里芋の土佐煮|プロが教える“よくわかるレシピ”

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ほくほくとした里芋に、かつお節の香りがふんわりと重なる「里芋の土佐煮」。
素朴ながらも奥深い味わいで、和食の定番として親しまれています。しかし、家庭で作ると
「ぬめりが残る」
「味がしみない」
「煮崩れた」

など、失敗しやすい一品。
原因は、下処理の不十分さと火加減の強さにあります。

現役調理師の結論は――
👉 「ぬめりをきちんと除き、煮汁を里芋に“吸わせる時間”を作ること」。

出汁の旨味をしっかり含ませ、仕上げにかつお節で香りを閉じ込めれば、
料亭のような上品な味に仕上がります。

よくある失敗と原因

  • 里芋が硬い → 下茹で不足・火加減が弱い
  • 煮崩れる → 強火でぐつぐつ煮た
  • 味が染みない → 煮汁が多い or 時間が短い
  • ぬめりが残る → 塩もみ・洗いが不十分
  • 味が濃い → 煮詰めすぎ・火を止め忘れ

材料

材料分量役割
里芋約300g主素材。ホクホクとした食感を生かす
かつお節適量風味と旨味を添える(仕上げ用)
調味料分量割合役割
出汁130cc13全体の旨味をまとめるベース
薄口醤油5cc0.5風味を引き立てる下味
濃口醤油5cc0.5コクと照りをつける
砂糖5g0.5旨味と香ばしさを引き出す
みりん10cc1照りとやわらかさを与える

下処理

  • 里芋
    泥をよく洗い、皮を剥く。塩でもんでぬめりを取る(ぬめりが残ると味が染みにくくなる)
  • ぬめりを落とすポイント
    塩もみ→サッと水洗い→米のとぎ汁で下茹ですることでぬめり・臭みを除去
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

茹でてから皮を剥くと手がかゆくならず、皮もつるっと剥ける。


作り方

  1. 下茹でする(中火)
    塩もみした里芋を水で流し、米のとぎ汁で茹でる。
    🔸 合図:「竹串がスッと通る」まで(約10〜15分)。
    火を止めて流水にさらし、ぬめりをしっかり落とす。
  2. 煮汁を作る(中火→弱火)
    鍋に出汁と調味料をすべて入れ、ひと煮立ちさせる。
    沸騰直前で弱火にし、下茹でした里芋を加える。
  3. 含め煮る(弱火)
    弱火で5〜10分ほど、煮汁が減るまで静かに煮含める。
    🔸 合図:「鍋底に小さな泡がポツポツ出る程度」=火加減が適正。
    煮汁が半分ほどになったら火を止める。
  4. 仕上げ(余熱+香りづけ)
    火を止めてから、揉んだかつお節を加える。
    🔸 合図:「かつお節がふわっと沈む」程度でOK。
    そのまま余熱で味を含ませる。

失敗しない3つのコツ

  • 下茹では米のとぎ汁+塩もみでぬめりを完全除去
  • 煮詰めは弱火でゆっくり。強火は煮崩れのもと
  • かつお節は火を止めてから加える。香りを飛ばさない

保存方法

  • 冷蔵保存:密閉容器で2〜3日。温め直しは弱火で煮汁を足す。
  • 冷凍保存:汁気を少なめにして2〜3週間。解凍後は再加熱で味を戻す。
  • お弁当活用:汁気をよく切れば彩りと香りが生きる。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鯖の味噌煮鶏の照り焼き
  • 副菜:ほうれん草のおひたしきんぴらごぼう
  • 汁物:豆腐とわかめの味噌汁

旬と豆知識

里芋の旬は秋(9月〜11月)
ぬめり成分は胃腸の保護に役立ち、消化を助けます。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】【11月|旬の野菜と果物】へ。


現役和食調理師のひと言

土佐煮は「香りを閉じ込める煮物」。
かつお節を最後に加えることで、煮汁の余熱でふんわりと香り立ちます。
火を強くしてしまうと香りが飛ぶので、“静かに煮る”を意識することが、上品な味に仕上げる秘訣です。

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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