毛蟹(けがに/Hair crab)の旬・特徴・食べ方|若ガニ・クリガニとの違いも解説

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毛蟹って英語で何て言うの?
一番おいしい旬や茹で方も気になる!

――そんな疑問、ありませんか?
毛蟹(けがに)は、北海道を代表する冬の味覚であり、濃厚なカニ味噌と甘みのある繊細な身が特徴です。
漁獲時期や産地によっても風味が変わり、旬の毛蟹は味噌の香りが格別。さらに「若ガニ」や「クリガニ」など、成長段階や近縁種による違いも覚えておくと、選び方や食べ方の幅が広がります。

このページでは、毛ガニの旬・味・おすすめの茹で方から、英語名や読み方まで、
現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。

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毛蟹の旬

日高沖

十勝・釧路沖

オホーツク沖

宗谷沖

噴火湾

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

毛蟹は一年を通じて北海道各地で漁獲され、市場に出回ります。
オホーツク海の流氷明けに獲れる毛蟹は「堅蟹(かたがに)」とも呼ばれ、身の詰まり・甘味・蟹味噌の濃厚さで特に珍重されます

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

冬場は需要増と相まって価格が高騰するため、11月中の早めの購入が狙い目ですよ。

毛蟹とは ~特徴と味わい~

毛蟹

毛蟹(けがに/学名 Erimacrus isenbeckii)は、北海道を代表する高級食材の一つで、日本海、オホーツク海、太平洋沿岸など冷たい海に広く生息します。全身に細かい毛のような短い剛毛が密生しているのが特徴で、この毛が外敵や寄生虫から身を守る役割を果たしています。

外見とサイズ

  • 甲羅の横幅は約10〜15cmとズワイガニやタラバガニに比べて小ぶり
  • 全体が茶褐色で、甲羅や脚に短い毛がびっしり生えている
  • 鋭いハサミを持ち、脚の関節部分にも毛が密集

味わいの特徴

  • 身の味:繊細で甘みが強く、しっとりとした食感
  • カニ味噌:濃厚でコク深く、香りも強い。毛蟹最大の魅力
  • 他のカニと比べると身入りは少なめだが、旨味の凝縮度は高い
  • シンプルな塩ゆでで十分美味しく、汁物や甲羅焼きでも風味が際立つ

若ガニ・クリガニとの違い

クリガニ:東北〜北海道に分布する近縁種。小型だが味噌が濃厚で春先に人気
若ガニ:脱皮後間もない毛蟹で、殻がやわらかく身入りも少ないが、価格は比較的安い

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現役和食調理師のヒント

毛蟹は身と味噌を別々にせず、ほぐした身に味噌を絡めて食べると旨味が倍増します。茹で汁は味噌汁や雑炊にすると、最後まで毛蟹の風味を楽しめます。

若ガニ・クリガニとの違い

区分正体身入り・味噌
若ガニ
脱皮後まもない毛蟹身が痩せ、味噌は少なめ
堅ガニ脱皮後4〜6か月の毛蟹身も味噌もぎっしり
(贈答・高評価)
クリガニ別種(学名 Telmessus cheiragonus味噌が濃厚
メスは内子が美味

若ガニ
若ガニは毛蟹の脱皮後まもない個体を指し、種類名ではなく“状態”の呼び名です。殻が柔らかく軽いため、持ち上げると身がスカスカなことも多く、カニ味噌も少なめ。
価格は比較的安く、味噌汁や鍋の出汁として使うと十分に旨味を楽しめます。

堅ガニ
堅ガニは脱皮から4〜6か月ほど経過し、身とカニ味噌がぎっしり詰まった状態の毛蟹です。殻は硬く、持った時にずっしりと重さを感じるのが特徴で、塩ゆでや甲羅盛りなど素材の味を直接楽しむ料理に最適です。贈答用や特別な食事の場にも好まれます。

クリガニ
クリガニ(栗蟹)は毛蟹とは別種のカニで、主に東北〜北海道沿岸に分布します。毛蟹より小ぶりですが、カニ味噌が濃厚で、春先の漁期には特に人気があります。身の量は少ないため、味噌汁や甲羅焼きなど、味噌を主役にした料理で本領を発揮します。

毛蟹の地方名

呼び名主な地域補足・由来
ケガニ(毛蟹)北海道全域
東北北部
標準和名。甲羅や脚の毛に由来
クリガニ(栗蟹)東北沿岸春先に多く獲れる近縁種。甲羅の形や色から
オオクリガニ北海道
東北
クリガニより大型の個体を指す俗称
オホーツクガニオホーツク海沿岸漁獲海域に由来する市場名
モガニ(藻蟹)北海道藻場でよく見られる小型個体の俗称
ワカガニ(若ガニ)北海道
東北
脱皮後間もない毛蟹。殻が柔らかく身入り少なめ
エゾケガニ北海道
東北
毛蟹の地域呼称として使われることもある

おかみさんの一言

同じ毛蟹でも、クリガニや若ガニって呼ばれると別物みたいに聞こえるけど、みんなそれぞれの持ち味があるのよ。春のクリガニは味噌が濃くてご飯泥棒、若ガニは鍋に入れたら出汁がもう…たまらないわねぇ。

毛蟹の茹で方(基本の塩ゆで)

手順

下処理
活毛蟹の場合は甲羅を下にして、10〜15分ほど真水に浸けて泥抜き・動きを落ち着かせる。冷凍毛蟹は冷蔵庫でゆっくり解凍する(急速解凍は旨味が流れやすい)。

鍋に湯を沸かす
毛蟹がしっかり浸かる大きさの鍋を用意し、水を入れて沸騰させ、塩を加える(3〜4%)

毛蟹を投入
活き蟹は甲羅を下にして入れる(味噌が流れにくい)。

冷まし方
茹で上がったらすぐに氷水に入れず、そのまま自然に冷ますと身が締まり、旨味が落ち着く。

茹で時間の目安

400〜500g15分前後
600〜800g18〜20分
1kg以上20〜22分
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現役和食調理師のヒント

塩加減は“やや塩っぱいかな”と思うくらいがちょうど良い。茹で湯は捨てずに、味噌汁や雑炊にすれば毛蟹の旨味を余すことなく味わえます。

毛蟹の目利き

チェックポイント良い状態避けたい状態
甲羅の色とツヤ茶褐色で自然な光沢があり、毛がふさふさしている色あせや黒ずみがあり、毛が抜け落ちている
重量感持ったときにずっしり重い(身が詰まっている)持ち上げて軽く感じる(身が少ない)
脚の状態生きている場合は脚の動きが力強い動きが鈍い、脚がもげやすい
甲羅と脚の隙間隙間が少なく締まっている隙間が広く、やせている
匂い海の香りがし、臭みがないアンモニア臭や酸っぱい臭いがある
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現役和食調理師のヒント

毛蟹は“重い=身入り良し”のサイン。特に冷凍品を選ぶときも、氷の重さに惑わされず、甲羅を軽く押して弾力があるものを選びましょう。

毛蟹と相性の良い食材

食材組み合わせの理由・使い方例
白菜味にクセがなく毛蟹の風味を活かすカニ鍋に最適。柔らかく火が通り、出汁が染みやすい
長ねぎ甘みが増して魚介の臭みをやさしく中和。鍋や吸い物にぴったり
豆腐旨味を吸って優しい食感に。毛蟹鍋や味噌汁におすすめ
きのこ類旨味が重なり合い、香りも上品。鍋に入れると深みが増す
春菊香りとほろ苦さがアクセントに。カニ鍋の彩りにも◎
ポン酢酸味で味を引き締め、さっぱりした風味に。薬味のネギやもみじおろしと共に

おかみさんの一言

毛蟹の鍋って、主役はもちろん毛蟹なんだけど…白菜や豆腐が蟹の出汁を吸ってくれると、これまた主役級のうまさになるのよねぇ。最後の雑炊まで、みんな無言で夢中よ。

毛蟹に合う調理法

調理法おすすめ度理由
塩ゆで素材の旨味と甘みをシンプルに楽しめる
カニ鍋出汁に旨味が溶け出し、具材にも味が染みる
味噌汁カニ味噌の風味と身の旨味で贅沢な味わい
甲羅焼き味噌と身を合わせて香ばしく焼き、酒肴に最適
雑炊茹で汁や鍋のスープで作ると旨味の宝庫に
茶碗蒸しほぐし身を加えて上品でまろやかな一品に
サラダ身の甘みは引き立つが、量が必要で贅沢向き
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現役和食調理師のヒント

「毛蟹は“出汁がごちそう”と言っても過言じゃない。鍋や雑炊に使えば、一滴も残さず堪能できます。

毛蟹の栄養素(食品成分表)

けがに(ゆで)
可食部100g当たり

栄養素茹で単位
廃棄率60%
エネルギー78
水分79.2g
タンパク質18.4g
脂質0.5g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.2g
ナトリウム240
カリウム280
カルシウム66
マグネシウム39
リン200
0.6
亜鉛3.8
0.46
マンガン0.02
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)3.7
ビタミンK
ビタミンB10.07
ビタミンB20.23
ナイアシン2.4
ビタミンB60.13
ビタミンB122.5
葉酸10
パントテン酸0.40
ビオチン
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

毛蟹の英語表記

  • 漢字表記:毛蟹
  • ひらがな:けがに
  • 英語表記:Hair crab / Horsehair crab
  • 学名Erimacrus isenbeckii
  • 発音記号:/ˈheə ˌkræb/
  • 別名:クリガニ(近縁種)、ワカガニ(若ガニ)

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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