【皮剥(かわはぎ)の食べ方】旬・肝・馬面剥との違いを調理師が解説

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一見すると地味な白身魚、でも食べてみると実力派。
**皮剥(かわはぎ)**は、肝と一緒に刺身で食べれば“冬のごちそう”に早変わり。煮付けや唐揚げでもその味は侮れません。

皮剥ってどんな魚?
旬はいつ?

肝って本当に美味しいの?

馬面剥(うまづらはぎ)との違いにも触れながら、
和食調理師として25年以上の経験をもつ筆者が、旬・味・食べ方をやさしく解説します。

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皮剥(かわはぎ)の旬 ~身と肝の違い~

かわはぎ ~身の旬~

かわはぎ ~肝の旬~

身を楽しむなら、夏がおすすめ。しっかり締まった歯ごたえと淡白な旨味を味わえます。肝を味わうなら、秋〜冬。新鮮であれば生で「肝醤油」に、また鍋や煮付けにも深いコクが加わります。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

皮剥とは ~特徴と味わい~

皮剥(かわはぎ)は、フグ目カワハギ科に属する白身魚で、主に沿岸の岩場や砂泥底に生息しています。
その名の通り、皮が硬くて剥がしやすいことから「皮剥(かわはぎ)」と呼ばれています。見た目はやや地味ですが、食材としては非常に優秀で、肝が美味しい魚として知られています


🐟 特徴

  • 背びれと腹びれが小さく、体が丸みを帯びている
  • 皮は分厚く、包丁を入れると“ペリッ”と剥がれる
  • 似た魚に「馬面剥(うまづらはぎ)」がいるが、顔が長くシャープな点で区別できる
  • 馬面剥のほうがやや安価で流通量が多いが、味の評価は皮剥のほうが上とされることが多い

🍽 味わい

  • 身はやや水分が少なく、弾力があり、上品な白身
  • 淡白ながら旨味があり、刺身・煮付け・唐揚げと万能
  • 冬になると肝が肥大化し、肝醤油で刺身を食べるのが定番
  • 鍋や味噌汁にしても、肝のコクがだしに溶け出して絶品

皮剥と馬面剥の違い

項目皮剥(かわはぎ)馬面剥(うまづらはぎ)
見た目丸くてずんぐり、顔が短いスリムで顔が長い
(馬のよう)
身は上品な白身、肝は濃厚味はやや淡白、肝も少なめ
流通価格やや高級比較的安価で入手しやすい
市場での扱い「ホンハゲ」とも呼ばれる「ウマ」「バクチ」など地域名あり
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

皮を剥いだときの独特な感触と、肝の旨味。
プロの現場でも「地味だけどうまい魚」として重宝されます。

皮剥の地方名

皮剥(かわはぎ)は、地域によってさまざまな呼び名で親しまれています。
中でも「馬面剥(うまづらはぎ)」との混同も多く、名称には注意が必要です。

地域呼び名備考
関東・関西カワハギ全国的に通用する一般名
九州地方ハゲ
バクチ
「皮を剥ぐ=ハゲ」が語源とされる
山陰地方マルハゲ馬面剥と区別するための呼称(体が丸い)
瀬戸内地方ホンハゲ安価な馬面剥に対し「本物のハゲ」
関西市場カワハギ
ハゲ
馬面剥と区別されるが混同も多い
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

「ハゲ」って呼ばれるとちょっと笑っちゃいますが、市場ではちゃんと通じる名称です。
マルハゲ=かわはぎ、ケンカ相手のウマヅラハギは“ウマ”と呼ばれることも。プロの現場でも混乱することがあります。

皮剥の目利き(鮮度の見分け方)

皮剥は鮮度によって味に大きな差が出る魚です。
特に刺身や肝を楽しむなら、鮮度の高い個体を選ぶことが重要です。

✅ 鮮度の良い皮剥の見分け方

  • 目が澄んでいて黒目がはっきりしている
     → 白く濁っていたり、くすんでいるものは鮮度低下のサイン
  • 体表にハリとぬめりがある
     → 水から揚げたばかりのようなつや感があるものが良い
  • 肝がしっかりしていて、色がきれい(購入時に確認できる場合)
     → 褐色がかった肝は新鮮。黄色く変色していると風味が落ちていることも
  • においが弱く、魚らしい香りがする
     → アンモニア臭や生臭さがあるものは避けましょう
  • 活け締め・神経締めされていると理想的(刺身向き)
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

皮剥は目と皮で判断。目が澄んでいて、皮がピンと張っていればOKです。鮮度が落ちると肝の風味も一気に落ちるので、刺身や肝醤油を楽しみたい方は要チェック。

皮剥と相性の良い食材

皮剥はクセのない白身と濃厚な肝をあわせて楽しむ魚です。
刺身、煮付け、唐揚げなど、調理法によって合う食材も変わりますが、香りや酸味を加えると味が引き立ちます

食材組み合わせの理由・使い方例
ポン酢肝の濃厚さと相性抜群。刺身にかけたり、肝和えに。
もみじおろしポン酢と合わせて刺身に添えると、さっぱり感が増す。
長ねぎ煮付けや味噌汁の薬味に。身の淡白さを引き立てる。
大根煮付けの具材として好相性。魚の旨味を吸って美味。
柚子刺身や煮付けに香りづけ。冬の旬を感じる組み合わせ。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

肝醤油だけで食べるのも絶品ですが、ポン酢+もみじおろしの組み合わせは万人ウケする黄金バランス
煮付けにするなら、大根と一緒にじっくり炊くと料亭の味になりますよ。

皮剥に合う調理法

調理法おすすめ度理由
刺身肝醤油と合わせて絶品。冬場の肝が最も美味しい。
煮付け淡白な白身に甘辛だれがよく染み込み、身崩れもしにくい。
唐揚げ小型の個体や中骨ごと揚げると香ばしく、骨まで楽しめる。
味噌汁肝の旨味がだしに溶け出し、濃厚な一杯に。
塩焼き旨味が抜けやすく、焼き過ぎると身が硬くなりやすい。
蒸し物身が固くなりがちで繊細な風味が失われやすい。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

やっぱり「肝+刺身」か「煮付け」が鉄板。どちらも素材の持ち味がストレートに伝わります。小ぶりなものなら、唐揚げにしても外はカリッと、中はふっくら。居酒屋でも密かな人気メニューです

かわはぎの栄養素~食品成分表~

かわはぎ(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー77
水分79.9g
タンパク質18.8g
脂質0.4g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム110
カリウム380
カルシウム13
マグネシウム28
リン240
0.2
亜鉛0.4
0.03
マンガン0.02
ヨウ素33
セレン35
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)2
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD43.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.6
ビタミンK
ビタミンB10.02
ビタミンB20.07
ナイアシン3.0
ビタミンB60.45
ビタミンB121.3
葉酸6
パントテン酸0.17
ビオチン0.9
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

かわはぎは77kcal・たんぱく質18.8g・脂質0.4gとヘルシーで、ビタミンD 43.0µgが際立つ白身魚。淡白な身は肝醤油や柑橘と合わせると旨みが引き立ちます。

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
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かわはぎの英語・漢字表記

  • 漢字表記:皮剥(かわはぎ)
  • 英語表記:Thread-sail filefish
  • 発音記号:[ˈθrɛdˌseɪl ˈfaɪlˌfɪʃ]
  • カタカナ表記:スレッドセイル・ファイルフィッシュ

英語では「filefish」と言えばカワハギ科全般を指しますが、「thread-sail」はその中でも細長い背びれを持つ種類を強調しています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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