米茄子(べいなす)は、英語で “eggplant Black Beauty(エッグプラント・ブラックビューティー)” と呼ばれるアメリカ原産の大型ナスをもとに日本で改良された品種です。
「米ナスの“米”はなぜ?」と思う方も多いですが、これは“米国(アメリカ)から導入されたナス”という意味から付けられた名前とされています。
ずっしりとした丸い形と、焼くとトロリととろける果肉が特徴で、田楽やステーキ、グラタンなどにもよく使われます。海外では「Black Beauty」と呼ばれ、日本ではその英語名が由来となり“米茄子”の品種が広まりました。
この記事では、
- 米茄子の英語表記と名前の由来
- 旬の時期と美味しい食べ方
- 選び方・保存方法・相性の良い食材
を、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
英語表現を学びたい方も、旬の食材を楽しみたい方も、ぜひ最後までご覧ください。
英語で食材の名前を覚えたい方へ
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“eggplant”“Black Beauty”など、料理で使う英単語を楽しく学べます。
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米茄子 の旬 ~おいしい時期~
べいなす Black beauty
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
米茄子(べいなす)の旬は6月〜9月頃です。
気温が上がる初夏から盛夏にかけて収穫量が増え、最も美味しい時期を迎えます。
主な産地は熊本県・高知県・福岡県・千葉県などの温暖地。とくに熊本県産の米ナスは皮が薄く、加熱すると果肉がトロトロになるため「焼きナス」「田楽」に最適とされています。
旬の時期は果肉の水分が多く、加熱しても崩れにくく、油との相性もさらに良くなります。夏野菜らしく、体を冷やす作用があるとも言われ、暑い時期にぴったりの食材です。
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
米茄子とは? ~解説~

米茄子(べいなす)は、英語で “eggplant Black Beauty(エッグプラント・ブラックビューティー)” と呼ばれるアメリカ原産の大型ナスをもとに、日本で改良された品種とされています。
名前の「米」はアメリカ(米国)由来を意味し、海外から導入されたことから「米ナス」と呼ばれるようになりました。
ただし、正確な命名経緯や改良系統にはいくつかの説があり、明確に定義された一次資料は確認されていません。
一般的なナスよりも果実が大きく、丸みを帯びたずっしりとした形が特徴です。
皮は濃い紫~黒紫色でツヤがあり、ヘタはやや明るい緑色を帯びることが多く、緑のヘタが米茄子の見分け方の一つとも言われます。
果肉は密で煮崩れしにくく、焼いても中がトロリと柔らかくなるのが魅力。田楽、揚げ出し、グラタン、ラタトゥイユなど加熱調理に非常に向いた品種です。油をよく吸うため、揚げ物や炒め物との相性も抜群。ナスの旨味と香ばしさを引き立てます。
ナスを調理する際は、繊維が縦方向に走っているため、縦切りにすると繊維感が残りやすく、食感を柔らかくしたい場合は横方向にカットすると良いでしょう。

現役和食調理師のヒント
米茄子は厚めに輪切りにして田楽やソテーにするのが一番おすすめ。ヘタのトゲに注意しながら、ツヤとハリのある実を選ぶと失敗がありません。
米茄子の選び方 ~目利き~

新鮮な米茄子を見分けるポイント
| ポイント | 良い米茄子の特徴 |
|---|---|
| 皮のツヤ・色 | 表面にハリとツヤがあり、色が濃くムラがないもの |
| ヘタの状態 | 緑色でみずみずしく、トゲがピンと立っている |
| 形と重さ | 丸みがあり、手に持つとずっしり重い |
| 傷やへこみ | 傷が少なく、表面がなめらか |
米茄子は皮のハリとヘタの鮮やかさが鮮度のサイン。ヘタのトゲが鋭いものほど収穫から日が浅く、鮮度が良い証拠です。また、皮の色ムラが少ないほど加熱時にムラなく柔らかく仕上がります。

現役和食調理師のヒント
米茄子は「ずっしり重く、ヘタが緑」を覚えておくと失敗しません。手に取ったときに軽いものは水分が抜けて食感が悪くなりやすいので、重みとツヤを基準に選ぶと美味しく調理できます。
米茄子の保存方法(冷凍・冷蔵)
常温保存(短期)
- 保存期間:2〜3日以内
- 保存場所:風通しがよく、直射日光の当たらない場所
- ポイント:米茄子は低温に弱いため、夏場以外は常温でもOK。
新聞紙で包み、通気性のあるかごや紙袋に入れておくと乾燥を防げます。
※25℃を超えると皮が傷みやすくなるため、夏場は冷蔵庫へ。
冷蔵保存(おすすめ)
- 保存期間:4〜5日
- 保存方法:
- 米茄子を1本ずつ新聞紙またはキッチンペーパーで包む
- ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室(10〜12℃前後)で保存
冷蔵庫の冷気(約5℃以下)はナスにとって低温障害の原因になります。新聞紙で包むことで急な冷えを防ぎ、皮のツヤと果肉の弾力を保てます。
冷凍保存(調理用)
- 保存期間:約1か月
- 下処理のコツ:
- 厚めに輪切りまたは乱切りにする
- 軽く油で炒める、または素揚げ(170℃で30秒ほど)して冷ます
- 冷凍用袋に入れて空気を抜き、平らにして冷凍保存
生のまま冷凍すると黒ずみやすく、食感も変わります。軽く油通しすることで退色を防ぎ、解凍後もトロッとした食感が楽しめます。調理時は解凍せずにそのまま炒め物や煮物に使うのがポイントです。

現役和食調理師のヒント
米茄子は“冷やしすぎない”のが鉄則です。冷蔵庫では野菜室を使い、乾燥対策に新聞紙+ポリ袋を併用しましょう。冷凍する場合は油を使うひと手間で、色と食感が格段に良くなります。
米茄子と相性の良い食材

| 食材 | 相性の理由・効果 |
|---|---|
| 田楽味噌 | 甘辛い味噌がナスの旨味と油のコクを引き立てる |
| 豚肉 ひき肉 | 油との相性が良く、たんぱく質と脂質でコクが増す |
| チーズ | 塩味と旨味がナスの甘みを引き立てる |
| トマト | 酸味とリコピンで油っぽさを軽減、彩りも良い |
| オリーブオイル | ナスニンなどの抗酸化成分と油の吸収が相性良く、風味もアップ |
| 大葉 みょうが しょうが | 体を冷やす性質を持つナスに香味野菜を合わせてバランスを取る |

現役和食調理師のヒント
米茄子は油をよく吸うので、味の濃い調味料や旨味のある食材と合わせるのがコツです。
味噌・チーズ・肉類など、コクを足す組み合わせが最もおいしく仕上がります。特に「米茄子の田楽」は、香ばしい味噌の香りととろける果肉が絶妙です。
米茄子とよくあう調理法

| 調理法 | 特徴・ポイント | 向いている料理例 |
|---|---|---|
| 焼く | 果肉がとろけるように柔らかくなり、香ばしい風味が際立つ。厚めに切るのがコツ。 | 田楽 ステーキ グラタン風焼き |
| 揚げる | 油をよく吸い、濃厚な旨味とコクが出る。高温で短時間がベスト。 | 揚げびたし ナスの天ぷら |
| 炒める | 短時間で火が通り、食感が残る。肉や味噌と合わせると味が染みやすい。 | 肉みそ炒め 味噌炒め |
| 蒸す・煮る | 果肉が崩れにくいため、味がしっかり染み込みやすい。 | 煮びたし ナスと鶏の煮物 |

現役和食調理師のヒント
米茄子は「厚めに切って、油と一緒に焼く」が一番美味しい調理法。断面を広くとることでトロリとした食感が引き立ちます。表面に切り込みを入れると、味噌やソースがしっかり染み込みますよ。
米茄子100gの画像

米茄子 の栄養素 (食品成分表)
べいなす 果実
可食部100g当たり
| 栄養素 | 素揚げ | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 35 | 30 | % |
| エネルギー | 177 | 20 | ㎉ |
| 水分 | 74.8 | 93.0 | g |
| タンパク質 | 1.0 | 1.1 | g |
| 脂質 | 17.0 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 1.8 | 2.4 | g |
| 炭水化物 | 6.7 | 5.3 | g |
| ナトリウム | 1 | 1 | ㎎ |
| カリウム | 220 | 220 | ㎎ |
| カルシウム | 10 | 10 | ㎎ |
| マグネシウム | 14 | 14 | ㎎ |
| リン | 26 | 26 | ㎎ |
| 鉄 | 0.4 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.2 | 0.2 | ㎎ |
| 銅 | 0.09 | 0.08 | ㎎ |
| マンガン | 0.13 | 0.13 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 20 | 45 | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.5 | 0.3 | ㎎ |
| ビタミンK | 31 | 9 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.05 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.04 | 0.04 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.6 | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.05 | 0.06 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 12 | 19 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.3 | 0.3 | ㎎ |
| ビオチン | – | – | ㎍ |
| ビタミンC | 2 | 6 | ㎎ |
米茄子(べいなす)は、エネルギー量が少なく、100gあたり約22kcalと非常に低カロリーな野菜です。その約9割が水分で構成されており、夏場の水分補給や体温調整にも役立ちます。
- カリウム … 体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧の予防やむくみの改善に役立つ
- 食物繊維 … 腸内環境を整え、便通を促す
ナスニンは熱に比較的強く、皮ごと調理することで効率よく摂取できます。油と一緒に加熱すると吸収率が上がるため、炒め物や揚げ物との相性が良いのもこの成分の特徴です。
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米茄子の英語・漢字表記

| 表記区分 | 内容 |
|---|---|
| 漢字 | 米茄子 |
| ひらがな | べいなす |
| 英語表記 | eggplant “Black Beauty” |
| 発音記号 | /ˈɛɡplænt blæk ˈbjuːti/ |
| 由来 | アメリカ原産のBlack Beauty系ナスを日本で改良したことから、「米(アメリカ)+茄子」で米茄子と呼ばれるようになったとされる |
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。
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