甘エビの旬と時期|特徴・味わい・食べ方を調理師が解説

新鮮な甘エビ(ホッコクアカエビ)が並んだ様子|冬が旬の人気高級食材 TOP
冬に旬を迎える甘エビは、とろけるような甘みと上品な旨味が特徴です。
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「甘エビはいつが旬?」
「安全に生で食べられるのはどんな状態?」

――そんな疑問を持つ方に向けて、調理師目線で詳しくまとめました。甘エビは濃厚な甘みと柔らかな食感が魅力ですが、一方で食中毒のリスクがあるため注意が必要です。

本記事では、旬の時期や特徴、生で食べてはいけない状態の見分け方を解説。さらに、地方名や目利きのコツ、相性の良い食材やおすすめ調理法、栄養素や英語表記まで網羅しました。和食調理師歴25年以上の知識を活かし、安全かつ美味しく甘エビを楽しむためのヒントをお届けします。

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甘海老の旬 ~おいしい時期~

冬の旬を迎えた甘エビを氷ざるに盛り付けた写真
冷たい海で育った冬の甘エビは、身が締まり甘みが増して最も美味しい季節です。

甘エビの二大旬

  1. 晩秋〜冬…身の甘さ・弾力が絶好調
  2. 春…柔らかい殻の“もちえび”期

産地ごとの差
北陸〜北海道まで、旬の始まり・終わりに微妙なズレがあります。

選び方
旬であれば「殻が鮮やかな赤」「頭がしっかりしている」「殻に透明感あり」がポイント

メインの旬(寒の時期)

産卵前後

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

刺身で食べるなら、寒い時期の甘エビが最もおすすめ。透明感があり、ねっとりと甘く、わさび醤油との相性も抜群です。冷凍流通のものは年中ありますが、旬の生エビは格別ですよ。

甘エビとは ~解説~

甘エビ(ホッコクアカエビ)の特徴と姿|赤く透き通る身が美しい
深海に生息するホッコクアカエビ。鮮やかな赤色と濃厚な甘みが魅力です。

「甘エビ」は通称で、正式名称はホッコクアカエビ(北国赤海老)。体長10〜15cmほどの小型のエビで深海(およそ200〜400m)に生息しており、主に日本海側で多く水揚げされます。

その名の通り、とろけるような甘みとねっとりした食感が特徴。刺身や寿司ネタとして非常に人気のある食材です。

特に寒い時期にとれるものは身が締まり、濃厚な甘みと旨みが引き立ちます。頭の味噌(エビ味噌)や卵にも独特の旨味があり、料理の幅が広いのも魅力です。


甘エビの特徴まとめ

特徴内容
正式名ホッコクアカエビ(北国赤海老)
主な産地北海道、日本海側(富山・石川・福井など)
生息地水深200〜400mの深海(冷たい海域)
味・食感甘みが強く、ねっとりとした舌ざわり
用途刺身・寿司・天ぷら・唐揚げ・味噌汁など多彩

甘エビを食べるときの注意点(食中毒)

甘エビは刺身や寿司など生食で人気の高い海老ですが、鮮度が落ちやすい・内臓に菌が繁殖しやすいという性質があります。間違った保存や取り扱いによっては、食中毒を起こす危険性もあります。

主なリスクと原因

原因内容予防策
ヒスタミン食中毒鮮度が落ちた魚介類で、アレルギー様症状(発疹・頭痛など)を起こすことがある鮮度のよいものを選び、常温放置しない
ノロウイルス養殖や加工時の衛生状態によりまれに感染の可能性信頼できる販売元で購入。特に生食用の表記を確認
腐敗・細菌性食中毒頭部が黒く変色した甘エビは要注意透明感があり、頭や殻が赤く鮮やかなものを選ぶ

詳しい食中毒についてはコチラをご覧ください。【最新版】食中毒の種類・症状・原因一覧


こんな甘エビは生で食べないで!

次のような状態は鮮度劣化または食中毒リスクがあります。
調理師としても「加熱調理に切り替えるべき」と判断します。においやぬめりは加熱しても食べれない可能性があります。

  • 頭の部分が黒く変色している
  • 強い生臭さやアンモニア臭がある
  • ぬめりや糸を引くような状態
  • 常温で1時間以上放置されたもの
  • 解凍後に再冷凍したもの

見た目がきれいでも、内臓や頭部の劣化は進んでいることがあります。
刺身で食べる場合は、購入当日・流水で軽く洗う・すぐ食べるのが基本です。

安全に食べるためのポイント

  • 冷蔵保存は 4℃以下・できれば氷温(0℃付近)
  • 冷凍の場合は -18℃以下で保存し、解凍は冷蔵庫内でゆっくり
  • 刺身用でも、翌日以降の生食は避ける
  • 心配なときは、軽く湯通し・天ぷら・味噌汁などの加熱調理に切り替える
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現役和食調理師のヒント

甘エビは見た目に鮮度が出やすい食材。頭の黒ずみは劣化のサインです。生で食べるなら当日中か翌日までを目安にし、心配な場合は加熱調理(唐揚げや味噌汁)に使うと安心です。

甘海老の地方名

  • ナンバンエビ
  • コショウエビ
  • トンエビ
  • トンガラシ
  • アカエビ

甘エビの目利き(鮮度の見分け方)

甘エビの鮮度を見分けるポイント|黒ずみのない頭と透明感のある殻
頭が黒くなく、殻に透明感がある甘エビは新鮮な証拠です。ドリップにも注意を。

甘エビは非常に傷みやすいデリケートな魚介類です。見た目とにおいで鮮度をしっかりチェックしましょう。

チェック項目新鮮な状態劣化のサイン
頭の色赤くハリがあり透明感がある黒ずんでいる
濁っている
身の色半透明でツヤがある白く濁っている
変色している
におい無臭〜わずかに磯の香りアンモニア臭
生臭さが強い
ドリップ出ていない or 少ない汁が多く
身がふやけている
触った感じプリッと弾力がある柔らかく崩れやすい
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現役和食調理師のヒント

買ってすぐ食べない場合は、キッチンペーパーで包んで冷蔵すると鮮度が長持ちします。また、殻をむいて冷凍保存しておけば、天ぷらやパスタなど加熱調理にも使えますよ。

甘エビと相性の良い食材

甘エビの刺身と大葉・レモンの盛り合わせ|香りの相性が抜群
大葉やレモンを添えると、甘エビの甘みと香りがより引き立ちます。

甘エビはその名の通り強い甘みとねっとりした食感が特徴。さっぱりした薬味や、旨味を引き立てる調味料と合わせると、より美味しく楽しめます。

食材組み合わせの理由・使い方例
わさび刺身の甘みにピリッとした刺激が加わり、味が引き締まる
大葉(しそ)生臭さを抑え、さっぱりとした後味に。刺身や軍艦巻きに◎
柚子胡椒唐揚げや天ぷらに添えると、甘さと香りが引き立つ
レモン加熱料理の油っぽさを中和し、爽やかに仕上がる
アボカド甘エビのねっとり感と相性抜群。サラダや寿司ロールにもおすすめ
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現役和食調理師のヒント

甘エビは脂ではなく“甘み”が主役のエビ。香味野菜や柑橘、スパイスをうまく組み合わせることで、旨みがくどくならず、後味がぐっとよくなります。

甘エビに合う調理法

甘エビの握り寿司|旬の甘エビを使った定番の食べ方
新鮮な甘エビは握り寿司でも人気。ねっとりした食感と濃厚な甘みを楽しめます。

甘エビは刺身が王道ですが、加熱しても甘みが残るため、揚げ物や汁物にもよく使われます。調理法ごとの相性を以下の表にまとめました。

調理法理由
刺身・寿司強い甘みとねっとり食感を最も堪能できる食べ方
唐揚げ殻ごと揚げれば香ばしく、頭も食べられる
味噌汁頭からよい出汁が出て、旨味の強い汁物に
天ぷら甘みは残るが、火の通しすぎで食感が損なわれやすい
煮物繊細な甘みと食感が煮崩れで失われやすい
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現役和食調理師のヒント

刺身用の甘エビが余ったら、頭は味噌汁、身はさっと揚げて唐揚げにするのが◎。特に殻ごと揚げる甘エビの唐揚げは、おつまみにもぴったりです。

あまえびの栄養素 ~食品成分表~

あまえび(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率65%
エネルギー85
水分78.2g
タンパク質19.8g
脂質1.5g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム300
カリウム310
カルシウム50
マグネシウム42
リン240
0.1
亜鉛1.0
0.44
マンガン0.02
ヨウ素18
セレン33
クロム
モリブデン1
ビタミンA(レチノール)3
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)3.4
ビタミンK
ビタミンB10.02
ビタミンB20.03
ナイアシン1.1
ビタミンB60.04
ビタミンB122.4
葉酸25
パントテン酸0.21
ビオチン2.1
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

甘エビの英語・漢字表記

甘エビの英語表記「Sweet shrimp」と漢字「甘海老」
甘エビは英語で「Sweet shrimp」。海外でも通じる定番の寿司ネタです。
表記内容
漢字表記甘海老
英語表記(一般)sweet shrimp
英語表記(正式種名)northern red shrimp
(ノーザン・レッド・シュリンプ)
※ホッコクアカエビとしての名称
学名Pandalus eous
発音記号[swíːt ʃrɪmp]
(スウィート・シュリンプ)

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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