南蛮酢(なんばんず)は、酢・砂糖・醤油を合わせた万能調味料。
唐揚げ・焼き魚・南蛮漬けはもちろん、野菜や冷奴にも幅広く使える “料理の基礎” です。
この記事では、調理師歴25年以上の筆者が
・味が決まらない原因
・黄金比(2種類)
・失敗しないコツ
・保存方法・使い道
を、家庭で再現しやすい形で解説します。
味が決まらない原因
- 酢の酸味が立ちすぎてバランスが崩れる
- 砂糖の溶け残りで甘味がムラになる
- 煮立てすぎて酸味が飛びすぎる
黄金比|2つの選べる比率

| 種類 | 比率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 万人向け黄金比 | 水 12 薄口醤油 1 砂糖 5 みりん 3 塩 0.5 穀物酢 12 | 酸味と甘味のバランスがよく、食べやすい仕上がり |
| プロ寄り黄金比 | 水 10 薄口醤油 1 砂糖 4.5 みりん 2.5 塩 0.5 穀物酢 12 | 酸味を際立たせ、魚や肉の旨味を引き立てる設計 |
その理由
南蛮酢は「漬ける」時間で味が変化します。
プロ寄り比率は漬け込み時間を考慮して、やや酸味を強めに設定しています。
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 水 | 1800cc | 酢の酸味を和らげる・全体の基礎 |
| 薄口醤油 | 150cc | 塩味と香りを補い、味を引き締める |
| 砂糖 | 750g | 酸味の角を取る・照りとコクを出す |
| みりん | 450cc | 甘味と照りを加え、まろやかに仕上げる |
| 塩 | 120g | 味の輪郭を整える |
| 穀物酢 | 1800cc | 旨味を引き立てる酸味の中心 |
作り方(よくわかるレシピ)

1️⃣ 調味料を合わせる
鍋に水・砂糖・塩・みりん・薄口醤油・酢をすべて入れる。
軽くかき混ぜてから中火にかける。
2️⃣ 一煮立ちさせる
鍋のふちに小さな泡が出たらOK。
沸騰直前で火を止める(酢の香りがふわっと立つ瞬間が目安)。
3️⃣ 冷ます
常温で冷まし、粗熱が取れたら清潔な容器へ。
金属製の容器は避け、ガラスやホーロー製が理想。

現役和食調理師のヒント
沸騰させすぎると酸味が飛ぶため、必ず“一煮立ち”で止めましょう。
失敗しない3つのコツ
- 酢は後から加えるより、最初に入れて全体を調和させる
- 砂糖は完全に溶かしてから火を止める
- 保存前は必ず常温まで冷ます(結露で味が変わる)
使い道
| 相性の良い料理 | 用途例 |
|---|---|
| アジ南蛮漬け | 定番の使い方。揚げた魚を漬けて一晩 |
| 鶏の南蛮漬け | 酢の酸味でさっぱり仕上げる |
| 野菜のマリネ | 彩り野菜にかけて冷やすだけ |
保存方法
| 状態 | 期間 | 方法 |
|---|---|---|
| 冷蔵保存 | 約2週間 | 清潔な瓶または保存容器に入れ、冷蔵庫で保存 |
| 冷凍保存 | 約1か月 | 小分けして密閉容器に入れる(解凍後は再加熱不要) |

現役和食調理師のヒント
冷凍した場合は自然解凍でOK。加熱すると酸味が飛ぶためNG。
応用・アレンジ
- 甘め仕立て: 砂糖+0.5、みりん+0.5で子どもにも食べやすく
- さっぱり仕立て: 酢+2で夏向けに
- ピリ辛仕立て: 鷹の爪を2〜3本加えて風味アップ
- 柚子酢風: 酢の半量を柚子酢に変えると上品な香りに
現役和食調理師のひと言
南蛮酢は“酸味を活かす”料理。
プロの現場では、一煮立ちのタイミングを最も大切にしています。
これを守るだけで、酸味に丸みが出て食材との一体感が生まれます。
揚げ物も野菜も、南蛮酢ひとつで見違えるほど上品に仕上がりますよ。
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