甘鯛の旬はいつ?冬が美味しい理由とおすすめの食べ方を和食調理師が解説!

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「甘鯛って、いつが一番おいしいの?」

柔らかい白身と上品な甘みで人気の「甘鯛(あまだい)」。
実は冬が旬とされる魚で、京都や福井では高級魚として扱われています。

本記事では、和食調理師として25年以上の経験をもつ筆者が、甘鯛の旬の時期・味の特徴・地域ごとの違い・おすすめ調理法をわかりやすく解説。英語名や食材としての見分け方もまとめています。

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甘鯛の旬

甘鯛(あまだい)は晩秋〜冬が旬とされる魚です。寒い季節に向かって水温が下がることで、身に甘みと旨味が増し、脂ものってふっくらとした食感になります。

ただし、地域や品種によって若干の差があり、例えば関西や北陸では12月頃から九州では初春(3月頃)まで水揚げされることがあります。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

甘鯛は水分が多く繊細な白身なので、旬の時期は特に「皮をパリッと焼く松笠焼き」や「ふっくら蒸し料理」で真価を発揮します。冬場の刺身はやや水っぽさが出ることもあるため、火を入れる調理のほうが味が濃くなりますよ。

甘鯛とは

甘鯛

甘鯛(あまだい)は、スズキ目アマダイ科の高級白身魚で、日本近海では主に3種類が知られています

  • アカアマダイ(赤甘鯛)
    一般的に「甘鯛」と呼ばれるのはこの種類。身の甘みが強く、京料理で「ぐじ」とも呼ばれます。
  • シロアマダイ(白甘鯛)
    高級料亭で扱われることが多く、より淡白な味わい。
  • キアマダイ(黄甘鯛)
    市場流通はやや少なめで、赤甘鯛より脂が控えめ。

中でもアカアマダイは特に人気があり、上品な甘みとふっくら柔らかい身質が魅力。熱を通しても身が硬くなりにくく、蒸し物や焼き物に最適です。

また、ウロコが細かくしっかり付いているため、「ウロコごと焼く松笠焼き」は名物料理として知られています。


甘鯛の特徴まとめ

項目内容
分類スズキ目アマダイ科(主にアカアマダイ)
主な産地京都・福井・長崎など日本海側中心
味の特徴上品な甘み・水分が多くやわらかい白身
食感ふっくら・やさしくほどける
代表的な料理松笠焼き・蒸し物・酒蒸し・吸い物など
  • 鯛の仲間ではないが真鯛よりも高価で高級食材として扱われる
  • 産卵を終えた春から夏はあまりおいしくない
  • 手荒に扱うと身が崩れやすいので取り扱いには注意が必要

味わい
身は白身で、脂肪分が少なく淡白
柔らかく水っぽいので刺身にする時はひと手間が必要になる
水分が多いので適度に水分を抜いて調理する
焼き魚や干物に利用されることが多い
またウロコも食べることができる
鱗と骨は柔らかい(中骨は硬い)
皮目は焼くと甘い香りで、独特の風味がある

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甘鯛は包丁でおろすと身が崩れやすいため、三枚おろしにせず、うろこを残したまま焼く「松笠焼き」が最も美味しさを引き出せます。骨からもよい出汁が出るので、頭や中骨は吸い物や煮出しにも活用を。

甘鯛の地方名

甘鯛は全国的に知られる魚ですが、京都を中心とした関西地方では特に高級魚として扱われ、「ぐじ」という別名で親しまれています。地方によっては市場や漁港で異なる呼び名が使われることがあります。

地域地方名・別名備考
京都府ぐじ京料理で重宝される呼び名。特に赤甘鯛を指す
福井県ぐじ若狭ぐじとして有名。お歳暮や贈答品にも利用される
長崎県アマダイ一般的な呼び方(品種によって区別される)
関東圏甘鯛(あまだい)通常の呼称。スーパーでもこの名で流通
宮崎・大分ヒメアマダイ稀に黄甘鯛を指す場合がある(地方差あり)
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「ぐじ」は京料理の代表格として、焼き物や椀物でよく登場します。京都では「焼きぐじ」や「ぐじの吸い物」が宴席料理の定番。料理名として呼ばれることも多く、季節感のある食材として重宝されています。

甘鯛の目利き(選び方のポイント)

甘鯛は鮮度によって風味や食感が大きく変わるため、購入時には次のポイントをチェックしましょう。

チェック項目鮮度の良い状態劣化のサイン
澄んでいて黒目がはっきりしている白く濁っている
しぼんでいる
うろこが銀色でツヤがあるくすんでいて光沢がない
腹部張りがあり破れていないやわらかくなり、内臓が出ている
においほんのり磯の香り生臭さ、アンモニア臭がある
切り身の場合血合いが鮮やかで水っぽくないドリップが多く、色が悪い
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甘鯛はうろこ付きのまま焼く料理が多いため、「うろこがしっかり残っているか」も重要な目利きポイントです。うろこがボロボロと剥がれているものは扱いが雑な可能性があるため避けましょう。

甘鯛と相性の良い食材

甘鯛は上品な甘みとやわらかな白身が特徴のため、香りや酸味のある食材、旨味を引き立てる出汁素材との組み合わせが非常に効果的です。

食材組み合わせの理由・使い方例
昆布昆布締めにすると甘鯛の旨味が凝縮される。刺身にも◎
柚子吸い物や蒸し物に加えると香りと酸味が引き立て役に
白味噌京都風の椀物にぴったり。甘鯛の甘みと調和する
シンプルな塩焼きで素材の甘さが際立つ。松笠焼きにも
舞茸蒸し料理に加えると旨味の相乗効果あり。出汁ごと美味しい
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甘鯛はあえて薄味に仕上げることで、その上品な甘みがより引き立ちます。昆布締め→松笠焼きなど、ひと手間加えるとさらに深い味わいに。柚子やすだちを添えると香りのアクセントにもなります。

甘鯛に合う調理法

甘鯛は水分を多く含むやわらかい白身魚で、加熱しても身が締まりすぎず、上品な甘みが残るのが魅力。以下のような調理法が特におすすめです。

調理法おすすめ度理由
松笠焼きうろこをパリッと焼いて香ばしく、身はふんわり。見た目も華やか
蒸し物(酒蒸しなど)身がやわらかくふっくら仕上がり、旨味を逃さない
吸い物・椀物出汁との相性が良く、京料理の定番。淡白な味に品がある
昆布締め刺身用の処理として旨味が濃縮され、保存性も高まる
煮付け身が崩れやすく、煮崩れに注意。繊細な味が煮汁に負けがち
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「松笠焼き」は皮目を下にして油で焼き、うろこを立たせてパリッと仕上げるのがポイント。見た目も美しく、宴席料理にも向いています。蒸し物にするなら、柚子や薄口しょうゆと合わせると料亭の味になりますよ。

甘鯛の栄養素~食品成分表~

あまだい(生)
可食部100g当たり

栄養素焼き単位
廃棄率050%
エネルギー110102
水分73.676.5g
タンパク質22.518.8g
脂質2.63.6g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム11073
カリウム410360
カルシウム5458
マグネシウム3329
リン220190
0.50.3
亜鉛0.50.3
0.040.02
マンガン
ヨウ素41
セレン75
クロム1
モリブデン
ビタミンA(レチノール)2627
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD1.01.0
ビタミンE(トコフェロールα)1.11.3
ビタミンK
ビタミンB10.040.04
ビタミンB20.060.06
ナイアシン1.71.5
ビタミンB60.080.08
ビタミンB123.52.1
葉酸56
パントテン酸0.460.43
ビオチン1.7
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

甘鯛の英語・漢字表記

表記内容
漢字表記甘鯛
英語表記(一般)tilefish(タイルフィッシュ)
英語表記(種名区別)red tilefish(アカアマダイ)
white tilefish(シロアマダイ)
学名(例:アカアマダイ)Branchiostegus japonicus
発音記号[ˈtaɪlˌfɪʃ]

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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