【調理師監修】うにの可食部はどこ?種類・旬・栄養・保存法まで徹底解説

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「うにってどこを食べているの?」
「どの部分が可食部なの?」

と疑問に思ったことはありませんか?
見た目が独特なうには、実は生殖巣(卵巣・精巣)が食べられており、濃厚な旨味ととろけるような食感が特徴です。

旬は初夏〜夏(5〜8月)で、この時期は身が大きく甘みが増します。
うには高たんぱく・低カロリー
で、ビタミンA・E・亜鉛などの栄養も豊富。
しかし、歩留まり(可食部の割合)は全体の10〜20%程度と少なく、希少性から高級食材として扱われています。

この記事では、うにの可食部と特徴・味わい・種類・旬の時期・栄養・選び方・保存法まで、調理師の視点で詳しく解説します。
「うにの本当の美味しさと仕組み」を知って、より深く味わいましょう。

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雲丹の旬 ~おいしい時期~

ムラサキウニ・キタムラサキウニ

バフンウニ

エゾバフンウニ・アカウニ

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

「うには種類や産地によって旬が異なり、全国的にみて“産卵前の時期”が最も味が濃厚になります。ムラサキウニとキタムラサキウニは6〜8月にかけて、バフンウニは春の3〜4月、エゾバフンウニは7〜11月と幅広く旬があり、アカウニは夏〜秋にピークを迎えます。特に北海道では1月から12月まで地域ごとに漁期が異なるため、各地で“旬のうに”が楽しめます。」

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

北海道を中心に西から東へと産地と種類が移る流れで、一年を通じてどこかで“旬のうに”が獲れます。

うにとは ~味・見た目・可食部・歩留まりの解説~

旬の食材|うに
うに

うにはどんな食材?

うに(雲丹)は棘皮動物(きょくひどうぶつ)に分類される海の生き物で、全身がトゲに覆われた球体の姿が特徴的です。食用にされるのはその中にある生殖腺(卵巣や精巣)の部分で、一般的に「うに」と呼ばれているのはこの可食部のことです。

日本では「生食」や「塩水うに」「瓶詰」などで親しまれ、特に寿司や海鮮丼に欠かせない高級食材として知られています。

  • 日本で食べられるウニは蝦夷馬糞ウニと北紫ウニが90%を占める
  • 「バフンウニ=蝦夷馬糞ウニ=赤」と呼ばれる
    馬糞に似ていることからこの名がついた
    大きいもので6㎝程度
  • 「ムラサキウニ=北紫ウニ=白」と呼ばれる
    濃い紫色で長いトゲがある
    大きなものは7㎝にもなる
  • ウニは水分含有量が高いので身を締めないとすぐに溶けるので、ミョウバンで処理されることが多い

味と食感の特徴

種類色味味わいの特徴
バフンウニ濃いオレンジ~赤濃厚で甘みが強い、舌に絡むような食感
ムラサキウニ淡い黄色~薄オレンジ上品であっさり、やや磯の香りあり
エゾバフンウニ濃い赤橙旨味・コク・甘みすべてが濃く高級品
キタムラサキウニ明るいオレンジ〜黄あっさりでクセが少なく食べやすい
アカウニ濃い赤色芳醇で独特な風味、高級すし店向け

可食部と歩留まりについて

うに1個の中で実際に食べられる部分は全体の約10〜15%程度しかありません。
可食部は生殖腺(卵巣・精巣)にあたります。

項目内容
可食部の割合約10〜15%
(残りは殻・トゲ・消化器など)
可食部の正体卵巣または精巣
(見た目では区別しづらい)
1枚あたりの重さ約1〜3g。1個からとれる量は少なく高価になる理由のひとつ

なぜうには高価なのか?

  • 歩留まりが低く、1つのうにから取れる可食部がごくわずか。
  • 鮮度が命で、保存・輸送にコストがかかる。
  • 天然資源に限りがあり、漁獲規制や価格高騰も背景に。
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1箱1万円を超えることも珍しくないですが、本当に美味しいうには“身が崩れていないこと・溶けないこと・におわないこと”が大事です。見た目以上に繊細な食材です。

うにの地方名・呼び名

地方名・呼称主な地域・背景対応する種類
ガゼ(ガンゼ)関西・山陰地方
(京都・島根など)
ムラサキウニ
ノナ(ノナガゼ)長崎県・五島列島ムラサキウニ
ナガウニ九州西部
(佐賀・熊本)など
ムラサキウニ
ショウナガ九州北部
(壱岐・対馬)など
バフンウニ
バフン東北・北海道の市場名バフンウニ
エゾバフン北海道全域
(利尻・礼文・羅臼など)
エゾバフンウニ

おいしい うに の選び方

うには見た目と香り、保存方法に注目するのがコツです。

ポイント見るべき内容
鮮やかでツヤがあり、濁っていないこと。

(身の形状)
角が立っていてくずれていないもの。
香り海藻のような香りがあり、生臭さやアンモニア臭がない。
保存方法「塩水うに」は添加物が少なく新鮮な証。ミョウバン漬けは苦味が出ることも。
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色が良くても“ミョウバン臭”が強いとうには避けたいところ。塩水うにがあれば迷わず選びます。
少量パックでも値段に比例することが多く、「安価なうに」は加工品や海外産が多めです。

うにと相性の良い食材

濃厚でとろけるような食感のうには、香り・酸味・食感でバランスを取る食材と好相性です。特にさっぱり系や香味野菜との組み合わせが、旨みを引き立てます。

食材組み合わせの理由・使い方例
海苔香りと磯の風味がうにと調和。軍艦巻きの定番。焼きのりよりも味付きのない海苔が◎。
ご飯うに丼や寿司などで王道の組み合わせ。温かすぎないご飯が風味を保つコツ。
卵黄コクととろみが加わり、うにの甘みをさらに引き立てる。パスタや和え物に好相性。
わさびうにの濃厚さに辛みと香りでアクセント。寿司や白身魚との共演に。
大根おろし口の中をさっぱりさせる効果。冷製うに和えなどに。脂の強いうにに◎。
長芋シャキシャキした食感がうにのねっとり感を引き立てる。和風小鉢やとろろうにに。
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うには旨味が強いぶん、余白をつくるような食材との組み合わせが大切です。寿司や丼だけでなく、冷製パスタや出汁巻き卵、豆腐にのせて前菜風にしても美味しくいただけます。

うにに合う調理法

調理法おすすめ度理由
生食 うに本来の甘みと香りをそのまま楽しめる。鮮度が良ければ最良の食べ方。
寿司 海苔との相性抜群。酢飯と組み合わせることで味がより引き立つ。
パスタ バターや生クリームでソースにすると、うにのコクが引き立ち、洋風アレンジにも◎。
卵焼き 卵のまろやかさとよく合い、見た目にも華やか。高級料亭などで提供される一品。
焼きうに 風味が飛びやすく、香ばしさは出るが旨味が損なわれる可能性あり。
揚げ物 高温調理により繊細な香りや甘みが飛ぶため、一般的ではない。
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うには“火を通さずに食べる”のが基本。パスタや卵焼きなどの加熱料理に使う場合は、火を止めた後に加えるなど、香りを飛ばさない工夫が大切です。生で味わえるならそれが一番の贅沢です。

雲丹の栄養素 ~ 食品成分表 ~

うに(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー109
水分73.8g
タンパク質16.0g
脂質4.8g
食物繊維(総量)g
炭水化物3.3g
ナトリウム220
カリウム340
カルシウム12
マグネシウム27
リン390
0.9
亜鉛2.0
0.05
マンガン0.05
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)650
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)3.6
ビタミンK27
ビタミンB10.10
ビタミンB20.44
ナイアシン1.1
ビタミンB60.15
ビタミンB121.3
葉酸360
パントテン酸0.72
ビオチン
ビタミンC3
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

うには「ミネラル」と「ビタミンB群」が豊富な海産物です。
特にリン・カリウムといったミネラル類が多く、エネルギー代謝や体内のバランス維持に役立ちます。また、葉酸やビタミンB12といった造血ビタミンを含むため、貧血予防や細胞の新陳代謝にも期待できます。
さらに、β-カロテン(ビタミンA)やビタミンEといった抗酸化ビタミンも含まれ、美容や老化予防の観点からも優れた食材といえます。
一方で、ナトリウム量(220mg)はやや多めなので、塩分摂取が気になる方は食べ過ぎに注意が必要です。

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雲丹の英語・漢字表記

表記内容
漢字雲丹
ひらがなうに
英語表記sea urchin
学名Strongylocentrotus nudus
(ムラサキウニの場合)
発音記号[síː ˈɜːrtʃɪn]

「uni(ウニ)」は、海外でも日本料理としてそのまま通じる言葉になっており、寿司店のメニューなどでは英語でも “Uni” 表記がよく使われます。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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