寄生虫(魚介類)


 

海産魚介類

  1. アニサキス類

    【寄生元】サバ、アジ、スルメイカ、タラ、ニシンの腹腔や筋肉
    【寄生先】胃壁、腸壁
    【症状】上腹部痛、悪心、嘔吐など
    【予防法】熱に弱く70度で死滅
    -20度で24時間以内に死滅する
    海産魚介の生食には注意する

  2. 大複殖門条虫

    詳しい生活環は解明されていない
    【寄生元】シラス、いわし、カツオなど
    【寄生先】人の小腸上部に寄生
    【症状】感染してもあまり症状が見られないが下痢、腹痛など
    【予防法】アニサキスと同様の方法が有効

  3. 旋尾線虫

    詳しい生活環は解明されていない
    【寄生元】ホタルイカ、ハタハタ、タラ、スルメイカの内臓
    ホタルイカの寄生率は約3%
    【寄生先】旋尾線虫症は幼虫が皮膚の下をはい回る幼虫移行症
    【症状】腹痛、嘔吐、腸閉塞
    【予防法】加熱で予防できる
    -30度で4日以上冷凍、内臓除去

 

淡水魚類

淡水魚類

  1. 顎口虫

    【寄生元】淡水魚、両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類など
    人への感染源はライギョ、コイ、輸入ドジョウなど
    【寄生先】幼虫のまま皮膚の下をはい回る幼虫移行症
    【症状】はい回った跡がミミズ腫れになり、かゆみや痛みを伴う
    【予防法】ドジョウなどの生食を避ける
    しっかり洗浄、加熱する

    *日本では有棘顎口虫、日本顎口虫、ドロレス顎口虫などが報告されている
    東海地方以西によくみられる(九州、四国、近畿)

  2. 肝吸虫

    【寄生元】フナ、コイ、タナゴ、モロコなどに寄生する
    【寄生先】人の肝臓、胆管に寄生
    【症状】寄生の数が増えると、肝硬変や胆管炎になる
    【予防法】淡水魚の生食を避け、十分に加熱する
    幼虫は冷凍も効果的
    調理の際のウロコ飛び散りにも注意する

    *日本では地方病と言われたが現在は激減した

  3. 横川吸虫

    【寄生元】アユ、シラウオ、フナ、ウグイなどの筋肉、ウロコ、ヒレなどに寄生
    【寄生先】人の体内では小腸に寄生
    【症状】腹痛や慢性の下痢(あまり症状は見られない)
    【予防法】淡水魚の生食を避ける
    70度で85分加熱で死滅する

    *日本各地に分布するが、特に中国、四国、九州地方に多い
    横川吸虫と同類の有害異形吸虫、鎌形異形吸虫などがある

  4. 日本海裂頭条虫

    【寄生元】サケ、マス、サクラマス
    【寄生先】人の小腸上部の粘膜
    【症状】腹痛、下痢、食欲不振、悪心(症状が見られないことが多い)
    【予防法】冷凍処理(-20度、24時間)
    サケ、マスの生食を避ける
    *通称サナダムシと呼ばれる
    頭部が1cmでも残っていると再び成長するという生命力を持つ

 

淡水産カニ類

  1. ウェステルマン肺吸虫

    【寄生元】モズクガニ、サワガニ、ザリガニ、イノシシ
    【寄生先】人の肺、腹腔、心臓、肝臓、脳
    【症状】咳、たん、肺結核の初期症状、半身まひ、失明など
    【予防法】熱に弱いので加熱調理する
    調理器具などの二次感染に注意する(調理器具の洗浄)
    *九州、四国、中国地方によくみられる

 




 

備考

「食中毒」一覧表

サルモネラ菌 ボツリヌス菌
腸炎ビブリオ セレウス菌
病原大腸菌 ノロウイルス
ウエルシュ菌 フグ中毒
カンピロバクター 貝毒
エルシニア 植物性自然毒
リステリア 科学性食中毒
ブドウ球菌

 

「寄生虫」一覧表

アニサキス トキソプラズマ
大複殖門条虫 回虫
旋尾線虫 ズビニ鉤虫
顎口虫 鞭虫
肝吸虫 肝蛭
横川吸虫 赤痢アメーバ
日本海裂頭条虫 ランブル鞭毛虫
ウェステルマン肺吸虫 クリプトスポリジウム
旋毛虫 エキノコックス
無鉤条虫 広東住血線虫
有鉤条虫 アンソン裂頭条虫