さより(細魚)|旬の時期・特徴・地方名・栄養素・英語表記まで解説

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透き通るように美しい姿で知られる『さより』。料亭の前菜や寿司でもおなじみの上品な白身魚です。

さよりってどんな魚?
旬の時期やカンヌキと呼ばれる理由は?

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、さよりの特徴や旬、地方名、目利きのポイント、栄養素まで、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説していきます。

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細魚(さより)の旬

細魚

さよりの旬は 冬から春にかけて(12月〜4月頃)
特に脂がのって身が締まるのは 2月〜3月 で、この時期のさよりは透明感のある白身にほのかな甘みが加わり、刺身や寿司に最適です。
秋(9〜10月)はまだ小型で脂も少ないですが、軽い味わいを楽しめます。

一方で、初夏以降は産卵期に入り、身が痩せて味わいも落ちてしまいます。
料理店や市場でも、旬の冬から春にかけて「高級魚」として扱われることが多いのが特徴です。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

細魚(さより)とは ~特徴と味わい~

さよりは、体が細長く、くちばしのように下あごが突き出た姿が特徴的な魚です。透き通るような白身で、上品で淡白な味わいを持ちます。寿司や刺身のネタとしても人気が高い魚です。

  • 身質と味わい:クセがなく、繊細でほんのりとした甘みを感じる白身。淡白ながらも皮目には旨味が凝縮しており、炙ることで香ばしさとコクが引き立ちます。寿司や刺身、酢締めなどの生食はもちろん、塩焼きや天ぷらにしても上品な味わいが楽しめます。
  • 外見:背は青緑色、腹側は銀白色。細長い体形から「細魚」と呼ばれる。
  • 鮮度落ちの速さ:さよりは血合いが変色しやすく、時間が経つと身が黄ばんで味が落ちるため、鮮度の見極めが重要。
  • 寄生虫リスク:アニサキスなどの寄生虫がまれに見られるため、生食の際は十分な注意が必要。冷凍処理や加熱調理で安全に食べられる。
  • カンヌキの意味と由来:さよりは鮮度が落ちると腹部が黄色く変色します。この状態を「閂(かんぬき)」にたとえ、古くから市場では「カンヌキ」と呼ばれてきました。黄色くなった腹は鮮度低下のサインとされ、買い付けの際には避けられます。

上品な見た目から「春の魚」として珍重され、旬の時期には寿司屋・料亭でもよく登場します。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

皮目に旨味があるので、炙りにすると香りが立ち、淡白な身とのバランスが絶妙です。

地方名

  • エンピツ(小型)
  • カンヌキ
  • カンノウオ
  • サイレンボウ
  • ショウブ
  • サイチ
  • ゼンド
  • ハリオ
  • ヨロズ
  • チョウカツ
  • スズ

さよりの目利き(鮮度の見分け方)

  • 体の透明感
    新鮮なさよりは、体表が透き通るように銀色に輝いています。時間が経つと曇り、黒ずんできます。
  • 目の澄み具合
    澄んだ黒目と輝きのある白目が鮮度の証。白く濁ったり、赤く充血しているものは避けましょう。
  • 口先の赤色
    さよりは下あごが特徴的に伸びています。新鮮なものは赤みが鮮やかで、鮮度が落ちると黒ずんでいきます。
  • 身の張り
    身が細長い魚なので、鮮度が落ちるとすぐに柔らかくなります。触ってハリがあるものを選びましょう。
  • 腹部の黄ばみ
    腹の部分は特に鮮度落ちが早い部位です。黄色っぽく変色しているものは避けます。

さよりと相性の良い食材

食材・調味料特徴

酢味噌
酸味で淡白な身を引き立て、臭みを抑える
大葉
生姜
茗荷
香りと辛味がアクセントになり、刺身や細造りに最適
すだち
かぼす
ゆず
さっぱり感を加え、焼き物や天ぷらと相性抜群
海苔
わかめ
磯の香りが淡白な身に合い、寿司や酢の物におすすめ

薄口醤油
シンプルに味を引き立て、上品な旨味を損なわない
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「さより」は素材そのものが持つ繊細な旨味が魅力。味付けは控えめにして、薬味や柑橘の爽やかさでバランスを取ると、ぐっと引き立ちます。

さよりによく合う調理法

調理法ポイント
刺身
細造り
透明感のある身を楽しめる代表的な食べ方。酢味噌や薬味で臭みを抑えると◎
寿司上品な旨味と美しい見た目で寿司ネタとして人気。軽く酢締めにするとさらに映える
塩焼き皮目を香ばしく焼くと淡白な身に香りが加わり、酒の肴にも最適
天ぷら衣の軽いサクサク感と繊細な白身の相性が抜群。柑橘を添えるとさっぱり
酢の物酢で軽く〆ることで鮮度を長持ちさせ、さっぱりした風味に仕上がる
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さよりは“繊細な白身”が最大の魅力。生で食べる時は鮮度を最優先に。火を通すならサッと焼く・揚げる程度にして、身の柔らかさを残すのがコツです。

さよりの栄養素(食品成分表)

さよりは低脂肪でヘルシーながら、良質なたんぱく質やビタミンB群、カルシウムを含む魚です。特に皮や骨ごと調理すると、ミネラルを効率よく摂取できます。脂肪分が少ないため淡泊な味わいですが、体を整える栄養素がしっかり含まれており、ダイエット中や健康志向の方にもおすすめです。

さより(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率40%
エネルギー88
水分77.9g
タンパク質19.6g
脂質1.3g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム190
カリウム290
カルシウム41
マグネシウム37
リン190
0.3
亜鉛1.9
0.03
マンガン0.02
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD3.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.9
ビタミンK
ビタミンB1
ビタミンB20.12
ナイアシン5.2
ビタミンB60.33
ビタミンB125.5
葉酸10
パントテン酸0.44
ビオチン
ビタミンC2
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

さよりの英語・漢字表記

  • 英語表記:Halfbeak
  • 学名:Hyporhamphus sajori

漢字では「鱵」「細魚」「針魚」「針嘴魚」「水針魚」「竹魚」「長鰯」とも書きます

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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