李(すもも)は、初夏から夏にかけて店頭に並ぶみずみずしい果物です。ほどよい酸味と甘みが特徴で、冷やして食べると爽やかな味わいが楽しめます。
英語では「plum(プラム)」と呼ばれますが、実は日本のすももと海外のプラムは同じ仲間でも品種が異なるのが特徴。日本では酸味が強くさっぱりとした“すもも”が多く、欧米では甘みの強い“プラム”が主流です。
この記事では李(すもも)の英語・漢字表記や旬の時期、保存方法に加えて、意外と知られていない食べ合わせのポイントも紹介します。乳製品や酸味のある果物と組み合わせるときの注意点や、ヨーグルト・はちみつなど相性の良い食材もまとめました。さらに、代表的な品種や栄養素も調理師目線で詳しく解説します。
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すももとは?~解説~

すもも(李・酢桃、学名:Prunus salicina)は、バラ科サクラ属(または広義にはスモモ属/Prunus 属)に属する落葉性の小高木およびその果実です。
原産地は中国とされ、古くから日本にも渡来して栽培されてきました。
すももは果皮の色が赤紫、黄色、淡紅など多様で、果肉も紅色~黄色系があり、ジューシーで酸味と甘味のバランスがあるのが特徴です。生食はもちろん、ジャムやコンポート、果実酒などの加工用途にも使われます。
「すもも」という名前の由来には諸説ありますが、一説には「桃より酸っぱい=酸桃(すもも)」という語感からきたとされ、中国語で “酸桃” の読み方が日本語で転じたという説があります。
プラム・プルーンとの違い
すももと混同されやすい「プラム」「プルーン」ですが、それぞれの使われ方・意味には差があります。
| 用語 | 意味・用法 |
|---|---|
| プラム (plum) | 生のすもも類全般、特に中国原産のすももを指すことが多い |
| プルーン (prune) | すもも類の中でも、乾燥処理やドライフルーツに適する品種、あるいは西洋系のすもも |
| すもも | 日本語での総称。日本で栽培されるすもも類を主に指す |
ただし、これらの用語区別には曖昧さも残ります。たとえば、すべてのプラムがドライプルーンになるわけではなく、乾燥に耐える糖度・保存性の高い品種だけが「プルーン」として加工される傾向があります。
また、国内では「プラム」「プルーン」も広義に「すもも」と呼ばれることがあり、最終的には文脈に応じて使い分けられます。

現役和食調理師のヒント
料理やデザートで「すもも」の風味を活かしたいときは、酸味を少し残すくらいの熟し具合がちょうどよいことが多いです。甘みが出すぎると風味が単調になるため、酸味とのバランスを楽しむ方が美味しく感じられます。
すももの英語・漢字表記

英語で「plum」はすもも属(Prunus)全般の果実を指す言葉で、日本の「すもも」もこの中に含まれます。
海外では “Japanese plum(日本スモモ)” と呼ばれることもあり、英語圏では「plum」は生食用果実を、乾燥加工品を「prune(プルーン)」と呼び分けます。
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英語が苦手でも、食材や料理の単語から始めれば自然と身につきます。
良い食べ合わせ

| 組み合わせ | 相性の理由・効果 |
|---|---|
| 鴨肉・豚肉 | クエン酸が脂のしつこさを和らげ、ビタミンCが鉄分吸収を助ける。 |
| チーズ | 酸味と塩味のコントラストが良く、脂肪分がすももの酸味をまろやかに。 |
| ヨーグルト | 乳酸菌+果実酸で腸内環境を整える。カルシウム吸収もアップ。 |
| パイ生地 スポンジケーキ | 加熱によって酸味がやわらぎ、甘みが凝縮。 |
| はちみつ バニラアイス | はちみつのまろやかな甘みが酸味を引き立て、香りが調和。 |
| クスクス オートミール | クエン酸が炭水化物のエネルギー代謝を促進。 |
| ルッコラ ベビーリーフ | 苦味野菜のグルコシノレートと果実酸の組み合わせで爽やか。 |
| ミント バジル | 清涼感のある香りが酸味を引き立て、消化促進にも。 |

現役和食調理師のヒント
すももは果汁が多く酸味が強いため、肉料理やチーズと合わせると料理全体の味が締まります。一方、完熟すももはデザート向き。軽く焼き目をつけてから冷やすと香ばしさと甘みが際立ちます。
李の旬~おいしい時期~

すももの旬は初夏から真夏(6月~8月)にかけてです。早い品種では梅雨入り頃の6月上旬から出回りはじめ、最盛期は7月。8月にかけて甘みが増し、完熟した果実が多く出回ります。旬のすももは果皮の色つやが良く、軽く触ると少し柔らかいものが食べごろ。
完熟するにつれて酸味がやわらぎ、香りが一気に強まります。酸味のある若い実はジャムやソース向き、完熟したものは生食やデザートに最適です。
すもも
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|

現役和食調理師のヒント
すももは冷やしすぎると香りが薄れるため、食べる30分ほど前に冷蔵庫から出して常温に戻すと、酸味と甘みのバランスがより感じられます。
李(すもも)の保存方法
常温保存(追熟が必要な場合)
購入したばかりのすももがまだ固い場合は、常温で1〜3日ほど追熟させます。
風通しの良い室内に置き、直射日光を避けて紙袋や新聞紙に包んでおくと果皮がやわらかくなり甘みが増します。
エチレンガスを出すバナナやリンゴと一緒に置くと追熟が早まります。
冷蔵保存(食べ頃〜完熟)
食べごろのすももは、キッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室へ。
冷気に直接当たると果皮が変色するため、乾燥防止がポイントです。完熟したすももはデリケートなので、1個ずつ分けて保存すると長持ちします。
冷凍保存(長期保存向き)
完熟すももは、皮つきのまま冷凍可能です。
1個ずつラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍します。食べるときは自然解凍でシャーベット状に、または半解凍のままヨーグルトやスムージーに。
加工保存(ジャム・コンポート)
完熟を過ぎたすももは、加熱して保存するのがおすすめです。
砂糖と一緒に煮詰めてジャムやコンポートにすれば、冷蔵で約1週間、冷凍で約3か月保存可能。すももの酸味と香りを残すため、短時間でサッと煮るのがコツです。

現役和食調理師のヒント
すももは完熟すると傷みやすい果物です。冷蔵庫に入れる前に「追熟」させてから保存すると、酸味がほどよく抜け、甘みと香りが際立ちます。余った分はジャムや甘露煮にして、ヨーグルトや肉料理のソースに活用すると無駄がありません。
主な品種群

| 品種名 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|
| 大石早生 (おおいしわせ) | 6月中旬〜7月上旬 | 山梨・長野・和歌山 |
| ソルダム(Sordum) | 7月中旬〜8月上旬 | 長野・山形・福島 |
| 貴陽 (きよう) | 7月中旬〜8月上旬 | 山梨・長野 |
| 太陽 (たいよう) | 7月下旬〜8月中旬 | 山形・山梨・福島 |
| サンタローザ (Santa Rosa) | 7月中旬〜8月 | 長野・山梨 |
| ケルシー (Kelsey) | 8月中旬〜9月上旬 | 山形・福島 |
| 秋姫 (あきひめ) | 8月下旬〜9月中旬 | 長野・山形 |
すももの栄養素(食品成分表)
すもも(生)は、100gあたり約44kcalと低カロリーで水分が多く、ビタミン・ミネラル・ポリフェノールをバランスよく含む果物です。酸味成分のクエン酸やリンゴ酸は、エネルギー代謝を支える有機酸として知られ、夏の食欲が落ちやすい時期にも取り入れやすい果物です。
果皮にはアントシアニンなどのポリフェノールが含まれ、抗酸化性をもつ成分として研究されています。また、果肉に含まれるビタミンC・カリウム・食物繊維は、健康的な体調維持に役立つ栄養素です。
すももの栄養は皮の部分にも多く含まれているため、皮ごと食べると効率よく摂取できます。
酸味が気になる場合は、軽く湯通しして皮を柔らかくすると食べやすくなります。
にほんすもも(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 7 | % |
| エネルギー | 46 | ㎉ |
| 水分 | 88.6 | g |
| タンパク質 | 0.6 | g |
| 脂質 | 1.0 | g |
| 食物繊維(総量) | 1.6 | g |
| 炭水化物 | 9.4 | g |
| ナトリウム | 1 | ㎎ |
| カリウム | 150 | ㎎ |
| カルシウム | 5 | ㎎ |
| マグネシウム | 5 | ㎎ |
| リン | 14 | ㎎ |
| 鉄 | 0.2 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.1 | ㎎ |
| 銅 | 0.03 | ㎎ |
| マンガン | 0.07 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | 1 | ㎍ |
| モリブデン | 1 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 76 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.02 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.02 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.3 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 37 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.14 | ㎎ |
| ビオチン | 0.2 | ㎍ |
| ビタミンC | 4 | ㎎ |
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