数の子の味付け|プロが教える“よくわかるレシピ”

お正月料理や祝い膳に欠かせない「数の子」
プチプチとした食感と上品な旨みが魅力の食材ですが、
「塩加減がむずかしい」
「苦みが出た」
「出汁の味が濃い・薄い」

など、味付けで悩む方も多いのではないでしょうか。

数の子は“火を入れない冷製仕上げ”が味の決め手。本記事では、現役和食調理師が、失敗しない塩抜きのコツと、プロが使う黄金比の出汁の作り方をわかりやすく解説します。

よくある失敗と原因

  • 塩辛い → 塩抜き不足
  • 苦みが出る → 塩を抜きすぎて旨みまで抜けている
  • 見た目が悪い → 薄皮が残っている
  • 出汁が濁る → 鰹節を煮すぎている
  • 味がぼやける → 出汁が冷めないうちに漬けている

材料(作りやすい分量)

材料分量役割
数の子(塩蔵)適量主役。食感と旨みを楽しむ
薄口醤油20cc上品な香りと塩味をつける
みりん20ccまろやかさと照り出し
80cc風味とコクを出す
追い鰹(鰹節)10g出汁の旨みを強化
味の素少々旨みを補う(好みで)

下処理(塩抜きと薄皮の処理)

  1. 迎え塩で塩抜きをする
    ボウルに「やや薄めの塩水(海水より薄い程度)」を作り、数の子を浸す。1〜2時間おきに塩水を取り替えながら、ゆっくり塩を抜いていく。→味見して“ほんのり塩気”が残る程度でストップ。(抜きすぎると苦みが出るので注意)
  2. 薄皮を取り除く
    塩抜き中、数の子の表面に白い薄皮がめくれてくる。これを指の腹でやさしくこすり取る
    → 残すと食感が悪く、味の染み方も不均一になる。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

ここで丁寧に仕上げると、見た目も味も格段に良くなる。


出汁の作り方

  1. 鍋に酒・みりん・薄口醤油を入れ、軽く沸騰させる。→ 沸騰した瞬間がアルコールが飛ぶ“香りの合図”。
  2. 追い鰹(鰹節)を加えて火を止める。
    → 鰹節は入れた瞬間から香りが立つので、煮すぎない。
  3. そのまま自然に冷まし、完全に冷えたら漉す。
    → 出汁を冷やすことで、味がまとまり日持ちも良くなる。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

熱いまま漬けると、数の子の食感が崩れやすくなります。
必ず「冷やしてから」使いましょう。


数の子を漬け込む(火加減なしの冷製仕上げ)

  1. 下処理を終えた数の子の水気をしっかり取る。
    → 表面に水が残っていると味が薄まる原因に。
  2. 冷ました出汁に数の子を入れる。
    冷蔵庫で半日〜1日漬け込むと、中までしっかり味が染みた上品な数の子に。
  3. 味見して塩味を微調整。
    → 塩気が強い場合は少量の出汁で薄める。

失敗しない3つのコツ

  • 塩抜きは「塩水で」行い、真水は使わない
  • 出汁は必ず冷ましてから漬け込む
  • 薄皮をしっかり取り除くことで、見た目も上品に

保存方法

  • 冷蔵保存:密閉容器に入れて冷蔵で3〜4日。
  • 冷凍保存:不可(食感が変わるためおすすめしない)。
  • 再利用:残った出汁は卵焼きや煮物の下味にも使える。

相性の良い料理・献立提案

  • 副菜:黒豆、田作り、伊達巻
  • 汁物:すまし汁
  • ご飯:白ごはん、赤飯、ちらし寿司

👉 お正月料理の一品としてもおすすめです。


旬と豆知識

数の子はニシンの卵で旬は冬〜春。
おせち料理では「子孫繁栄」の縁起物として欠かせません。近年は塩数の子だけでなく、味付け済みタイプも増えていますが、手作りならではの「風味と食感の違い」をぜひ味わってみてください。
ニシンについてはコチラをご覧ください▶鰊 にしん(Herring)


現役和食調理師のひと言

数の子の味付けで大切なのは「抜きすぎない塩加減」と「出汁の温度管理」。
塩味をほんのり残すことで、数の子本来の旨みとコクが際立ちます。
出汁は必ず冷ましてから漬ける——。
この一手間で、見た目も味もまるで料亭の仕上がりになります。

 

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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