「うにってどこを食べているの?」
「どの部分が可食部なの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
見た目が独特なうには、実は生殖巣(卵巣・精巣)が食べられており、濃厚な旨味ととろけるような食感が特徴です。
旬は初夏〜夏(5〜8月)で、この時期は身が大きく甘みが増します。
うには高たんぱく・低カロリーで、ビタミンA・E・亜鉛などの栄養も豊富。
しかし、歩留まり(可食部の割合)は全体の10〜20%程度と少なく、希少性から高級食材として扱われています。
この記事では、うにの可食部と特徴・味わい・種類・旬の時期・栄養・選び方・保存法まで、調理師の視点で詳しく解説します。
「うにの本当の美味しさと仕組み」を知って、より深く味わいましょう。
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雲丹の旬 ~おいしい時期~
ムラサキウニ・キタムラサキウニ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
バフンウニ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
エゾバフンウニ・アカウニ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
「うには種類や産地によって旬が異なり、全国的にみて“産卵前の時期”が最も味が濃厚になります。ムラサキウニとキタムラサキウニは6〜8月にかけて、バフンウニは春の3〜4月、エゾバフンウニは7〜11月と幅広く旬があり、アカウニは夏〜秋にピークを迎えます。特に北海道では1月から12月まで地域ごとに漁期が異なるため、各地で“旬のうに”が楽しめます。」
うにとは ~味・見た目・可食部・歩留まりの解説~

うにはどんな食材?
うに(雲丹)は棘皮動物(きょくひどうぶつ)に分類される海の生き物で、全身がトゲに覆われた球体の姿が特徴的です。食用にされるのはその中にある生殖腺(卵巣や精巣)の部分で、一般的に「うに」と呼ばれているのはこの可食部のことです。
日本では「生食」や「塩水うに」「瓶詰」などで親しまれ、特に寿司や海鮮丼に欠かせない高級食材として知られています。
- 日本で食べられるウニは蝦夷馬糞ウニと北紫ウニが90%を占める
- 「バフンウニ=蝦夷馬糞ウニ=赤」と呼ばれる
馬糞に似ていることからこの名がついた
大きいもので6㎝程度 - 「ムラサキウニ=北紫ウニ=白」と呼ばれる
濃い紫色で長いトゲがある
大きなものは7㎝にもなる - ウニは水分含有量が高いので身を締めないとすぐに溶けるので、ミョウバンで処理されることが多い
味と食感の特徴
| 種類 | 色味 | 味わいの特徴 |
|---|---|---|
| バフンウニ | 濃いオレンジ~赤 | 濃厚で甘みが強い、舌に絡むような食感 |
| ムラサキウニ | 淡い黄色~薄オレンジ | 上品であっさり、やや磯の香りあり |
| エゾバフンウニ | 濃い赤橙 | 旨味・コク・甘みすべてが濃く高級品 |
| キタムラサキウニ | 明るいオレンジ〜黄 | あっさりでクセが少なく食べやすい |
| アカウニ | 濃い赤色 | 芳醇で独特な風味、高級すし店向け |
可食部と歩留まりについて
うに1個の中で実際に食べられる部分は全体の約10〜15%程度しかありません。
可食部は生殖腺(卵巣・精巣)にあたります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 可食部の割合 | 約10〜15% (残りは殻・トゲ・消化器など) |
| 可食部の正体 | 卵巣または精巣 (見た目では区別しづらい) |
| 1枚あたりの重さ | 約1〜3g。1個からとれる量は少なく高価になる理由のひとつ |
なぜうには高価なのか?
- 歩留まりが低く、1つのうにから取れる可食部がごくわずか。
- 鮮度が命で、保存・輸送にコストがかかる。
- 天然資源に限りがあり、漁獲規制や価格高騰も背景に。

現役和食調理師のヒント
1箱1万円を超えることも珍しくないですが、本当に美味しいうには“身が崩れていないこと・溶けないこと・におわないこと”が大事です。見た目以上に繊細な食材です。
うにの地方名・呼び名
| 地方名・呼称 | 主な地域・背景 | 対応する種類 |
|---|---|---|
| ガゼ(ガンゼ) | 関西・山陰地方 (京都・島根など) | ムラサキウニ |
| ノナ(ノナガゼ) | 長崎県・五島列島 | ムラサキウニ |
| ナガウニ | 九州西部 (佐賀・熊本)など | ムラサキウニ |
| ショウナガ | 九州北部 (壱岐・対馬)など | バフンウニ |
| バフン | 東北・北海道の市場名 | バフンウニ |
| エゾバフン | 北海道全域 (利尻・礼文・羅臼など) | エゾバフンウニ |
おいしい うに の選び方
うには見た目と香り、保存方法に注目するのがコツです。
| ポイント | 見るべき内容 |
|---|---|
| 色 | 鮮やかでツヤがあり、濁っていないこと。 |
| 形 (身の形状) | 角が立っていてくずれていないもの。 |
| 香り | 海藻のような香りがあり、生臭さやアンモニア臭がない。 |
| 保存方法 | 「塩水うに」は添加物が少なく新鮮な証。ミョウバン漬けは苦味が出ることも。 |

現役和食調理師のヒント
色が良くても“ミョウバン臭”が強いとうには避けたいところ。塩水うにがあれば迷わず選びます。
少量パックでも値段に比例することが多く、「安価なうに」は加工品や海外産が多めです。
うにと相性の良い食材
濃厚でとろけるような食感のうには、香り・酸味・食感でバランスを取る食材と好相性です。特にさっぱり系や香味野菜との組み合わせが、旨みを引き立てます。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 海苔 | 香りと磯の風味がうにと調和。軍艦巻きの定番。焼きのりよりも味付きのない海苔が◎。 |
| ご飯 | うに丼や寿司などで王道の組み合わせ。温かすぎないご飯が風味を保つコツ。 |
| 卵黄 | コクととろみが加わり、うにの甘みをさらに引き立てる。パスタや和え物に好相性。 |
| わさび | うにの濃厚さに辛みと香りでアクセント。寿司や白身魚との共演に。 |
| 大根おろし | 口の中をさっぱりさせる効果。冷製うに和えなどに。脂の強いうにに◎。 |
| 長芋 | シャキシャキした食感がうにのねっとり感を引き立てる。和風小鉢やとろろうにに。 |

現役和食調理師のヒント
うには旨味が強いぶん、余白をつくるような食材との組み合わせが大切です。寿司や丼だけでなく、冷製パスタや出汁巻き卵、豆腐にのせて前菜風にしても美味しくいただけます。
うにに合う調理法
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 生食 | うに本来の甘みと香りをそのまま楽しめる。鮮度が良ければ最良の食べ方。 | |
| 寿司 | 海苔との相性抜群。酢飯と組み合わせることで味がより引き立つ。 | |
| パスタ | バターや生クリームでソースにすると、うにのコクが引き立ち、洋風アレンジにも◎。 | |
| 卵焼き | 卵のまろやかさとよく合い、見た目にも華やか。高級料亭などで提供される一品。 | |
| 焼きうに | 風味が飛びやすく、香ばしさは出るが旨味が損なわれる可能性あり。 | |
| 揚げ物 | 高温調理により繊細な香りや甘みが飛ぶため、一般的ではない。 |

現役和食調理師のヒント
うには“火を通さずに食べる”のが基本。パスタや卵焼きなどの加熱料理に使う場合は、火を止めた後に加えるなど、香りを飛ばさない工夫が大切です。生で味わえるならそれが一番の贅沢です。
雲丹の栄養素 ~ 食品成分表 ~
うに(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 109 | ㎉ |
| 水分 | 73.8 | g |
| タンパク質 | 16.0 | g |
| 脂質 | 4.8 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 3.3 | g |
| ナトリウム | 220 | ㎎ |
| カリウム | 340 | ㎎ |
| カルシウム | 12 | ㎎ |
| マグネシウム | 27 | ㎎ |
| リン | 390 | ㎎ |
| 鉄 | 0.9 | ㎎ |
| 亜鉛 | 2.0 | ㎎ |
| 銅 | 0.05 | ㎎ |
| マンガン | 0.05 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 650 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 3.6 | ㎎ |
| ビタミンK | 27 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.10 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.44 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.1 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.15 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.3 | ㎍ |
| 葉酸 | 360 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.72 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 3 | ㎎ |
うには「ミネラル」と「ビタミンB群」が豊富な海産物です。
特にリン・カリウムといったミネラル類が多く、エネルギー代謝や体内のバランス維持に役立ちます。また、葉酸やビタミンB12といった造血ビタミンを含むため、貧血予防や細胞の新陳代謝にも期待できます。
さらに、β-カロテン(ビタミンA)やビタミンEといった抗酸化ビタミンも含まれ、美容や老化予防の観点からも優れた食材といえます。
一方で、ナトリウム量(220mg)はやや多めなので、塩分摂取が気になる方は食べ過ぎに注意が必要です。
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雲丹の英語・漢字表記

| 表記 | 内容 |
|---|---|
| 漢字 | 雲丹 |
| ひらがな | うに |
| 英語表記 | sea urchin |
| 学名 | Strongylocentrotus nudus (ムラサキウニの場合) |
| 発音記号 | [síː ˈɜːrtʃɪn] |
「uni(ウニ)」は、海外でも日本料理としてそのまま通じる言葉になっており、寿司店のメニューなどでは英語でも “Uni” 表記がよく使われます。
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