【赤身・中トロ・大トロの違い】マグロの部位と味・選び方を調理師が徹底解説

マグロの赤身・中トロの柵 TOP
マグロの部位によって味・食感・脂の量は大きく異なります

マグロは赤身・中トロ・大トロで味や食感がまったく異なるうえ、本マグロ・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガといった“種類の違い”でも印象が変わります。

「どれが一番おいしいの?」
「料理によって使い分けた方がいいの?」
「通販で買うならどれを選ぶべき?」

と迷う方が少なくありません。
本記事では、調理師歴25年以上の筆者が、赤身・中トロ・大トロの違いと用途別のおすすめ、失敗しない選び方や解凍のコツまでわかりやすく解説します。
結論から言うと、
・贅沢に味わうなら大トロ
・バランス重視なら中トロ
・普段使いなら赤身

が基本です。この記事を読み終える頃には、あなたの用途にぴったりのマグロを自信を持って選べるようになります。

※本記事には広告が表示されます。

マグロの種類と特徴

本マグロの赤身・中トロ・大トロの刺身盛り合わせ
奥から大トロ、赤身、中トロ

マグロは 本マグロ・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガ など、種類によって脂の量や風味が異なります。ここでは代表的な種類を簡潔に紹介します。

※それぞれの詳しい特徴(旬・産地・味の違い)は、下記のページで解説しています
マグロの種類と特徴(クロマグロ・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガの違い)

種類特徴
本マグロ
クロマグロ)
濃厚な旨味と強い脂。特別感を出したいときに向く。
ミナミマグロ
(インドマグロ)
上品な脂で食べやすい。バランスが良く万人向け。
メバチマグロあっさりとして日常使い向き。コスパが良い。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

このように、同じマグロでも種類によって味わいが大きく異なります。続いて、部位ごとの特徴を見ていきましょう。

マグロの部位の特徴

マグロの赤身・中トロ・大トロの部位イラスト
赤身は背側、中トロは中腹、大トロは腹側の脂の多い部位です

マグロは部位によって味や食感、脂の量が大きく変わります。ここでは、代表的な 赤身・中トロ・大トロ・たたき について解説します。

赤身

赤身は背側や尾に近い位置にある部位で、脂が少なく旨味が強いのが特徴です。鉄分が豊富で味が引き締まり、さっぱりとした食べ心地が楽しめます。

種類赤身の特徴
本マグロ旨味が濃く、しっかりとしたコクを楽しめる
ミナミマグロクセが少なく、上品で食べやすい
めばちマグロあっさり軽めでコスパも良く、日常使いにぴったり

おすすめの食べ方
刺身、握り寿司、漬け丼、山かけ、丼もの全般

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

赤身は「旨味の違い」が魚種で最も出やすい部位。濃厚さなら本マグロ、日常使いならメバチを選ぶのが失敗しないコツです。

中トロ

中トロは背と腹の中間に位置し、赤身の旨味+脂の甘みの両方を味わえる部位です。ほどよい脂で食べ疲れしにくく、幅広い世代に人気があります。

種類中トロの特徴
本マグロ旨味と脂のバランスが最上級
ミナミマグロ上品でなめらか。クセが少ない
めばちマグロさっぱりと軽い口当たり

おすすめの食べ方
・刺身、握り寿司、炙り、カルパッチョ

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

中トロは「赤身派」と「トロ派」の両方を満足させる万能ポジション。炙りにすると脂の甘みがさらに際立ちます。

大トロ

大トロは腹部の一部で、脂のりが最も強い最高級部位です。口に入れた瞬間に脂が溶けるような食感が特徴で、特別な日や贈り物として選ばれることが多い部位です。

種類大トロの特徴
本マグロ品質・希少性ともに最高峰
ミナミマグロ上品で食べやすい脂が魅力
メバチ・キハダ脂が少なく“大トロ相当”は基本なし

おすすめの食べ方
・刺身、握り寿司、炙り(少量を味わうのが基本)

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

大トロは「量より質」。少量を口に入れ、丁寧に味わうことで本来の旨味が引き立ちます。

たたき

マグロのたたき(すき身)
骨周りの旨味がつまったマグロのたたきは丼や手巻き寿司に最適

「たたき(すき身)」は、骨周りや端の身を叩いてなめらかに仕上げた部位です。旨味が凝縮し、濃厚で食べやすいのが魅力。比較的手頃な価格で楽しめます。

おすすめの食べ方
・ネギトロ丼、手巻き寿司、軍艦巻き

おかみさんの一言

たたきは “家庭で一番出番の多いマグロ”。赤身の旨味がしっかり残り、子どもから大人まで人気の万能部位です。

失敗しない選び方・買い方

通販や店頭でマグロを選ぶ際に迷いやすいのが「どの部位を買えば、自分の好みに合うのか」という点です。失敗しないためには味の好みと用途を基準に選ぶのが最も確実です。

用途別のおすすめ

目的おすすめの部位特徴
贅沢やギフトに大トロ+中トロ特別感があり、濃厚な脂の甘みを堪能できる
バランスよく楽しみたいときに中トロ脂と赤身の旨味を両立。家族でも食べやすい万能タイプ
普段の食卓に赤身・すき身あっさりとして日常使い向き。丼や手巻きに最適
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

大切なのは「食べるシーン」を軸にすること。特に迷った場合は、赤身+中トロの組み合わせを選べば、あっさり派も脂のり派も満足できて失敗がありません。

購入量の目安

マグロは 1人前あたり約80~100g が目安と言われます。用途に合わせて次の量を参考にしてください。

人数目安量用途イメージ
約200g2人前丼や寿司で軽く楽しむ量
約400g4〜5人前家族向け・手巻き寿司にも◎
約600g6〜8人前パーティーや大人数向け

※一般的な刺身盛りの1人前は、5〜7切れで80〜100g前後です。

解凍のコツ

半解凍状態のマグロの柵(解凍の工程)
ドリップを抑えるには温塩水や氷水での低温解凍がポイント

冷凍マグロは、解凍方法しだいで味の差が大きく出ます。正しく解凍すれば ドリップ(旨味の流出)を最小限に抑え、しっとりとした食感を再現 できます。

ここでは家庭でも失敗しにくい 「温塩水解凍」「氷水解凍」 の2つを紹介します。 

温塩水で解凍

  1. 柵を軽く流水で洗い、表面の霜や切りカスを落とす
  2. 40℃の湯1Lに塩40g(塩分濃度4%) を溶かす
  3. マグロを入れて約1分ひたす
  4. 取り出したらすぐにキッチンペーパーで水気をふき取り、ラップをして冷蔵庫で休ませる(20〜30分で食べ頃)
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

塩水に浸けることで 浸透圧の差が小さくなりドリップが出にくい。表面温度が素早く上がり、身が白く変色するのを防げる。食べる直前より 30分寝かせると味がなじんで格段に旨い

氷水で解凍

  1. 柵を軽く流水で洗い、水気をしっかりふき取る
  2. マグロをジッパー付き袋に入れてできるだけ空気を抜く
  3. 氷水に沈め、約60分かけてゆっくり解凍する
  4. 表面の水滴をふき取り、冷蔵庫で一晩寝かすと味がさらに締まる
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

氷水は 低温での解凍なのでタンパク質の変性を防ぎやすい。袋に入れるのは 水に直接触れると旨味が抜けるため。一晩寝かせると 身が落ち着き、しっとりした食感に仕上がる

よくある質問

Q
赤身・中トロ・大トロはどれを選べばいいですか?
A

好みとシーンで選ぶのがおすすめです。迷った場合は、赤身+中トロの組み合わせが最も失敗しません。

  • 赤身:さっぱり食べたいとき
  • 中トロ:旨味と脂の両方を楽しみたいとき
  • 大トロ:贅沢感を味わいたいとき
Q
どれくらいの量を用意すれば良いですか?
A

刺身や寿司の場合は 1人あたり80〜100g が目安です。
用途に合わせて次の量を参考にしてください。

用途目安
軽く楽しむ1人70〜80g
しっかり食べる1人80〜100g
丼もの中心1人70g前後
Q
解凍後はどのくらい日持ちしますか?
A

解凍後はその日中がおすすめです。
風味が落ちやすく、翌日以降は旨味が抜けやすいため、食べる分だけ解凍するのが理想です。※冷凍の状態なら家庭用冷凍庫で2〜4週間が目安。

Q
贈答用としても向いていますか?
A

はい。マグロは特別感がある食材のため、贈り物にも向いています。
部位で迷う場合は、幅広い世代に喜ばれる 中トロ を中心に選ぶと失敗がありません。

まとめ

マグロは部位によって味・食感・脂の量が大きく変わる食材です。

  • 赤身 … さっぱりと旨味を味わいたいときに
  • 中トロ … 脂と赤身のバランスを楽しみたいときに
  • 大トロ … 特別感や贅沢さを求めるときに
  • すき身 … 丼や手巻き寿司など普段の食卓で手軽に

選び方の基本は 「誰と・どんな場面で食べるか」 を基準にすること。迷った場合は、赤身+中トロの組み合わせが最も失敗しません。
また、冷凍マグロは 解凍後すぐに食べず、ひと晩寝かせることで旨味が引き立つのがポイント。氷水・温塩水のどちらの方法でも、ドリップを抑えた解凍を意識すると、より美味しく仕上がります。
もっと魚種ごとの違いも知りたい方は、こちらで詳しく解説しています👇
マグロの種類と特徴|クロマグロ/ミナミマグロ/メバチ/キハダ/ビンナガの違い

調理師としての経験を踏まえて言うと、素材を活かす最大のコツは“部位に合った選び方と扱い方”です。ぜひシーンに合わせて選び、マグロの奥深い魅力を楽しんでみてください。

関連記事

▶ マグロの種類と特徴を調理師が解説
▶ クロマグロ(本マグロ)の旬・特徴・食べ方
▶ ミナミマグロ(インドマグロ)の旬・特徴・食べ方
▶ メバチマグロの旬・特徴・食べ方

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

プロフィールを見る

タイトルとURLをコピーしました