすいよう 推奨量と目標量のみ記号を付与しています。
※ナトリウム量は食塩相当量として表示しています。
75歳以上に必要な栄養素とは?

75歳を超えると、体の機能が少しずつ低下し、栄養のとり方や体への吸収効率も若い頃とは変わってきます。そのため、ただ「たくさん食べる」だけではなく、必要な栄養素をバランスよく、無理なくとることが大切になります。以下のような栄養素を意識してとることで、体力の維持や転倒予防、免疫力のサポートにつながります。
✅ 特に意識したい栄養素
| 栄養素 | 主な役割 | 多く含まれる食品の例 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 筋肉や免疫機能の維持 | 魚 卵 大豆製品 肉 |
| カルシウム | 骨の健康を守る | 牛乳 小魚 青菜 |
| ビタミンD | 骨の形成や免疫に関与 | 鮭 きのこ 卵黄 |
| ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の健康を保つ | 卵 納豆 乳製品 |
| 食物繊維 | 腸内環境を整え、便秘予防に | 野菜 きのこ 海藻 |
| 鉄 | 貧血予防に重要 | 赤身肉 レバー ほうれん草 |
身体活動レベルについて

食事摂取基準では、エネルギー必要量を求めるときに「身体活動レベル(PAL)」を考慮します。
身体活動レベルとは、日常生活における運動量や活動量のことを指し、次の3段階に分けられています。
- 身体活動レベル I(低い)
自宅で静かに過ごすことが多く、ほとんど体を動かさない生活(例:寝たきり、座って過ごす時間が多い) - 身体活動レベル II(普通)
家事や買い物、軽い散歩など、日常生活の中である程度体を動かす生活 - 身体活動レベル III(高い)
趣味や仕事、運動習慣などにより、積極的に体を動かすことが多い生活
75歳以上になると、活動量には個人差が大きくなります。
たとえば、施設でリハビリを受けている方や、自立して生活している方では、必要なエネルギー量が異なります。そのため、この3段階の活動レベルを参考にしながら、その人の生活スタイルに合った栄養管理を行うことが大切です。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
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