冬瓜(とうがん)は、夏に旬を迎えるウリ科の野菜です。
英語では 「winter melon(ウィンターメロン)」 または 「wax gourd(ワックスゴード)」 と呼ばれ、アジア圏ではスープや煮物に欠かせない食材として親しまれています。
名前に「冬」とつきますが、実際の旬は夏(7月〜9月)
皮が厚く日持ちするため、冬まで保存できることから「冬瓜」と呼ばれるようになりました。淡白な味わいで、だしや肉のうま味をよく吸うため、和食・中華・洋食どれにも合う万能食材です。
また、英語名 winter melon のように、料理や食材を英語で言い換えると、海外のレシピ検索やメニュー理解にも役立ちます。
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冬瓜とは?~特徴と名前の由来~

冬瓜(とうがん)はウリ科トウガン属の夏野菜で主に東南アジアから東アジアにかけて栽培されています。果実は楕円形または円筒形で大型(1個3〜5kg程度)になり、果皮の表面に白い粉(ブルーム)がつくのが特徴です。
果肉は白く、水分が非常に多いため、加熱するととろりとやわらかくなるのが魅力です。
名前の由来と別名
「冬瓜」という名前は、夏に収穫しても冬まで保存できることに由来しています。実際に、皮が厚く傷みにくいため、冷暗所で2〜3か月ほど日持ちします。また、地域によってさまざまな呼び名があります。
- 別名:トウガ、カモウリ、カモリ、シブイ(沖縄地方)
- 漢字表記:「冬瓜」のほかに「氈瓜」「加茂瓜」「賀茂瓜」などとも書かれます。
味・食感・調理法
冬瓜はクセのない淡白な味わいで、だしや肉のうま味をよく吸収します。加熱しても形が崩れにくく、冷やしてもおいしいため、煮物・あんかけ・スープ・中華料理・薬膳料理などに広く使われます。
特に日本料理では、「冷やし冬瓜」「冬瓜のそぼろあん」などが定番。中華圏では“冬瓜湯(ドングワータン)”として親しまれています。
栄養と薬膳的な特徴
冬瓜は約95%が水分で、低カロリー(100gあたり約15kcal)。食物繊維・カリウム・ビタミンCを含み、体にやさしい夏野菜です。薬膳の世界では体の余分な熱を冷まし、水分代謝を整える「涼性食材」として分類されます。
冬瓜の旬 ~おいしい時期~
冬瓜(とうがん)は夏が旬の野菜で、主に7月〜9月にかけて多く出回ります。見た目や名前から「冬の野菜」と思われがちですが、実際は真夏に収穫される夏野菜です。
「冬瓜」という名は、夏に収穫しても冬まで保存できることに由来しています。皮が厚く、水分が豊富なため長持ちし、冷暗所に置けば秋や初冬まで風味を保つことができます。
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
冬瓜の選び方

冬瓜は見た目が似ているものが多いですが、果皮の状態・重さ・ヘタの形をチェックすると鮮度が分かります。丸ごと1個で売られている場合と、カット済みのものとで見るポイントが異なります。
丸ごとの冬瓜を選ぶとき
| チェックポイント | 解説 |
|---|---|
| 皮の色が濃く、白い粉(ブルーム)が均一についている | 新鮮な証拠。ブルームは果実が自らの水分を守るために出す天然のロウ。 |
| 持ったときにずっしり重い | 果肉に水分がしっかり詰まっている証。軽いものは内部がスカスカのことも。 |
| ヘタの切り口が新しく、黒ずんでいない | 収穫から時間が経っていない新鮮な冬瓜。ヘタの乾きは鮮度のサイン。 |
| 傷・ひび割れがない | 表面の傷から傷みやすくなるため要注意。保存性も落ちる。 |
カットされた冬瓜を選ぶとき
| チェックポイント | 解説 |
|---|---|
| 果肉が白くみずみずしい | 新鮮なものほど白色が明るく、切り口に透明感があります。 |
| 種まわりがしっかりしている | 果肉が締まっており、煮崩れしにくい。 |
| 切り口が乾いていない・変色していない | 乾燥や酸化が進むと、風味が落ちるサイン。ラップの密閉状態も確認を。 |
冬瓜と相性の良い食材

| 食材 | 相性の理由・栄養的ポイント | 調理例 |
|---|---|---|
| 鶏肉 | うま味成分イノシン酸が冬瓜の淡白な味を引き立てる。高たんぱく・低脂質で夏の体力補給にも。 | 冬瓜の鶏そぼろあん 冷やし冬瓜 |
| えび | タウリンとアスタキサンチンを含み、冬瓜の冷性を補う。彩りも良い。 | 冬瓜のえびあんかけ えび入りスープ |
| 豚肉 | ビタミンB1が豊富で、疲労時におすすめ。冬瓜の水分と合わせて消化しやすい。 | 冬瓜と豚バラの煮物 中華風炒め |
| 干ししいたけ | グアニル酸がだしの深みを増す。冬瓜の水分と合わさりうま味が倍増。 | 精進煮物 冬瓜の含め煮 |
| しょうが | 冷性の冬瓜と組み合わせることで、体を冷やしすぎない。風味と消化促進効果。 | 冷やし冬瓜の生姜あん 汁物 |
| みそ | 発酵の香りとうま味が淡白な冬瓜にコクを与える。味噌汁や田楽にも最適。 | 冬瓜のみそ汁 冬瓜田楽 |
| カニ ホタテ | グルタミン酸が冬瓜のうま味を引き立て、上品な風味に。 | 冬瓜のかにあんかけ 冬瓜とホタテの煮物 |
| 昆布 かつおだし | うま味を吸わせることで滋味深い味に。和食の基本の組み合わせ。 | 冬瓜の含め煮 冷やし鉢 |
冬瓜の保存方法
冬瓜(とうがん)は皮が厚く水分が多い野菜で、状態に合わせた保存方法を選ぶことで、長期間おいしく保つことができます。基本的には「丸ごと保存」と「カット後の保存」で管理方法が異なります。
丸ごとの場合
- 保存場所:風通しのよい冷暗所(15℃前後)
- 保存期間:約1〜2か月(条件が良ければ3か月)
果皮が硬く、表面の白い粉(ブルーム)が水分蒸発を防ぐため、丸ごとであれば長期保存が可能です。新聞紙で軽く包み、直射日光の当たらない場所に置きましょう。冷蔵庫に入れると低温障害を起こして内部が変色しやすいため、常温(冷暗所)保存が基本です。

現役和食調理師のヒント
皮に傷がつくと傷みやすくなるため、持ち運びは丁寧に。ヘタがついたままの方が日持ちしやすい。
カット後の場合
- 保存方法:ラップでぴったり包み、野菜室で保存
- 保存期間:2〜3日程度
カットした冬瓜は水分の蒸発が早く、切り口から傷みやすくなります。種とワタを除き、断面をラップでしっかり密閉して冷蔵庫の野菜室に入れます。使用前に変色やぬめりがないか確認しましょう。
冷凍保存
- 方法:下ゆで後に冷凍保存袋で密封
- 保存期間:1か月程度
皮をむき、3〜4cm角に切った冬瓜を軽く下ゆでしてから冷凍します。冷凍のまま煮物やスープに使えるため、使い勝手が良い保存法です。ただし、冷凍後はやや食感が柔らかくなるので、煮込み料理やあんかけ向きです。

現役和食調理師のヒント
冬瓜は「温かくても冷たくてもおいしい」万能野菜。冷蔵で短期、冷凍で長期と使い分けると、旬の味を長く楽しめます。下ゆでの際にだしを少し加えておくと、解凍後すぐに調理に使えて便利です。
冬瓜の主な品種群
冬瓜(とうがん)は、果皮の色や大きさによって「大長型」「姫とうがん型」「ミニとうがん型」に大きく分けられます。一般的に、果皮が濃い緑色で果粉(白い粉)が多いものほど日持ちが良く、貯蔵向きです。
| 品種名・系統 | 主な産地 |
|---|---|
| 大長とうがん | 愛知県、岡山県、熊本県(7〜9月出荷) |
| 姫とうがん | 沖縄県・鹿児島県など暖地中心 |
| 沖縄シブイ | 沖縄県(周年出荷) |
| 姫冬瓜 | 全国(6〜8月収穫) |
| 大丸とうがん | 九州地方中心(7〜9月) |
| ミニ冬瓜 | 全国(夏期) |
冬瓜の栄養素 ~食品成分表~
とうがん (生)
可食部 100g当たり
| 栄養素 | 茹で | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 30 | % |
| エネルギー | 15 | 15 | ㎉ |
| 水分 | 95.3 | 95.2 | g |
| タンパク質 | 0.6 | 0.5 | g |
| 脂質 | 0.1 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 1.5 | 1.3 | g |
| 炭水化物 | 3.7 | 3.8 | g |
| ナトリウム | 1 | 1 | ㎎ |
| カリウム | 200 | 200 | ㎎ |
| カルシウム | 22 | 19 | ㎎ |
| マグネシウム | 7 | 7 | ㎎ |
| リン | 19 | 18 | ㎎ |
| 鉄 | 0.3 | 0.2 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.1 | 0.1 | ㎎ |
| 銅 | 0.01 | 0.02 | ㎎ |
| マンガン | 0.02 | 0.02 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | 7 | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | 4 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.1 | 0.1 | ㎎ |
| ビタミンK | – | 1 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.01 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.01 | 0.01 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.4 | 0.4 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.03 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 25 | 26 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.20 | 0.21 | ㎎ |
| ビオチン | – | 0.2 | ㎍ |
| ビタミンC | 27 | 39 | ㎎ |
冬瓜(とうがん・生)は、100gあたり約15kcalと非常に低カロリーな水分豊富な夏野菜です。約95%が水分で構成されており、暑い時期の水分補給や塩分バランスを整える食材として重宝されてきました。
主な栄養素はビタミンC・カリウム・食物繊維。ビタミンCは加熱で一部失われますが、だしを含ませた煮物にすることで溶け出した栄養も一緒に摂取できます。カリウムは余分な塩分を調整し、体内のバランスを整える働きがあるミネラルとして知られています。
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冬瓜の英語表記 ~Winter melon/Wax gourd~

冬瓜(とうがん)は英語で 「winter melon(ウィンターメロン)」 または 「wax gourd(ワックスゴード)」 と呼ばれます。どちらも正しい英語表現ですが、地域や文脈によって使い分けがあります。
| 英語表記 | 読み方 | 用いられる地域・場面 |
|---|---|---|
| Winter melon | ウィンターメロン | 東南アジア 日本 英語圏一般 |
| Wax gourd | ワックスゴード | 英国圏 学術 植物学で使用 |
冬瓜は英語で「Winter melon」や「Wax gourd」と呼ばれます。冬に食べるメロンという意味ではなく、「冬まで保存できる野菜」ということから名付けられました。レシピや海外の食材説明ではどちらの表現も使われるため、英語表記を覚えておくと便利です。
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