鍋にしようと決めたのに、白菜がない。売り場で値札を見て、そっと棚に戻した日もあるかもしれません。
でも、鍋はあきらめなくて大丈夫です。調理師歴25年の私が、白菜の代わりに迷わず選ぶのはキャベツ。そしてキャベツがいちばん生きる鍋は「もつ鍋」なんですよね。
先に結論
白菜の代わりはキャベツがいちばん失敗しにくい
キャベツが主役になる鍋は「もつ鍋」。博多のもつ鍋はもともとキャベツで作る料理
キャベツはざく切り。強火でもつとキャベツを5分、弱火にしてニラを入れて5分
もつの下処理がめんどうなら、みそ味スープ付きのお取り寄せで「キャベツを切るだけ」にできる
キャベツに合うみそ味
博多もつ鍋おおやまを見てみる
白菜の代わりになる野菜|鍋に合わせた選び方
白菜の役割は、ざっくり言うと「かさ」と「甘み」と「スープを吸うこと」の3つです。この3つを全部こなせるのはキャベツだけ。ほかの野菜は、1つか2つを受け持つと考えると選びやすくなりますよ。
| 野菜 | 白菜の代わりとして | 向いている鍋 |
|---|---|---|
| キャベツ | ◎かさ・甘み・吸い込み全部OK | もつ鍋 ちゃんこ みそ鍋 |
| 水菜 | ○シャキシャキ感を足す | 豚しゃぶ はりはり鍋 |
| もやし | ○かさ増しに強い・安い | キムチ鍋 もつ鍋 |
| ニラ | △香り役(かさは出ない) | もつ鍋 キムチ鍋 |
| 長ねぎ | △甘み役 | 寄せ鍋 鶏鍋 |

小松菜やほうれん草も使えますが、ほうれん草はアク(えぐみの成分)が出るので、下ゆでしてから入れてください。そのまま入れるとスープ全体がえぐくなるんです。
表を見てわかるとおり、主役を張れるのはキャベツ1つ。では、キャベツをいちばんおいしく食べられる鍋は何か。私の答えは、もつ鍋です。
もつ鍋がキャベツと合う理由|調理師が解説

もつ鍋といえば、山盛りのキャベツとニラ。実はこれ、たまたまではないんです。キャベツじゃないと成り立たない理由が、ちゃんとあります。
理由1:もつの脂をキャベツが受け止める
もつ鍋に使うのは主に牛の小腸です。小腸には甘い脂がたっぷりついていて、煮ると脂がスープに溶け出します。
キャベツは葉が厚く、繊維(すじ)がしっかりしています。脂の浮いたスープの中でも、くたっと溶けずに形が残る。噛むと、吸い込んだ脂とスープがじゅわっと出てくるんですよね。
白菜は葉がやわらかいぶん、脂の多いスープだと先にとろけてしまいます。寄せ鍋なら長所ですが、もつ鍋では負けてしまうんです。
理由2:煮るほど甘くなり、スープが薄まりにくい
結論から言うと、キャベツは白菜より「水っぽくならない」野菜です。
日本食品標準成分表で見ると、水分は白菜が約95%、キャベツが約93%。たった2%の差ですが、鍋1杯ぶんの野菜となると、出てくる水の量がけっこう変わります。(出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
もつ鍋のスープは醤油やみそでしっかり味をつけたもの。キャベツなら最後まで味がぼやけにくく、加熱で出てくる甘みが醤油の塩気をやわらげてくれます。

現場で鍋を仕込んでいたころ、白菜の鍋は「最後に味を足す」前提で、スープを少し濃いめに作っていました。キャベツの鍋は、そのひと手間がほとんどいらないんですよ。
理由3:博多のもつ鍋は、もともとキャベツの料理
もつ鍋の本場・福岡の専門店では、キャベツ・ニラ・ごぼう・にんにく・唐辛子が定番の具です。白菜を入れる店はほとんど見かけません。
つまり、白菜がないからキャベツで「代用」するのではなく、キャベツこそが正解の鍋なんです。白菜がなくて困っている今夜こそ、もつ鍋にする理由になると思いませんか?
キャベツもつ鍋の作り方|切り方・入れる順番・煮る時間

ここからは、私が家で作ったキャベツもつ鍋の手順です。博多もつ鍋おおやまが公式に案内している作り方を参考にしています。ポイントは「最初は強火、ニラを入れたら弱火」。途中で火加減を切り替えるだけで、もつもキャベツもぐっとおいしくなるんです。
材料(2人前)
- 牛もつ(小腸):250〜300g
- キャベツ:1/4〜1/3玉(300〜400g)
- ニラ:1束
- ごぼう1/3本
- 木綿豆腐1/2丁
- 仕上げ用:白ごま大さじ1、鷹の爪1本、ごま油少々
スープ
お取り寄せセットなら、付属のスープと説明書きの分量の水を使います。
自分で作るなら
水600ml・鶏がらスープの素小さじ2・醤油大さじ3・みりんと酒各大さじ2・にんにく2片(薄切り)を合わせてください。
下ごしらえ:キャベツは大きめ、ニラは束のまま切る
キャベツは4〜5cm角のざく切りにします。細く切ると煮崩れて、もつ鍋らしい「噛んだときのじゅわっ」がなくなってしまうからです。
芯(葉のつけ根のかたい部分)は捨てずに、斜めに薄切りに。甘みがいちばん強いところなんですよ。
ニラは束をそろえたまま4〜5cmに切り、ばらさずに置いておきます。あとで鍋にまっすぐ並べるためです。ごぼうはささがき(鉛筆を削るように薄くそぐ切り方)、豆腐は8等分に切ります。
手順1:強火でスープとごぼうを沸かし、沸いてからもつを入れる
鍋に水とスープを入れて強火にかけ、ごぼうも最初に入れます。ごぼうは香りを出す役目。早めに入れておくと、スープ全体に土の香りが移ります。
もつはスープが沸騰してから入れてください。煮立ったところに入れると表面がすぐに固まり、うまみが流れ出しにくくなるんです。

下処理済みのもつなら、下ゆでせずにそのまま入れてOK。スーパーの生もつで臭いが気になるときだけ、先にさっとゆでこぼしてください(一度ゆでて湯を捨てること)。浮いてくる泡は、ほとんどがもつの脂です。これがスープのコクになるので、すくいすぎないでくださいね。
手順2:もう一度沸いたら、キャベツとごまを入れて5分
強火のまま再び沸いたら、芯ごとキャベツを入れ、白ごまを加えます。ごまはひとつまみ残しておいてください。
ここから5分ほど、箸でキャベツをつついてスープに沈めながら煮ます。山盛りのキャベツも、5分でかさが半分くらいに。スープに浸すことで、キャベツの甘みがしっかり引き出されます。
手順3:弱火にして豆腐とニラ、さらに5分
ここで火を弱めます。強火で煮立て続けると、もつの脂が抜けきって縮み、ゴムのように固くなってしまうからです。もつ鍋の失敗は、ほぼこれが原因なんですよね。
豆腐を入れたら、束のままのニラを鍋の真ん中にまっすぐ並べます。その上に残りのごまと鷹の爪をのせてください。
仕上げ:ごま油をひとたらし

豆腐が温まり、キャベツがやわらかくなったら、もつに火が通っているか確認します。最後にごま油をひとたらし。香りがふわっと立って、一気にお店っぽくなりますよ。
味が濃ければお湯で調整してください。取り皿には、もつ・キャベツ・スープを一緒によそうのがおすすめです。
シメはちゃんぽん麺

残ったスープに、具が少し残っていてもかまいません。そこへちゃんぽん麺を入れます。ゆで麺なので、ひと煮立ちすれば食べごろです。
冷凍の麺は、袋の表示どおりレンジで温めてから入れてください。冷たいまま入れるとスープの温度が下がり、煮る時間が延びて麺がやわらかくなりすぎるんです。
もつはどこで買う?スーパーとお取り寄せの違い

キャベツもつ鍋でいちばんの壁はキャベツではなく「もつ」です。近所のスーパーで探して、見つからなかった経験はありませんか?ざっくり違いをまとめると、以下のようになります。
| スーパー | お取り寄せ | |
|---|---|---|
| 手に入りやすさ | 店によって置いていない | ネットで確実に買える |
| 状態 | ボイル済み・味付きが多い | 下処理済み+スープ付きが多い |
| 手間 | 臭みが気になれば下ゆで | 野菜を切って煮るだけ |
| 向いている人 | 自分で味を決めたい | 今夜すぐ、お店の味で食べたい |
スーパーで買うなら、パッケージの部位表示に「小腸」とあるものを選んでください。売っている場所や見分け方は、こちらで詳しくまとめています。

お取り寄せのもつ鍋セットは、野菜が入っていないものが多いんです。だからこそ、冷蔵庫のキャベツ1つで成立する。白菜がない日とは、実は相性がいいんですよね。
もつ鍋の献立|キャベツを使い切るもう一品

もつ鍋に使うキャベツは1/4〜1/3玉。1玉買ったなら、残りはさっぱり系の副菜に回すのがおすすめです。もつの脂を、酸味と塩気でリセットしてくれます。
- キャベツの塩昆布あえ:ざく切りに塩昆布とごま油。5分で完成
- キャベツの浅漬け:塩もみして、酢をひとたらし。鍋の前に仕込めば食べるころに味がなじむ
ほかにもつ鍋に合わせる副菜やおつまみは、こちらで15品紹介しています。
まとめ|白菜がない日は、キャベツでもつ鍋にしよう
- 白菜の代わりはキャベツ。かさ・甘み・吸い込みを全部こなせる
- キャベツがいちばん生きる鍋は、もともとキャベツで作る博多のもつ鍋
- 強火でもつとキャベツを5分、ニラを入れたら弱火で5分。仕上げにごま油
- もつはスーパーなら「小腸」表示、確実に買うならお取り寄せ
白菜がない日はちょっと残念な日ではありません。ごま油をひとたらしした瞬間に立ちのぼる、キャベツの甘い湯気。山盛りだったキャベツがスープに沈んで「白菜よりこっちのほうが好きかも」と箸が止まらなくなる。そんな夜にしてみてください。
もつを探したり、下処理したりする手間を省きたいなら、本場博多のスープ付きセットという手もあります。
博多もつ鍋おおやまは、福岡のもつ鍋専門店
国産牛の小腸とみそ味のスープがセットになっています。
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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