疣鯛(いぼだい)は、ふっくらとやわらかい白身が特徴の海水魚で、関東では「エボダイ」、関西では「シズ」などの名で親しまれています。クセのない淡白な味わいで、塩焼きや干物、煮付けなど和食の定番料理によく使われます。
脂がのる初夏から秋にかけてが旬で、家庭料理から料亭の一品まで幅広く登場する、知る人ぞ知る優秀な魚です。名前の「疣(いぼ)」は、体表に小さな突起があることに由来しています。
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疣鯛の旬~おいしい時期~
疣鯛(いぼだい)は、初夏から秋にかけて脂がのり、旨みが増す時期が旬とされています。
いぼだい
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
疣鯛とは〜特徴と味の解説〜

疣鯛(いぼだい)は、スズキ目イボダイ科に属する海水魚で、体長は20cm前後と比較的小ぶり。体は銀白色でやや丸みを帯びた形状が特徴で、体表には小さな突起(疣のようなもの)があることから「疣鯛」と呼ばれます。
味わいはクセがなく、淡白ながらも上品な甘みとほどよい脂のりがあり、加熱するとふっくらとやわらかい食感になります。特に塩焼きや干物にすると、皮の香ばしさと身の旨味が引き立ちます。
また、関西では「シズ」、関東では「エボダイ」とも呼ばれ、地方によっては高級魚として扱われることもあります。

現役和食調理師のヒント
疣鯛は骨もやわらかく、小ぶりなため調理しやすい魚です。家庭では焼き魚や煮つけ、干物などで親しまれていますが、一夜干しにすると旨みが凝縮されて絶品です。
疣鯛の地方名
疣鯛(いぼだい)は、地域によってさまざまな名前で呼ばれています。
| 地域 | 呼び名 | 備考 |
|---|---|---|
| 関東地方 | エボダイ | 一般的に流通名として使用 |
| 関西地方 | シズ | 京都・大阪などで用いられる |
| 長崎県 | モチノウオ | 弾力のある食感に由来 |
| 福井県 | ヘシコ | 発酵させた保存食の呼び名 |
| 鹿児島県 | サツマハダカ | 地元の方言名 |

現役和食調理師のヒント
市場では「エボダイ」として並ぶことが多く、関東圏ではこの名前のほうが馴染みがあるかもしれません。干物や一夜干しで売られていることも多い魚です。
疣鯛の目利き(選び方のポイント)
新鮮な疣鯛(いぼだい)を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
| チェックポイント | 解説 |
|---|---|
| 目が澄んでいる | 黒目がくっきりし、白く濁っていないものが新鮮。 |
| 体表の銀色が美しい | 光沢があり、銀色がくすんでいないものが良質。 |
| 身にハリがある | 指で押して弾力があるものは鮮度が高い証拠。 |
| エラが鮮やかな赤 | エラの内側が赤く、変色していないものを選ぶ。 |
| においが少ない | 生臭さが強いものは鮮度が落ちている可能性あり。 |

現役和食調理師のヒント
疣鯛は小ぶりで見た目が地味ですが、鮮度が良いと身の透明感があり、焼いてもふっくらジューシーに仕上がります。干物を選ぶときも、身の厚みや表面のテカリをチェックしましょう。
疣鯛と相性の良い食材
淡白で上品な味わいの疣鯛には、香味野菜やさっぱりとした副菜がよく合います。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 大根おろし | 焼き魚の脂をさっぱりと中和。定番の付け合わせ。 |
| 生姜 | 煮付けや蒸し物で臭みを抑え、風味を引き立てる。 |
| 柚子 | 干物や焼き物に添えると香りが加わり上品に。 |
| 三つ葉 | 吸い物や蒸し物に添えると、見た目と香りが映える。 |
| 昆布 | 煮物の出汁に使えば、旨みが増しコクが出る。 |

現役和食調理師のヒント
淡白な疣鯛には「香り」と「酸味」をプラスすると味がぐっと引き締まります。焼き物+柚子、煮付け+生姜の組み合わせは失敗知らずですよ。
疣鯛に合う調理法
疣鯛は、淡白でやわらかな白身が特徴のため、加熱してもふっくら仕上がる調理法と相性が抜群です。
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 焼き物 | ◎ | 脂がのった身がふっくら仕上がり、皮は香ばしくなる。 |
| 干物 | ◎ | 一夜干しで旨みが凝縮し、日持ちもする。 |
| 煮物 | ○ | 甘辛い味付けでやさしい白身の旨味が引き立つ。 |
| 蒸し料理 | ○ | ふっくらとした仕上がりで、素材の甘みを活かせる。 |
| 揚げ物 | △ | 身がやわらかいため、崩れやすい。唐揚げは小型のものに向く。 |
| 刺身 | × | 加熱向きの魚であり、生食には適さない。 |

現役和食調理師のヒント
家庭では**「塩焼き」や「一夜干し」が扱いやすく、魚の味をしっかり楽しめます**。揚げ物はやや技術が必要なので、小さめの個体で試すのがおすすめです。
イボダイの栄養素(食品成分表)
いぼだい(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 45 | % |
| エネルギー | 132 | ㎉ |
| 水分 | 74.0 | g |
| タンパク質 | 16.4 | g |
| 脂質 | 8.5 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | – | g |
| ナトリウム | 190 | ㎎ |
| カリウム | 280 | ㎎ |
| カルシウム | 41 | ㎎ |
| マグネシウム | 30 | ㎎ |
| リン | 160 | ㎎ |
| 鉄 | 0.5 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.03 | ㎎ |
| マンガン | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 95 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 2.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.7 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.19 | ㎎ |
| ナイアシン | 4.7 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.29 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 2.7 | ㎍ |
| 葉酸 | 7 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.57 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
高たんぱく・適度な脂質で、白身魚ながら旨味が濃い。
ビタミンDとB12が豊富で、貧血予防や骨の健康維持に◎。
カリウム・マグネシウムなどミネラルバランスも良好。
ビタミンCは少ないため、野菜や果物と組み合わせる献立がおすすめ。
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疣鯛の英語・漢字表記

| 表記の種類 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 疣鯛 |
| ひらがな | いぼだい |
| 英語表記 | Pacific rudderfish |
| 発音記号 | [pəˈsɪfɪk ˈrʌdərˌfɪʃ] (パシフィック・ラダーフィッシュ) |
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
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