ホームベーカリーでパンを焼くと
「膨らまない」「固い」「粉っぽい」「ベチャっとする」
誰もが一度は通る“失敗の壁”。しかし、実はこの失敗のほとんどは“技術”ではなく、材料の性質と比率を知らないことが原因です。私は60回以上、配合・材料・設定を変えながら焼き比べてきました。
“家庭用ホームベーカリーで失敗しないための、4つの法則”
✔ 強力粉の種類
✔ イーストの鮮度
✔ 水の温度
✔ 基本比率
本ページでは初心者でも必ず成功率が上がる「黄金比レシピ」と、調理師として選ぶべき材料、失敗の原因と対処法を体系的にまとめました。
今日でホームベーカリーの“失敗ループ”を抜け出しましょう。
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なぜホームベーカリーは失敗するのか?

ホームベーカリーの失敗の多くは“技術”ではなく、材料の性質と保存状態が仕上がりにダイレクトに影響することにあります。特に家庭用HBは、温度・こね時間・発酵を細かく調整できないため、
材料のわずかな違いがそのまま結果に出ます。
主な原因は次の3つです。
① 強力粉の吸水率の違い
粉の吸水率が違うと、膨らみ・食感・しっとり感が大きく変わります。家庭用HBはこれを補正できないため、粉の銘柄が変わるだけで仕上がりが不安定になります。
② ドライイーストの劣化
湿気や温度で発酵力が落ちやすく、劣化したイーストは一気に膨らまなくなります。
③ 水温のばらつき
季節差の影響が大きく、発酵が過剰・不足になりやすい。水温の不安定さは初心者に多い失敗要因です。

現役和食調理師のヒント
水分量1〜2%の誤差 → 大失敗にはつながりにくいです。
成功のための4つの基礎ルール

ホームベーカリーは、材料の性質を“正しくそろえる”だけで驚くほど成功率が上がります。私はこれまで、粉の違い・水分量・温度条件・油脂・砂糖など細かな配合を変えながら60回以上焼き比べてきました。
その結果、家庭用ホームベーカリーで安定して焼き上げるにはたった4つのポイントを守るだけでいいという結論にたどり着きました。
強力粉は「小麦粉の特性が仕上がりを決める」
家庭用ホームベーカリーは、粉の“個性”をそのまま受け取りやすい調理器具です。60回以上焼き比べた中でハッキリ分かったのは、吸水率の違いよりも“粉そのものの特性”が仕上がりに強く出るということ。
- もっちり仕上がる粉
- ふんわり軽い仕上がりになる粉
- しっかりとした噛みごたえが出る粉
- 香りが強い粉
- クセが少なく、毎日食べやすい粉
これらの特性は粉の銘柄・品種・挽き方によって大きく異なります。もちろん家庭用HBは粉の特性を補正してくれません。そのため、
- 気に入った仕上がりの粉を“1銘柄”に固定する
- 粉を変えたときは、仕上がりの違いを前提にする
この2つだけで安定感がぐっと増します。

現役和食調理師のヒント
家庭用HBは技術よりも「粉の個性」がダイレクトに出る——これが一番のポイントです。
ドライイーストは「冷凍保存」で安定する
イーストの劣化は家庭で最も気づかれない失敗原因です。開封後は湿気や温度で発酵力が落ちやすくなります。そのため、小袋(1回分梱包)で購入するか、冷凍保存するのがおすすめです。
水は「冷蔵庫の冷水」を使う
室温の水は季節で温度差が大きく、夏は発酵しすぎ、冬は発酵不足になりがち。安定した仕上がりを求めるなら、「冷蔵庫で冷やした冷水を使う」のがおすすめ。夏と冬の発酵の差は多少あるものの“毎回同じ仕上がり”に近づきます。
基本比率を守る
HBは配合の微調整が効かないため、比率が最も安定するラインがあります。
- 水分量:粉の65%前後
- 砂糖:0~15%
- 塩:1.7%前後
- 油脂:15g前後
- イースト:0.1~3%
この範囲を超えると、「甘すぎて焼き色がつきすぎる」「膨らまない」「重い生地になる」などの不安定さが出ます。まずは基本比で“HBの基準値”を作ることが成功の近道です。
配合を変えるより「材料の質を整える」方が成功率が上がる
成功体験を重ねると、バターを増やしてみたり、牛乳を入れてみたり・・。アレンジしたくなる気持ちはわかります。分量を変えることよりも材料の質を変えることから始めるのがおすすめ。

現役和食調理師のヒント
成功体験を重ねるとアレンジしたくなる。まずは分量を変えることよりも材料の質を変えることから始めることから始めてみては?
【黄金比レシピ】失敗しない基本配合

― 調理師が60回以上焼いて導いた “唯一無二のホームベーカリー専用レシピ” ―
家庭用ホームベーカリーは、材料の個性がそのまま仕上がりに出ます。そのため、一般的なレシピの“水+バター”という配合では、「ふんわり」「しっとり」「毎回同じ仕上がり」が再現しにくい。私はこれまで生クリームの量・油脂の種類・水分量・砂糖のバランスなど数十パターン以上を焼き比べてきました。
その結果、家庭用HBで最も安定し、かつおいしく焼ける配合が明確になりました。
市販レシピには載っていない、“生クリームを使った独自の黄金比” です。
黄金比の配合表
| 強力粉(イーグル) | 225g |
| 水 | 141g |
| てんさい糖 | 20g |
| 塩 | 4g |
| 生クリーム | 40g |
| バター | 15g |
| スキムミルク | 5g |
| イースト | 3g |
\この黄金比で焼けます/
調理師が実際に使うパン材料をcottaで見る
なぜこのレシピはおいしいのか?
この黄金比が特別なのは、生クリームの脂肪と乳成分が“仕上がりの質”に直接作用する点です。
一般的な配合では得られない食感・風味・安定性が、このレシピで実現します。
生クリームが“ふっくら・しっとり”の仕上がりを作る
生クリームの脂肪と乳成分が、仕上がりの食感に大きく影響します。水+バターの配合よりも、保湿力が高く、翌日まで柔らかいパンに仕上がります。
コクと甘みが自然に増して味がリッチになる
乳糖と乳脂肪のおかげで、砂糖を増やさなくても自然な甘みと香ばしさが引き立ちます。
“パン屋の香り”に近い風味になるのがこのレシピの特徴です。
HBでも安定して焼ける
家庭用HBは焼きムラ・こね不足が出やすいのですが、生クリーム入りの配合は 安定した仕上がりが得やすく、失敗が少ないのが特徴です。

現役和食調理師のヒント
この黄金比は、付属レシピの改良ではなく、60回以上焼き比べ、調理師の視点から“家庭用HBで最もおいしく焼ける配合” を追求して完成したレシピです。一度この黄金比で焼いてみれば、その違いを必ず体感できます。
材料で味が変わる|買うべき素材

材料は、仕上がりの8割を決めます。特にホームベーカリーの場合、強力粉・油脂・砂糖の影響が大きいです。
強力粉
吸家庭用ホームベーカリーは、粉の特性がそのままパンの仕上がりに出ます。香り・伸び・ふんわり感・食感——どれも “粉を変えるだけで体感できるほど変化” します。私はHBでは 「イーグル」 を愛用しています。理由はシンプルで私自身が使い慣れていること。家庭用HBと特に相性が良く、クセもなく伸びが良いこと。
どの粉を選ぶべき?
cottaの強力粉一覧ページには国産、海外産、全粒粉や準強力粉。250gの少量パックから25kgの大容量までとにかく 幅広いラインナップが揃っています。最初は「イーグル」などの扱いやすい粉を1つ決めておくと、毎回の仕上がりが安定して、失敗が大きく減ります。
\\ 強力粉のラインナップを見る(cotta)//
イースト
ドライイーストは HBの成功率を最も左右する材料 です。イーストは劣化すると、膨らまない、酸味が出る、ボリューム不足などが起きるため、“劣化しにくい銘柄”を選ぶことが重要。私は冷凍保存し、毎回安定して焼けています。
cottaでは、赤サフ・金サフなどの大容量イーストが揃っています。スーパーより割安で、HBユーザーと相性が良いのもポイント。
\\ イーストを見る(cotta)//
その他の食材
バター
バターはパンの柔らかさ・香り・口溶けに直結します。バターは香りが良く、生クリームはリッチでしっとり。この黄金比レシピが「ふっくら・しっとり」になる理由の一つが、この油脂の組み合わせです。
てんさい糖
私のレシピでは 通常の砂糖ではなく “てんさい糖” を使っています。理由はコクが深い事、まろやかな風味がある事。パンに自然な甘みを出すのに相性が良いです
\\ てんさい糖を見る(cotta)//
生クリーム
この黄金比レシピの“最大の特徴”。生クリームに含まれる乳脂肪が、ふっくら・しっとり・ミルキーな甘み を作り出します。HBでも失敗しにくいです。
よくある失敗と対処法(Q&A)

ホームベーカリーの失敗は「こね不足」でも「温度のせい」でもありません。材料の状態・比率がわずかに狂うだけで、結果に直結するのが家庭用HBの特徴です。よくある失敗パターンを、原因 → 対策のQ&Aでまとめます。
- Qパンが膨らまないのはなぜ?
- A
ほぼ“イーストの劣化”か“水温が低すぎる”の2択です。
原因
イーストの発酵力低下(最も多い)
水が冷たすぎる(7℃以下など)
吸水率の低い粉(全粒粉・外国産の一部)対策
イーストは開封後すぐに「冷凍保存」
水温は 10〜12℃(冷蔵庫の冷水でOK)
吸水の高い粉に替える(→強力粉の選び方へ誘導)
- Q生っぽい / ベチャつくのはなぜ?
- A
水分過多 or 粉と油脂のバランス崩れが原因です。
原因
吸水に対して水が多い
気温や湿度で生地が緩む
油脂が多すぎる
小麦粉のたん白量が低い対策
粉を替えると改善が早い(→強力粉「イーグル」を薦める文脈が自然)
水を5〜10g減らして調整
夏場は塩を+1gで生地を締める
- Q固い / 焼き色が薄い原因は?
- A
砂糖・油脂・粉のコク不足で起きます。
原因
砂糖が少ない(てんさい糖なら改善しやすい)
油脂が少ない
たん白量の低い粉を使用対策
粉を国産ベースに切り替える
砂糖は規定量に戻す(てんさい糖を推奨)
油脂量を黄金比に戻す

現役和食調理師のヒント
どの失敗パターンも、“比率が整う・材料の質が安定する”だけで驚くほど改善します。私が60回以上焼いて導いた【黄金比レシピ】は、すべての失敗の根本原因を解決するよう設計しています。
目的別|おすすめ配合例

ふわふわ食パン
強力粉:250g
ドライイースト:3g
水:100g
スキムミルク:5g
生クリーム:100g
砂糖:10g
塩:5g
バター:10g
もっちり食パン
魔法庵「食パンミックス」:250g
ドライイースト:3g
牛乳:170g
生クリーム:30g
バター:10g
スキムミルク:5g
香り豊かなココナッツの食パン
強力粉:250g
ドライイースト:3g
水:110g
ココナッツミルク:100g
砂糖:10g
スキムミルク:5g
塩:5g
バター:10g
調理師がたどり着いた結論
ホームベーカリーは、“なんとなく”では絶対に成功しません。しかし逆に言えば、材料と比率をきちんと整えるだけで、誰でも毎回安定して、驚くほどおいしいパンが焼けます。私が60回以上焼き続けて分かったのは、ホームベーカリーに必要なのは「技術」ではなく、次の4つだけです。
使う粉の種類を固定する
強力粉はブランドごとに吸水率が異なり、仕上がりが変わります。最初は “HBで結果が安定する粉” を決めて使うことが大切。
イーストの鮮度を保つ
膨らまない原因の8割はイースト劣化です。小分けタイプ or 大容量を 冷凍保存 すれば、発酵力は安定します。
水の温度を一定にする
家庭用HBは温度調整ができないため、水の温度を毎回同じにするだけで 安定します。それでも夏と冬では仕上がりが変わります。
黄金比率を守る
配合をいじるより、まずは素材を変える事。素材で仕上がりが変わります
■ 結論■
この4つを押さえれば、家庭でも失敗せずにおいしい食パンが焼けます。
そして実験を重ねる中で最終的にが行き着いたのが、このページで紹介している 「黄金比レシピ」 です。

現役和食調理師のヒント
材料の質 × 比率の安定=ホームベーカリーはおいしく焼ける
\初心者でも揃えやすい/
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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