「プロが使っているような本格的なまな板が欲しい」 「料理の腕が上がるような、おすすめのまな板を知りたい」
そう思って、インターネットで「プロのおすすめ」を調べてはいませんか?しかし、そこで紹介されている大きく重厚な木製まな板をそのまま買ってしまうと、多くの場合、後悔することになります。
はじめまして。私は調理師として25年以上、プロとして現場で数え切れないほどの食材を切り、まな板と向き合ってきました。
職場の広いプロの現場であれば、大きなまな板は最高の相棒です。しかし、家庭のキッチンは全く別物。どんなに刃当たりが良くても、シンクで洗いにくかったり、食洗機に入らなかったりするまな板は、結局使わなくなり、料理そのものを億劫にさせてしまいます。
家庭用のまな板選びで最も大切なのは、素材の良さよりも先に、あなたの家の「キッチン環境にジャストフィットするかどうか」です。
この記事では、25年の経験を持つ調理師の視点から、家庭でストレスなく一生使い続けられる「本当に正しいまな板の選び方」と、厳選したおすすめの商品をご紹介します。
これを読めば、もうまな板選びで迷うことはなくなり、毎日の料理が驚くほどスムーズで楽しいものに変わるはずです。
失敗しないサイズ選びの3つの鉄則

調理師として25年、数々の厨房と家庭のキッチンを見てきた私が断言します。まな板選びで最も失敗しやすいのは「性能」に惚れて、自分のキッチンに合わない「サイズ」を買ってしまうことです。
道具に自分を合わせるのではなく、キッチンの現実に道具を合わせる。そのための「3つの鉄則」を解説します。
食洗機の「内寸の対角線」を測る
選んだまな板、食洗器に入りますか?
今の時代、家庭で最も重要なのは「食洗機に収まるか」です。ここで多くの人が「縦横の長さ」だけを見て失敗します。まな板を食洗機に入れる際、多くの場合は斜めに差し込むことになります。つまり、見るべきは「食洗機内部の対角線の長さ」です。
測り方
食洗機の中のカゴを取り出し、底の角から反対側の上の角までの距離を測ってください。その数字より2〜3cm余裕のあるサイズが、ストレスなく出し入れできる限界です。同時に高さを計るのを忘れずに。

現役和食調理師のヒント
どんなに刃当たりが良いまな板でも、手洗いが面倒になると、次第に「出し入れが楽な安いプラスチック製」ばかり使うようになります。それは一番もったいないことです。
シンク内で「くるりと回せる」か
そのまな板、無理なく洗える?
「まな板を洗う時のこと」を想像できていないケースも非常に多いです。まな板は、使っている時間よりも洗っている時の方が「大きく」感じます。シンクの幅ギリギリのサイズのまな板を買ってしまうと、裏返して洗う時に蛇口にぶつかったり、壁を水浸しにしたりしてしまいます。
測り方
自宅のシンクの「手前から蛇口までの距離」を確認してください。その距離よりもまな板の「短い方の辺(幅)」が十分に小さければ、洗う時のストレスは激減します。今、使っているまな板で不便に思っていることがないか?を考えるとわかりやすいです。

現役和食調理師のヒント
現場ではシンクが巨大なので気にしませんが、家庭では「シンクの奥行きの中で、まな板を立てて1回転させられるか」が重要です。
調理スペースの奥行き「マイナス5cm」

まな板の設置場所。干渉しないが鉄則
最後に、まな板を置く場所のサイズです。「まな板は大きいほうが調理には便利」というのは間違いありません。しかし、これは危険です。まな板が作業台からはみ出していると、力を入れた瞬間にガタついたり、滑り落ちたりして大きな怪我に繋がります。
理由
手前に少しスペースがあることで、切った食材を一時的に置いたり、布巾でサッと汚れを拭いたりする余裕が生まれます。この「5cmの余白」が、調理中の手際を良くしてくれるのです。

現役和食調理師のヒント
安定感こそが料理の精度を決めます。理想は、「作業台の奥行きよりも5cm以上小さいサイズ」です。
まな板のサイズ選びのまとめ
まな板購入時に測るべきは「3つの場所」
プロがおすすめするからといって、いきなり購入ボタンを押してはいけません。まずはメジャーを持って、あなたのキッチンの以下の3点を測ってください。
- 食洗機の対角線(入るかどうか)
- シンクの奥行き(洗えるかどうか)
- 調理台の奥行き(安全に置けるかどうか)
この数値を把握してはじめて、一生モノのまな板を選ぶ準備が整います。
見落とすな!まな板の厚みが重要なわけ
軽いほうが良い!は間違い
サイズ選び、素材選びと来て、最後に見落としがちなのが「厚み」です。多くの人は「薄くて軽いほうが楽」と考えがちですが、実は厚みこそが、包丁の使い心地と安全性を左右する重要な要素。25年現場で包丁を握ってきた私の視点から、家庭用まな板の「厚みの正解」を解説します。
なぜ「薄すぎるまな板」は損をするのか?
1cmに満たないような薄いまな板は、一見扱いやすそうですが、調理師の目から見ると2つの大きなリスクがあります。
- 反りとガタつき
薄いまな板は、熱や乾燥で反りやすく、使う時にガタガタ動きます。これが指を切る一番の原因です。 - 衝撃が手に響く
叩くように切った際、衝撃を吸収しきれず、直接手首や腕に響きます。「家庭では疲れない」と思っていても、この微細な振動の積み重ねが「なんとなく料理が疲れる」原因になります。
素材別・調理師がすすめる「理想の厚み」
素材によって、必要な厚みの基準は変わります。
| 素材 | 理想の厚み | 理由 |
| 木製 | 2.5cm 〜 3cm | 安定感が出るだけでなく、表面が汚れた時に「削り直し」をして一生使い続けるための余力です。 |
| 合成ゴム製 | 1.5cm 〜 2cm | ゴムは密度が高いため、1.5cmあれば十分な重みと安定感が出ます。これ以上厚いと重すぎて洗うのが苦痛になります。 |
| プラスチック製 | 1cm 〜 1.5cm | 本来はサブ用。薄すぎると反るため、最低でも1cmは欲しいところです。 |
「安定感」と「重さ」の妥協点を見つける
プロの現場では3cm〜5cm以上のものを使いますが、家庭でそれをやると、洗う時に手が滑ってシンクを傷つけたり、出し入れだけで重労働になったりします。
- 「2kgの壁」を意識する
一般的に、2kgを超えると「重い、洗うのが面倒」と感じ始めます。 - 厚みが生む「音」の差
厚みがあるまな板は、切る時の音が「トントン」と低く落ち着いた音になります。この音が料理のモチベーションを意外なほど高めてくれます。

現役和食調理師のヒント
今のまな板が薄くて使いにくい、あるいは収納の関係でどうしても薄いものを選ばざるを得ない場合は、「濡れ布巾」を下に敷いてください。これだけで、薄いまな板の弱点である「ガタつき」と「衝撃」をかなり抑えることができます。
まとめ:厚みは「安心感」の証
「軽い」はメリットですが、まな板において「適度な重み(厚み)」は「安全」に直結します。
- 木製なら3cm弱、ゴム製なら1.5cm前後を基準にする。
- 「削って長く使う」なら厚めを選ぶ。
- 洗う時の負担を考えて、厚みと重さのバランスを取る。
まな板素材の比較:調理師が教える「本当のところ」
木製のまな板

プロの世界で「王様」と言えば、やはり木製です。特になじみが深いのが「いちょう」です。
長所
刃当たりが最も柔らかく、包丁の刃を傷めません。木自体に弾力があるため、切った時の衝撃を吸収し、手首への負担も少ないです。また、いちょうは油分を含んでいるため、水はけが良いのが特徴です。
短所
最大の敵は「カビ」と「黒ずみ」です。使用後にしっかり乾燥させないと、すぐに傷んでしまいます。また、家庭用の食洗機には絶対に入れられない(割れる原因になる)のが大きな壁です。
「切る楽しさ」を極めるなら、やはり天然木。
25年包丁を握ってきた私が、最も「心地よい」と感じるのはやはり木製、特にいちょうのまな板です。木製まな板の最大の利点は、その「弾力」にあります。包丁の刃が木に優しく食い込むため、刃こぼれしにくく、食材を最後まで確実に切り離すことができます。
「手入れが難しそう」と思われがちですが、使う前にサッと水で濡らすだけで汚れは防げますし、何より「トントン」という低い音は料理のモチベーションを格段に上げてくれます。

現役和食調理師のヒント
削り直しができる厚めのもの、かつ家庭のシンクで扱いやすい「正方形」や「中サイズ」がおすすめです。
木製のまな板はこんな方におすすめ
料理の時間を楽しみたい方、一生ものの道具を育てたい方
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合成ゴム製まな板(エラストマー 等)
「木のような使い心地」と「手入れの楽さ」を両立させた、プロの愛用者が最も多い素材です。
長所
刃当たりが木に非常に近く、包丁の切れ味が長持ちします。吸水性がほぼゼロなので、雑菌が繁殖しにくく、色や臭いもつきにくいです。煮沸消毒もでき、非常に衛生的です。
短所
素材に密度があるため、プラスチック製に比べると「重い」です。また、木製のような天然の風合い(見た目の温かみ)はありません。
プロが「自宅用」に選ぶ、最も合理的で賢い選択。
「木の刃当たりの良さ」と「プラスチックの手入れの楽さ」を良いとこ取りしたのが、この合成ゴム製です。実は、多くの調理現場でもこのタイプが愛用されています。
吸水性がほぼゼロなので、肉や魚の血が染み込まず、雑菌の繁殖を強力に抑えられます。それでいて、刃当たりは驚くほどソフト。包丁が弾かれないので、滑りやすい食材も安全に切ることができます。

現役和食調理師のヒント
家庭用なら、食洗機に対応しているモデル(パーカーアサヒなど)を選ぶと、毎日の家事が劇的に楽になります。
ゴム製まな板はこんな方におすすめ
道具に妥協したくないけれど、メンテナンスの楽さも譲れない方へ。
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プラスチック製のまな板(ポリエチレン 等)

スーパーやホームセンターで最も手に入りやすい、一般的な素材です。
長所
軽くて扱いやすく、安価です。食洗機対応のものが多く、漂白剤も気兼ねなく使えるため、肉や魚の専用まな板(サブ)として優秀です。
短所
素材が硬すぎるため、包丁がすぐに鈍ってしまいます。また、表面が滑りやすく、食材を固定するのに余計な力が必要です。使い込むと表面に深い傷がつき、そこから菌が入りやすいのも難点です。
「衛生面と手軽さ」に特化した、最強のサブボード。
安価でどこでも手に入るプラスチック製ですが、調理師の視点で見ると「メインの一枚」にするには少し刃が当たりすぎます。しかし、その「軽さ」と「漂白剤への強さ」は他の素材にはない武器です。
私は自宅で、肉や魚を処理する際の「2枚目」としてプラスチック製を推奨しています。使い終わったらすぐに食洗機へ放り込んだり、ハイターで除菌したり。メインのまな板を汚したくない時の「頼れる相棒」として持っておくのが正解です。

現役和食調理師のヒント
100円ショップのものではなく、少し厚みがあり、表面に滑り止めのシボ加工(凹凸)がしっかり施されたものを選んでください。
プラスチック製のまな板はこんな方におすすめ
衛生管理を徹底したい方、手軽にガシガシ使い倒したい方へ
高密度セルロース繊維(エピキュリアン 等)
木材繊維を合成して作られた、新しいタイプの素材です。
長所
薄くて軽く、それでいて非常に頑丈です。デザイン性が高く、そのまま食卓に出しても違和感がありません。食洗機に強く、収納場所を選ばないのが現代の家庭向きです。
短所
切る時に「カンカン」と高い音がしやすく、刃当たりは硬めです。木製やゴム製に比べると、包丁の刃への優しさは一歩譲ります。
「機能美と清潔さ」を両立した、現代キッチンの救世主。
天然木の良さは知っているけれど、もっと手軽に、もっと効率よく料理を楽しみたい。そんな方に調理師の私が自信を持って提案するのが、このエピキュリアンです。木材繊維を特殊な技術で合成したこの素材は、これまでのまな板の常識を覆す使い勝手を持っています。
25年包丁を握ってきた感覚から言えば、切る時の音は少し高く、刃当たりも天然木やゴム製に比べると硬めです。しかし、それを補って余りあるのが「頑丈さ」と「衛生面」の高さです。表面に水分が染み込まないため、雑菌が入り込む隙がなく、食後のお手入れも驚くほど簡単です。

現役和食調理師のヒント
薄くて軽いため、狭いキッチンの隙間にもスッと収納できます。また、高温の食器洗い乾燥機に完全に対応しているため、プロの現場に近い衛生管理がご家庭で手軽に実現できるのが最大の魅力です。
エピキュリアンのまな板はこんな方におすすめ
キッチンをすっきり見せたい方
家事の時間を短縮したいけれど
道具の質は落としたくない方へ
調理師の結論:家庭で選ぶならどれ?
私が勧めるのは「合成ゴム製」
私が25年の経験から、家庭用として一択で勧めるなら「合成ゴム製」です。
理由は、プロが求める「刃当たりの良さ(包丁を守る性能)」と、家庭で必須の「手入れの簡便さ」が、最も高い次元でバランス取れているからです。
「いちょう」の木製まな板は素晴らしいですが、毎日の家事でカビを気にしながら管理するのは、プロでも自宅では大変です。その点、合成ゴム製は、プロの道具としての性能を維持しつつ、家庭のキッチン事情にも寄り添ってくれます。
25年の調理師人生で、私が最も多くの「道具選びの失敗」を見てきたのが、このまな板です。
記事の最後に、読者の背中を優しく押しつつ、プロとしての納得感を残す「まとめ」セクションを作成しました。ブログの締めくくりとしてそのままお使いいただけます。
まとめ
まな板選びは「あなたのキッチン」を測ることから始まる
「プロが勧めるまな板」は、単に高価なものや、大きなものではありません。
25年包丁を握り続けてきた私が、自宅のキッチン用に一つ選ぶなら、迷わず「自分のキッチンの制約をクリアしつつ、包丁の刃を優しく受け止める一枚」を選びます。
最後にもう一度、失敗しないためのチェックポイントを振り返りましょう。
まな板選びの最終チェックリスト
| 項目 | 妥協してはいけないポイント |
| サイズ | 食洗機の対角線、シンクの奥行きより小さいか? |
| 素材 | 刃当たりと手入れのバランスが良いか?(迷ったら合成ゴム製) |
| 厚み | 安定感があるか?(目安:1.5cm〜3cm) |
道具が変われば、料理の「音」と「味」が変わる
良いまな板に変えると、まず「切る音」が変わります。トントンと響く心地よい音は、不思議と料理を「面倒な家事」から「クリエイティブな楽しみ」に変えてくれます。
そして、包丁が食材を最後までしっかり切り離してくれるから、盛り付けが美しくなり、食材の繊維を潰さないことで味も良くなります。毎日使うものだからこそ、今のあなたにとって「最高に扱いやすい相棒」を妥協せずに選んでみてください。
あなたの料理の時間が、今よりもっと豊かになることを願っています。

現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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