水の代わりにトマトジュースを使ったら、食パンはどうなるのか。
今回は水分の64%すべてをトマトジュースに置き換えた食パンをホームベーカリーで焼いてみました。
トマトジュースは水分だけでなく、酸味・糖分・色味・香りをすべて含んだ素材です。入れすぎると生地が壊れそうな一方で、うまくはまれば風味のあるパンになる可能性もあります。
色はどこまで赤くなるのか。酸味は残るのか、それとも焼成で飛ぶのか。膨らみや食感に悪影響は出ないのか。
正直、失敗してもおかしくない条件でしたが、実際に焼いてみると意外な結果になりました。トマトジュース64%配合の食パンがどう仕上がったのか、ホームベーカリー奮闘記として正直にまとめます。
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結論

トマトジュースの食パンはピザのような風味の仕上がりでした
見た目は全体にオレンジ色に仕上がり、持った感じは軽く、想像以上にしっかり膨らんだ印象です。食感自体は悪くありませんが、口にするとわずかな酸味とともにトマトの風味が後味に残るため、通常の食パンとして食べると好みは分かれそうです。サンドイッチには相性が良い食パンに仕上がりました。
このレシピを試した理由
トマトジュースを水の代わりに使ったら、食パンがどう変わるのかを一度確かめてみたかったというのが理由です。特別な完成形を狙ったというよりも、トマトジュースを64%入れた場合、ホームベーカリーではどんな挙動になるのかを知りたくて試しました。
トマトジュースは水分だけでなく、酸味や糖分、色味や香りも含んだ素材です。これらが生地にどう影響するのかは、実際に焼いてみないと分かりません。まずは細かい調整をせず、シンプルに置き換えた状態で焼いたらどうなるのか。その確認を目的として、このレシピを試しました。
レシピと条件
※この原価表は、当時実際に使用していた材料価格をもとに算出しています。
現在は原材料価格が変動しているため、あくまで目安としてご覧ください。
レシピ|トマトジュース64%の食パン
| 材料 | 割合(%) | 分量 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 強力粉 | 100 % | 250g | 95 円 |
| ドライイースト | 1.2 % | 3g | 16.8 円 |
| トマトジュース | 64 % | 160 cc | 44.8 円 |
| 生クリーム | 16 % | 40 g | 34 円 |
| 砂糖 | 4 % | 10 g | 2 円 |
| 塩 | 2 % | 5 g | 1 円 |
| バター | 4 % | 10 g | 20 円 |
※今回使用した材料は、製菓・製パン材料専門店「コッタ」で購入しました。
同じ材料を探したい方はこちら。▶ コッタ公式サイトを見る
条件
今回使用したホームベーカリーはPanasonic SD-BH104(廃盤モデル)
発売からかなり年数が経っていますが、現在も安定した焼き上がりで現役使用中です。
| 日付 | 2021.4.4 |
| 室温 | 20℃ |
| 湿度 | 64℃ |
| 天気 | くもり |
| タイマー予約 | アリ |
| ホームベーカリーの設定 | ソフトモード 焼き上がり「淡」 |
実際の焼き上がりと食感
膨らみ
トマトジュースを64%使用していますが、発酵は想像以上に安定しており、しっかりとした膨らみが出ました。焼き上がり後に持ってみると軽さがあり、水分を多く置き換えた配合としては重たい印象はありません。見た目以上に、中身は軽めの仕上がりです。
焼き色
全体は鮮やかなオレンジ色に仕上がり、通常の食パンとは明らかに違う見た目です。焦げやムラはなく、トマトジュース由来の色が均一に入っています。食パンというより、加工前提のベース生地のような印象を受けます。
クラム
クラムは比較的きめがそろっており、小さな空洞はありますが大きな空洞は見られません。トマトジュースが生地全体になじんでいるため、断面からもオレンジ色がはっきり分かる状態です。
食感
焼き上がり時には、パンの香ばしさに加えてトマトの香りが立ち、どこかピザを思わせる匂いが広がります。食べると、わずかに酸味があり、後味にトマトの風味が残るのが特徴です。単体で食べると好みは分かれますが、決して不味いわけではなく、少し変わった味の食パンという印象です。
なぜこの結果になったのか(仮説)

今回の仕上がりは、トマトジュースの性質がそのままパンに反映された結果だと考えられます。トマトジュースに含まれる酸味と風味が、生地に強く影響し、膨らみは十分ある一方で、後味にトマトの味が残る個性的な食パンになりました。
また、水分の多くをトマトジュースに置き換えたことで、生地は軽く仕上がり、見た目もオレンジ色に変化。焼き上がり時にピザのような香りが立ったのもこの影響と考えられます。
結果として、単体で食べるより、サンドイッチや加工向きの食パンになったといえます。
再現するためのポイント

・水分はトマトジュース主体になるため入れ過ぎない
→ 全量置き換えにすると酸味と風味が強く出やすい
・甘みや油脂は控えめにする
→ バターや砂糖を増やすとトマトの後味が重くなりやすい
・単体で食べる前提ではなく、加工用(サンドイッチ・トースト)として考える
→ ハム・チーズ・卵などと相性が良い
・焼き色や見た目は通常の食パンと異なるため、色味の変化を楽しむつもりで焼く
私が作成したパンの一覧はコチラに掲載しています。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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