【よくわかるレシピ】和え物の基本と種類|和え衣の黄金比とコツを調理師が解説

【よくわかるレシピ】 和え物 (Sauce-dressed Dishes)
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和え物は、ゆでた食材に和え衣を絡めて仕上げる、日本料理の基本技法のひとつです。味がぼけやすい・水っぽくなりやすい調理でもありますが、下ごしらえと水分管理、そして和え衣の黄金比さえ押さえれば、家庭でも驚くほど上品な味に仕上げることができます。

このページでは、和え物の基本の考え方・代表的な和え衣の種類・黄金比・失敗しないコツを調理師目線で分かりやすく解説。さらに、目的や食材から検索できる和え物レシピ一覧をまとめています。

「胡麻和え」「白和え」「酢味噌和え」などの定番から、旬野菜を使った一品まで幅広く対応していますので、今日の副菜選びや献立作りの参考にご活用ください。

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和え物とは?〜基本の考え方〜

和え物は下ごしらえした食材に和え衣をまとわせ、素材の味と食感を引き立てる副菜です。加熱の中心は「ゆでる」「蒸す」が多く、味を“含ませる煮物”や“香ばしさを足す焼き物”とは違い、下処理の段階で味を決める料理といえます。

家庭料理ではほうれん草・春菊・小松菜・いんげん・ブロッコリーなどの旬野菜がよく使われ、短時間で作れる・献立が整う・栄養バランスを補えるという点からも、副菜として非常に優秀なカテゴリーです。

和え物の味づくりの基本は、次の3つに集約されます。

ポイントねらい
①素材に火を通しすぎない食感を残し、歯ざわりを活かす
②水気をしっかり切る味が薄まる・水っぽくなるのを防ぐ
③和え衣は少量で味を決める“まとわせる”感覚が大切
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

和え物は 「水分の管理=仕上がりの決め手」 です。食材から出る余分な水分を抑えれば、少ない調味料でもしっかり味が決まり、素材の持ち味も引き立ちます。

和え物をおいしく仕上げる黄金比

和え物は “少量の調味料で味を決める料理” です。
そのため、味のバランスが取りやすい 黄金比(味の基本式) を覚えておくと、どの食材でも安定した仕上がりになります。


基本の甘辛バランス

用途黄金比味の印象
甘辛系
(胡麻和えなど)
砂糖1:醤油1子どもも食べやすい甘辛
さっぱり系
(おろし和えなど)
酢1:醤油1:砂糖0.5後味さっぱり、野菜向き
コク系
(白和えなど)
味噌1:砂糖1:醤油0.3まろやかで濃厚

※和える量の目安:和え衣 大さじ1 = 1〜2人分の副菜量


代表的な和え衣とミニ黄金比

和え衣黄金比相性のよい食材
胡麻和えすりごま1
砂糖1
醤油1
ほうれん草
小松菜
いんげん
酢味噌和え味噌2
砂糖1
酢1
わかめ
タコ
ぬた系
白和え豆腐5
味噌1
砂糖1
醤油0.3
ほうれん草
人参
こんにゃく
からし和え醤油1
みりん1+からし適量
春菊
青菜全般
梅和えたたき梅1
砂糖0.3
醤油0.3
きゅうり
大葉
鶏ささみ

黄金比さえ決まれば、あとは食材を変えても味が安定します。
この思想は和え物最大の強みであり、レパートリーが一気に増える理由でもあります。

失敗しない和え物の3つのコツ

和え物が失敗する原因の多くは、味付けではなく 「水分管理」と「下ごしらえ」 にあります。特に青菜系は水っぽくなりやすく、味がぼけてしまうため、まずは次の3つを意識することが大切です。


下茹では“固め”に仕上げる

目的効果
食材の水分・アクを適度に抜くえぐみ軽減・食べやすい食感に
火を通しすぎない和えた後もシャキッと仕上がる

✅ 下茹では 八分目(少し歯ごたえが残る程度) がベスト
→ 和え物は 仕上げで加熱しない ため、ここで食感が決まる


水気をしっかり切る(最重要)

和え物の失敗No.1が 「水分で味が薄まる」問題。次の2段階で水気を抜くと、味が決まりやすくなります。
水分が残ると…
→ 調味料が絡まない
→ 味がぼやける
→ べしゃっと重たい仕上がりになる

方法ポイント
ザル上げで粗冷ましここで半分以上の水分が落ちる
手で軽くしぼる/ペーパーで押さえる“押す”感覚で水を取ると食感がつぶれない

和え衣は“少量で味を決める”

和え物は まとわせる料理 なので、調味料の入れすぎは禁物。

コツ意味
衣は少量から加える味の決定が早く、失敗しない
食材が温かいうちに半量なじませる味が入りやすい
仕上げは食べる直前に和える水が出にくい・香りが立つ
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

失敗しない和え物の手順
①硬めに下茹で
②水はしっかりと切る(絞る)
③まずは少量の和え衣で和える
④食べる直前に仕上げの衣で和える


和え物レシピ一覧

和え物は、季節の野菜や身近な食材で楽しめる副菜の代表格です。このページでは、和え衣の種類や食材から選べる和え物レシピの一覧をまとめています。献立作りの際や、あと一品ほしいときなど、目的に合わせてお使いください。

今後もレパートリーを追加していく予定です。和え物作りの基本と黄金比を押さえたうえで、まずは気になる一品からお試しください。

季節食材名前
春・冬春菊・茸春菊と茸のお浸し
春・冬菜花・からし菜花のからし和え
筍・木の芽筍の木の芽和え
秋・冬水菜・舞茸水菜と舞茸のお浸し
夏・秋莢隠元
胡麻
莢隠元の胡麻和え
秋・冬豚肉
大根
豚バラ肉のおろしポン酢
夏・秋プチトマトプチトマトの赤ワイン漬け
おかひじき
小柱
おかひじきと小柱の山葵和え

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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