見た目はトゲトゲしくてちょっと怖い「おこぜ(虎魚)」ですが、じつは高級魚として珍重される絶品の白身魚。刺身や唐揚げ、味噌汁の具材としても人気があり、プロの料理人にも好まれます。
特に旬の時期には、ぷりぷりとした身と上品な甘みが際立ち、ふだん魚をあまり食べない方にもおすすめできる一品です。
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虎魚(おこぜ)の旬(おいしい時期)
おこぜ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|

現役和食調理師のヒント
虎魚は「春から初夏(4月〜6月)」がもっとも美味。特に5月の天然物は、身がふっくらとして上品な甘みがあり、刺身でも煮付けでも絶品です。産地としては、瀬戸内海・九州北部・山陰地方が有名です。
虎魚とは ~解説~

虎魚(おこぜ)は、カサゴ目オニオコゼ科に属する海水魚で、見た目はゴツゴツとした岩のような姿が特徴。外見に反して、その白身は淡泊でクセがなく、高級魚として珍重されています。
特徴と味わい
- 白身で透明感があり、繊維が細かく上質
- 旨味が強く、刺身・唐揚げ・煮付け・椀物など幅広く使える
- 熱を通すとふんわりとした食感になり、出汁も上品
食感
- 生食:しっとりとした弾力と甘み
- 加熱:ふわふわでジューシー、煮崩れしにくい
種類
「オニオコゼ(鬼虎魚)」や「イズオコゼ」など、数種類が流通していますが、一般的に食用とされるのは「オニオコゼ(Synanceia verrucosa)」やその近縁種です。
毒部位に注意
背ビレの棘に強い毒(刺毒)を持ちます。調理時には必ず棘を取り除く必要があります。

現役和食調理師のヒント
仕入れ時は毒のある棘を持つため注意が必要ですが、調理後の身は非常に美味。下処
毒の部位と注意点(安全な食べ方)
おこぜ(虎魚)は、その見た目のとおり鋭いトゲを持ち、背ビレに毒をもつことで知られています。特に背ビレの棘(とげ)には毒腺があり、刺されると激しい痛みや腫れ、水ぶくれ、場合によっては発熱や吐き気を引き起こすこともあります。
安全な取り扱い・捌き方のポイント
直接手を触れないようにし、念のため軍手や滑り止め付き手袋を使いましょう。
背ビレの位置をしっかり確認する
頭のすぐ後ろから背中にかけて立ち上がるヒレの棘が危険です。
キッチンバサミで棘を先に切り落とす
手で触れずにハサミやトングを使用し、棘を根元から安全に除去します。
ゴム手袋の着用をおすすめ
直接手を触れないようにし、念のため軍手や滑り止め付き手袋を使いましょう。

現役和食調理師のヒント
プロの現場でも、おこぜは「刺されたら1日潰れる」と言われるほど警戒される魚です。調理に慣れていない場合は、市場や鮮魚店で下処理してもらうのが最も安全です。
虎魚の地方名
虎魚(おこぜ)は、地域によってさまざまな呼び名があります。特に西日本を中心に高級魚として扱われており、地方市場では独自の名称で流通しています。
| 地域 | 呼び名 | 備考 |
|---|---|---|
| 関東地方 | オコゼ | 一般的な呼び方 |
| 関西地方 | オコゼ オニオコゼ | 高級魚として料亭で使用されることも |
| 山陰地方 | ゴチ ゴツイオコゼ | 「ごつい外見」に由来する俗称 |
| 九州地方 | オコゼ | 天然物は特に珍重される |
| 愛媛県など | ゴチ グチ | 地域によっては他魚との混同に注意 |

現役和食調理師のヒント
地方名の「ゴチ」は、他魚(例えばイシモチ=グチ)と混同されやすいですが、オコゼの「ゴチ」は「ごつい姿」から来ています。市場で購入する際は見た目と名称の両方を確認しましょう。
虎魚の目利き(鮮度の見分け方)
虎魚は見た目がいかついため選びにくい印象がありますが、ポイントを押さえると鮮度の良い個体を見分けられます。
| チェックポイント | 見分け方のコツ |
|---|---|
| 目 | 澄んでいて濁りがない。くぼんでいないものが◎。 |
| ヒレ | 背ビレや胸ビレがピンと張っている。乾燥していない。 |
| 体表 | 粘り気がありヌメリがあるほうが新鮮。乾燥していないこと。 |
| におい | 生臭さが少なく、ほんのり磯の香りがあるもの。 |
| 身の張り | 触ったときに弾力がある。柔らかすぎると鮮度が落ちている。 |

現役和食調理師のヒント
オコゼは毒を持つトゲに注意が必要ですが、鮮度の高いものは唐揚げや薄造りにしても絶品。買うときは店員さんに捌いてもらうのが安全です。
虎魚と相性の良い食材
| 食材 | 組み合わせの理由 |
|---|---|
| すだち 柚子 | 唐揚げや刺身に添えて爽やかに。脂の強さを引き立てる。 |
| ポン酢 | 皮や白身の刺身にぴったり。さっぱりとした酸味が好相性。 |
| 昆布 | 昆布締めにすると旨味が凝縮し、食感も引き締まる。 |
| 大根 | 煮付けに合わせると淡白な身に甘辛い味がよく染みる。 |
| 梅肉 | 和え物や蒸し料理に。風味と酸味でさっぱり仕上がる。 |

現役和食調理師のヒント
虎魚は見た目に反してクセが少なく、上品な白身なのでさまざまな薬味や出汁素材と相性抜群。特に和の食材との組み合わせが映えます。
虎魚に合う調理法
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 唐揚げ | ◎ | 骨が多いが揚げることで旨味が凝縮し、皮も香ばしく仕上がる。定番の一品。 |
| 刺身 | ◎ | 新鮮な白身はコリコリとした食感が魅力。高級料亭でも提供される。 |
| 煮付け | ○ | 淡白な身に甘辛い味がしっかり染みるが、火加減に注意。 |
| 蒸し物 | ○ | 身がふっくらと仕上がり、梅肉やポン酢との相性も良い。 |
| 焼き物 | △ | 身がやや硬くなりやすく、焼き過ぎると風味が損なわれる。 |

現役和食調理師のヒント
虎魚は下処理が難しい分、丁寧に扱えば非常に上品な味わいになります。特に「唐揚げ」は骨や皮まで楽しめるため、家庭でもおすすめの調理法です。
おこぜの栄養素(食品成分表)
おこぜ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 60 | % |
| エネルギー | 81 | ㎉ |
| 水分 | 78.8 | g |
| タンパク質 | 19.6 | g |
| 脂質 | 0.2 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.2 | g |
| ナトリウム | 85 | ㎎ |
| カリウム | 360 | ㎎ |
| カルシウム | 31 | ㎎ |
| マグネシウム | 26 | ㎎ |
| リン | 200 | ㎎ |
| 鉄 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.7 | ㎎ |
| 銅 | 0.03 | ㎎ |
| マンガン | 0.21 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 2 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 1.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.4 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.12 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.4 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.08 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 0.6 | ㎍ |
| 葉酸 | 3 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.51 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | – | ㎎ |
- 高たんぱく・超低脂質:タンパク質 19.6 g/脂質 0.2 g。脂質を抑えたい人向き。
- 電解質:カリウム 360 mg、ナトリウム 85 mg(控えめ)。むくみケアや塩分バランスに◎
- ミネラル:リン 200 mg、マグネシウム 26 mg。骨・エネルギー代謝をサポート。
- 微量元素:亜鉛 0.7 mg、マンガン 0.21 mg。酵素反応や抗酸化に関与。
- ビタミン:ビタミンD 1.0 µg、B群(B1 0.01 mg、B2 0.12 mg、B6 0.08 mg)、パントテン酸 0.51 mg。
こんな人に
減量・ボディメイク:高たんぱく&超低脂質でカロリーを抑えやすい。
塩分を控えたい:ナトリウムが低めで扱いやすい魚。
食べ方のコツ
- 旨みが強い白身なので、蒸す・湯引き・清蒸・吸い物など脂を追加しない調理が相性◎
- ビタミンCが多い食材(柑橘、パプリカ、大根おろしなど)と合わせると、鉄(0.4 mg)の吸収補助に。
- カリウムが豊富な葉物・きのこと合わせると、むくみ対策メニューにまとまります。
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英語・漢字表記

| 表記 | 内容 |
|---|---|
| 漢字 | 虎魚(おこぜ) |
| 英語 | Devil stinger(デビル・スティンガー) |
| 学名 | Inimicus japonicus |
| 発音記号 | [ˈdɛvəl ˈstɪŋɡər] |
| カタカナ読み | デビル・スティンガー |
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