「伊勢海老の旬はいつ?」
「どの部分が食べられるの?」
――そんな疑問に答えるために、伊勢海老の魅力を余すことなく解説しました。身の甘みや濃厚な旨みを堪能するには、旬を知ることが大切です。
本記事では、伊勢海老の特徴や味わい、可食部と鮮度を見分ける目利きの方法を紹介。さらに、相性の良い食材やおすすめの調理法、栄養素や英語名までを網羅しています。
和食調理師歴25年以上の経験から、プロならではの視点で美味しく楽しむヒントをお届け。特別な日の食卓や贈り物選びに役立つ内容です。
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伊勢海老(いせえび)の旬
伊勢海老(いせえび)の旬は、秋から冬にかけてです。
この時期は産卵を終えた個体が身を太らせ、甘みと旨味がもっとも強くなるとされています。伊勢海老は資源保護のため、地域によって6月〜8月は禁漁期。旬は秋以降に集中します。8月は解禁直後でやや痩せている。
いせえび
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のヒント
旬の伊勢海老は刺身で食べても甘みが強く、加熱しても身が縮みにくいのが特徴。味噌も濃厚で、みそ汁や焼き物にすれば香ばしさが際立ちます。
伊勢海老とは ~特徴と味わい~

伊勢海老(いせえび)は、イセエビ科イセエビ属に属する大型のエビで、体長は30cm前後にも達します。名前の由来は、三重県伊勢地方で多く水揚げされることからで、古くから縁起物としておせち料理や祝いの席に使われてきました。
最大の特徴は、鮮やかな赤褐色の殻と長い触角、そしてぷりっとした弾力のある身。クセのない甘みと濃厚な旨味があり、生食・加熱調理ともに美味しく、頭のミソや殻からも極上の出汁がとれます。
なお、伊勢海老は養殖が困難なため、流通するものの多くは天然物です。見た目は豪華ですが、食べられる部分(尾の身・頭の味噌)は全体の約4割ほどで、殻や頭部が大部分を占めます。
近年では輸入品(例:オーストラリア産)や冷凍品も多く出回っていますが、国産の伊勢海老は香り・甘みともに格別で、加熱しても身が縮みにくいのが魅力です。冷凍物はやや水っぽくなりますが、価格を抑えたい場合には選択肢となります。
- 伊勢海老は腰の曲がった様子が老人を連想させ「海老」と書いて長寿の祝いの縁起物
- イセエビは夜行性で、昼間は岩礁に隠れて暗くなると行動します
- 大きなものは30㎝にもなる
- 禁漁日は地域によって違う
九州→9月~
近畿→10月~
関東→8月~
海老のサイズの見方→「海老のサイズは世界基準(Shrimp size)」

現役和食調理師のヒント
伊勢海老は殻ごと使うことで、見た目の豪華さだけでなく、旨味を引き出す力も抜群。刺身・鬼殻焼き・味噌汁など、部位ごとの使い分けが味の決め手です。
伊勢海老の可食部(どこが食べられる?)
伊勢海老は見た目が立派で存在感のある高級食材ですが、食べられる部分は全体の約35〜45%ほどです。以下に主な可食部とその特徴をご紹介します。
| 部位 | 特徴・使い方 |
|---|---|
| 尾の身 (腹部) | 刺身や焼き物、天ぷらなど幅広く活用。ぷりぷりの食感と甘みが魅力。 |
| 味噌 (頭部) | 焼き味噌や味噌汁に。濃厚でコクがあり、好まれる部位。 |
| 足の身 | 太い足には少量の身あり。吸い出すようにして食べる。 |
| 殻・頭 (殻部分) | 食べられないが、香ばしく焼いたり煮込むことで絶品の出汁がとれる。 |

現役和食調理師のヒント
殻や頭は捨てずに味噌汁・雑炊・うどん出汁に使えば、最後まで旨味を活かせます。
伊勢海老の目利き
伊勢海老は鮮度が命。とくに刺身や焼き物で美味しく味わうには、下記のポイントを押さえて選びましょう。
| チェックポイント | 見分け方 |
|---|---|
| 触角・足の動き | 活きが良いほど触角や足がよく動く。水揚げ直後が理想。 |
| 甲羅のツヤ | 赤褐色でツヤがあり、乾燥していないものが新鮮。 |
| 重さ | 見た目よりもずっしりと重く、身が詰まっている証拠。 |
| 目の透明感 | 黒目がはっきりして濁りがないものが新しい。 |
| におい | 海の香りがするものが◎。酸味のある異臭がするものは避ける。 |

現役和食調理師のヒント
刺身用でなければ、冷凍でも「急速凍結・産地明記」されたものを選ぶと失敗しにくいです。
伊勢海老と相性の良い食材

伊勢海老は旨味と甘みが強いため、香りやコクを引き立てる食材と好相性です。祝いの席にも合う、華やかな組み合わせが多いのも特徴です。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 柚子 | 焼き物や吸い物に香りを添えて上品な風味に |
| 昆布 | 昆布出汁と合わせると海老の旨味がさらに際立つ |
| 酒 | 酒蒸しにすると臭みが消え、甘みが引き立つ |
| 味噌 | 頭や殻からとった出汁と合わせて極上の味噌汁に |
| 三つ葉 | お吸い物に添えると彩りと香りが加わる |

現役和食調理師のヒント
伊勢海老の濃厚な味には、香り・コク・清涼感を加える食材がよく合います。とくに味噌汁や吸い物にするときは、柚子皮や三つ葉が一層引き立て役になります。
伊勢海老に合う調理法

高級食材である伊勢海老は、見た目と味を両立できる調理法がおすすめです。刺身から加熱調理まで、どの方法でも個性が際立ちます。
| 調理法 | 理由 |
|---|---|
| 刺身 | 新鮮な身は甘みが強く、弾力のある食感が楽しめる |
| 鬼殻焼き | 見た目の豪華さと香ばしさが際立ち、祝いの席に最適 |
| 味噌汁 | 頭や殻から極上の出汁が出る。味噌との相性も抜群 |
| 酒蒸し | 甘みを逃さずふっくらと仕上がる |
| 天ぷら | 下処理をすれば、ぷりぷり感が衣に包まれて美味 |
| 煮付け | 殻付きだと味が染みにくく、煮崩れも起きやすい |

現役和食調理師のヒント
鬼殻焼きは、半割りにした伊勢海老を殻ごと焼く伝統料理。味噌を塗って焼く「甲羅焼き」も人気で、香ばしさと濃厚な味が堪能できます。
伊勢海老の栄養素 ~食品成分表~
伊勢海老は高たんぱく・低脂質でヘルシーなうえに、ビタミンB12やカルシウム、ミネラルも豊富。贅沢な印象がありますが、栄養面でも優れた魚介です。とくに味噌(内臓)部分には栄養が凝縮されています。
いせえび(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 70 | % |
| エネルギー | 86 | ㎉ |
| 水分 | 76.6 | g |
| タンパク質 | 20.9 | g |
| 脂質 | 0.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | – | g |
| ナトリウム | 350 | ㎎ |
| カリウム | 400 | ㎎ |
| カルシウム | 37 | ㎎ |
| マグネシウム | 39 | ㎎ |
| リン | 330 | ㎎ |
| 鉄 | 0.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.65 | ㎎ |
| マンガン | 0.02 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 3.8 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.03 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.1 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.14 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 0.3 | ㎍ |
| 葉酸 | 15 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.41 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
伊勢海老は高たんぱく・低脂質に加え、ビタミンE・リン・カリウム・銅が目立つバランス。刺身は“洗い”で甘みを引き出し、加熱は短時間で旨味を閉じ込めるのがコツです。
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伊勢海老の英語・漢字表記

| 項目 | 表記 |
|---|---|
| 漢字表記 | 伊勢海老 |
| 英語名 | Spiny lobster |
| 別称(和製英語) | Ise ebi |
| 発音記号 | ˈspaɪni ˈlɑːbstər |
| カタカナ表記 | スパイニー・ロブスター イセエビ |
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