毛蟹って英語で何て言うの?
一番おいしい旬や茹で方も気になる!
――そんな疑問、ありませんか?
毛蟹(けがに)は、北海道を代表する冬の味覚であり、濃厚なカニ味噌と甘みのある繊細な身が特徴です。
漁獲時期や産地によっても風味が変わり、旬の毛蟹は味噌の香りが格別。さらに「若ガニ」や「クリガニ」など、成長段階や近縁種による違いも覚えておくと、選び方や食べ方の幅が広がります。
このページでは、毛ガニの旬・味・おすすめの茹で方から、英語名や読み方まで、
現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
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毛蟹の旬

日高沖
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
十勝・釧路沖
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
オホーツク沖
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
宗谷沖
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
噴火湾
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
毛蟹は一年を通じて北海道各地で漁獲され、市場に出回ります。
オホーツク海の流氷明けに獲れる毛蟹は「堅蟹(かたがに)」とも呼ばれ、身の詰まり・甘味・蟹味噌の濃厚さで特に珍重されます

現役和食調理師のヒント
冬場は需要増と相まって価格が高騰するため、11月中の早めの購入が狙い目ですよ。
毛蟹とは ~特徴と味わい~

毛蟹(けがに/学名 Erimacrus isenbeckii)は、北海道を代表する高級食材の一つで、日本海、オホーツク海、太平洋沿岸など冷たい海に広く生息します。全身に細かい毛のような短い剛毛が密生しているのが特徴で、この毛が外敵や寄生虫から身を守る役割を果たしています。
外見とサイズ
- 甲羅の横幅は約10〜15cmとズワイガニやタラバガニに比べて小ぶり
- 全体が茶褐色で、甲羅や脚に短い毛がびっしり生えている
- 鋭いハサミを持ち、脚の関節部分にも毛が密集
味わいの特徴
- 身の味:繊細で甘みが強く、しっとりとした食感
- カニ味噌:濃厚でコク深く、香りも強い。毛蟹最大の魅力
- 他のカニと比べると身入りは少なめだが、旨味の凝縮度は高い
- シンプルな塩ゆでで十分美味しく、汁物や甲羅焼きでも風味が際立つ
若ガニ・クリガニとの違い
クリガニ:東北〜北海道に分布する近縁種。小型だが味噌が濃厚で春先に人気
若ガニ:脱皮後間もない毛蟹で、殻がやわらかく身入りも少ないが、価格は比較的安い

現役和食調理師のヒント
毛蟹は身と味噌を別々にせず、ほぐした身に味噌を絡めて食べると旨味が倍増します。茹で汁は味噌汁や雑炊にすると、最後まで毛蟹の風味を楽しめます。
若ガニ・クリガニとの違い
| 区分 | 正体 | 身入り・味噌 |
|---|---|---|
| 若ガニ | 脱皮後まもない毛蟹 | 身が痩せ、味噌は少なめ |
| 堅ガニ | 脱皮後4〜6か月の毛蟹 | 身も味噌もぎっしり (贈答・高評価) |
| クリガニ | 別種(学名 Telmessus cheiragonus) | 味噌が濃厚。 メスは内子が美味 |
若ガニ
若ガニは毛蟹の脱皮後まもない個体を指し、種類名ではなく“状態”の呼び名です。殻が柔らかく軽いため、持ち上げると身がスカスカなことも多く、カニ味噌も少なめ。
価格は比較的安く、味噌汁や鍋の出汁として使うと十分に旨味を楽しめます。
堅ガニ
堅ガニは脱皮から4〜6か月ほど経過し、身とカニ味噌がぎっしり詰まった状態の毛蟹です。殻は硬く、持った時にずっしりと重さを感じるのが特徴で、塩ゆでや甲羅盛りなど素材の味を直接楽しむ料理に最適です。贈答用や特別な食事の場にも好まれます。
クリガニ
クリガニ(栗蟹)は毛蟹とは別種のカニで、主に東北〜北海道沿岸に分布します。毛蟹より小ぶりですが、カニ味噌が濃厚で、春先の漁期には特に人気があります。身の量は少ないため、味噌汁や甲羅焼きなど、味噌を主役にした料理で本領を発揮します。
毛蟹の地方名
| 呼び名 | 主な地域 | 補足・由来 |
|---|---|---|
| ケガニ(毛蟹) | 北海道全域 東北北部 | 標準和名。甲羅や脚の毛に由来 |
| クリガニ(栗蟹) | 東北沿岸 | 春先に多く獲れる近縁種。甲羅の形や色から |
| オオクリガニ | 北海道 東北 | クリガニより大型の個体を指す俗称 |
| オホーツクガニ | オホーツク海沿岸 | 漁獲海域に由来する市場名 |
| モガニ(藻蟹) | 北海道 | 藻場でよく見られる小型個体の俗称 |
| ワカガニ(若ガニ) | 北海道 東北 | 脱皮後間もない毛蟹。殻が柔らかく身入り少なめ |
| エゾケガニ | 北海道 東北 | 毛蟹の地域呼称として使われることもある |

おかみさんの一言
同じ毛蟹でも、クリガニや若ガニって呼ばれると別物みたいに聞こえるけど、みんなそれぞれの持ち味があるのよ。春のクリガニは味噌が濃くてご飯泥棒、若ガニは鍋に入れたら出汁がもう…たまらないわねぇ。
毛蟹の茹で方(基本の塩ゆで)
手順
①下処理
活毛蟹の場合は甲羅を下にして、10〜15分ほど真水に浸けて泥抜き・動きを落ち着かせる。冷凍毛蟹は冷蔵庫でゆっくり解凍する(急速解凍は旨味が流れやすい)。
②鍋に湯を沸かす
毛蟹がしっかり浸かる大きさの鍋を用意し、水を入れて沸騰させ、塩を加える(3〜4%)
③毛蟹を投入
活き蟹は甲羅を下にして入れる(味噌が流れにくい)。
④冷まし方
茹で上がったらすぐに氷水に入れず、そのまま自然に冷ますと身が締まり、旨味が落ち着く。
茹で時間の目安
| 400〜500g | 15分前後 |
| 600〜800g | 18〜20分 |
| 1kg以上 | 20〜22分 |

現役和食調理師のヒント
塩加減は“やや塩っぱいかな”と思うくらいがちょうど良い。茹で湯は捨てずに、味噌汁や雑炊にすれば毛蟹の旨味を余すことなく味わえます。
毛蟹の目利き
| チェックポイント | 良い状態 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| 甲羅の色とツヤ | 茶褐色で自然な光沢があり、毛がふさふさしている | 色あせや黒ずみがあり、毛が抜け落ちている |
| 重量感 | 持ったときにずっしり重い(身が詰まっている) | 持ち上げて軽く感じる(身が少ない) |
| 脚の状態 | 生きている場合は脚の動きが力強い | 動きが鈍い、脚がもげやすい |
| 甲羅と脚の隙間 | 隙間が少なく締まっている | 隙間が広く、やせている |
| 匂い | 海の香りがし、臭みがない | アンモニア臭や酸っぱい臭いがある |

現役和食調理師のヒント
毛蟹は“重い=身入り良し”のサイン。特に冷凍品を選ぶときも、氷の重さに惑わされず、甲羅を軽く押して弾力があるものを選びましょう。
毛蟹と相性の良い食材
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 白菜 | 味にクセがなく毛蟹の風味を活かすカニ鍋に最適。柔らかく火が通り、出汁が染みやすい |
| 長ねぎ | 甘みが増して魚介の臭みをやさしく中和。鍋や吸い物にぴったり |
| 豆腐 | 旨味を吸って優しい食感に。毛蟹鍋や味噌汁におすすめ |
| きのこ類 | 旨味が重なり合い、香りも上品。鍋に入れると深みが増す |
| 春菊 | 香りとほろ苦さがアクセントに。カニ鍋の彩りにも◎ |
| ポン酢 | 酸味で味を引き締め、さっぱりした風味に。薬味のネギやもみじおろしと共に |

おかみさんの一言
毛蟹の鍋って、主役はもちろん毛蟹なんだけど…白菜や豆腐が蟹の出汁を吸ってくれると、これまた主役級のうまさになるのよねぇ。最後の雑炊まで、みんな無言で夢中よ。
毛蟹に合う調理法
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 塩ゆで | ◎ | 素材の旨味と甘みをシンプルに楽しめる |
| カニ鍋 | ◎ | 出汁に旨味が溶け出し、具材にも味が染みる |
| 味噌汁 | ◎ | カニ味噌の風味と身の旨味で贅沢な味わい |
| 甲羅焼き | ○ | 味噌と身を合わせて香ばしく焼き、酒肴に最適 |
| 雑炊 | ◎ | 茹で汁や鍋のスープで作ると旨味の宝庫に |
| 茶碗蒸し | ○ | ほぐし身を加えて上品でまろやかな一品に |
| サラダ | △ | 身の甘みは引き立つが、量が必要で贅沢向き |

現役和食調理師のヒント
「毛蟹は“出汁がごちそう”と言っても過言じゃない。鍋や雑炊に使えば、一滴も残さず堪能できます。
毛蟹の栄養素(食品成分表)
けがに(ゆで)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 茹で | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 60 | % |
| エネルギー | 78 | ㎉ |
| 水分 | 79.2 | g |
| タンパク質 | 18.4 | g |
| 脂質 | 0.5 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.2 | g |
| ナトリウム | 240 | ㎎ |
| カリウム | 280 | ㎎ |
| カルシウム | 66 | ㎎ |
| マグネシウム | 39 | ㎎ |
| リン | 200 | ㎎ |
| 鉄 | 0.6 | ㎎ |
| 亜鉛 | 3.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.46 | ㎎ |
| マンガン | 0.02 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 3.7 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.07 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.23 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.4 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.13 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 2.5 | ㎍ |
| 葉酸 | 10 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.40 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | – | ㎎ |
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毛蟹の英語表記

- 漢字表記:毛蟹
- ひらがな:けがに
- 英語表記:Hair crab / Horsehair crab
- 学名:Erimacrus isenbeckii
- 発音記号:/ˈheə ˌkræb/
- 別名:クリガニ(近縁種)、ワカガニ(若ガニ)
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
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