冬瓜の煮物|プロが教える“よくわかるレシピ”

煮物

やわらかく煮えた冬瓜に、出汁の旨味がじんわりと染みる「冬瓜の煮物」。
淡い味わいの中に季節の涼しさを感じる、夏の和食の定番です。

一見シンプルな料理ですが、「煮崩れた」「味が染みない」「硬いまま」という失敗が起こりがち。原因は、火加減と下茹での見極めにあります。

現役和食調理師の結論は――
👉「冬瓜は“少し硬めで止めて余熱で仕上げる”」。

これを守るだけで、透き通るような煮上がりと上品な味に仕上がります。
茗荷を添えて、香り高く涼やかな一皿に。


よくある失敗と原因

  • 冬瓜が硬い → 下茹で不足
  • 冬瓜が崩れる → 火を入れすぎ・強火調理
  • 味が染みない → 火加減が強く出汁が飛んでいる
  • 餡がダマになる → 片栗粉を早く入れすぎ
  • 味が濃い → 分量間違い・煮詰めすぎ

材料

材料分量役割
冬瓜約300g主素材。出汁をよく吸う淡白な野菜
茗荷1個香りと彩りのアクセント

調味料

調味料分量割合役割
出汁500cc20ベースの旨味を作る
薄口醤油25cc1色を保ちながら塩味をつける
みりん25cc1照りとまろやかさを加える
片栗粉適量とろみをつけて口当たりを整える

下処理

  • 冬瓜
    ワタを取り、皮を厚めに剥く。皮目に格子状の切れ込みを入れる(味のしみをよくする)。
  • 茗荷
    千切りにして水にさらし、辛味を抜く。
  • 片栗粉
    片栗粉と水を1:2の割合で溶いておく(失敗しにくいとろみになる)。

作り方(よくわかるレシピ)

  1. 下茹でする(中火)
    鍋に塩少々を入れた水を沸かし、冬瓜を入れて5〜10分ほど茹でる。
    🔸 合図:「竹串がスッと通る」ころが止め時。
    ザルに上げて粗熱を取る。
  2. 出汁で煮る(弱火)
    鍋に出汁・薄口醤油・みりんを入れ、冬瓜を加えて火にかける。
    沸騰直前で弱火に落とし、静かに10分ほど煮る。
    🔸 合図:「角が透けて淡く光る」状態が仕上がりのサイン。
  3. とろみをつける(弱火→中火)
    食べる直前にとろみをつける。
    出汁を温めて火を止め、水溶き片栗粉を少しずつ回し入れる。
    しっかり混ぜながら再度弱火にかけ、1分ほど加熱して透明感を出す。
  4. 盛り付ける
    冬瓜を器に盛り、とろみ出汁をかける。
    天盛りに茗荷を添え、香りを立たせる。

現役和食調理師のコメント

冬瓜の火入れは“我慢”が大事。
硬いと味が入らず、柔らかすぎると崩れる。
竹串がスッと通る瞬間で火を止め、余熱で仕上げるのが職人の感覚です。
茗荷を添えると、香りが立ち、味の輪郭がぐっと引き締まります。


失敗しない3つのコツ

  • 冬瓜は下茹でで下味を整える
  • 出汁が沸騰する前に弱火へ(透明感を保つ)
  • 片栗粉は火を止めてから少しずつ入れる

保存方法

  • 冷蔵保存:汁ごと密閉容器に入れて2〜3日。食べる前に軽く温める。
  • 冷やし煮:冷蔵で冷やすと上品な冷製煮物に。夏の前菜にもおすすめ。
  • 冷凍保存:不向き(食感が変わるため避ける)。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鰆の西京焼き鶏の塩焼き
  • 副菜:枝豆の白和えきゅうりの酢の物
  • 汁物:とうもろこしのすまし汁

旬と豆知識

冬瓜は夏が旬の野菜ですが、保存性が高く「冬までもつ瓜」と書きます。
カリウムを多く含み、体の熱を冷ます働きがあるため、暑い季節の煮物にぴったりです。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【冬瓜の栄養ページ】へ。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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