お正月料理や祝い膳に欠かせない「数の子」
プチプチとした食感と上品な旨みが魅力の食材ですが、
「塩加減がむずかしい」
「苦みが出た」
「出汁の味が濃い・薄い」
など、味付けで悩む方も多いのではないでしょうか。
数の子は“火を入れない冷製仕上げ”が味の決め手。本記事では、現役和食調理師が、失敗しない塩抜きのコツと、プロが使う黄金比の出汁の作り方をわかりやすく解説します。
よくある失敗と原因
- 塩辛い → 塩抜き不足
- 苦みが出る → 塩を抜きすぎて旨みまで抜けている
- 見た目が悪い → 薄皮が残っている
- 出汁が濁る → 鰹節を煮すぎている
- 味がぼやける → 出汁が冷めないうちに漬けている
材料(作りやすい分量)
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 数の子(塩蔵) | 適量 | 主役。食感と旨みを楽しむ |
| 薄口醤油 | 20cc | 上品な香りと塩味をつける |
| みりん | 20cc | まろやかさと照り出し |
| 酒 | 80cc | 風味とコクを出す |
| 追い鰹(鰹節) | 10g | 出汁の旨みを強化 |
| 味の素 | 少々 | 旨みを補う(好みで) |
下処理(塩抜きと薄皮の処理)
- 迎え塩で塩抜きをする
ボウルに「やや薄めの塩水(海水より薄い程度)」を作り、数の子を浸す。1〜2時間おきに塩水を取り替えながら、ゆっくり塩を抜いていく。→味見して“ほんのり塩気”が残る程度でストップ。(抜きすぎると苦みが出るので注意) - 薄皮を取り除く
塩抜き中、数の子の表面に白い薄皮がめくれてくる。これを指の腹でやさしくこすり取る。
→ 残すと食感が悪く、味の染み方も不均一になる。

現役和食調理師のヒント
ここで丁寧に仕上げると、見た目も味も格段に良くなる。
出汁の作り方
- 鍋に酒・みりん・薄口醤油を入れ、軽く沸騰させる。→ 沸騰した瞬間がアルコールが飛ぶ“香りの合図”。
- 追い鰹(鰹節)を加えて火を止める。
→ 鰹節は入れた瞬間から香りが立つので、煮すぎない。 - そのまま自然に冷まし、完全に冷えたら漉す。
→ 出汁を冷やすことで、味がまとまり日持ちも良くなる。

現役和食調理師のヒント
熱いまま漬けると、数の子の食感が崩れやすくなります。
必ず「冷やしてから」使いましょう。
数の子を漬け込む(火加減なしの冷製仕上げ)
- 下処理を終えた数の子の水気をしっかり取る。
→ 表面に水が残っていると味が薄まる原因に。 - 冷ました出汁に数の子を入れる。
冷蔵庫で半日〜1日漬け込むと、中までしっかり味が染みた上品な数の子に。 - 味見して塩味を微調整。
→ 塩気が強い場合は少量の出汁で薄める。
失敗しない3つのコツ
- 塩抜きは「塩水で」行い、真水は使わない
- 出汁は必ず冷ましてから漬け込む
- 薄皮をしっかり取り除くことで、見た目も上品に
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器に入れて冷蔵で3〜4日。
- 冷凍保存:不可(食感が変わるためおすすめしない)。
- 再利用:残った出汁は卵焼きや煮物の下味にも使える。
相性の良い料理・献立提案
- 副菜:黒豆、田作り、伊達巻
- 汁物:すまし汁
- ご飯:白ごはん、赤飯、ちらし寿司
👉 お正月料理の一品としてもおすすめです。
旬と豆知識
数の子はニシンの卵で旬は冬〜春。
おせち料理では「子孫繁栄」の縁起物として欠かせません。近年は塩数の子だけでなく、味付け済みタイプも増えていますが、手作りならではの「風味と食感の違い」をぜひ味わってみてください。
ニシンについてはコチラをご覧ください▶鰊 にしん(Herring)
現役和食調理師のひと言
数の子の味付けで大切なのは「抜きすぎない塩加減」と「出汁の温度管理」。
塩味をほんのり残すことで、数の子本来の旨みとコクが際立ちます。
出汁は必ず冷ましてから漬ける——。
この一手間で、見た目も味もまるで料亭の仕上がりになります。
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