ずいき(芋茎/芋がら)は、里芋やはす芋の茎(葉柄)を食用にした伝統野菜です。英語では「Stem of taro(タロの茎)」や「Taro stem」と表記され、地域や品種によって「赤ずいき」「白ずいき」「芋がら」などの別名で呼ばれます。夏から秋にかけて旬を迎え、酢の物や煮物などの和食に欠かせない季節食材。
本記事では、ずいきの英語表記・別名の違い・旬・選び方・保存方法・栄養素まで、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
💡海外の人に説明したい方や、英語で食材名を調べたい料理好きにもおすすめの内容です。
英語表記をもっと知りたい方はこちら
👉 野菜・果物180種の英語&漢字一覧表
※本記事には広告が表示されます。
ずいき(芋茎)とは?〜解説〜

ずいき(芋茎/芋がら)は、里芋(八ツ頭・赤芽芋など)やハス芋の葉柄(ようへい)=葉と茎の間の部分を食用にしたものです。主に夏から秋に出回り、シャキッとした歯ごたえと淡い味わいが特徴の伝統野菜です。
ずいきには、赤ずいき・白ずいき・青ずいき(りゅうきゅう)などの種類があります。
これらは表皮の色や栽培方法・品種によって分類されます。
赤ずいき
別名は(紅ずいき)とも呼ばれます。「赤ずいき」は八ツ頭や赤芽芋などの葉柄を利用した品種です。
鮮やかな赤紫色が特徴で、加賀野菜として知られています。煮るとほんのり赤色が残り、アントシアニン(ポリフェノールの一種)を多く含みます。大阪府貝塚市で栽培される「紅ずいき」も人気があります。
白ずいき
別名(軟白ずいき)とも呼ばれます。「白ずいき」は里芋や海老芋などの葉柄を光を遮って軟白栽培したものです。
光を当てないことで白く柔らかくなり、アクが少なく繊維もやわらかいのが特徴です。奈良県の「大和野菜」にも認定されており、関西地方を中心に「軟白ずいき」として親しまれています。
赤ずいきに比べてクセが少なく、酢の物や白和えに適しています。
青ずいき
「青ずいき」はハス芋の葉柄を利用したもので、茎の内部に無数の穴があるのが特徴です。
別名「りゅうきゅう」と呼ばれ、九州や沖縄で古くから食べられています。
独特のシャキシャキ感があり、炒め物や煮びたしに使われます。
芋がら(干しずいき)
ずいきを乾燥させたものを「芋がら」と呼びます。
水に戻して煮物などに利用でき、保存性と旨味が高まるため、昔から保存食として重宝されてきました。
成分と特徴
ずいきの主成分は水分と食物繊維でスポンジ状の繊維質を持っています。
アクの主成分はシュウ酸カルシウムで、独特のえぐみの原因となるため、調理前にはアク抜き(下処理)が欠かせません。
赤ずいきにはアントシアニン、白ずいきにはカリウムや食物繊維が多く含まれます。
主な産地
- 加賀(石川県):赤ずいき(加賀野菜)
- 奈良県:白ずいき(大和野菜・軟白ずいき)
- 大阪府貝塚市:紅ずいき
- 三重県津市:芸濃ずいき(地域ブランド)
ずいきの英語・別名・漢字表記

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 芋茎・芋柄 |
| ひらがな | ずいき |
| 英語表記 | Stem of taro Taro stem Taro stalk |
白ずいき・赤ずいき・青ずいきの英語
| 日本語名 | 英語表記例 |
|---|---|
| 赤ずいき (紅ずいき) | Red taro stem Red stem of taro |
| 白ずいき (軟白ずいき) | White taro stem Blanched taro stem |
| 青ずいき (りゅうきゅう) | Green taro stem Lotus stem (Ryukyu) |

現役和食調理師のヒント
海外の方に説明する際は、「It’s the edible stem of taro, often used in Japanese cuisine.(日本料理で使われる食べられるタロの茎です)」と伝えると理解されやすいです。
ずいきのおいしい時期(旬)
ずいき(芋茎)は夏から初秋にかけて旬を迎える野菜です。特に、6月〜9月がもっとも美味しい時期とされ、地域や品種によって出回り時期が少し異なります。
- 赤ずいき(八ツ頭・赤芽芋の葉柄)は初夏(6〜8月)に最盛期。
- 白ずいき(軟白ずいき)は7〜9月ごろに多く出回り、奈良県など関西地方で栽培されます。
- 青ずいき(りゅうきゅう)は温暖な九州・沖縄で6月〜10月に見られます。
ずいきは気温が高くなると茎がしっかりと伸び、繊維質も柔らかくなるため、この季節のずいきはシャキッとした歯ごたえとほのかな甘みを楽しめます。
ずいき
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
産地別の旬の特徴
| 産地 | 主な出荷時期 | 特徴 |
|---|---|---|
| 石川県 | 6〜8月 | 加賀野菜「赤ずいき」が有名。美しい赤紫色と独特の歯ごたえ。 |
| 奈良県 | 7〜9月 | 「大和野菜」認定の白ずいき(軟白ずいき)。柔らかく上品な味。 |
| 三重県津市 | 6〜8月 | 「芸濃ずいき」として地域ブランド化。みずみずしい食感。 |
| 大阪府貝塚市 | 6〜9月 | 「紅ずいき」の産地として知られる。漬物や酢の物に向く。 |

現役和食調理師のヒント
赤ずいきは酢を加えてゆでると色が鮮やかに残るため、旬の時期は酢の物やお浸しにするのがおすすめです。白ずいきはやわらかく、冷やし鉢や白和えなど、涼しげな夏の料理にぴったりです。
ずいきの選び方~目利き~
ずいき(芋茎)を選ぶときは、茎のハリ・色・切り口の状態が新鮮さを見分けるポイントです。赤ずいき・白ずいきで色味や質感に違いがありますが、基本の見方は同じです。
新鮮なずいきを見分けるポイント
| チェック項目 | 良い状態 |
|---|---|
| 茎のハリ | 全体にピンと張りがあり、みずみずしい |
| 色 | 赤ずいきは濃い赤紫色、白ずいきは白く艶がある |
| 切り口 | 乾いておらず、白く瑞々しい |
| 太さ | 均一で太めのものが柔らかく扱いやすい |
| 香り | 芋のようなやさしい香り |

現役和食調理師のヒント
ずいきは収穫後すぐに水分が抜けるため、できるだけその日のうちに下処理をしましょう。白ずいきは光で変色するので、新聞紙などで包んで冷暗所に置くときれいな色を保てます
ずいきの保存方法

ずいきは水分が多く傷みやすいため、購入後はできるだけ早く下処理することが大切です。保存方法は「生のまま」「下処理後」「干しずいき」によって異なります。
| 保存方法 | 処理方法 | 保存期間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 常温 | 生のまま | 2〜3日 | 風通しの良い日陰。白ずいきは新聞紙で包む。 |
| 冷蔵 | 下処理(アク抜き)後 | 2〜3日 | 酢を加えると色と鮮度をキープ。 |
| 冷凍 | 下処理後・水気を除く | 約1か月 | 解凍せずそのまま調理可能。 |
| 干し(芋がら) | 皮をむいて天日干し | 数か月 | 乾燥させると旨味が凝縮し長期保存可。 |
常温保存
- 保存期間:2〜3日程度
- 方法:新聞紙やキッチンペーパーで包み、風通しの良い日陰に置く。
- 注意点:冷蔵庫は低温障害を起こす場合があるため、なるべく避ける。
白ずいきの注意点
軟白栽培のため光に弱く、日光に当たるとすぐに変色します。保存時は新聞紙などで包み、暗い場所で保管してください。
冷蔵保存
- 保存期間:2〜3日程度
- 方法:アク抜き後に水気を切り、密閉容器に入れて冷蔵。
- 酢を加えた「酢漬け」にすると、変色を防いで日持ちが良くなります。
赤ずいきのポイント
下茹で時に酢を加えておくと、冷蔵中も赤い色がきれいに残ります。
冷凍保存
- 保存期間:約1か月
- 方法:アク抜きして水気をよく切り、食べやすい長さにカットして冷凍用袋へ。
- 使うとき:凍ったまま煮物や味噌汁に加えてOK。
注意
冷凍前に水分が残っていると、解凍時にベタつきやすくなります。
キッチンペーパーなどでしっかり水気を取るのがポイントです。
干しずいきとして長期保存
- 方法:皮をむいて3〜4cmほどに切り、天日で完全に乾燥させます。
- 保存期間:数か月〜半年以上
- 使い方:水で戻してから煮物や炒め物に。
- 特徴:風味と食感が凝縮し、常温で長期保存可能。
💡調理師メモ
干しずいきにする際は、晴天が続く日を選び、日中にしっかり乾燥させるのがコツ。
夜は湿気を避けるため、室内に取り込みましょう。
ずいきのあく抜き方法~下処理~

ずいきには「シュウ酸カルシウム」という強いアク成分が含まれており、そのまま調理すると舌がピリピリしたり、苦味が出たりします。調理前には必ずあく抜きをして、えぐみを除きましょう。
基本のあく抜き手順
1️⃣ 皮をむく
・茎の端を少し折り、皮を下方向にスッと引くようにむきます。
・赤ずいきは皮がやや厚く、白ずいきは薄くて柔らかめです。
2️⃣ カットする
・調理しやすい長さ(4〜5cmほど)に切ります。
・長いままだと均一に火が通りにくくなります。
3️⃣ 酢水にさらす(変色防止)
・ボウルに水1L+酢大さじ1を入れ、30分ほど浸します。
・赤ずいきの色を保つ効果もあります。
4️⃣ ゆでる(短時間)
・鍋に湯を沸かし、酢を少量(大さじ1ほど)加えます。
・中火で1〜2分ほどサッとゆで、竹串が通るくらいで引き上げます。
・ゆですぎると繊維が崩れるので注意。
5️⃣ 冷水にとる(色止め)
・すぐに冷水に取り、しっかり冷まします。
・赤ずいきの場合、冷水に酢を少し加えると色鮮やかに仕上がります。
6️⃣ 水気を切る
・キッチンペーパーなどで水分をしっかり拭き取り、調理または保存へ。

現役和食調理師のヒント
赤ずいきは「酢を使って赤を保つ」、白ずいきは「水で白を守る」がコツ。どちらも“さっと短時間”がポイントです。アク抜き後はしっかり水気を切ることで、煮物や酢の物が水っぽくならず上品に仕上がります。
ずいきと相性の良い食材

ずいきは味が淡白で、ほのかな甘みとシャキッとした食感が特徴です。そのため、酸味・香り・コクのある食材や調味料と組み合わせると、より一層おいしくなります。また、栄養面では食物繊維やカリウムの働きを助ける食材と相性が良いです。
| 食材・調味料 | 相性の理由 |
|---|---|
| 酢 | 酸味でずいきのアクをやわらげ、赤ずいきの色を美しく保つ |
| ごま 味噌 | 香ばしさとコクが加わり、淡白な味を引き締める |
| 出汁 薄口醤油 みりん | 含め煮やおひたしなど和風だしとの相性抜群 |
| 油揚げ | 油のコクと旨味が加わり、煮物の味がしっかり染みる |
| しょうが みょうが 大葉 | さわやかな香りで夏らしい風味に |
| 豆腐 白ごま | 白ずいきと合わせると淡い色合いで上品な仕上がり |
| 酢味噌 梅肉 | 酸味×甘味のバランスがよく、冷菜・酢の物にぴったり |
ずいきの主な調理法と使い方
| 調理法 | 使われ方・例 | 特長/コツ |
|---|---|---|
| 煮もの | ずいきと油揚げの煮もの | だし汁にじっくり味を含ませて柔らかく。茎は最後に入れて火を通す時間を短めに。 |
| 酢の物 和え物 | ずいきの酢の物 生ずいきの酢味噌かけ | 酢や酸味を使うと赤ずいきの色が引き立つ。白ずいきは淡色を生かしながら。 |
| ごま和え 胡麻マヨ和え | ずいきのごま和え ずいきと鶏ささみの胡麻マヨネーズ和え | ごまの風味とクリーミーさが淡白な味を引き立てる。加熱段階少なめで仕上げる。 |
| きんぴら風 | ずいきのきんぴら | ごま油・醤油・砂糖などで炒め煮にする。繊維を残しつつ風味をつけやすい調理法。 |
| かき揚げ 天ぷら風 | ずいきと野菜のかき揚げ | 細切りにして衣を軽くつけて揚げる。サクッとした食感がアクセントになる。 |
| 炒め煮 | 生ずいきの炒め煮 ずいきと豚肉のガーリックソテー | 油脂・調味料と合わせて炒める。火を通しすぎずシャキッと感を残すように。 |
| 汁物 | 味噌汁の具 | 下ゆで済みずいきを使うとスープとの相性がよい。風味が溶け込みやすい。 |
ずいきの栄養素(食品成分表)
ずいき(芋茎)は水分が多く、カロリーが非常に低い食材です。ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよく含み、夏場の体調維持にも役立ちます。特に赤ずいきにはアントシアニン、白ずいきにはカリウムや食物繊維が多く含まれています。
ずいき
可食部100gあたり
| 栄養素 | 干し | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 0 | % |
| エネルギー | 232 | 10 | ㎉ |
| 水分 | 9.9 | 96.1 | g |
| タンパク質 | 6.6 | 0.4 | g |
| 脂質 | 0.4 | – | g |
| 食物繊維(総量) | 25.8 | 2.1 | g |
| 炭水化物 | 63.5 | 3.1 | g |
| ナトリウム | 6 | 1 | ㎎ |
| カリウム | 10000 | 76 | ㎎ |
| カルシウム | 1200 | 95 | ㎎ |
| マグネシウム | 120 | 7 | ㎎ |
| リン | 210 | 9 | ㎎ |
| 鉄 | 9.0 | 0.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 5.4 | 0.9 | ㎎ |
| 銅 | 0.55 | 0.02 | ㎎ |
| マンガン | 25.0 | 1.69 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 15 | 3 | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.4 | 0.3 | ㎎ |
| ビタミンK | 19 | 14 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.15 | – | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.3 | – | ㎎ |
| ナイアシン | 2.5 | – | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.07 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 30 | 10 | ㎍ |
| パントテン酸 | 2.0 | 0.1 | ㎎ |
| ビオチン | – | – | ㎍ |
| ビタミンC | – | 1 | ㎎ |
▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
→ たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなど、健康に必要な栄養素35種類を、分類ごとにわかりやすく解説しています。
▶ 摂取量の目安を知りたい方はこちら
【2025年度版】日本人の食事摂取基準一覧(年齢別の摂取量)
→ 厚生労働省の最新版をもとに、年齢・性別ごとの1日の推奨摂取量を一覧表にまとめています。
ずいき100gの目安量(写真で見る可食部)


現役和食調理師のヒント
ずいきは見た目より軽く、100gでも1〜2本ほどしかありません。調理時は加熱すると水分が抜け、量が半分以下になることを覚えておきましょう。
あわせて読みたい
里芋 さといも(Taro)の特徴と栄養素
穀物酢 こくもつす(vinegar)
