ポストコーヒーの月次レビューの中でも、2023年8月は“傾向が読みにくい月”。浅煎り・中煎り・深煎り、それぞれ方向性がまったく異なる3種類が届きました。
カカオ系の甘さが心地よいボリビア、ナッツと柑橘が立つスパイシーなボリビア、そして深煎りの王道・グアテマラ。どれも飲みやすい一方、好みが分かれやすいラインナップです。
この記事では、30か月継続してきた調理師の視点で、8月の3種類を本音で評価し、香り・味の方向性・どんな人に合うかまで、ひと目でわかる形でまとめています。
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今月届いた豆のラインナップ

ボリビア ファミリア・ママニ ウォッシュド
ボリビア フィンカ センダ サルヴァヘ
グアテマラ パカヤリト
※ 詳細レビューは後述
個別レビュー
ボリビア ファミリア・ママニ ウォッシュド

焙煎度:深煎り
産地:ボリビア
フレーバー&香り
パイナップルやヨーグルトを思わせる清涼感のある酸味が中心。花のアロマとハチミツの甘さが滑らかに続き、フローラルで爽やかな香りが広がる。冷めても果実感が保たれるジューシーなフレーバー。
味の方向性
乳酸由来のような爽やかな酸味が心地よく、まろやかさと甘さの余韻が長く続くタイプ。柑橘よりも“焼きリンゴやベリーの甘酸っぱさ”に近く、苦味は控えめで飲みやすい。高温より、少し冷ましたほうが甘さと酸味のバランスが整う。
この豆が合う人
フルーティーで爽やかな酸味が好きな人
甘さの余韻が長いコーヒーが好みの人
軽やかで飲みやすい浅〜中浅煎りが好きな人
アイスや冷まして飲むスタイルが多い人
ボリビア フィンカ センダ サルヴァヘ

焙煎度:中煎り
産地:ボリビア
フレーバー&香り
ライムのような明るい酸と、アーモンドを思わせるナッティな香りが重なるスパイシー系。オレンジや蜂蜜レモンのような爽やかさもあり、雨の日に合う落ち着いた香り。ナッツの甘い香ばしさが全体をまとめる複雑なフレーバー。
味の方向性
酸味は“尖らずにしっかりある”タイプで、軽い柑橘の苦味とナッツのコクが調和する。苦味と酸味が別々に立ちながらも喧嘩しないバランスで、クリアな後味。ホットでもアイスでも輪郭が崩れず、スッキリ飲める一本。
この豆が合う人
ナッツ系の風味が好きな人
柑橘の酸味がある“すっきり系”を求める人
甘い焼き菓子・チョコと合わせたい人
雨の日や読書時間に飲む落ち着いたコーヒーを探している人
グアテマラ パカヤリト

焙煎度:深煎り
産地:グアテマラ
フレーバー&香り
ローストしたヘーゼルナッツの甘さに、ダークチョコレートのビターな香りが重なる深煎りらしい香り。封を開けた瞬間からチョコスプレッドのような甘い香りが広がり、モーニングコーヒーに最適な落ち着いたフレーバー。
味の方向性
しっかりとした深煎りのコクがありつつ、重すぎないバランス型。苦味が主体だがイヤなエグみはなく、後味はほんのり甘くスムーズ。ホット・アイスどちらでも味が崩れず、ミルクにも負けない力強さがある。
この豆が合う人
深煎り・ビター系が好きな人
チョコレートや濃い味のスイーツと合わせたい人
朝の1杯を“しっかりした味”で始めたい人
アイスでもコクが残る深煎りを探している人
今月のまとめ
8月は「甘さ・ビター・すっきり」の3タイプがきれいに分かれた、バラエティ豊富な月。どれも飲みやすいが、方向性はまったく異なるため、好みが明確な人ほど当たり月になりやすい印象。
▶ボリビア・ママニは、カカオとカシューナッツの甘さが主体で、ミルクとも相性抜群のやさしい味わい。
▶センダ サルヴァヘは、ライムの酸とナッツのコクが立つスパイシー系で、休憩時間に合う落ち着いた一本。
▶グアテマラ パカヤリトは、深煎りらしいビターとヘーゼルナッツの甘さが共存し、モーニングコーヒーとして完成度が高い。
浅煎り~深煎りまで振れ幅が大きく、毎日違った気分で楽しめる月。特に「ミルクで飲む日」「スイーツに合わせる日」「朝の一杯をしっかり飲みたい日」など、シーンで使い分けたい人には満足度が高い内容。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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