とろとろに煮込まれた「牛すじ煮込み」は和食の定番おかず。噛むほどに旨みがあふれ、白ごはんにもお酒にもよく合う一品です。
家庭で作ると
「臭みが残る」
「固い」
「味が染みない」
など、意外と失敗が多い料理でもあります。
そこで本記事では、現役和食調理師が“下処理から煮込み方まで”を徹底解説。プロが行う下ゆでの理由や、味を含ませるタイミングを詳しく紹介します。この方法なら、誰でも失敗せずに“ぷるぷる・ほろほろ”の牛すじ煮込みが作れます。
よくある失敗と原因
- 臭みが残る → 下処理が不十分
- 固い仕上がり → 火加減が強すぎる、煮込み時間が短い
- 味がぼやける → 調味料を一度に入れている
- 油っぽい → アクと脂を取りきれていない
- 汁気が多く味が薄い → 煮詰め不足
材料(4人分)
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 牛すじ肉 | 約500g | 主役。コラーゲンと旨みのもと |
| 生姜 | 1片(スライス) | 臭み消し・風味付け |
| ねぎ(青い部分) | 1本分 | 下茹で用の香り付け |
| こんにゃく | 1枚(好み) | 食感のアクセント |
| 大根 | 1/3本(好み) | 甘みとボリュームを出す |
| ゆで卵 | 2個(好み) | 味染みの良い具材 |
| 鷹の爪 | 少々 | ピリッとしたアクセント |
基本調味料(割合)
| 調味料 | 割合 | 目安(カップ換算) | 役割 |
|---|---|---|---|
| 水 | 3 | 600ml | 全体のベース |
| 酒 | 3 | 600ml | 臭み消し・旨みを引き出す |
| 砂糖 | 1 | 200ml | 甘みと照りを出す |
| 醤油 | 1 | 200ml | 味の主軸 |
| みりん | 0.5 | 100ml | コクとまろやかさ |
下処理(プロの判断基準)
- たっぷりのお湯に生姜・ねぎを加え、牛すじを10分ほど茹でる。
→ 表面の灰汁と余分な脂を落とす。湯が濁ったらすぐにザルにあげる。 - 流水でしっかり洗う。
→ 臭みの原因を除去する重要工程。ぬるぬるがなくなるまで洗う。 - 同じ工程を2〜3回繰り返す。
→ 茹でるたびに臭みと脂が抜け、上品な味になる。 - 好みの大きさにカット。
→ 一口大に揃えると煮えムラがなくなる。
💡この状態で水気を切り、ジッパー袋に入れて冷凍保存可。
カレー・おでん・シチューの具としても再利用できます。
作り方(よくわかるレシピ)
① 下処理した牛すじを鍋に入れる。
水・酒・鷹の爪を加え、牛すじが完全に隠れるまで水分を調整。
② 強火で沸騰させる(大きな泡が立ったらOK)。
アクが出たら軽く取る。
沸騰後は中火に落とし「コトコト」と音がする程度で煮続ける。
③ 途中で砂糖を2〜3回に分けて加える。
→ 早めに入れると肉がしっかり甘みを吸う。
④ 牛すじが柔らかくなったら醤油を加える。
→ 薄口と濃口を半々にすると、見た目も味もバランスが良い。
⑤ 最後にみりんを加えてツヤを出す。
→ 煮汁が「とろり」として、照りが出てきたら完成の合図。
⑥ 好みで具材を加える場合
大根やこんにゃくを途中で加え、味が染みるまで弱火で煮る。
煮卵にしたい場合は、火を止めてから卵を漬けて冷ます。
失敗しない3つのコツ
- 下茹では最低2回、しっかり脂抜きを行う
- 味付けは砂糖→醤油→みりんの順で入れる
- 煮込む火加減は「鍋の表面が軽く波打つ程度」が理想
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器に入れ、冷蔵で3〜4日。
- 冷凍保存:汁ごと小分けにして2〜3週間。
→ 冷凍後は自然解凍せず、鍋で温め直すと風味が保てる。
相性の良い料理・献立提案
- 副菜:冷やしトマト、白菜の浅漬け
- 汁物:味噌汁(豆腐・わかめ)
- ご飯:白ごはん、炊き込みご飯、おにぎり
- 飲み物:ビール、日本酒(常温またはぬる燗)
旬と豆知識
牛すじは通年出回りますが、寒い季節(11〜2月)は脂がしまり、旨みが濃い時期。
牛の部位によって硬さが違い、アキレス系はぷるぷる、すね系はほろほろとした食感が特徴です。
現役和食調理師のひと言
牛すじ煮込みは「下処理で勝負が決まる」料理。焦らず丁寧に脂を抜くことで、上品で澄んだ味に仕上がります。煮込み中は強火にせず、“静かに湯気が上がる程度”が理想。
この「静かな火加減」を守れば、すじの芯まで味が染み込み、驚くほどやわらかく仕上がります。
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