障泥烏賊(あおりいか)とは?旬・味・よく合う食材を調理師が解説

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「障泥烏賊(あおりいか)」と聞いて、すぐにその姿が思い浮かぶ方は少ないかもしれません。しかし、このイカは刺身や寿司ネタで使われる高級イカの代表格。ねっとりとした甘み、もちもちの歯ごたえは、ほかのイカとは一線を画すおいしさです。

本記事では、そんな障泥烏賊の旬の時期や特徴、代表的な料理から、選び方・栄養素、そしてちょっと気になる漢字の意味や英語表記まで、和食調理師としての経験をもとにやさしく解説します。

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障泥烏賊(あおりいか)の旬

アオリイカ(障泥烏賊)は、イカの中でも特に高級な種類として知られています。その旬は地域や漁法によってやや差がありますが、一般的には春から初夏(4月〜6月頃)にかけて、特に身が厚く甘みが増すとされています。


あおりいか

あおりいか(幼体)

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

全国的な旬の目安

地域旬の時期特徴
関東・東海5月〜6月産卵前で身が太く、ねっとりした甘みが濃い
九州・沖縄11月〜2月冬〜初春にかけて大型が多く、水温が低くて身が締まる
瀬戸内・四国4月〜6月小型中心だが、味は繊細で刺身に向く

産卵期直前のアオリイカは最も栄養を蓄えていて旨味が強いため、刺身や寿司ネタとして最適です。


●季節ごとの味わいの違いも楽しめる

アオリイカは通年を通して漁獲されますが、**春〜初夏は“旨味が濃い”、秋〜冬は“身が締まって食感が良い”**といった特徴があるため、料理法によって旬を選ぶのもおすすめです。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

刺身なら春〜初夏、火を通すなら秋〜冬のアオリイカがベスト。特に春先のものは「透明感」「厚み」「甘み」が三拍子そろっています。


障泥烏賊とは?特徴・味・食感の魅力を調理師が解説

障泥烏賊 あおりいか(Bigfin reef squid)

アオリイカ(障泥烏賊)は、スルメイカやヤリイカよりも高級とされるイカで、その理由は食感・味わい・身の厚みにあります。ここでは、アオリイカの特徴を和食調理師の視点からわかりやすくご紹介します。


●体の特徴|厚みのある胴と大きなヒレ

  • 胴(身)の幅が広く、肉厚でしっかりした身質
  • エンペラ(ヒレ)が大きく、胴の長さの7割近くまで伸びる
  • 成長すると体長40cm以上・重さ2kg超になることも

その見た目からも、存在感と高級感を感じさせるイカです。


●味の特徴|甘みが強く、上品な旨味

アオリイカは、他のイカに比べて甘みが強く、噛むほどに旨味が広がるのが特徴です。イカ独特の生臭さが少ないため、刺身や寿司ネタでも非常に人気があります。


●食感の特徴|もっちり・ねっとりの理想的バランス

新鮮なアオリイカは、「もっちり+ねっとり」という、イカ好きにはたまらない食感を持っています。スルメイカのような強い歯ごたえとは異なり、やわらかさの中に弾力があるため、幅広い年齢層に好まれます。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

アオリイカは包丁の入れ方ひとつで印象が変わります。刺身では細かく隠し包丁を入れることで、さらにとろけるような食感になりますよ。

障泥烏賊の地方名・呼び名一覧

アオリイカ(障泥烏賊)は全国各地で水揚げされ、地域によってさまざまな呼び名があります。地元の方言や漁師言葉、売り場での表示が異なるため、知っておくと役立ちます。


●代表的な呼び名とその地域

呼び名主な地域備考
アオリイカ全国(標準和名)最も一般的。料理店や市場でも使用。
バショウイカ九州
(鹿児島・長崎など)
“バショウの葉に似たヒレ”が由来
クツイカ和歌山県漁師言葉。「足が長く、靴のように見える」説あり
モンゴウイカ
(誤用)
一部地域
(混同)
アオリイカとモンゴウイカは別種。要注意

障泥烏賊の目利きポイント|鮮度を見極めるには?

アオリイカ(障泥烏賊)は鮮度が命の食材。特に刺身や寿司で楽しむ場合は、良質なものを見極める目が大切です。ここでは、鮮度の高いアオリイカを選ぶためのポイントを解説します。


●鮮魚売り場や市場でのチェックポイント

チェック項目見分け方のコツ
透明感新鮮な個体は胴体が透き通るように光る
目の濁り黒目がはっきり・澄んでいるものが鮮度良好
体のハリ・形身がしっかりしており、だらんと崩れていない
ぬめり・におい適度なぬめりはOK。強いにおいがあるものは避ける

●むき身・冷凍品を選ぶとき

スーパーなどではむき身や冷凍のアオリイカもよく見かけます。その場合は以下をチェックしましょう。

  1. ドリップ(水分)が少ないもの
  2. 白っぽく乾いていないもの
  3. 冷凍焼けしていない(表面がザラついていない)
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

刺身用として売られているものでも、透明感がありすぎて乾燥している場合があります。包丁を入れたときに“ヌケ感”があるものは避けましょう。

障泥烏賊に合う食材・食べ合わせ一覧

アオリイカはクセが少なく甘みのある味わいが特徴で、さまざまな食材と好相性です。ここでは調理法別に、相性の良い食材・調味料を一覧表でまとめました。


●障泥烏賊 × 相性の良い食材・調味料

組み合わせ相性の特徴主な料理例
しょうが臭みを抑え、後味を引き締めるイカ刺し
酢の物
漬けダレ
わさびさわやかな辛味が甘みを引き立てる刺身
寿司
醤油甘みと旨味をまとめてくれる万能調味料イカ刺し
漬け丼
柚子・すだち香りと酸味で風味を高める刺身
焼き物
カルパッチョ
塩+オリーブ油甘みが際立ち、洋風にも合うカルパッチョ
ソテー
海苔・大葉磯の香りが加わり、清涼感が増す和風パスタ
軍艦巻き
天ぷら
大根おろしこってり感を抑え、食後感をさっぱりさせるイカの天ぷら
酢の物

おすすめの調理法と味つけのヒント

  • 刺身や寿司:甘みがあるため、シンプルな醤油・塩が◎
  • 天ぷらや炒め物:香りのある薬味(しそ・柚子・生姜)で風味UP
  • 洋風アレンジ:オリーブオイル+レモン+ハーブでも絶品
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

アオリイカは「甘みを引き出す×香りで引き締める」の組み合わせが鉄板です。たとえば「わさび+醤油」「柚子+塩」など、シンプルな組み合わせで十分に素材の魅力が引き立ちます。

障泥烏賊の漢字と英語表記

障泥烏賊の漢字の読み方と意味

「障泥烏賊」はあおりいかと読みます。あまり見かけない漢字ですが、和食の世界では使われることがあります。

  • 障泥(あおり):馬の鞍につける泥よけ。アオリイカの大きなヒレがこれに似ていることから。
  • 烏賊(いか):カラス(烏)を襲う賊(賊)という、中国の古い伝説に由来。

障泥烏賊の英語表記と発音

アオリイカは英語で
Bigfin reef squid(ビッグフィン・リーフ・スクイッド)
発音:[bíg fɪn ríːf skwɪd]

そのまま “Aori-ika” と表記されることもあり、寿司店では「Aori squid」などの表記が一般的です。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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