「ナマズは泥臭くて食べにくい」というイメージをお持ちではありませんか?実は、25年以上板前として多くの魚を扱ってきた私が断言したいのは、適切な下処理を施したナマズは「白身の王様」と呼べるほど上品で、深い味わいを持っているということです。
特に冬の時期の「寒ナマズ」は、体にたっぷりと脂を蓄え、その濃厚な甘みは「白身のウナギ」と称されるほど絶品です。
この記事では、ナマズ特有の臭みを完全に消すプロ直伝の「泥抜き」のコツから、身をふっくらジューシーに仕上げる蒲焼きや天ぷらの秘訣まで、料理人ならではの視点で詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、ナマズという食材が持つ奥深い魅力に気づき、家庭でもプロの味を再現してみたくなるはずです。
ナマズの旬|冬の「寒ナマズ」が白身の王様と呼ばれる理由

なまずの旬は12月から2月ごろ
ナマズの本当の美味しさを知るなら、12月から2月にかけての「寒ナマズ」を外すことはできません。25年以上板前として魚を扱ってきましたが、この時期のナマズはまさに「白身のウナギ」とも呼べるほど、濃厚な脂の甘みが楽しめます。
冬は水温が下がりナマズの活動が鈍くなるため、淡水魚特有の泥臭さが抜けやすく、身がギュッと締まるのが特徴です。この時期の脂の乗った身を蒲焼きや天ぷらにすると、他の魚では味わえない、口の中でとろけるような食感を堪能できます。
12月や2月の寒い時期にこそ食べてほしい、最高に旨い魚介類については、こちらの特集ページもぜひチェックしてみてください。
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ナマズとは? 〜食としての魅力と歴史〜

ナマズは、古くから日本の食文化を支えてきた代表的な淡水魚です。見た目のユニークさから敬遠されることもありますが、料理人の視点で見れば、これほど「上品な白身」と「濃厚な旨味」を兼ね備えた食材は他にありません。
江戸時代から愛される「スタミナ食材」
日本では江戸時代以前から、ウナギと並ぶ貴重な滋養強壮の食材として親しまれてきました。特に冬の「寒ナマズ」は、厳しい寒さを乗り切るための良質な脂を蓄えており、その味わいは「川のフグ」や「白身のウナギ」と称されるほどです。
食材としての3つの特徴
- クセのない上質な白身:
適切な下処理(泥抜き)を施したナマズの身は、驚くほど淡泊で臭みがありません。 - 加熱で際立つふっくら感
火を通すと身がふっくらと膨らみ、お刺身では味わえない独特の弾力とジューシーさが生まれます。 - 捨てるところがない万能さ
身はもちろん、ゼラチン質たっぷりの皮や、春にしか味わえない希少な卵など、一匹丸ごと余すことなく料理に活かせるのが魅力です。
25年の板前が語るナマズの「品格」
板前として25年以上、様々な川魚を扱ってきましたが、ナマズは調理法によって「家庭的な味」から「高級料亭の味」まで、驚くほど表情を変える面白い魚です。
泥臭いイメージを持たれがちですが、実はそれは下処理次第。丁寧に扱われたナマズの蒲焼きや天ぷらは、一口食べればその「品のある甘み」に驚かされるはずです。まさに、知る人ぞ知る日本の伝統的なご馳走と言えるでしょう。
プロ直伝!ナマズの泥抜きと下処理のコツ
ナマズが「泥臭い」と言われるのは、実はこの下準備が不十分なだけ。25年以上魚と向き合ってきた経験から断言しますが、正しい手順を踏めば、ナマズは驚くほど上品で真っ白な白身に仕上がります。
泥抜きの極意:真水で数日間泳がせる
ナマズを美味しく食べるために、最も避けて通れないのがこの「泥抜き」です。
- 方法
きれいな真水を入れた容器にナマズを入れ、数日間泳がせます。 - 期間
最低でも3日、できれば5日から1週間ほど時間をかけると、胃の中が空になり泥臭さが完全に抜けます。 - 冬のメリット
12月から2月の寒い時期は、ナマズの活動が鈍るため、夏場よりも泥臭さが抜けやすく、身が締まって上質な白身を楽しめる最高のタイミングです。 - 注意点
毎日、新鮮な水に替えて清潔な環境を保つことが大切です。
強力な「滑り(ヌメリ)」を攻略する
ナマズの表面にある独特の滑りは、臭みの大きな原因になります。
- 塩もみ
ボウルにナマズを入れ、たっぷりの塩を振って力強く揉み洗いします。滑りが白く浮き出てきたら、流水で一気に洗い流してください。 - 湯引き
沸騰したお湯を皮目にサッとかけ、表面が白くなったらすぐに冷水に取ります。 - 仕上げ
冷水の中で、包丁の背を使って残った滑りや汚れを優しくこそげ落とします。このひと手間で、料理の仕上がりの透明感が劇的に変わります。
血抜きと内臓の慎重な処理
- 希少な卵
春(4月〜5月)の時期のメスは、希少な卵を持っていることがあります。卵は白子のようにふわふわとして天ぷらにすると絶品なので、内臓を取り出す際は傷つけないよう慎重に行ってください。 - 血抜き
魚を締めた後は、背骨沿いの血をブラシなどできれいに洗い流します。血が残ると、せっかくの白身が台無しになってしまいます。

現役和食調理師のヒント
ナマズは非常に滑りやすく、慣れないと包丁を使うのが危ないこともあります。そんな時は、まな板の上に新聞紙や厚手のキッチンペーパーを敷いてみてください。これだけで魚が安定し、格段に捌きやすくなります。安全に美味しく調理するための、現場の知恵です。
板前が選ぶ、ナマズの美味しさを極める調理法
ナマズは白身でありながら、しっかりとした脂と旨味を持っているため、和・洋どちらの技法でも主役になれる実力を持っています。
蒲焼き(かばやき)|ナマズ料理の真骨頂

江戸時代から愛されてきた、ナマズの魅力を最も堪能できる方法です。
- 特徴: 特に冬の「寒ナマズ」は、ウナギに負けない脂の乗りを楽しめます。
- プロのコツ: 皮目にゼラチン質が多いため、少し強めに焼いて皮をパリッとさせることで、身のふっくら感との対比が際立ちます。甘辛いタレと山椒の香りが、ナマズの甘みを一層引き立てます。
天ぷら・唐揚げ:ふわとろ食感の驚き

揚げ物は、ナマズ初心者の方に最もおすすめしたい調理法です。
- 特徴: 揚げたてのナマズは、白身が口の中でホロリと解ける「ふわとろ」の食感が楽しめます。
- プロのコツ: 春先(4月〜5月)に運よく卵を抱えた個体が手に入れば、ぜひ「卵の天ぷら」を試してください。白子のような濃厚な味わいは、この時期だけの贅沢です。
味噌煮・なまず汁:心温まる伝統の味

ナマズの出汁(だし)の旨味を余すことなく味わえる方法です。
- 特徴: ナマズは味噌との相性が抜群に良く、煮込むことで身の甘みが煮汁に溶け出します。
- プロのコツ: ごぼうや白ねぎと一緒に煮ることで、川魚特有の風味を上品な香りに昇華させることができます。仕上げに少し生姜を効かせるのが板前流です。
フライ・ムニエル:洋風でも輝く白身
意外に思われるかもしれませんが、海外でも人気の高い食べ方です。
- 特徴: タルタルソースやバターのコクが、淡泊なナマズの身によく合います。
- プロのコツ: 衣にパン粉をつけてカリッと揚げることで、お子様でも食べやすい一皿になります。身が厚いので、ムニエルにする際はじっくり火を通すとジューシーに仕上がります。
調理法別:おすすめの相性まとめ
| 調理法 | 相性の良い食材・調味料 | 期待できる効果 |
| 蒲焼き | 山椒 タレ ご飯 | 濃厚な脂の甘みを引き出す |
| 天ぷら | 塩 レモン 卵(春限定) | 究極の「ふわふわ感」を楽しむ |
| なまず汁 | 味噌 ごぼう、 生姜 | 体が温まる、深い出汁の旨味 |
| フライ | タルタルソース ソース | 臭みを感じさせず、食べやすさ満点 |
ナマズと相性抜群の食材一覧表
| 食材 | 相性の良さ・料理のポイント |
| 生姜 | ナマズ料理に欠かせない最強のパートナーです。煮付けや叩き揚げに多めに入れることで、臭みを消して風味を格上げします。 |
| にんにく | スタミナ満点の蒲焼きや炒め物に。香ばしい香りがナマズの濃厚な脂と非常によく合います。 |
| 山椒 | 蒲焼きの仕上げにはもちろん、揚げ物にも。ピリッとした刺激が白身の甘みを引き立てます。 |
| 柑橘類(レモン・すだち) | 揚げたての天ぷらや唐揚げに。酸味が後味をさっぱりとさせ、クセを完璧に抑えてくれます。 |
| 白ねぎ・玉ねぎ | 一緒に煮込むと甘みが出て、ナマズの出汁と調和します。南蛮漬けや鍋料理におすすめです。 |
| ごぼう | 根菜特有の土の香りが、ナマズの力強い旨味と相乗効果を生みます。 |
| 大根 | おろし和えや鍋の具材に。水分を適度に吸い込み、ナマズの旨味を余すことなく楽しめます。 |
| 味噌 | 「ナマズには味噌」と言われるほど相性が良く、ゴマ味噌鍋やホイル焼きにするとコクが深まります。 |
| 塩麹 | 漬け込むことで身がさらに柔らかくなり、アミノ酸の働きで旨味が倍増します。 |
| タルタルソース | フライにする際の定番。濃厚な卵のソースが、ふっくらしたナマズの身を包み込みます。 |

現役和食調理師のヒント
もしナマズ特有の香りがどうしても気になる場合は、紫蘇(しそ)やパセリ、バジルといった香りの強いハーブを細かく刻んで衣に混ぜたり、仕上げに散らしたりしてみてください。これだけで驚くほど洗練された味わいになり、川魚に馴染みがない方でも美味しく召し上がっていただけます。
なまずの栄養素(食品成分表)
なまず(生)
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 55 | % |
| エネルギー | 145 | ㎉ |
| 水分 | 72.0 | g |
| タンパク質 | 18.4 | g |
| 脂質 | 8.6 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | – | g |
| ナトリウム | 46 | ㎎ |
| カリウム | 320 | ㎎ |
| カルシウム | 18 | ㎎ |
| マグネシウム | 23 | ㎎ |
| リン | 170 | ㎎ |
| 鉄 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.6 | ㎎ |
| 銅 | 0.03 | ㎎ |
| マンガン | 0.02 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | — | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 70 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 4.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 6.3 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.33 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.1 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.8 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.16 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 2.3 | ㎍ |
| 葉酸 | 10 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.81 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | – | ㎎ |
