夏蜜柑(なつみかん)とは?旬・保存・よく合う食材を調理師が解説|Citrus natsudaidai

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夏蜜柑(なつみかん)の英語・漢字表記

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夏蜜柑

  • 「夏蜜柑」は、漢字で「夏橙(なつだいだい)」とも書かれます。
  • 名前の由来は「夏に食べごろを迎える柑橘類」という意味から。
  • 「蜜柑」とありますが、温州みかんなどとは異なり、酸味が強く香り高いのが特徴です。

Citrus natsudaidai(シトラス・ナツダイダイ)

  • Citrus natsudaidai は、夏蜜柑の**植物学上の学名(binomial name)**です。
  • 「natsudaidai」は日本語の「夏橙(なつだいだい)」をそのままローマ字にした表記で、英語圏でも使われています。
  • 一般的な流通名として「Japanese summer orange」「Natsudaidai citrus」と表記されることもあります。

発音記号
Citrus natsudaidai(/ˈsɪtrəs ˌnætsuːˈdaɪdaɪ/)


夏蜜柑の旬~おいしい時期~

夏蜜柑(なつみかん)は名前に「夏」とありますが、実際の収穫は冬〜春にかけて行われ、春から初夏にかけてが最も美味しく食べられる時期です。

なつみかん

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完熟しても酸味がしっかり残るため、マーマレードやピール(砂糖漬け)に向いています。
生で食べる場合は、砂糖やハチミツを少しかけると酸味がやわらぎ、香りも引き立ちます。

夏蜜柑とは~解説~

夏蜜柑(なつみかん)は、日本で古くから親しまれている酸味の強い柑橘類で、学名はCitrus natsudaidai。見た目は大きなみかんのようですが、温州みかんとは異なり、爽やかな香りと強めの酸味が特徴です。

🌿 歴史と由来

  • 原産は日本。江戸時代末期に山口県で発見されたとされ、長らく家庭用・加工用の柑橘として定着してきました。
  • 名前の「夏」は、食べ頃が春から夏にかけてであることに由来します。

🍊 特徴まとめ

項目内容
果皮厚くてしっかり、剥きやすいがやや手間がかかる
果肉果汁が多く、噛みごたえのある粒感
香り爽やかで強い柑橘香。ピールや果実酢にも◎
味わい酸味が強く、ややほろ苦い(追熟でまろやかに)

🍊 夏蜜柑と甘夏(甘夏柑)の違い

比較項目夏蜜柑(なつみかん)甘夏(あまなつ)
学名Citrus natsudaidaiCitrus natsudaidai f. kawano
発見江戸時代末期(山口県)昭和初期(大分県・川野農園)
果皮厚く、苦味ありやや薄めで扱いやすい
味わい酸味が強い・さっぱり酸味が控えめで甘みがある
食べ方加工向け(マーマレード・ピール)生食にも向く・おやつにも◎
市場流通昔ながらの品種・流通少なめよく流通・スーパーで見かけやすい

🍴 一般的なみかんとの違い

比較項目温州みかん夏蜜柑
甘さ甘みが強い酸味が強くさっぱり
食べ頃冬〜初春春〜初夏(追熟が必要)
加工適性あまり加工しないマーマレードやピールに最適
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夏蜜柑の皮の香りとほろ苦さは和菓子や洋菓子にもよく合います
薄くスライスして砂糖で煮た「夏蜜柑ピール」は、お茶請けやケーキの材料にぴったりです。

夏蜜柑の選び方|美味しい実を見分ける3つのポイント

夏蜜柑は見た目がしっかりしていても、果汁が抜けていたり酸味が強すぎたりすることもあります。
以下のポイントを押さえると、風味のよい果実に出会える確率が高まります。


✅ 皮にハリとツヤがあるもの

  • 表面が乾燥してシワっぽくなっているものは、収穫から日が経ちすぎて水分が抜けている可能性があります。
  • 逆に、適度に油分を感じるようなツヤ感があると、果汁たっぷりの証拠。

✅ ずっしりと重みがあるもの

  • 同じサイズでも、持ったときに重さを感じる実は果汁が多いと判断できます。
  • 軽いものは水分が少なく、パサつきやすいので避けましょう。

✅ 香りがしっかり立っているもの

香りが弱い場合はまだ若いか、追熟が必要です。
ヘタの周辺や皮の一部をそっとかいでみて、爽やかな柑橘の香りが感じられれば、熟度が進んで食べ頃のサイン。

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夏蜜柑は購入後すぐよりも、風通しの良い場所で1〜2週間追熟させると酸味がやわらぎ、より美味しくなります。
加工用に使うなら、多少表面にキズがあっても中身がしっかりしていれば問題ありません。

夏蜜柑の保存方法|酸味をやわらげる“追熟”がカギ

夏蜜柑(なつみかん)は収穫直後は酸味が強いため、時間をかけて追熟することが美味しさのポイントになります。保存する際は、以下のように状態に応じて保存方法を使い分けましょう。


常温保存

【期間】:1〜2週間(冬〜春の場合)
【場所】:風通しのよい冷暗所(10〜15℃前後が理想)

  • 新聞紙に包んで段ボールなどに入れる
  • 果実同士がぶつからないように間隔をあける

🔸追熟の効果
時間の経過とともに酸味がやわらぎ、甘み・香りが引き立つようになります。食べ頃は、表皮がやや柔らかくなり、香りが強くなる頃が目安です。


冷蔵保存

【期間】:約1週間

  • ラップで包んでからポリ袋に入れ、野菜室で保存
  • 表面の乾燥を防ぎ、香りを保つ

⚠ 注意:追熟中の果実は冷蔵せず、食べ頃になってから冷蔵庫に入れるのがベターです。


加工して保存(長期)

✅ マーマレード・ジャム

  • 皮と果肉を加熱・砂糖で煮詰めれば、冷蔵で約2週間、冷凍で約1か月保存可。

✅ 砂糖漬け・ピール

  • 皮の苦みを活かした夏蜜柑ピールは、しっかり乾燥させれば常温で1〜2週間保存可能。

主な品種群

  • 出水の紅甘夏(鹿児島県)
  • サンフルーツ

川野甘夏

果実は大きめで直径9~10cm程度
外皮は硬くむきにくく、内袋(じょうのう膜)もむく必要があり、種もたくさん入っている。ナツダイダイの枝変わり種である
歯ごたえのあるみずみずしい果肉が特徴

岡鼻農園
川野甘夏
果重
(1個の重さ)
300~500 グラム
外皮
(外側の皮)
硬い
ナイフで十字に切り込みを入れるとよい
内皮
(果肉を包む皮)
剥いて食べる
味わいほのかな苦味とスッキリした甘み、酸味のある味わい
種は多い

夏蜜柑と相性の良い食材|酸味と香りを引き立てる組み合わせ

夏蜜柑(なつみかん)は、強めの酸味と爽やかな香り、ややほろ苦さのある皮が特徴です。生食はもちろん、料理やお菓子、ドリンクに活かせる万能柑橘として、さまざまな食材と好相性です。


和食で相性の良い食材・調味料

食材・調味料組み合わせ例・ポイント
大根おろし夏蜜柑果汁を数滴加えると、さっぱり感が増す
白身魚(鯛・スズキ)刺身やカルパッチョに果汁を搾ると爽やかに
醤油・酢・味噌夏蜜柑の果汁を合わせて、ポン酢風・柑橘味噌に
鶏むね肉・ささみ夏蜜柑マリネや照り焼きダレに加えて香り付け

お菓子・スイーツとの組み合わせ

食材ポイント・例
砂糖マーマレード、コンポート、ピールなど
チョコレート(ビター)ピールと組み合わせて大人の味わいに
はちみつ酸味をまろやかにして飲み物やゼリーに最適
生クリーム・ヨーグルト甘味と酸味のバランスが絶妙。パフェやムースにおすすめ

飲み物・ドリンクとの相性

飲み物活用方法
紅茶果汁やスライスを加えると夏らしい風味に
炭酸水果汁+はちみつで自家製夏蜜柑ソーダに
焼酎・日本酒皮や果汁を入れて香りを楽しむ
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

夏蜜柑は「酸味を中和して、香りで引き立てる」使い方がコツです。
油分のある食材(白身魚、鶏肉、チョコ)との組み合わせは、後味がさっぱりとして非常に相性が良いです。

夏蜜柑の栄養素 (食品成分表)

なつみかん(生)砂じょう
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率45%
エネルギー42
水分88.6g
タンパク質0.9g
脂質0.1g
食物繊維(総量)1.2g
炭水化物10.0g
ナトリウム1
カリウム190
カルシウム16
マグネシウム10
リン21
0..2
亜鉛0.1
0.05
マンガン0.04
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)22
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.3
ビタミンK
ビタミンB10.08
ビタミンB20.03
ナイアシン0.4
ビタミンB60.05
ビタミンB12
葉酸25
パントテン酸0.29
ビオチン
ビタミンC38
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
→ たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなど、健康に必要な栄養素35種類を、分類ごとにわかりやすく解説しています。

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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