キチジとキンキって同じ魚?
どんな味?高級って聞くけど本当?
英語ではどう表記する?
そんな疑問を持っている方へ。
【喜知次(きちじ)/キンキ】は、北海道や東北地方で愛されてきた、脂ののった高級魚。煮つけはもちろん、焼いても揚げてもとろけるような旨さが味わえます。
英語では「Kichiji rockfish」や「Channel rockfish」と表記されます
このページでは、喜知次の特徴・旬・おすすめの食べ方・栄養・英語表記まで、
調理師の視点でわかりやすく解説します。
スーパーではなかなか出会えない「幻の魚」
その魅力を知れば、次に見かけたとき“迷わず買いたくなる”かもしれません。
※本記事には広告が表示されます。
喜知次の旬 ~おいしい時期~
きちじ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のヒント
きんきの最大の魅力は、皮下と身にたっぷりと蓄えられた上質な脂です。特に冬場の天然ものでは、箸で触れるだけで脂がじんわりにじむほど。
喜知次(きちじ)とは?特徴・味・食べ方の魅力

「キチジ」と「キンキ」は同じ魚?
【キチジ(喜知次)】と【キンキ】は同じ魚です。
標準和名は「キチジ」、一方「キンキ」は主に北海道や東北地方での地方名(流通名)です。市場や飲食店では「キンキ」と呼ばれることが多く、脂がのった高級魚として扱われています。
【喜知次(きちじ)/キンキ(Kinki、Kichiji rockfish)】は、寒流域の深海に生息し、その脂の乗りが最もよくなるのは、秋の終わりから冬にかけてです。産卵前後にたっぷりと脂を蓄え、肉質はとろけるよう。冬期には「海中の紅宝石」とも呼ばれ、高級魚として特に人気があります
どんな味?本当に高級なの?
【脂の質がとにかく上質】
身はやわらかく、口に入れると脂がじゅわっと広がるのが特徴で、【とろけるような食感と甘み】があります。骨離れも良く、皮下に厚い脂を持つため、シンプルな調理でも極上の味わいに。
🔸価格も高級で、特に天然物の大きめサイズは1尾数千円~数万円になることも。
きんきの代表的な食べ方
| 調理法 | 特徴 |
|---|---|
| 煮付け | 王道。脂が煮汁に溶け出し、濃厚な旨味を楽しめる |
| 塩焼き | 香ばしい皮と脂のバランスが絶妙。大根おろしや柚子胡椒と◎ |
| 一夜干し | 脂と旨味が凝縮され、ご飯にも酒にも合う |
| 味噌漬け 西京焼き | 甘みと香ばしさが引き立つ調理法。家庭でも挑戦しやすい |
- カサゴの仲間で体長は30cm程度まで成長する
- 水深150~600にいる深海魚で全身トゲだらけの魚
- 「釣りキンキ」というブランドがある
「釣りキンキ」=魚体を傷つけない漁法で釣りあげたらすぐに氷詰めにするので鮮度が良い - エサが海老なので魚体が赤い(海老の色素アスタキサンチンの影響)
- 脂がのり、見た目が鮮やかで華やかなので人気
- マスコミで取り上げられることが多く、高騰の原因にもなっている※関東では非常に値が高く、1キロ1万円を超えることがある。
- 日本海には生息しない

現役和食調理師のヒント
高いけど一度は食べたい魚って聞かれたら、私は迷わずキンキを挙げます。シンプルな煮付けが最高ですが、実は皮を炙ったお刺身も絶品。脂の質がすべてを語る魚です。

おかみさんの一言
「キンキの煮付け」は、うちの“静かになるごはん”。みんな無言でホロホロの身をしゃぶってるんです(笑)
喜知次(きちじ)の目利き
【キチジ(キンキ)】は、皮下脂肪が豊富な魚である分、【鮮度が落ちると脂が酸化しやすく、臭みや身崩れの原因になります】。価格が高いからこそ、以下のポイントを押さえてしっかり選びましょう。
鮮度のよいキンキの見分け方
| チェック項目 | 良い状態 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| 目 | 澄んで透明感があり、黒目がくっきり | 濁っていて、白っぽく曇っている |
| 体色 | 全体が鮮やかな朱赤色。ツヤとハリがある | くすんで褪せた赤色。乾燥・変色あり |
| 腹のハリ | ふっくらして弾力がある | 柔らかくしぼんでいる、破れている |
| におい | 海の香り。生臭さが少ない | 強い魚臭、酸味のあるにおいはNG |

現役和食調理師のヒント
キンキは【皮と脂が命】の魚。皮目のツヤと弾力は必ずチェックします。また、冷凍の場合でも「霜が少なく、ドリップのないもの」がベター。
喜知次(きちじ/キンキ)の保存方法|冷蔵・冷凍のポイント
【キチジ(キンキ)】は脂が豊富なため、保存状態に気をつけないと酸化や冷凍焼けで風味が落ちやすい魚です。購入後すぐに食べない場合は、用途に合わせて適切に保存しましょう。
冷蔵保存(1〜2日以内)
- そのまま保存する場合は、ラップで包んだ上でポリ袋に入れ、チルド室へ
- 開いてある場合はキッチンペーパーで水気をふき取り、ラップ+密閉容器で保存
- におい移りを防ぐため、魚専用の保存容器や脱臭剤を活用すると◎
🔸おすすめ用途:煮付け、塩焼き、西京焼きなどすぐ使う場合
冷凍保存(2〜3週間)
- 頭・内臓を取り除き、よく水気を拭き取ることが重要
- 一尾ずつラップで包み、ジッパー付き袋で空気をしっかり抜いて冷凍庫へ
- 冷凍する前に味噌漬け・西京漬け・一夜干しに加工しておくと、解凍後の味が安定します
🔸解凍は冷蔵庫でゆっくり行い、ドリップを吸収するようキッチンペーパーで包んでおくと◎

現役和食調理師のヒント
キンキは【脂が命なので、空気に触れさせないのが最優先】
特に冷凍時は「ピチッとシート」や「脱気パック」を使えば、家庭でもかなり良い状態で保存できます。
喜知次と相性の良い食材
キンキはとろけるような脂が魅力の魚。
その旨味を引き立てるには、【香味野菜や発酵調味料、酸味系食材】との組み合わせが効果的です。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 大根おろし | 照り焼きや塩焼きの脂をさっぱり中和。定番の付け合わせ |
| 生姜 | 煮付けに加えることで魚の臭みを消し、香りが引き立つ |
| 西京味噌 | 脂の甘さと味噌のコクが調和。焼き物に最適 |
| すだち 柚子 | 焼き魚や一夜干しに添えると、香りで旨味が際立つ |
| 酒 みりん | 煮付けの基本。脂をまとめつつ、照りと旨味を引き出す |

現役和食調理師のヒント
キンキのように脂が強い魚こそ、香りと酸味で“抜け”を作るのがプロの技。煮付けにはたっぷりの酒と生姜、焼き物には柑橘と大根おろし。この黄金バランスを覚えておくだけで、家庭でも料亭の味に近づきます。
喜知次(きちじ/キンキ)に合う調理法【おすすめ度つき】
キンキは、【脂の旨さを活かせる“やさしい加熱”】がカギ。
煮ても焼いても美味しい万能魚ですが、調味や火加減で差が出る魚でもあります。
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 煮付け | 脂が煮汁に溶け出し、旨味が全体にまわる。王道の食べ方 | |
| 塩焼き | 脂の香ばしさと皮のパリッと感が魅力。柑橘との相性も◎ | |
| 西京焼き | 甘めの味噌が脂と調和。漬け込むことで旨味が凝縮 | |
| 一夜干し | 水分が抜けて身が締まり、旨味が凝縮。冷凍にも向く | |
| 刺身(炙り) | 脂が強すぎるため、好みが分かれる。炙りにするとバランスが良い | |
| 揚げ物(唐揚げ) | 脂が衣に逃げてしまい、風味が落ちやすい。小型なら可 |

現役和食調理師のヒント
「きんきは煮付け一択」なんて言う人もいますが、【塩焼き+すだち+大根おろし】も実は捨てがたい組み合わせ。
喜知次の栄養素 食品成分表
きちじ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 238 | ㎉ |
| 水分 | 63.9 | g |
| タンパク質 | 13.6 | g |
| 脂質 | 21.7 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | – | g |
| ナトリウム | 75 | ㎎ |
| カリウム | 250 | ㎎ |
| カルシウム | 32 | ㎎ |
| マグネシウム | 32 | ㎎ |
| リン | 130 | ㎎ |
| 鉄 | 0.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.11 | ㎎ |
| マンガン | – | ㎎ |
| ヨウ素 | 84 | ㎍ |
| セレン | 58 | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 65 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 4.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.4 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.07 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.8 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.0 | ㎍ |
| 葉酸 | 2 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.20 | ㎎ |
| ビオチン | 0.8 | ㎍ |
| ビタミンC | 2 | ㎎ |
▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
喜知次(きちじ/キンキ)の英語・漢字表記

| 項目 | 表記・内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 喜知次(きちじ) ※地方名:キンキ |
| 英語表記 | Kichiji rockfish Channel rockfish |
| 学名 | Sebastolobus macrochir |
| 発音記号 | ˈkɪʧiʤi ˈrɑkˌfɪʃ |
| カタカナ読み | キチジ・ロックフィッシュ チャンネル・ロックフィッシュ |
英語では “rockfish” というざっくりした呼び方が多いですが、“Kichiji rockfish” と表記されていれば、それは高級魚キンキのことです。
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
関連記事
鰆 さわら(Spanish mackerel)
公魚 わかさぎ(Japanese pond smelt)
赤鯥 あかむつ(Blackthroat seaperch)
金目鯛 きんめだい(alfonsino)
