おからの炒り煮|プロが教える“よくわかるレシピ”

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しっとり、ふんわり。旨味を含ませた定番の副菜「おからの炒り煮」です。
失敗しやすいポイントは「パサつく」「味がぼやける」「鍋底に張り付く」の3つ。
結論は “油で香りを立て→出汁を少量ずつ吸わせ→余分な水分だけ飛ばす” の順番で解決。
食物繊維と大豆由来のたんぱく質が摂れ、常備菜や弁当にも重宝します。

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よくある失敗と原因

  • 水分管理が甘くパサつく/べちゃつく(おからの含水率を見極めない)
  • 味が薄い(具材を炒め切らず、出汁を一気に入れてしまう)
  • 塩辛い/甘すぎる(調味料の入れる順序・タイミングが乱れる)
  • 焦げ付き(弱火キープせず混ぜが足りない)
  • 具の大きさバラつき(火通り不均一で口当たりが悪い)

材料

材料分量役割
おから300g主材料。油と出汁を含ませてしっとり仕上げる
牛蒡50g香り・土味でコクを底上げ
人参50g甘味と彩り
干し椎茸2枚旨味(戻し汁は出汁代わりに可)
油揚げ2枚油分と旨味を補う
莢いんげん5本仕上げの彩り・食感

調味料

調味料分量役割
出汁200(ml目安)全体をまとめる土台の旨味
薄口醤油20(ml)塩味と色を淡く調整
濃口醤油20(ml)香りとコク
砂糖10(g)角を取り、旨味を引き出す
みりん20(ml)てり・まろやかさ
料理酒20(ml)旨味の溶媒・臭み消し

英語表記Simmered tofu pulp with vegetables (Okara iri-ni)


下処理

  • 牛蒡:よく洗い、小さめの笹切り。軽く水にさらしてザルに上げ、水気を拭く(油はね防止)。
  • 人参:細めの千切り(牛蒡に合わせる)。
  • 干し椎茸:冷水で戻し、千切り。戻し汁は濾して出汁に混ぜると旨味UP
  • 油揚げ:熱湯をかけて油抜き→しっかり水気を絞り千切り。
  • いんげん:塩少々で色よく下茹で→斜め切り。
  • おから:乾き気味なら出汁を後で気持ち多めに/水分多めなら火入れで飛ばす前提に。

作り方

  1. 香りを出す(中火)
    鍋に油(サラダ油大さじ1+好みでごま油少々)を熱し、牛蒡→人参→干し椎茸を順に炒める。
    合図:牛蒡の香りが立ち、油が具材に回って“つや”が出たらOK
  2. おからを含ませる(中火→弱火)
    おから・油揚げを加えてさっと油を馴染ませる。料理酒→みりん→砂糖→濃口・薄口醤油の順に鍋肌から。
    合図:おからが“パラッ”から“しっとり”に変わる
  3. 出汁は“2〜3回に分けて”吸わせる(弱火)
    出汁を少量ずつ注ぎ、その都度混ぜて吸わせる。
    合図:鍋底に薄い水分の膜→混ぜると消える。これを2〜3回繰り返す。
  4. 水分調整(弱火・5〜8分)
    へらで鍋底をなで、道がふわっと閉じる程度まで水分を飛ばす。
    合図:鍋肌にうっすら“てり”、まとまりが出たら火を止める。いんげんを混ぜる。
  5. 味見と仕上げ
    塩味が足りなければ薄口をごく少量。甘味は砂糖ひとつまみで微調整。
    すぐ食べても良いが、粗熱が取れてからの方が味がなじむ

失敗しない3つのコツ

  • 出汁は一気に入れない:吸わせ→様子見→追加のリズム。
  • 弱火キープ&こまめに混ぜる:焦げの苦味は致命傷。
  • おからの水分を“見て”調整:乾いていれば出汁多め/湿っていれば蒸発を優先。

保存方法

  • 冷蔵:密閉容器で3〜4日。粗熱はバットに薄く広げて素早く冷ます
  • 冷凍:可(2〜3週間)。小分けにして自然解凍→レンジ弱で温め直し
  • 弁当:水分控えめ仕上げにし、完全に冷ましてから詰める。

相性の良い料理

  • 主菜:鯖の味噌煮、鶏の照り焼き(コク×あっさり副菜でバランス)
  • 汁物:豆腐とわかめの味噌汁(大豆同士で相性良)
  • ご飯:雑穀ごはん/おにぎり(甘辛味に合う)

旬と豆知識

おからは豆腐製造時の副産物。油と出汁を抱き込む性質があるため、まず油を馴染ませるのが理にかなう。干し椎茸の戻し汁を使うと、少ない調味料でも旨味が決まる。


現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

“おからは出汁を飲む器”だと思って扱うと失敗しません。出汁を段階的に吸わせる、そして弱火でじっくり水分を整える。最後に鍋肌の“てり”を確認できたら、味も口当たりも整っています。


失敗の原因と解決方法

失敗原因解決方法
パサつく出汁不足/一気入れで吸い切れていない出汁を少量ずつ追い、弱火で含ませる
べちゃつくおからの水分過多/蒸発不足弱火で混ぜながら水分調整。鍋底に道ができたらOK
味が薄い具材の炒め不足/出汁入れすぎ炒め直しは不可。煮返して軽く水分を飛ばし、薄口少量で調整
塩辛い調味料の入れ過ぎ出汁か湯を少量ずつ足し、再度水分調整
焦げる強火・撹拌不足直ちに別鍋へ移し、焦げ臭の部分を除く。以後は弱火&こまめに
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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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