春の香りを楽しむ副菜「蕗(ふき)の甘辛煮」。
シャキッとした食感と、ほろ苦さの中に感じる上品な甘辛味が魅力です。
しかし、「えぐみが残る」「味が濃い」「焦げた」など、意外と失敗しやすい料理。
原因は、下茹でと煮詰めの火加減にあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「下処理でえぐみを抜き、煮詰める前に火を落とす」。
焦げないように仕上げれば、箸休めにぴったりな上品な常備菜になります。
よくある失敗と原因
- えぐみが残る → 下茹で不足 or 板ずり不足
- 味が濃い → 煮詰めすぎ
- 甘い → 砂糖・みりんの入れすぎ
- 焦げる → 水分が少ない状態で強火のまま
- 風味が弱い → 唐辛子を入れるタイミングが遅い
材料

食材
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 蕗 | 約150g | 主素材。食感と香りを生かす |
| 赤唐辛子 | 1本 | 香りと辛味のアクセント |
調味料
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 50cc | 5 | 旨味と下味をつける |
| 濃口醤油 | 20cc | 2 | 味と香りの決め手 |
| 砂糖 | 10g | 1 | 甘味と照りを出す |
| みりん | 20cc | 2 | コクとつやを加える |
| 料理酒 | 20cc | 2 | 香りと深みを引き出す |
下処理

- 蕗:板ずりして塩をなじませ、3分ほど茹でる。
氷水に取り、冷めたら皮を剥いて3cm長さに切る。 - 赤唐辛子:種を取り、小口切りにする。

現役和食調理師のヒント
板ずりは「えぐみを抜くための準備」。香りよく仕上げるコツです。
作り方(よくわかるレシピ)

- 炒める(中火)
フライパンに油をひき、下ごしらえした蕗を入れて中火で2〜3分炒める。
🔸 合図:「表面に軽くツヤが出てきたら」次へ。 - 出汁と調味料を加える(弱火)
出汁・濃口醤油・砂糖・みりん・料理酒を加える。
弱火にして時々混ぜながら煮る。 - 煮詰める(弱火)
赤唐辛子を加え、汁気がなくなる直前まで煮る。
🔸 合図:「鍋底に薄く泡が残るくらい」が止め時。
焦げやすいので、ここからは混ぜながら火を止めるタイミングを見極める。 - 盛り付ける
汁気を切って皿に盛り、赤唐辛子を上に散らす。
現役和食調理師のコメント
蕗は「煮すぎず、香りを残す」のが一番のコツです。
甘辛く仕上げるときは、最後の1〜2分が勝負。
煮汁がほとんど見えなくなったらすぐに火を止め、余熱で仕上げます。
焦がさず煮詰める感覚を身につければ、どんな副菜も美しく仕上がります。
失敗しない3つのコツ

- 板ずりと下茹では必ず行う(えぐみ防止)
- 煮詰めの最後は弱火&鍋底に注意
- 味見をして少し薄いと感じる程度で火を止める
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器で3〜4日間。味がなじむほど美味しくなる。
- 冷凍保存:食感が落ちるため非推奨。
- 作り置き活用:お弁当や箸休め、副菜の常備菜として最適。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鯖の味噌煮・鶏の照り焼き
- 副菜:高野豆腐の含め煮・小松菜のおひたし
- 汁物:なめこの味噌汁・すまし汁
旬と豆知識
蕗(ふき)は春から初夏が旬。
香りの成分「フキノリド」は加熱しても残り、独特のほろ苦さが魅力です。
カリウムを多く含み、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【蕗の栄養ページ】へ。
