やわらかく煮えた冬瓜に、出汁の旨味がじんわりと染みる「冬瓜の煮物」。
淡い味わいの中に季節の涼しさを感じる、夏の和食の定番です。
一見シンプルな料理ですが、「煮崩れた」「味が染みない」「硬いまま」という失敗が起こりがち。原因は、火加減と下茹での見極めにあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「冬瓜は“少し硬めで止めて余熱で仕上げる”」。
これを守るだけで、透き通るような煮上がりと上品な味に仕上がります。
茗荷を添えて、香り高く涼やかな一皿に。
よくある失敗と原因
- 冬瓜が硬い → 下茹で不足
- 冬瓜が崩れる → 火を入れすぎ・強火調理
- 味が染みない → 火加減が強く出汁が飛んでいる
- 餡がダマになる → 片栗粉を早く入れすぎ
- 味が濃い → 分量間違い・煮詰めすぎ
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 冬瓜 | 約300g | 主素材。出汁をよく吸う淡白な野菜 |
| 茗荷 | 1個 | 香りと彩りのアクセント |
調味料
下処理

- 冬瓜
ワタを取り、皮を厚めに剥く。皮目に格子状の切れ込みを入れる(味のしみをよくする)。 - 茗荷
千切りにして水にさらし、辛味を抜く。 - 片栗粉
片栗粉と水を1:2の割合で溶いておく(失敗しにくいとろみになる)。
作り方(よくわかるレシピ)
- 下茹でする(中火)
鍋に塩少々を入れた水を沸かし、冬瓜を入れて5〜10分ほど茹でる。
🔸 合図:「竹串がスッと通る」ころが止め時。
ザルに上げて粗熱を取る。 - 出汁で煮る(弱火)
鍋に出汁・薄口醤油・みりんを入れ、冬瓜を加えて火にかける。
沸騰直前で弱火に落とし、静かに10分ほど煮る。
🔸 合図:「角が透けて淡く光る」状態が仕上がりのサイン。 - とろみをつける(弱火→中火)
食べる直前にとろみをつける。
出汁を温めて火を止め、水溶き片栗粉を少しずつ回し入れる。
しっかり混ぜながら再度弱火にかけ、1分ほど加熱して透明感を出す。 - 盛り付ける
冬瓜を器に盛り、とろみ出汁をかける。
天盛りに茗荷を添え、香りを立たせる。
現役和食調理師のコメント

冬瓜の火入れは“我慢”が大事。
硬いと味が入らず、柔らかすぎると崩れる。
竹串がスッと通る瞬間で火を止め、余熱で仕上げるのが職人の感覚です。
茗荷を添えると、香りが立ち、味の輪郭がぐっと引き締まります。
失敗しない3つのコツ

- 冬瓜は下茹でで下味を整える
- 出汁が沸騰する前に弱火へ(透明感を保つ)
- 片栗粉は火を止めてから少しずつ入れる
保存方法
- 冷蔵保存:汁ごと密閉容器に入れて2〜3日。食べる前に軽く温める。
- 冷やし煮:冷蔵で冷やすと上品な冷製煮物に。夏の前菜にもおすすめ。
- 冷凍保存:不向き(食感が変わるため避ける)。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鰆の西京焼き・鶏の塩焼き
- 副菜:枝豆の白和え・きゅうりの酢の物
- 汁物:とうもろこしのすまし汁
旬と豆知識
冬瓜は夏が旬の野菜ですが、保存性が高く「冬までもつ瓜」と書きます。
カリウムを多く含み、体の熱を冷ます働きがあるため、暑い季節の煮物にぴったりです。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【冬瓜の栄養ページ】へ。
