「パンに日本酒を入れたらどうなる?」
そんな疑問から始まった今回のチャレンジ。
日本酒を生地全体の12%に配合し、ホームベーカリーで焼き上げたところ、ふんわりと広がるお酒の香りと、ほのかな甘みが特徴の一品に仕上がりました。
この記事では、実際に作ってわかった水分調整のポイントや、アルコールの影響、焼き上がりの違いなどを詳しくまとめています。ホームベーカリーで“ひと味違うパン”を楽しみたい方はぜひ参考にしてみてください。
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結論

日本酒を約12%配合した食パンは問題なく成立しました。
焼き上がり直後は、ふわっと日本酒由来の香りが立ち、切った瞬間にもほのかな吟醸香を感じますが、アルコール分は焼成中にほぼ飛ぶため、酔う心配はありません。食感はしっとり&ふんわりで、口当たりはとてもやさしく、春よ恋100%の粉質とも相性の良さを感じます。ただし、この香りは長くは続かず、翌日にはほぼ消えて通常の食パンに近い味わいになります。
クセや苦味はなく、「香りを楽しめるのは焼きたてだけ」という限定的な魅力ですが、ふんわり感を重視したい人や、軽く変化を付けたい人には向いた配合です。
このレシピを試した理由
特別な狙いや完成イメージがあったわけではありません。日本酒をパン生地に加えるとどんな変化が起きるのかを純粋に確かめてみたというのが今回の動機です。
水分の一部を日本酒に置き換えたとき、香り・食感・発酵にどの程度影響が出るのかは、実際に焼いてみないと分からない部分が多くあります。今回は調整を最小限にし、日本酒をそのまま使った場合の素直な結果を見ることを目的にしました。
レシピと条件
レシピ|日本酒12%の食パン
※この原価表は、当時実際に使用していた材料価格をもとに算出しています。
現在は原材料価格が変動しているため、あくまで目安としてご覧ください。
| 材料 | 割合(%) | 分量 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 強力粉 | 100 % | 250g | 95 円 |
| ドライイースト | 1.2 % | 3g | 16.8 円 |
| 水 | 56 % | 140 cc | 7 円 |
| 生クリーム | 16 % | 40 g | 34 円 |
| 日本酒 | 12 % | 30 g | 39.9 円 |
| 砂糖 | 6% | 15 g | 3 円 |
| 塩 | 2% | 5 g | 1 円 |
| バター | 6% | 15 g | 30 円 |
| ▼原価合計 | ー | ー | 226.7 円 |
※今回使用した材料は、製菓・製パン材料専門店「コッタ」で購入しました。
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条件
今回使用したホームベーカリーはPanasonic SD-BH104(廃盤モデル)
発売からかなり年数が経っていますが、現在も安定した焼き上がりで現役使用中です。
| 項目 | 環境 |
|---|---|
| 日付 | 2021.2.2 |
| 室温 | 15℃ |
| 湿度 | 85℃ |
| 天気 | くもり |
| 投入時間 | 7:00 |
| 焼き上がり時間 | 12:00 |
| ホームベーカリーの設定 | ソフトモード 焼き上がり「淡」 |
実際の焼き上がりと食感
膨らみ
水分の一部を日本酒(約12%)と生クリームに置き換えていますが、膨らみは良好です。
生地は軽く、押すと戻る柔らかさがあり、全体として安定した焼き上がりになりました。
極端な腰折れや詰まりは見られません。
焼き色
焼き色は淡めで均一。日本酒由来の色付きはほとんどなく、見た目は通常の食パンに近い仕上がりです。焼成中・焼き上がり時に強い酒臭さは感じません。
クラム
クラムはやや粗めで、気泡が比較的大きく出ています。きめ細かさよりも軽さが前に出るタイプで、しっとり感はあるものの、モチモチ感は控えめです。
食感
焼きたてはしっとり&ふんわりで、口当たりはやさしい印象。切った瞬間には、ほのかな吟醸香を感じますが、香りは強く残りません。味わいは甘さ控えめで、ほんのりとした酸味があり、大人向けの食事パンといった印象です。
翌日になると香りはほぼ消え、通常の食パンに近い味わいになります。単体でも食べられますが、バターやチーズと合わせると相性が良さそうです。
なぜこの結果になったのか(仮説)

日本酒に含まれる糖分・アミノ酸・酸が、生地の性質に影響したと考えられます。アルコールは焼成中にほぼ飛びますが、その過程で発酵環境が変化し、きめがやや粗く、軽い食感になった可能性があります。また、日本酒由来の成分が生地の保水性に影響し、しっとり感とふんわり感が出やすくなった一方で、モチモチ感は控えめになったと推測できます。
焼きたてで香りを感じ、翌日には消えたのは、揮発性の香り成分が時間とともに抜けたためと考えられます。
再現するためのポイント

- 日本酒は香り付け目的ではなく、食感を変える素材として使う
焼きたてでのみ香りを感じる前提で考える。 - アルコールは焼成中に飛ぶため、酔う心配はせず、そのまま使用して問題ない。
- きめ細かさやモチモチ感は出にくいため、ふんわり・軽い食感を狙う配合として割り切る。
- 香りを楽しみたい場合は、焼きたてで食べることを前提にする。
- 翌日以降は香りが弱くなるため、バターやチーズなどと合わせる食事パン用途がおすすめ。
私が作成したパンの一覧はコチラをご覧ください。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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