太刀魚が手に入ったとき、塩焼きや刺身もいいですが、少し目先を変えたいなら「焼き南蛮」がおすすめです。
南蛮漬けというと油で揚げて甘酢に漬けるのが一般的ですが、この焼き南蛮は揚げません。フライパンで香ばしく焼き、南蛮酢の酸味をあえて飛ばして作ります。酸味を飛ばすとカドが取れてコクが出て、揚げ物より軽く、それでいてしっかりした味わいになります。
調理師として25年、魚を扱ってきた経験から、家庭でも失敗しないコツを添えて紹介します。
「焼き南蛮」とは?普通の南蛮漬けとの違い
一般的な南蛮漬けは、魚を油で揚げてから甘酢(南蛮酢)に漬け込みます。対して焼き南蛮は、油で揚げずにフライパンで焼き、南蛮酢を軽く煮立てて仕上げるのが特徴です。
違いは大きく二つあります。
一つは軽さです。揚げないぶん油っぽさがなく、太刀魚本来の上品な脂とほくほくした身が引き立ちます。
もう一つが「酸味を飛ばす」という工程です。南蛮酢を煮立てて酸味を軽く飛ばすと、酢のツンとしたカドが和らぎ、甘みと旨みが前に出てまろやかなコクになります。「南蛮漬けは酸っぱすぎて苦手」という方にも食べやすい仕上がりです。
材料(4人前)
- 太刀魚 … 1本
- 長ねぎ … 1本
- ししとう … 12本
- 油 … 適量
〔南蛮酢〕
- 出汁 … 500cc
- 酢 … 90cc
- 濃口しょうゆ … 90cc
- 砂糖 … 大さじ3
太刀魚は鮮度のよいものを選んでください。切り口が白く澄んでいて、身に張りがあるものが目安です。
作り方
1. 太刀魚の下処理
太刀魚はうろこがなく皮が薄い魚なので、下処理はシンプルです。水気をよく拭き取り、食べやすい長さ(7〜8cm程度)に切り分けます。
皮目に浅く切り込みを入れておくと、火の通りがよくなり、味も入りやすくなります。切り込みは身を貫かない程度に、皮の表面へ軽く入れるのがコツです。
2. 長ねぎとししとうの準備
長ねぎは4〜5cmの長さに切り分けます。ししとうはそのまま使いますが、破裂を防ぐため、竹串やようじで一か所穴をあけておきます。これを忘れると加熱中にパチンとはぜて油がはねるので、必ずやっておいてください。
3. フライパンで焼く
フライパンに油をなじませ、太刀魚を皮目から焼きます。太刀魚は皮が破れやすいので、動かさずにじっくり焼き、こんがり焼き色がついたら返します。両面を香ばしく焼き上げてください。
長ねぎとししとうも同じフライパンで焼きます。ねぎは外側がこんがり色づき、中まで軽く火が通るくらいが食べ頃です。焼けたものから順に取り出しておきます。
4. 南蛮酢を煮立てて酸味を飛ばす
鍋に出汁・酢・しょうゆ・砂糖を合わせて火にかけ、ひと煮立ちさせます。ここで酢の酸味を軽く飛ばすのがこの料理の肝です。
ぐつぐつと煮立てると、酢のとがった酸味がやわらぎ、甘みと出汁の旨みが前に出てまろやかになります。味をみて、酸味が飛びすぎない程度で止めてください。
5. 漬け込む
焼いた太刀魚・長ねぎ・ししとうを器やバットに並べ、温かい南蛮酢を回しかけます。しばらく置いて味を含ませれば完成です。
温かいうちに食べても、冷蔵庫で冷やして味を染み込ませてもおいしくいただけます。
プロが教える失敗しないコツ
太刀魚を身崩れさせない
焼いている間はできるだけ触らないこと。皮目をしっかり焼き固めてから返すと、身が崩れにくくなります。
酸味の飛ばし加減を見極める
煮立てすぎると酸味がなくなり、ただの甘辛い味になってしまいます。ツンとしたカドが取れて、ほんのり酸味が残るくらいがちょうどよい塩梅です。
ししとうの破裂を防ぐ
穴あけは必須。焼くときも油はねに注意してください。
よくある質問
Q. 太刀魚以外の魚でも作れますか?
はい。アジやサバ、鶏肉でもおいしく作れます。青魚は焼き南蛮にすると臭みがやわらぎ、食べやすくなります。
Q. どのくらい日持ちしますか?
南蛮酢に漬けた状態で冷蔵庫に入れ、2〜3日を目安に食べきってください。酢の効果で日持ちはしますが、早めがおすすめです。
Q. やっぱり揚げてもいいですか?
もちろん可能です。揚げるとより香ばしくボリュームが出ます。ただし焼き南蛮は軽さが持ち味なので、あっさり食べたい日には焼きがおすすめです。
まとめ
太刀魚の焼き南蛮は、揚げない手軽さと、酸味を飛ばしたまろやかなコクが魅力の一品です。普通の南蛮漬けに飽きた方、酸っぱいのが苦手な方にもぜひ試してほしい調理法です。
作り置きにも向くので、太刀魚が手に入ったときの一品にどうぞ。