茶碗蒸し|プロが教える“よくわかるレシピ”

よくわかるレシピ

なめらかで上品な口当たりが魅力の「茶碗蒸し」
だしの香りと具材の旨みが重なり合い、和食の中でも人気の高い一品です。

しかし、実際に作ると「すが入った」「固まらない」「味がぼやける」など、意外と失敗が多い料理でもあります。

本記事では現役和食調理師が家庭でも失敗しない茶碗蒸しの作り方を詳しく解説します。
なめらかに仕上げるポイントは「温度」「火加減」「だしと卵の比率」。基本を押さえれば、料亭のような一品が家庭でも簡単に再現できます。


よくある失敗と原因

  • すが入る(火が強すぎ・蒸気の当たりすぎ)
  • 固まらない(卵とだしの比率が合っていない)
  • 白身の塊ができる(卵の混ぜ不足)
  • 味が薄い・濃い(調味料の加減や混ぜムラ)
  • 表面がざらつく(漉していない)

材料(4〜6人分)

材料分量役割
10個茶碗蒸しのベース(固める)
出汁1800cc卵地の旨み・香りを決める
7g全体の味を締める
薄口醤油20cc色を淡く仕上げるための調味料
みりん20cc甘みとまろやかさを出す
20cc香りを整え、臭みを消す
味の素少々旨みを補う(省略可)
食材役割
鶏もも肉出汁の旨みをプラス
海老彩りと風味
椎茸彩りと風味
銀杏季節感と香ばしさ
三つ葉仕上げの香りと彩り

下処理

  • 鶏肉・海老は軽くボイルして余分な脂とアクを除く
     → すっきりとした味に仕上がる
  • 椎茸は薄切りに
     → 火通りが均一になり、香りも引き立つ
  • 銀杏は殻と薄皮を除いておく
     → 口当たりをよくする

作り方(よくわかるレシピ)

だしを作る(または温める)
 鍋に出汁・塩・醤油・みりん・酒を入れて軽く沸騰させ、香りを立たせる。
 → 「ふつふつ」と小さな泡が立つ程度でOK。
 冷ましておく(人肌程度まで)。

卵を割りほぐす(混ぜ方が命)
 ボウルに卵を割り、泡立てないようにやさしく混ぜる。
 → 泡が多いと“す”の原因になる。

だしと卵を合わせる
 冷ました出汁を少しずつ加えながらよく混ぜる。
 → 全体が均一な薄黄色になったらOK。

こす(ここで滑らかさが決まる)
 細かいザルや裏ごし器を使って漉す。
 → カラザ(白い筋)や泡を取り除くことで、なめらかに。

器に具材を入れる
 器に鶏肉・海老・椎茸・銀杏を均等に入れ、卵地を静かに流し入れる。
 → 注ぐ時は“高い位置から落とさない”こと(泡立ち防止)。

蒸す(火加減が勝負)
 蒸し器を沸騰状態(強火)にしてから器を入れる。
 そのまま強火(8割火力)で8分

 → 「表面が少し膨らんだら中火」に落とし、
 蓋を少しずらして3分
 (湯気を逃がすことで“す”防止)

竹串チェック(仕上がりの合図)
 真ん中に竹串を刺し、透明な汁が出れば完成。
 → 黄色の液体がにじむ場合はあと3分。


失敗しない3つのコツ

  • 卵と出汁は「1:3〜4」の割合を守る
  • 蒸し器に入れる前に必ず沸騰させておく
  • 蓋を少しずらして蒸す(蒸気の逃げ道を作る)

保存方法

  • 冷蔵保存:粗熱をとってラップをかけ、冷蔵で2日以内。
  • 冷凍保存:不可(食感が劣化する)。
  • 弁当用:冷蔵後、しっかり温めてから入れること。

相性の良い料理・献立提案

  • 副菜:ほうれん草のお浸し、白和え
  • 汁物:赤だし(なめこや豆腐入り)
  • ご飯:炊き込みご飯、栗ご飯、鯛めしなど

旬と豆知識

茶碗蒸しは季節を問わず楽しめますが、秋冬は温かく、夏は冷製が人気。
具材を季節の食材(松茸・竹の子・銀杏など)に変えると、四季を感じる一品になります。


現役和食調理師のひと言

茶碗蒸しは「シンプルほどごまかしが効かない」料理です。
火加減と蒸し時間を見極めることで、口に入れた瞬間に“だしの香りがふわっと広がる”なめらかな仕上がりになります。
まずは1度、同じ条件で試して“自分の器と蒸し器のクセ”をつかんでください。
それが、家庭で料亭の味に近づく第一歩です。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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