「減塩調味料って、体に悪いんじゃないの?」
「減塩塩はカリウムが多いって聞いたけど、本当?」
そう思って調べると、医師の解説や「減塩食品の落とし穴」といった記事がたくさん出てきます。でも、塩・醤油・味噌を同じ物差しで並べて比べた情報は、意外と見つかりません。
そこで調理師歴25年の私が、文部科学省の「日本食品標準成分表」の数字を使って、ふだん使う1回分の塩分とカリウムを計算して比べました。
この記事の結論
カリウムの量が大きくちがうのは「減塩塩」だけ。普通の塩の約120〜160倍
減塩しょうゆは成分表の平均では、カリウムは普通のしょうゆより少ない
減塩みそは約14%減。減塩しょうゆ(約43%減)ほどは減らない
どれも「たくさんかければ意味がない」。減塩しょうゆも2杯で普通の1杯を超える
※腎臓の病気などでカリウムを制限している方は、使う前に必ず医師・薬剤師に相談してください
結論:成分表で比べると、気をつけるのは「減塩塩のカリウム」
| 1回分 | 食塩相当量 | 普通品との差 | カリウム | |
|---|---|---|---|---|
| 並塩 | 小さじ1 (6g) | 約5.8g | — | 約10mg |
| 減塩タイプ食塩 | 6g | 約2.7〜3.0g | 約半分 | 約1,140〜1,500mg |
| こいくちしょうゆ | 大さじ1 (18g) | 約2.6g | — | 約70mg |
| 減塩しょうゆ(こいくち) | 大さじ1 (18g) | 約1.5g | 約43%減 | 約47mg |
| 淡色辛みそ | 大さじ1 (18g) | 約2.2g | — | 約68mg |
| 減塩みそ | 大さじ1 (18g) | 約1.9g | 約14%減 | 約86mg |
| 塩ぬき屋 極みだし醤油(無塩ドットコム) | 大さじ1 (15ml) | 1.2g | こいくちの約半分 | 19.6mg |
塩分を減らすしくみが種類によってちがいます。減塩塩は、食塩の一部を塩化カリウムに置きかえて塩味を出しているので、カリウムの量がケタちがいに多くなります。一方、しょうゆとみそは、成分表の平均ではカリウムがそれほど増えていません。
塩分もカリウムも抑えたい方は、表の一番下の「極みだし醤油」のような、だしのうま味で塩分を減らした調味料も選択肢になります。まず少量で味を試したい方は、無塩ドットコムのお試しセットが手軽です。
※お試しセットには「50%減塩だしつゆ」(大さじ1で食塩相当量1.3g・カリウム24mg)が入っています。
極みだし醤油は単品で購入できます▶塩ぬき屋 極みだし醤油
「減塩調味料は体に悪い」と言われる3つの理由

検索するとよく出てくる不安は、次の3つです。それぞれ、数字や表示で確かめられることを整理します。
理由①「塩を減らした分、添加物で補っているのでは?」
「塩を減らすと味が落ちるので、添加物で補っている」という話はよく聞きます。これは商品によります。そういう商品もあれば、そうでない商品もあります。
実際、私がお試しセットで食べた食塩不使用の梅「ゼロ梅」も、甘酸っぱいタイプには甘味料(ステビア)と調味料(アミノ酸等)が入っていて、酸っぱいタイプは梅・醸造酢・オリゴ糖だけでした。同じ商品名でも中身はちがいます。

「減塩だから添加物が多い」とも「減塩でも添加物は関係ない」とも言い切れません。裏の原材料表示を見て選ぶのが確実です。見るポイントは後の章でまとめます。
理由②「カリウムが腎臓に負担では?」
結論の表のとおり、カリウムが大きく増えるのは塩化カリウムを使った減塩塩です。しょうゆ・みそは、成分表の平均ではそこまで増えません。

体への影響は健康・医療の話なので、私が良し悪しを判断することはしません。私に言えるのは「どの調味料にどれだけ入っているか」までです。カリウムを制限している方は、この数字を持って医師・薬剤師に相談してください。
理由③「減塩しすぎると逆に危険では?」
塩分(ナトリウム)は体に必要な栄養素なので、もっともな疑問です。ただ、日本人の多くは目標量より多く摂っているのが現状です。具体的な数字は「公的データ」の章で紹介します。
種類別:減塩塩・減塩醤油・減塩味噌のデメリット
ここからは、検索の多い3種類について、成分表の数字からわかることを1つずつ見ていきます。
減塩塩(やさしおなど)は危険?カリウムは普通の塩の約120〜160倍
| 100gあたり | 食塩相当量 | カリウム |
|---|---|---|
| 並塩 | 97.3g | 160mg |
| 減塩タイプ食塩 (調味料含む) | 49.4g | 19,000mg |
| 減塩タイプ食塩 (調味料不使用) | 45.7g | 25,000mg |
減塩塩は、塩分がほぼ半分になる代わりに、カリウムが約120〜160倍になります。小さじ1(6g)で約1,140〜1,500mgです。
つまり「減塩塩はカリウムが多い」という話は、数字のとおり本当です。カリウムの制限がない方にとっては塩分を減らす道具になりますが、腎臓の病気などでカリウムを制限している方は、自己判断で使わず医師に相談してください。商品ごとの量は、パッケージの栄養成分表示と原材料(「塩化カリウム」の記載)で確認できます。
減塩醤油は体に悪い?カリウムはむしろ普通の醤油より少ない
| 100gあたり | 食塩相当量 | カリウム |
|---|---|---|
| こいくちしょうゆ | 14.5g | 390mg |
| こいくちしょうゆ(減塩) | 8.3g | 260mg |
成分表の平均では、減塩しょうゆは塩分が約43%少なく、カリウムも普通のしょうゆより少なくなっています。「減塩しょうゆ=カリウムが多い」とは限りません。
ただし、塩味を補うために塩化カリウムを使っている商品もあります。気になる方は、原材料表示に「塩化カリウム」と書かれていないかを確認してください。
減塩しょうゆのデメリットは、体よりも使い方にあります。物足りなくてかける量が増えると、減塩の意味がなくなります(次の章で計算します)。
減塩味噌のデメリットは「思ったほど減っていない」こと
| 100gあたり | 食塩相当量 | カリウム |
|---|---|---|
| 米みそ(淡色辛みそ) | 12.4g | 380mg |
| 減塩みそ | 10.7g | 480mg |
| 麦みそ | 10.7g | 340mg |
成分表の減塩みそは、淡色辛みそより約14%少ないだけです。減塩しょうゆ(約43%減)と比べると、減り方はかなり小さめです。

おもしろいのは、麦みその食塩相当量も10.7gで、成分表の減塩みそと同じだということ。味噌汁の塩分を減らしたいなら、味噌の種類を変えるより、だしを濃くして味噌の量そのものを減らすほうが効きます。
味噌汁の塩分を、味噌とだしに分けて計算した記事はこちらです▶だしパックの塩分は意外と多い?味付きと食塩不使用をラベルで比べた調理師の選び方
「減塩しているつもり」で意味がなくなる2つの使い方
減塩調味料の本当の落とし穴は、体よりも使い方にあります。調理師の目から見て、よくある2つを数字で確かめます。
①減塩しょうゆも2杯かければ、普通のしょうゆ1杯を超える
| かけた量 | 食塩相当量 |
|---|---|
| こいくちしょうゆ 大さじ1 | 約2.6g |
| 減塩しょうゆ 大さじ1 | 約1.5g |
| 減塩しょうゆ 大さじ2 | 約3.0g |
「減塩だから」と安心して、物足りない分をかけ足すと、普通のしょうゆより塩分が多くなります。減塩調味料はいつもと同じ量か、それより少なく使って、はじめて意味があります。
「薄くて物足りない」と感じたときの対策は、こちらの記事にまとめました▶減塩がまずい・物足りないのは当然|調理師が教える7つの原因と続けられる対策
②「色が薄い=塩分が少ない」と思ってうすくちしょうゆを使う
うすくちしょうゆの「うすい」は色のことです。食塩相当量は100gあたり16.0gで、こいくち(14.5g)より多くなっています。大さじ1で約2.9gです。
料理屋では、色をつけずに仕上げたい煮物やお吸い物にうすくちを使いますが、塩分を減らす目的なら逆効果です。
鍋のポン酢も、取り皿で何度も注ぎ足すと塩分が増えます▶ポン酢の塩分は多い?大さじ1で約1.4g、鍋1回で何gになるかを調理師が実測・ラベルで比較
【事実確認】公的データは塩分についてこう示している

1日の塩分の目標量と、実際の摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病予防のための1日の食塩相当量の目標量を、18歳以上の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満としています。高血圧や慢性腎臓病の重症化予防では、男女とも6.0g未満です。参考▶農林水産省「みんなの食育」
一方、令和5年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の食塩摂取量の平均は男性10.7g、女性9.1gです。▶厚生労働省・ナトリウム
参考資料では、日本人(40〜59歳)の食塩摂取の約半分が、しょうゆや食塩などの調味料からというデータも紹介されています。調味料の選び方と使い方で、塩分は大きく変わるということです。
減塩で塩分不足になる心配は?
食事摂取基準では、日常の食事で塩分が必要量を下回ることはほとんどない、という趣旨が示されています。平均摂取量と目標量を比べても、多くの人は「減らす余地のほうが大きい」状態です。
持病のある方は必ず医師・薬剤師にご相談を

ここまでの数字は、持病のない一般的な方を対象とした目安です。高血圧・腎臓病・心臓病などで治療中の方や、塩分・カリウムの摂取に制限がある方は、適切な量が異なります。減塩調味料を取り入れる前に、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
本記事は、調理師による味・使い方の解説と、公的機関が公表する情報の紹介です。健康や病気に関する判断は、医師・薬剤師などの専門家にご相談ください。
失敗しない減塩調味料の見分け方|原材料表示の3つのチェック

原材料表示は使用量の多い順に書かれています。売り場で裏を見るだけで、次の3つがわかります。
チェック①「塩化カリウム」が入っているか
カリウムを制限している方が一番に見るところです。減塩塩には多く使われ、減塩しょうゆ・減塩みそでも使う商品があります。
チェック②だし・うま味の材料が前のほうにあるか
かつお節・昆布・椎茸などが前のほうに書かれている商品は、減らした塩分をうま味で補う作りです。料理屋でも、薄味の料理ほどだしを濃くします。こういう商品は、少ない量でも物足りなさを感じにくくなります。
チェック③「無添加」の文字だけで選ばない
「無添加」という言葉には、何が無添加なのかの決まった基準がありません。保存料だけが無添加の商品もあります。ゼロ梅の例のように、同じシリーズでも中身がちがうことがあるので、最後は原材料表示そのもので判断してください。
始めるなら、大きいボトルより「お試し」から

減塩調味料は、商品ごとに味の差が大きく、自分の口に合うかは使ってみないとわかりません。合わない大容量を買うと、使い切れずにムダになります。
- まず1〜2種類を少量で試す
- いつもと同じ量か、少なめで料理に使ってみる
- 続けられそうなものだけ買い足す
私は減塩・無塩食品の専門店「無塩ドットコム」の初回お試しセットを取り寄せて、実際に食べました。中身・味の感想・口コミが本当かどうかは、別の記事にまとめています。

よくある質問
- Qやさしおなどの減塩塩は、毎日使っても大丈夫?
- A
塩分はほぼ半分になりますが、カリウムは普通の塩の約120〜160倍です(成分表の値)。カリウムを制限している方は医師に相談してください。制限がない方も、使う量はいつもの塩と同じか少なめにしましょう。
- Q減塩醤油はカリウムが多い?
- A
成分表の平均では、減塩しょうゆのカリウム(100gあたり260mg)は、こいくちしょうゆ(390mg)より少なくなっています。ただし塩化カリウムを使う商品もあるので、原材料表示で確認してください。
- Q減塩味噌に変えれば、味噌汁の塩分は大きく減る?
- A
成分表の減塩みそは、淡色辛みそより約14%少ない程度です。大きく減らしたいなら、だしを濃くして味噌の量を減らすほうが効果的です。
- Q「食塩不使用」なら塩分はゼロ?
- A
ゼロとは限りません。お試しセットのゼロ梅(甘酸っぱいタイプ)は食塩不使用ですが、パッケージの食塩相当量は100gあたり0.3gでした。原材料に含まれるナトリウムの分が数字に出ていると考えられます。
まとめ:減塩調味料は「種類」と「使う量」で選ぶ
- カリウムがケタちがいに多いのは減塩塩(普通の塩の約120〜160倍)。カリウムを制限している方は医師に相談を
- 減塩しょうゆは約43%減。成分表の平均ではカリウムも普通のしょうゆより少ない
- 減塩みそは約14%減。味噌汁はだしを濃くして味噌を減らすほうが効く
- 添加物は商品による。原材料表示で「塩化カリウム」「だしの材料」を確認する
- 減塩しょうゆも2杯で普通の1杯を超える。使う量はいつもと同じか少なめに
減塩調味料は「体に悪いから避けるもの」ではなく、種類のちがいを知って、使う量を守って選ぶものです。まずは少量のお試しから、自分の舌に合うものを見つけてください。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」
無塩ドットコム 商品ページ(極みだし醤油・50%減塩だしつゆ・ゼロ梅)
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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