黒鯛(チヌ)英語表記と旬・特徴まとめ|味・栄養・調理法を現役調理師が解説

黒鯛(チヌ)がたくさん並んでいる写真|旬の黒鯛と英語表記を紹介 魚介類
黒鯛(チヌ)は日本各地で親しまれる人気の魚。旬や特徴、英語表記までまとめて解説します。
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黒鯛(くろだい/チヌ)は英語で

“Black sea bream(ブラック・シー・ブリーム)”

日本全国の沿岸に生息し、釣り人からも人気の高い白身魚です。春から初夏にかけての「乗っ込み」と呼ばれる産卵期が旬で、脂がのって濃厚な旨みが楽しめます。

刺身や塩焼き、煮付けなど幅広い料理に合い、家庭でも扱いやすいのが特徴。さらに、良質なたんぱく質とミネラルを豊富に含み、健康面でも優れた食材です。

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黒鯛の英語・漢字表記

黒鯛(チヌ)の英語表記「Black sea bream」カード画像
黒鯛の英語は Black sea bream。釣りや料理で国際的にも使われる名称です。

黒鯛(チヌ)は英語で “Black sea bream(ブラック・シー・ブリーム)” といいます。
“sea bream” は「タイ類の魚」を指し、“black” は体色の黒みを表しています。
英語では「ブラック・シー・ブリーム」と発音し、日本の釣り人の間では “chinu” という呼び名でも知られています。


項目内容
英語表記Black sea bream
発音記号/blæk siː briːm/
読み方ブラック・シー・ブリーム
学名Acanthopagrus schlegelii
別表記(釣り英語など)Black porgy(ブラックポーギー)

例文で覚える「黒鯛」の英語表現

  • Black sea bream is popular for sashimi and grilled dishes in Japan.
     黒鯛は日本で刺身や焼き魚として人気があります。
  • Fishermen call it “Chinu” in western Japan.
     西日本では釣り人が「チヌ」と呼びます。

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黒鯛(チヌ)の旬~おいしい時期~

黒鯛(くろだい/チヌ)は、全国の沿岸に広く分布する白身魚で、季節や水温によって味が大きく変化します。もっとも美味しい時期は、晩秋から早春(10月〜2月)。この時期は水温が下がり、身が締まって脂がのるため、刺身や塩焼きに最適です。

季節状態・特徴味わいの傾向
秋(9〜11月)産卵後の回復期で身が締まるほどよい脂と旨み。煮付け・塩焼きにおすすめ。
冬(12〜2月)最も脂がのる時期濃厚な旨みとふっくらした身質で刺身・焼き物に最適。
春(3〜5月)産卵期(乗っ込み)に入る個体差が大きく、身がやや水っぽくなることも。
夏(6〜8月)活性が高く釣れるが、味は落ち気味水分が多く淡白。天ぷらや南蛮漬けに向く。

「乗っ込み」とは
魚が産卵のために沿岸(浅場や内湾)へ群れで近づいてくる時期のことを指します。黒鯛の場合、3月〜6月頃がこの「乗っ込み期」にあたります。

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現役和食調理師のヒント

黒鯛は「冬の脂」「秋の締まり」で味が決まる魚。刺身なら冬〜早春、塩焼き・煮付けなら秋がベストです。

黒鯛とは ~特徴と味わい~

ざるに入った黒鯛1尾|黒みを帯びた銀灰色の体色が特徴
黒鯛はスズキ目タイ科の魚。黒みがかった銀灰色の体と高い体高が特徴です。

黒鯛(くろだい/チヌ)は、スズキ目タイ科クロダイ属の海水魚(学名:Acanthopagrus schlegelii)で、北海道南部から九州、朝鮮半島、中国沿岸まで広く分布しています。「チヌ」は主に西日本での呼び名で、地方によってもさまざまな名前を持つ魚です。

岩礁帯や防波堤、河口の汽水域など環境の変化に強く、甲殻類・貝類・小魚・海藻などを食べる雑食性。釣りの対象魚としても非常に人気があり、特に「落とし込み釣り」や「フカセ釣り」のターゲットとして親しまれています。


見た目の特徴

項目内容
体型やや丸みのある側扁型。体高が高く、真鯛よりずんぐりした印象。
体色成魚は黒っぽい銀灰色で、若魚はやや明るめ。環境(水深や底質)で体色が変化。
大きさ成長すると50cmを超える個体もあり、大型は「年無しチヌ」と呼ばれる。
歯と顎強靭な顎と臼歯で、貝殻や甲殻類を噛み砕く。底生生物を食べる習性がある。

味わいの特徴

項目内容
身質しっかりとした白身で、淡白ながら上品な旨味。加熱しても身崩れしにくい。
刺身新鮮なものは甘みがあり、昆布締めにすると旨味が倍増。
旬の味冬〜春は脂がのり刺身・塩焼きに最適。夏はやや水っぽいが調理次第で美味。
香り生息環境によっては磯の香りが強い個体もあり、下処理や味付けで調整が必要。
調理適性煮付け、塩焼き、蒸し物、汁物など多様な調理に向く。

出世魚としての呼び名

黒鯛は、成長段階によって名前が変わる出世魚です。地域によって呼称が異なり、釣り人の間ではよく使われます。
関東=チンチン → カイズ → クロダイ
関西=ババタレ → チヌ → オオスケ


性転換について

黒鯛は、生まれたときはオスで、成長とともにメスへ性転換する“雌性先熟型”の魚です。繁殖期(春〜初夏)には体色が濃くなり、沿岸の浅場に集まる「乗っ込み期」を迎えます。

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現役和食調理師のヒント

黒鯛は活け締めで血抜きを丁寧に行うことで、白身の甘みが際立ちます。磯の香りが強い個体は、昆布締め・味噌漬け・酒蒸しにすると風味がやわらぎます。

黒鯛の地方名

黒鯛(くろだい)は全国的に親しまれている魚ですが、地域によって呼び名が大きく異なるのが特徴です。西日本では「チヌ」という名が定着しており、関東・東北・北陸などでもさまざまな方言名が使われています。これは黒鯛が日本各地の沿岸や内湾に広く生息しているため、地域文化や漁法とともに独自の呼び名が生まれたからです。


地域呼び名備考
北海道・東北チン
チヌ
若魚を「チン」と呼ぶ地域もある。
関東クロダイ
カイズ
小型を「カイズ」、大型を「クロダイ」と呼び分ける。
北陸クロダイ
チヌ
日本海側では「チヌ」も通じる。
東海チヌ
チンチン
若魚を「チンチン」と呼ぶ出世魚名が有名。
近畿チヌ
ババタレ
幼魚は「ババタレ」と呼ばれ、成長すると「チヌ」に。
中国チヌ
オオスケ
大型の個体を「オオスケ」と呼ぶことも。
四国チヌ釣り文化が盛んな地域で、一般的な呼称。
九州チヌ
カンダイ
一部地域で「カンダイ」と呼ばれるが、別種との混同に注意。
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現役和食調理師のヒント

黒鯛は地方によって味の傾向も少し違います。たとえば日本海側のチヌは身が締まり、太平洋側は脂がのりやすい。地方名だけでなく、どこの海で獲れたかを意識して選ぶと、より美味しくいただけます。

黒鯛の目利き

鮮度の良い黒鯛の頭を下から撮影|澄んだ目とツヤが鮮度の証
目が澄み、皮にツヤがある黒鯛は鮮度抜群。弾力と潮の香りで見分けましょう。

黒鯛(チヌ)は鮮度によって風味と食感が大きく変わる魚です。刺身や焼き物に使う場合は、目・体表・身のハリ・においの4点をしっかりチェックするのが基本です。

項目見るべき特徴
黒目が澄んでいて、白く濁っていないもの。充血や乾きがあるものは避ける。
体表銀灰色のツヤがあり、体にぬめりが適度に残っている。乾いているものや黒ずんだものは鮮度低下。
身のハリ指で押すとすぐに戻る弾力があり、腹部がしっかりしている。柔らかく沈むものは鮮度が落ちている証拠。
エラ鮮やかな赤色で、ぬめりが少ないものが新鮮。暗赤色や茶色に変色したものは避ける。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

冬場のものは脂がのって柔らかく感じる場合もありますが、“身が締まりつつも弾力がある”ものを選ぶのがコツ。買ってすぐに使えない場合は、軽く塩を振ってキッチンペーパーで包み冷蔵すると、臭みを抑えて保存できます。

黒鯛と相性の良い食材

黒鯛の刺身盛り合わせ|白身に上品な旨みと脂がのった旬の黒鯛
冬から春にかけて脂がのる黒鯛の刺身。薬味や昆布締めでさらに旨みが引き立ちます。
食材組み合わせの理由
大根おろし塩焼きの脂をさっぱりと中和する定番の付け合わせ
生姜煮付けの臭み消しと香味付けに最適
柚子刺身や蒸し物に爽やかな香りを添える
昆布昆布締めにして旨味を凝縮、刺身の味が引き立たせる
白味噌西京焼き風の漬け込みでコクと香りをプラス
三つ葉吸い物や蒸し物で香りと彩りを添える
梅肉湯引きや蒸し物に添えると酸味で味が締まる

おかみさんの一言

チヌって聞くと釣り人のイメージだけど、台所でさばくときは意外とおとなしい子。脂がのった黒鯛の塩焼きは、ご飯もお酒もついつい進んじゃうのよねぇ。

黒鯛に合う調理法

黒鯛の煮付け|ふっくらと煮上がった身と照りのある煮汁
身崩れしにくい黒鯛は煮付けにも最適。甘辛いタレで煮ると旨みが際立ちます。
調理法理由
刺身脂がのった旬の身は甘味が強く、旨味が際立つ
塩焼き香ばしさと脂の旨味が引き立ち、定番の食べ方
煮付け甘辛い味付けが淡白な身に合い、ご飯が進む
蒸し物身がふっくら仕上がり、上品な味わいになる
昆布締め旨味が凝縮し、刺身とは違った風味が楽しめる
唐揚げ小型個体やあらを使うと食べやすいが、やや身が硬くなる
吸い物澄んだ出汁と白身の旨味が相性抜群
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

刺身や塩焼きで食べるなら、活きの良い魚を手早く処理するのがポイント。昆布締めは1日寝かせて、しっとりとした食感と旨味を楽しんでみてください。

黒鯛の栄養素 (食品成分表)

くろだい (生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率55%
エネルギー137
水分71.4g
タンパク質20.4g
脂質6.7g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.3g
ナトリウム59
カリウム400
カルシウム13
マグネシウム36
リン250
0.3
亜鉛0.8
0.03
マンガン0.01
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)12
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD4.0
ビタミンE(トコフェロールα)1.4
ビタミンK
ビタミンB10.12
ビタミンB20.30
ナイアシン5.5
ビタミンB60.42
ビタミンB123.7
葉酸14
パントテン酸0.62
ビオチン
ビタミンC3
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

おかみさんの一言

黒鯛は高たんぱくで脂質もほどよく、ヘルシー志向の食事にもおすすめ。旬の冬場は脂質が上がって旨味も増します。

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
→ たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなど、健康に必要な栄養素35種類を、分類ごとにわかりやすく解説しています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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