鱚(きす)の旬と味わい|上品な白身魚の特徴・食べ方・英語表記を調理師が解説

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「鱚(きす)」ってどんな魚?
名前はかわいいけれど、味は?旬はいつ?と気になる方へ。

鱚の英語は Japanese whiting(または sand borer と書きます。海外レシピや英語メニューで見かけたときも、これで迷いません。

鱚は淡白で上品な味わいが魅力の白身魚。天ぷらや塩焼きはもちろん、洋食にも合う“繊細さが光る万能魚”です。

このページでは、鱚(きす)の旬・味・特徴・目利きのコツ・栄養に加えて、英語表記(発音記号つき)まで、現役の和食調理師がやさしく解説します。
「天ぷらだけじゃもったいない」と思える、塩焼き・南蛮漬け・ムニエルなど新しい食べ方が見つかります。

鱚(きす)の旬~おいしい時期~

鱚(キス)の旬の時期を解説した図解。5月から8月の晩春から夏にかけての食べ頃と、最も脂がのる6月・7月のピークを説明したカレンダー。
「砂浜の貴婦人」と呼ばれる鱚。最も身に甘みが増し、天ぷらでフワフワの食感を楽しめるのは5月〜8月です。時期による味わいの変化を確認しましょう。

きすの旬は5月から8月ごろ
鱚(きす)は一年を通して水揚げがありますが、最もおいしい旬は初夏から夏(5〜8月)です。
この時期は産卵前で脂がのり、身がやわらかく旨味が強くなります。水温が上がると浅瀬に近づくため、釣りでも人気のシーズンです。

一方、冬から春(12〜3月)は身が締まり、天ぷらやフライなど加熱調理に向きます。地域によって旬のずれがあり、関東では6〜8月、九州では4〜6月ごろが食べ頃とされています。

5月初夏の訪れを告げる「走り」の鱚を味わう
5月に入ると、産卵のために浅瀬へと集まってきた鱚が姿を見せ始めます。この時期の鱚は「走り」と呼ばれ、身が透き通るほど美しく、上品な香りが格別です。初夏の清々しい気候とともに、旬の始まりを楽しんでください。
あわせて読みたい▶5月の旬な魚一覧|初夏の爽やかな味覚とおすすめの魚たち (※5月に旬を迎える、走りのお魚情報をまとめています。)

7月甘みと食感が最高潮に達する「盛り」の時期
7月は鱚の身に最も甘みがのり、ふっくらとした厚みも出てくる最盛期です。特にこの時期の鱚は、天ぷらにした時の「ふわっ」とした食感が素晴らしく、まさに「白身の女王」の名にふさわしい味わいです。あわせて読みたい▶ 7月の旬な魚一覧|夏本番!脂がのって一番美味しい時期の魚たち (※7月に最も食べ頃を迎える、鱚をはじめとした夏魚を詳しくご紹介していま

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

キスは脂質が非常に少ない「淡白な白身魚」ですが、初夏〜夏にかけては程よく脂が入り、天然ものの風味が際立ちます。

鱚(きす)とは?~特徴・味わい・生息域~

鱚 きす(Sand borer)

鱚(きす)はスズキ目キス科に属する白身魚で、標準和名はシロギス(白鱚)
日本各地の砂浜や浅瀬に広く生息し、「砂浜の女王」とも呼ばれるほど、姿・味ともに上品な魚です。透き通るような白身と、淡白でやさしい旨味が魅力です。


特徴

項目内容
分類スズキ目キス科シロギス属
体長一般的に15〜25cm前後。最大30cmを超える個体も存在。
形態細長い体で、先の尖った口をもち、砂中の小動物を捕食。
生息域日本沿岸の砂地や浅瀬に多く、特に太平洋側で豊富。
漁法・人気投げ釣りの代表魚として人気が高く、初夏にかけて漁獲の最盛期を迎える。
価格水揚げが多く、比較的手頃な価格で入手できる。

三重県|おさかな図鑑:シロギス


味・食感の特徴

身は透明感のある白身で、脂肪分が少なく淡白ながら旨味が強い。
刺身ではほんのり甘みがあり、天ぷらやフライではふっくら柔らか
火を通しても硬くならず、繊細な食感を保つのが特徴。
骨が細く、扱いやすいため家庭料理にも向く魚です。

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鱚は味にクセがないからこそ“技術で差が出る魚”です。刺身なら切りつけの厚さで、天ぷらなら衣の薄さで味が変わる。和食の奥深さを感じさせてくれる一本です。

鱚(きす)の目利き(鮮度の見分け方)

鱚(きす)は鮮度の落ちが早い魚です。
時間が経つと身がやわらかくなり、特有の生臭さが出やすくなるため、
購入時は「見た目・弾力・匂い」の3点をしっかりチェックしましょう。


チェックポイント良い状態避けたい状態
透明感があり、黒目がくっきりしている濁って白っぽく乾いている
指で押すと弾力があり、すぐに戻るやわらかく、押すと戻らない
体色銀白色でツヤがあり、光を反射しているくすんで黄ばんでいる
鱗・皮鱗がしっかり付き、皮がピンと張っている鱗が取れやすく、皮がたるんでいる
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刺身や天ぷらに使うなら【身がしっかりしているか】が一番大切。
小さい魚ほど劣化が早いので、朝獲れ・当日パックが狙い目です。

鱚(きす)の保存方法|冷蔵・冷凍のコツ

鱚(きす)は鮮度が命の白身魚。できるだけ購入したその日のうちに調理するのが理想です。
すぐに使えない場合は、状態に合わせて正しく保存しましょう。


冷蔵保存(1〜2日以内)

短期間で使う予定がある場合は冷蔵保存でOK。
次の手順で鮮度を保てます。

  1. 頭と内臓を取り除き、軽く洗って水気をよく拭き取る。
  2. 身をキッチンペーパーで包み、ドリップ(血や水分)を吸収させる。
  3. ラップで包み、チルド室または冷蔵庫の奥(2〜4℃)で保存。

🔸おすすめ用途:刺身・天ぷら・塩焼きなど(加熱・生食どちらも可能)

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冷蔵で長く置くと、身がやわらかくなり臭みが出やすいため、翌日までに使い切るのが理想です。


冷凍保存

すぐに食べない場合は冷凍で保存します。酸化・冷凍焼けを防ぐには、空気を遮断して水分を残さないのがポイント。

  1. 頭・内臓・エラを除き、キッチンペーパーで水分をしっかり拭く。
  2. 1尾ずつラップで包み、フリーザーバッグに入れて空気を抜く
  3. -18℃以下で保存(家庭用冷凍庫で約3週間が目安)。
  4. 解凍は冷蔵庫でゆっくり自然解凍。急速解凍は身崩れや臭みの原因になります。

🔸おすすめ用途:フライ・煮付け・天ぷら用(加熱調理向き)

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刺身で食べたいなら、冷凍は避けて冷蔵で当日調理するのがベスト。
冷凍すると食感がやや落ちますが、衣をつけて揚げる料理には十分使えます。

鱚と相性の良い食材

鱚(きす)はクセのない淡白な白身魚のため、香りや酸味のある食材と組み合わせると味が引き立ちます。素材の持つ甘みを活かすなら、シンプルな塩・柑橘・味噌などがおすすめです。

食材組み合わせの理由・使い方例
大葉揚げ物や天ぷらに巻くと香りが引き立つ。さっぱり感をプラス
梅肉酢じめや和え物にすると、酸味と塩味で夏向きの味わいに
味噌漬け焼きや西京焼きに。旨味と甘みが淡白な身に合う
レモン
すだち
天ぷらや塩焼きに添えて、脂をさっぱり中和
白ごま南蛮漬けや和え物に風味とコクをプラスできる
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揚げ物にするなら「大葉×きす」の組み合わせは定番中の定番。また、刺身にするなら梅肉やすだちなどの酸味系が好相性

鱚(きす)に合う調理法

淡白でクセのない「きす」は、揚げても焼いても煮ても美味しい万能型の白身魚
中でも、素材の良さを引き出す「衣・火入れ・香り」の扱いで差が出ます。

調理法理由
天ぷら外はカリッと中はふんわり。素材の旨味を一番活かせる調理法
一夜干し身が締まり、旨味が凝縮。焼くだけで香ばしくご飯にぴったり
刺身
(薄造り)
新鮮な天然物に限るが、甘みがあり上品。梅肉や酢でさらに美味しく
塩焼き素朴な味付けで身の甘さが引き立つ。すだちや大根おろしと好相性
煮付け煮崩れしやすく淡白な味が調味料に負けやすい。やさしい味付けなら可
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鱚は“火を入れすぎない”ことが一番のポイント。特に天ぷらでは高温短時間(約170〜175℃で1分半)で揚げると、身がふっくらして旨味を逃しません。

鱚(キス)を家族で安心して楽しむために!小骨処理の重要性

鱚は身が柔らかく、上品な味わいからお子様にも大変人気のある魚です。しかし、その繊細な身の中には細かな小骨(ピンボーン)が隠れており、特に天ぷらやフライにした際、口に当たるとせっかくの食感が台無しになってしまいます。

お子様や「骨が苦手」な方への配慮

料理人として数多くの鱚を扱ってきましたが、鱚の美味しさを決めるのは「下処理の丁寧さ」です。特に小さなお子様がいるご家庭では、あらかじめ骨を抜いておくことで、お魚嫌いを防ぎ、安心して「フワフワ」の食感を楽しんでもらうことができます。

「魚の骨を抜くのが苦手……」「子どもに安全に食べさせたい」というお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。プロも実践する、失敗しない小骨の取り方とコツを詳しく解説しています。

魚の小骨の取り方|簡単な骨抜き方法と子ども向け対策
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魚の小骨が怖い方へ。現役調理師が「絶対に失敗しない骨の取り方」と「骨が少ない魚の選び方」を解説します。子どもが喉に骨を刺した時の対処法や、骨取りの手間をゼロにするプロおすすめのサービスも紹介。安心しておいしい魚を食卓に。
https://japanese-food.net/fish-bones-removal/

鱚(きす)の栄養素|食品成分表

きす
可食部100g当たり

栄養素天ぷら単位
廃棄率255%
エネルギー23473
水分57.580.8g
タンパク質18.418.5g
脂質15.20.2g
食物繊維(総量)0..7g
炭水化物7.8g
ナトリウム110100
カリウム330340
カルシウム9027
マグネシウム3129
リン210180
0.20.1
亜鉛0.50.4
0.030.02
マンガン0.080.01
ヨウ素2221
セレン3337
クロム1
モリブデン
ビタミンA(レチノール)21
ビタミンA(β-カロテン)14
ビタミンD0.60.7
ビタミンE(トコフェロールα)3.20.4
ビタミンK18
ビタミンB10.090.09
ビタミンB20.060.03
ナイアシン2.42.7
ビタミンB60.150.22
ビタミンB122.02.2
葉酸911
パントテン酸0.300.18
ビオチン2.22.3
ビタミンC11
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

鱚(きす)の英語・漢字表記

表記内容
漢字表記鱚(きす)
英語表記Sand borer
Japanese whiting
学名Sillago japonica
発音記号sænd ˈbɔːrər
ˈdʒæpəniz ˈwaɪtɪŋ

鱚(きす)は英語で Japanese whiting と書くのがいちばん通じやすい表記です。
一方で、英語の資料や魚名リストによっては sand borer と表記されることもあります。どちらも「鱚」を指す言い方として使われるため、海外レシピや英語メニューでは Japanese whiting / sand borer の両方を覚えておくと迷いません。

※学名(ラテン名)は世界共通の「正式名称」なので、英語表記に揺れがあるときは、学名で確認すると安心です。

英語で説明するなら(例文)

Kisu (Japanese whiting) is a delicate white fish, often served as tempura in Japan.
→(鱚は繊細な白身魚で、日本では天ぷらでよく食べられます。)

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

海外では “sand borer” より “Japanese whiting” のほうが通じやすい印象があります。
でもどちらにしても、【「kiss」ではないので要注意!】です(笑)

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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