知らないと損!A5ランク牛肉の真実|「A」と「5」の意味・格付けの基準をプロが解説

A5ランク牛肉のスライス肉。見た目の美しさと霜降りの入り方が特徴的な高級和牛。 食文化コラム
見た目にも美しいA5ランクの霜降り牛肉。格付けの基準を知ると選び方が変わります。

「A5ランクの牛肉が最高級」と聞いたことはありませんか?
お店や通販サイトでも「A5和牛」「特選A5ランクステーキ」といった言葉をよく目にしますが、
そもそも「A」や「5」は何を意味しているのか?
A4とA5では何が違うのか?
実は、この「格付け」は日本食肉格付協会(JMGA)が定めた厳密な基準に基づいて評価されています。

しかし、「A5=必ずしも一番おいしい」というわけではありません。
格付けは“品質の目安”であり、美味しさや好みによってはA4やA3が合うこともあるのです。

この記事では、現役和食調理師の視点から、A5ランク牛肉の本当の意味と、格付けの仕組み・A4との違いを、どこよりもわかりやすく丁寧に解説します。

さらに、用途別の選び方やおすすめの調理法も紹介。
この記事を読めば、もう「A5ランクって何?」と迷うことはありません。
あなたにぴったりの牛肉を、プロの目線で選べるようになります。

A5ランクの「A」と「5」は、まったく違う基準を表す

牛の枝肉。歩留等級(A・B・C)は、1頭から取れる肉の量を評価する基準。
「A」は歩留まりの等級。1頭からどれだけ商品になる肉が取れるかを評価します。

「A5ランク」と聞くと、一見ひとつの評価のように思えますが、実はこの「A」と「5」には別々の意味があり、それぞれが異なる視点で牛肉の品質を評価しています。

「A」アルファベットは歩留等級を表す

歩留等級とは・・・1頭の牛からどれだけ商品価値のある肉が取れたかを示すもので、いわば「収穫量」を評価している基準です。

  • A等級:多くの可食部分が取れる(72%以上)
  • B等級:標準的(69〜72%)
  • C等級:少ない(69%未満)

つまり「A」は、肉の量的な評価であり、味や柔らかさなどの“質”は評価していません


「5」数字は肉質等級を表す

肉質等級とは・・・肉そのものの品質(見た目・味・脂の状態など)を評価したもの。

1〜5の5段階でランク付けされます(5が最高)
評価される項目は4つ

  • 脂肪交雑(霜降りの入り方)
  • 肉の色沢
  • 肉の締まり・きめ
  • 脂肪の色と質

このうち最も低い項目の等級が最終的な「肉質等級」となります。

A5とC5の違い|肉質は同じで、違うのは量だけ

A5・B5・C5ランクの違いをイメージした牛肉の塊。肉質は同じで、取れる量のみが異なる。
A5とC5の違いは“量”だけ。肉質等級が同じなら、味や柔らかさはほぼ同じです。

ここまでの説明で

「A」は量(歩留まり)
「5」は質(肉質)

を表していることがわかりました。つまり、A5もC5も「5」が付く時点で肉質は最高ランクです。
違いは、「1頭の牛からどれだけお肉が取れたか」という量の評価だけです。

ランク評価内容特徴
A5歩留まり:多い
肉質:最高
よく見かける「最高級ランク」
B5歩留まり:標準
肉質:最高
肉質はA5と同じ・価格が少し控えめ
C5歩留まり:少ない
肉質:最高
味はA5と同等・流通は少ない希少品

まとめ|私たち消費者にとって「A・B・C」は関係ない

「A」「B」「C」は、あくまで1頭の牛からどれだけ商品になる部分(歩留まり)が取れたかを示す“生産者・流通側の評価”です。
スーパーや精肉店、通販などですでにカットされた状態で販売されているお肉には、「歩留まり」はもう関係がありません。

つまり私たちが食べる時点では、
A5でもB5でもC5でも、5がついていれば肉質は同じ最高クラス
アルファベットは気にする必要なし なんです。

「B5」「C5」店頭で見かけない3つの理由

スーパーの精肉売り場で買った黒毛和牛。A5表示が多く、B5やC5はほとんど見かけない。
店頭ではA5ランクの表示が主流。B5やC5はほとんど流通していません。

「A5ランク牛肉」とはよく聞くものの、「B5」や「C5」という表示はあまり見かけません。
実はこれは、肉質の違いではなく、流通や販売の仕組みによるものです。
ここでは、B5やC5がなぜ一般のスーパーや精肉店に並ばないのかをわかりやすく説明します。

「A5=最高級」としてブランド化

A5は「最も価値が高い=高く売れる」ため、販売店にとってもブランド力があります。
そのため、販売側は積極的に「A5」と表示して宣伝します。
一方で、B5やC5は歩留まりが低く市場価値が下がるため、あえて表記しない・仕入れないケースが多いのです。

🟡 つまり、B5でも肉質はA5と同じ最高ランクですが、
「Aより下」と誤解されやすいため、販売されにくいという現状があります。


流通段階で「A」の肉が優先的に取引される

牛肉の格付けは、枝肉(牛を解体した段階)で行われます。
市場では、Aランクの枝肉が高値で取引されるため、自然とA等級の肉が流通の中心になります。

一方、B・Cランクの枝肉は業務用や加工用に回るケースも多く、一般消費者が目にする精肉としては出回りにくいのです。


小売店では表示義務がない

スーパーや精肉店など、消費者向けの小売販売には格付け表示の義務はありません。
そのため、店頭では「A5」だけが強調される一方で、「B5」「C5」などの表記は省略され、代わりに「黒毛和牛」「国産和牛」「産地名」などの表示が中心になります。

料理別おすすめランク

鉄板で焼かれるステーキ。A5ランクはステーキやすき焼きなどシンプルな調理法に最適。
A5ランクは素材の旨味を活かせるステーキやすき焼きにぴったり。
ランクおすすめの調理法
A5
B5
C5
ステーキ
すき焼き
しゃぶしゃぶ
ローストビーフ
焼肉
A4
B4
C4
ステーキ
すき焼き
しゃぶしゃぶ
ビーフシチュー
焼肉
A3
B3
C3
カレー・シチュー
牛丼・プルコギ
肉じゃがなど家庭料理全般

とはいえ、実際の市場では Aランクの牛肉がほとんどを占めており、B5 や C5 といった表示の商品をスーパーや精肉店で見かけることは ほとんどありません。

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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