【ガザミ(蝤蛑)】旬の時期と特徴|美味しい食べ方と選び方

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夏から秋にかけて旬を迎える「ガザミ(ワタリガニ)」は、濃厚な旨味と甘みのある身が特徴の高級食材です。特に蒸しガニや味噌汁、パスタなど幅広い料理で楽しまれており、家庭料理から料亭でも重宝されます。

本記事では、ガザミの旬、特徴、選び方(目利き)、美味しい食べ方、安全な可食部や地方名まで、調理師目線でわかりやすく解説します。

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がざみの旬

オスの旬

メスの旬

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

ガザミとは〜特徴・分類・味〜

がざみ

ガザミ(蝤蛑/がざみ)は、ワタリガニ類を代表するカニで、日本全国の沿岸部で広く見られる食用ガニです。関西では「ガザミ」、関東では「ワタリガニ」と呼ばれることも多く、地域によって呼び名が異なります。

特徴と見た目

  • 甲羅の横幅が広く、青緑色〜茶褐色の斑点模様
  • 後ろ足がオール状に平たくなっていて、泳ぎが得意
  • 脱皮を繰り返すごとに体が大きくなり、最大で20cm前後に成長

分類・仲間

項目内容
分類十脚目・ワタリガニ科・ガザミ属
学名Portunus trituberculatus
英名Swimming crab(スイミングクラブ)
主な仲間イシガニ、タイワンガザミ など

味と食感

身は加熱するとホロっとほどけ、出汁も良く出るため味噌汁にも最適。
オスは引き締まった身で、噛むほどに甘みが感じられる。
メスは味噌(中腸腺)と内子が美味。濃厚なコクと旨味が特徴。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

ガザミは刺身には向きませんが、煮る・蒸す・焼く・揚げるなど熱を加えることで味わいが引き立ちます。とくに味噌汁や炊き込みご飯にしたときのカニの旨味は格別です。

ガザミの地方名(別名)

ガザミは地域によってさまざまな呼び名で親しまれています。とくに**「ワタリガニ」**という呼び方は、全国的にも広く通用する別名です。

地域呼び名・別名補足
全国ワタリガニ最も一般的な別名
関東ワタリガニ市場やスーパーでもこの名で出回る
関西ガザミ関西圏ではこちらの呼び名が主流
九州マガニ
マダラガニ
類似種との混同もある
山陰地方ヒシガニ甲羅の形に由来
愛知・三重バテイラガニ平らな体型からの命名
瀬戸内海沿岸エガニ古い方言的な名称
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現役和食調理師のヒント

市場で「ワタリガニ」と書かれていても、ガザミのオス・メスで味わいが大きく異なることがあります。味噌や内子を楽しみたいならメス、しっかりした身を楽しみたいならオスを選ぶのがおすすめです。

ガザミの目利き

鮮度の良いガザミを選ぶためのポイントを、調理師の視点からわかりやすくまとめました。

チェック項目見分け方のポイント
甲羅の色つや黒みが強く、光沢がありツヤのあるものが新鮮。赤みがかっているものは脱皮直後で味が落ちることがある。
身入り手に持ったときに重みを感じるものは身がしっかり詰まっている証拠。軽いものは身が少ない可能性あり。
足・はさみ太くて硬く、欠けや脱落がないものを選ぶ。足が取れかけているものは鮮度が落ちている。
臭い海の香りがするものは新鮮。酸味やアンモニア臭を感じるものは避ける。
活きの良さ活ガニの場合、足の動きが活発で力強いものが◎。動きが鈍いものは鮮度が落ちている可能性が高い。
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現役和食調理師のヒント

脱皮直後の「ソフトシェルガザミ」は甲羅が柔らかくて丸ごと食べられますが、身の味や旨味はやや薄め。煮込みよりも唐揚げや素揚げなど短時間調理が向いています。

ガザミと相性の良い食材

ガザミの旨みを引き立てる、料理に使いやすい食材を一覧にしました。

食材組み合わせの理由・使い方例
生姜ガザミ特有の磯の香りを和らげ、煮付けや味噌汁の風味を引き立てる。
長ねぎ風味が合い、鍋料理や味噌汁に好相性。香りと甘みがガザミの出汁とよく合う。
味噌味噌仕立ての汁物でガザミの濃厚な出汁をしっかり味わえる。特に赤味噌との相性が良い。
春雨鍋物に加えるとガザミの旨みを吸って美味しくなる。主菜・副菜どちらにも使える。
木綿豆腐煮込みに加えると出汁を吸って美味しい。煮崩れしにくく、鍋料理に最適。
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現役和食調理師のヒント

ガザミは旨味の強い出汁が取れるため、鍋・汁物・雑炊にすると旨味が全体に行き渡りやすく、具材との一体感が出ます。特に味噌や生姜との組み合わせは、失敗しにくい王道です。

ガザミに合う調理法

調理法理由
茹でる身がしまって旨味が引き立ち、素材の味をそのまま楽しめる。塩ゆでが定番。
味噌汁・鍋殻から旨みが出るため、出汁として非常に優秀。野菜や豆腐とも相性が良い。
蒸し料理蒸すことでふっくらとした食感に。酒蒸しにすると風味も豊かに。
唐揚げ小ぶりの個体は殻ごと揚げて香ばしく食べられる。骨や殻が気にならないように揚げ時間を工夫する。
焼き物香ばしくなるが、身が乾燥しやすくパサつくことがあるため注意が必要。
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現役和食調理師のヒント

ガザミは火を通すことで旨味が増す食材。特に味噌汁や鍋は出汁の風味が主役になる料理なので、ぜひ一度試してみてください。唐揚げも意外な人気メニューです。

がざみの栄養素(食品成分表)

がざみ(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率65%
エネルギー61
水分83.1g
タンパク質14.4g
脂質0.3g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.3g
ナトリウム360
カリウム300
カルシウム110
マグネシウム60
リン200
0.3
亜鉛3.7
1.10
マンガン0.06
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)7
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)1.8
ビタミンK
ビタミンB10.02
ビタミンB20.15
ナイアシン4.2
ビタミンB60.18
ビタミンB124.7
葉酸22
パントテン酸0.78
ビオチン
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

ガザミの英語・漢字表記

表記内容
漢字蝤蛑(がざみ)
英語名Swimming crab
学名Portunus trituberculatus
発音記号[ˈswɪmɪŋ kræb]
カタカナ表記スウィミング・クラブ

英語名の「Swimming crab」は直訳で「泳ぐカニ」。ガザミはその名の通り遊泳脚で泳ぐ力が強く、活発に動くカニです。英語圏でも料理に使われることはありますが、主にアジア料理で親しまれています。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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