秋刀魚(さんま)の食べ方と旬|相性の良い食材・調理法・栄養素も解説

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秋刀魚の旬はいつが一番おいしいの?
秋刀魚の塩焼き以外での食べ方は?

秋になるとスーパーにずらりと並ぶ秋刀魚(さんま)。定番はやっぱり塩焼きですが、実は刺身や煮付け、揚げ物など、さまざまな食べ方が楽しめる魚です。脂ののり具合や鮮度によってもおすすめの調理法は変わってきます。

この記事では、秋刀魚の旬や特徴を押さえながら、「どんな食べ方が一番おいしいのか?」に迫ります。相性の良い食材、栄養価、選び方までまとめましたので、今夜の献立や買い物の参考にしてください。

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秋刀魚の旬~おいしい時期~

さんま

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

秋刀魚の旬は、一般的に 9月〜11月の秋 といわれます。名前のとおり「秋を代表する魚」ですが、実は産地や時期によって脂ののり方が大きく変わります。

  • 初秋(9月):北海道・三陸沖など北の海で水揚げされる秋刀魚。脂はまだ控えめで、さっぱりとした味わい。刺身や寿司で楽しむのに向いています。
  • 盛秋(10月):最も脂がのる時期。塩焼きにすると皮から滴る脂が炭火に落ち、香ばしい香りが食欲をそそります。
  • 晩秋(11月):脂がさらにのり、濃厚な旨味が特徴。煮付けや鍋にすると身がほろりと柔らかく、ご飯にぴったりです。
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現役和食調理師のヒント

秋刀魚は“旬の時期=脂の乗り具合”で選ぶと料理の仕上がりが変わります。あっさり食べたい時は9月の初物、こってり楽しみたいなら10月〜11月が狙い目です。

秋刀魚とは ~特徴と味わい~

秋刀魚(さんま)は、サンマ科に属する細長い青魚で、体長は約30〜35cm。名前の由来は、細長く光沢のある体が「秋に出回る刀」に似ていることからといわれています。

特徴

  • 体は銀色に光り、背中は青黒く、細長い形状
  • 新鮮なものほど目が澄んでいて、体の色に光沢がある
  • 群れで回遊し、北の海で育ち、秋に南下してくる

味わい

加熱すると身が柔らかく、香ばしい皮とジューシーな脂が魅力
脂がのる時期は濃厚で旨味が強く、塩焼きで絶品
脂が控えめな初秋の秋刀魚は、刺身や寿司に向く

  • 養殖が行われていないため、すべて天然物。国内で流通する秋刀魚は基本的に国産。
  • 「初物サンマ」は毎年ニュースになるほど高値で取引され、1尾1,000円前後になることも。秋が深まれば100円前後で庶民の味として楽しまれる。
  • 胃を持たず消化が早いため、内臓(ワタ)が傷みにくいのも特徴。塩焼きで丸ごと食べられる理由のひとつ。
  • DHA・EPA・ビタミンDなど健康成分が豊富。特に旬の秋刀魚は脂肪分が20%を超えることもあり、逆に夏場は5%程度まで落ちる。
  • 近年は冷凍技術が進歩し、旬に獲れた脂ののったサンマを冷凍流通することで、一年を通じて味わえるようになった。
  • サンマ流し網漁業の禁漁解禁日は8月10日、終漁日は12月25日と定められている。
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サンマは“ワタごと食べる魚”です。胃がないから内臓がきれいで、程よい苦味が酒の肴に最高。焼き加減で苦味と香ばしさのバランスが変わるので、自分好みを探すのも楽しみですよ。

地方名

秋刀魚(さんま)は全国各地で親しまれ、地域によってさまざまな呼ばれ方をします。

サイラ(近畿・中国・四国・志摩・長崎・土佐・阿波・丹後・鹿児島)
サイリ(摂津・伊勢など)
サーベラ(特定地域での表記例)
バンジョウ(新潟など)
サザイオ(複数地域で使用)

ほかにも、「カド」「サヨリ」「サイロ」「スズ」「マルカド」など、魚の形や地域の方言によって多数の呼び名が存在します

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旅先の市場や居酒屋で『サイラ』と書かれていても、それは秋刀魚(サンマ)のこと。地方名を知っておくと、“あ、これサンマだ!”とすぐ気づける楽しさがあります。

秋刀魚の目利き(鮮度の見分け方)

新鮮な秋刀魚を選ぶためのポイントは以下の通りです。

  • 目が澄んでいる:濁りや赤みがあると鮮度が落ちているサイン。
  • 口先(くちばし)が黄色い:脂がのった旬の秋刀魚の目安とされる。
  • 体表に光沢がある:銀色の体がピカッと輝いているものが新鮮。
  • 腹が硬く締まっている:柔らかいと内臓が傷み始めている証拠。
  • 背中が青黒く鮮やか:鮮度が良いほど色がはっきりしている。
  • 尾の付け根がしっかりしている:鮮度が落ちると尾がぐったりする。

おかみさんの一言

秋刀魚は“くちばしの黄色”が合図よ。これが鮮やかな子は脂がしっかりのっていて、焼いたときの香りも格別。買い物カゴに入れる前に、ちょっと口先をチェックしてみてね。

秋刀魚と相性の良い食材

食材組み合わせの理由・使い方例
大根おろし焼き魚の脂をさっぱりと中和。定番の付け合わせ。
すだち
かぼす
香りと酸味が脂を爽やかに。塩焼きや刺身に添えると格別。
生姜煮付けやつみれ汁で臭み消し・香味付けとして活躍。
味噌秋刀魚の味噌煮やつみれに使うと旨味が増す。
大葉刺身や寿司に合わせると風味が広がり、見た目も鮮やか。
ご飯塩焼きや蒲焼きと抜群の相性。丼ぶり仕立てもおすすめ。
梅干し焼いた秋刀魚に添えると、酸味で脂を中和し後味がさっぱり。
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秋刀魚は“脂をどうコントロールするか”で相性の良い食材が変わります。大根おろしや柑橘でさっぱり、味噌やにんにくでこってり。どっちに寄せても美味しく仕上がるのがサンマの魅力ですね。

秋刀魚に合う調理法

調理法おすすめ度理由
塩焼き脂の旨味が一番引き立つ。旬の秋の定番料理。
刺身新鮮なものは濃厚でトロのような味わい。初秋におすすめ。
煮付け骨まで柔らかく煮え、甘辛い味付けがご飯に合う。
フライジューシーで食べ応えがあるが、脂が多いのでやや重め。
干物旨味が凝縮し、保存性が高い。朝食や酒の肴に最適。
蒲焼き甘辛ダレで焼き上げると、ご飯にのせて丼ぶりにも合う。
つみれ汁鮮度が落ちた秋刀魚も美味しく再利用でき、出汁が良く出る。
南蛮漬け揚げた秋刀魚を漬け込むと、さっぱりして日持ちする。
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秋刀魚は“塩焼きで食べ尽くしたら終わり”じゃありません。刺身で濃厚さを楽しみ、つみれ汁で滋味深さを味わい、蒲焼きで丼ぶりにする。食卓に出すたびに新しい顔を見せてくれる魚なんです

秋刀魚の栄養素 (食品成分表)

さんまは、脂ののった青魚ならではの栄養を豊富に含んでいます。特に DHAやEPA といった不飽和脂肪酸は、血液をサラサラに保つ働きが期待できる成分。さらに骨や歯の健康を支える ビタミンD も多く含まれており、カルシウムの吸収を助けてくれます。

また、良質なたんぱく質やビタミンB群もバランスよく含まれ、疲労回復や代謝アップに役立つ魚です。旬の時期は脂肪分が20%を超えることもあり、エネルギー量はやや高めですが、その分“栄養の宝庫”ともいえる食材です。

さんま 皮つき

可食部100g当たり

栄養素焼き単位
廃棄率035%
エネルギー287281
水分55.653.2g
タンパク質18.123.3g
脂質25.622.8g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.10.2g
ナトリウム140130
カリウム200260
カルシウム2837
マグネシウム2830
リン180220
1.41.7
亜鉛0.80.9
0.120.15
マンガン0.020.03
ヨウ素2225
セレン3245
クロム21
モリブデン11
ビタミンA(レチノール)1611
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD16.013.0
ビタミンE(トコフェロールα)1.71.0
ビタミンK1
ビタミンB10.01
ビタミンB20.280.30
ナイアシン7.49.8
ビタミンB60.540.42
ビタミンB1216.016.0
葉酸1517
パントテン酸0.740.93
ビオチン7.49.4
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

おかみさんの一言

さんまの脂は“ただのカロリー”じゃないのよ。体にいいDHAやEPAがぎゅっと詰まっていて、ビタミンDまでしっかり入ってるから、骨や体の調子を整えてくれるの。美味しく食べて、栄養もちゃんと摂れるなんて、まさに秋の恵みね。

秋刀魚の英語・漢字表記

  • 漢字表記:秋刀魚
  • ひらがな表記:さんま
  • 英語表記:Pacific saury
  • 学名Cololabis saira
  • 発音記号:[pəˈsɪfɪk ˈsɔːri](パシフィック ソーリー)

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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