白ワインを配合してパンを焼いたらどうなったか|ホームベーカリー奮闘記

ブログ
ブログ » ホームベーカリー奮闘記 » 白ワインを配合してパンを焼いたらどうなったか|ホームベーカリー奮闘記

水の代わりに白ワインを使って食パンを焼いたら、どんな仕上がりになるのか。アルコールや酸味、香りは発酵や焼き上がりに影響するのか。今回は、白ワインを56%配合してホームベーカリーでそのまま焼いてみました。

ワインの風味は残るのか、それとも飛んでしまうのか。膨らみや食感に違いは出るのか。
結果は、想像していた「ワイン風味のパン」とは少し違う方向へ。

実際に焼いて分かった仕上がりと、なぜ?そうなったのかを調理師の視点で正直にまとめた奮闘記です。


結論

白ワインを配合して焼いた食パンは問題なく成立しました。
膨らみは良好で、生地が重たくなることもなく、全体としては安定した焼き上がりです。一方で、焼き上がり時に白ワイン特有の香りはほとんど感じられず、飲んでいるような風味は残りませんでした。上部の形はやや崩れやすく、クラムはきめが粗め。仕上がりとしては、ほんのり酸味を感じる食パンになります。

ワインの香りを楽しむパンというより、酸味がアクセントになった変化系の食パンという位置づけが適切な結果です。


このレシピを試した理由

赤ワインを使ったパンが成立したので、白ワインでも同じように焼けるのかを確かめたくなったのが理由です。赤ワインと白ワインでは色・酸味・香り・成分が異なるため、仕上がりにどんな違いが出るのかは実際に焼いてみないと分かりません。

今回は細かい調整をせず、白ワインを56%配合した場合の素直な結果を見ることを目的にしています。


レシピと条件

レシピ|白ワイン56%の食パン

※この原価表は、当時実際に使用していた材料価格をもとに算出しています。
現在は原材料価格が変動しているため、あくまで目安としてご覧ください。

材料割合(%)分量原価
強力粉100 %250g95 円
ドライイースト1.2 %3g16.8 円
白ワイン56 %140 cc140 円
生クリーム24 %60 g51 円
砂糖6 %10 g2 円
2 %5 g1 円
バター6 %10 g20 円
▼原価合計325.8 円
  • 強力粉は 「春よ恋60g」+「スーパーキング190g」 を使用
  • 白ワインのアルコールは飛ばし、常温で冷ます
  • 水は入れない(水分は白ワインと生クリーム)
  • 前回の「赤ワインの食パン」の時に少し水分が多く感じたので調整

今回使用した材料は製菓・製パン材料専門店「コッタ」で購入しました。同じ材料を探したい方はこちらをご覧ください。製菓材料・ラッピングアイテムをお得に買うなら【cotta】

条件

今回使用したホームベーカリーはPanasonic SD-BH104(廃盤モデル)
発売からかなり年数が経っていますが、現在も安定した焼き上がりで現役使用中です。

項目環境
日付2021.3.25
室温17℃
湿度65℃
天気
タイマーセットあり
ホームベーカリーの設定ソフトモード
焼き上がり「淡」

実際の焼き上がりと食感

膨らみ
白ワインを56%配合していますが膨らみは良好です。生地が重くなることはなく、全体としては軽さのある仕上がりになりました。ただし、上部の形はやや整わず、表面が不揃いになっています。


焼き色
焼き色は淡めで、通常の食パンと大きな違いはありません。焼成中や焼き上がり時に、白ワイン特有の強い香りはほとんど感じられず、見た目からはワイン入りとは分かりにくい印象です。


クラム
クラムはきめがやや粗め。しっとり感とふわふわ感はありますが、モチモチとした弾力は控えめです。気泡は大きすぎず、均一ではあるものの、軽い食感に寄っています。


食感
わいは甘さ控えめで、ほんのりとした酸味が残ります。白ワイン由来と思われる上品な酸味が広がり、大人向けの食パンという印象です。そのまま食べても不味くはありませんが、子ども向けというよりは大人向け。チーズやトマトなど、塩味や酸味のある食材との相性が良さそうで、食事パンとして使いやすい仕上がりです。


なぜこの結果になったのか(仮説)

白ワインに含まれる酸とアルコール成分が、生地の発酵や構造に影響したと考えられます。
アルコールは発酵中に飛びますが、その過程でイーストの働きがやや変化し、きめが粗く、上部の形が整いにくい仕上がりになった可能性があります。

また、白ワイン由来の酸味が生地全体に残り、甘さを感じにくく、すっきりとした大人向けの味わいになったと推測できます。香りが強く残らなかったのは、焼成時に揮発したためでしょう。


再現するためのポイント

  • 白ワインは香りを残す目的ではなく、酸味を加える素材として使う
    焼成後にワインの香りはほぼ残らない前提で考える。
  • 甘さ控えめ・食事向けの仕上がりになるため、砂糖は増やさず、具材との組み合わせで味を作るほうが向いている。
  • モチモチ感は出にくいため、ふわっと軽い食感を狙う配合として割り切る。
  • そのまま食べるより、チーズ・トマト・ハムなどと合わせる食事パン用途で使うと満足度が高い。

👉 「ワイン風味のパン」を期待せず、「酸味を活かした食事用食パン」として再現するのがポイント。


あわせて読みたい

今回のように配合調整で悩みやすい場合、そもそも「失敗しにくい環境」から始める方法もあります。
▶ ホームベーカリーは“いきなり買わない”という選択

私が作成したパンの一覧はコチラ
▶ホームベーカリー奮闘記|うまくいかなかった原因と試したことを全部まとめました

ホームベーカリーを続けるうえで気になる原価や消耗品の現実については、こちらで整理しています。
▶ホームベーカリーの原価と消耗品|続けるための現実

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
プロフィールを見る

タイトルとURLをコピーしました